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コロナ下でも「紙」は強かった [パンデミックな日々]

226アベ要請に始まりはやまるまる5ヶ月となるクラシック音楽業界でのコロナ騒動、緊急事態が解除となりコンサート活動がおそるおそる再開されてからほぼ6週間。とーきょー五輪真っ盛りの真夏…の筈だったのにいつまでも終わらない梅雨が続く月曜日の朝、とうとう作業可能な手持ち原稿がない失業者状態になってしまった三文売文業者やくぺん先生なのであーる。一応、締め切りがある原稿はふたつあるも(ひとつは言語道断に冗談みたいに安いギャラなんだけど、今は文句も言わずになんでも引き受けないといけんっ)、どちらもどういう風に処理するか、クライアントさんからの連絡待ちの状態。で、でっかくなりどんどん危険物になりつつある葛飾オフィスの柿の実が湿った南からの強風に吹き飛ばさせそうになっている姿にハラハラしつつ、ライヴ・コンサート再開後の状況について思うことあれこれ。

コロナでニッポン国民が真面目にお籠もりしていた4月半ばから5月、6月頭くらいまで、全くライヴの演奏会がなく配信だなんだで気を紛らわせながら鬱々としていた頃、「コンサートが再開されたらこんなことやあんなことが新たに起きてくるのではないか」と業界関係者が勝手にワイのワイの思いつきで語ってたことがあります。そのいくつかは当たったし、いくつかは全く当たらなかった。当たった方はまあそれはそれ。外れた方で最もスカだったのは、「紙」に関する予想でありまする。

新型コロナのヴィルスが接触感染であるという常識が広まった頃から、「会場で不特定多数に紙モノを手渡す」という行為はタブーになるであろうと考えられました。コンサート会場から紙が消えるだろう、ステージ上でもタブレットへの移行が進み、譜めくりアルバイトが死滅するのではないか…なーんてね。

ところがどっこい、そうはならなかった。少なくとも、今は、まだそうはなっていない。以下、コロナ下コンサート会場での「紙」を巡るあれこれ。

◆当日プログラム&アンケート
コンサートの会場で「紙」を渡すといえば、まず頭に浮かぶのは当日プログラムやらアンケート用紙など、主催者側が聴衆に配布する紙ですな。これ、どうも対応はヴェニュや主催者によって様々なようですが、「紙のプログラムは主催者側が用意し、積み上げておいて、聴衆が自分で拾っていく。アンケートはQRコードなどを当日プログラムに印刷しておいて、ネット経由でやってもらう。」というのが基本みたい。中国や韓国などのIT先進社会では10年代に一気に進んだ「当日プログラムは自分の携帯端末にダウンロード、紙はありません」というやり方、要は「当日プログラムの紙版完全廃止」の動きは、コロナでも加速された感じはしません。サロン規模のコンサートスペースでの室内楽演奏会などでは、そもそも当日プログラムがない例は珍しくないですから、今回の事態も余り影響がないだろうし。

◆広告チラシ
日本のコンサートホールだけとは言わないけど、世界のどこよりもニッポン列島のコンサートに定着している「入口での膨大な演奏会チラシ配り」という珍風景があります。誰がどう始めて、どのように定着してったかがハッキリ判っている業種なだけに、スーパーのレジ袋みたいに誰かが「止めましょう」といえば一瞬でなくすことも可能なこの風習、今世紀に入ってからは紙資源から考えても止めようという動きはなんどかあったものの、チラシを配りたい側が一斉に足を揃えるのが難しく、実現していない。コロナ騒動は千載一遇の廃止チャンスだったんだけど…どうも、去る土曜日の東京文化会館には、しっかりチラシ配りさんが出てました。「厳重に衛生チェックをして配っております」などという張り紙も出してました。うううん、この状況でもやる気満々なんだなぁ、某Cサービス社さん。

◆チケット
いちばん簡単に起こると思ったのが、チケットを紙から電子に切り替える流れ。今や世界のどこの劇場でも、チケットは「もぎり」ではなく「バーコード読み取り」になってます。となれば、最もペイパーレスにしやすい部分ではないか、これはあっという間にバーコード読み取りマシンが会場に配備され、紙チケットであれ、少なくとも直接の手先の接触は避ける方向に行くのだろう、と思ったのだが…導入されるのはサーモメーターばかりで、バーコード読み取りマシンはまだ使われませんねぇ。半券もいっぱい。ちなみに東フィルさんは、半券を「クラスター発生時の聴衆位置把握ツール」として回収しているので、手元にありません。
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単純に導入コストの問題なのか、日本のコンサートチケットのシステムの問題なのか?例えば、コロナ禍にオープンした横浜のぴあアリーナなどは、初めからチケットレス対応になったりはしていないのかしら。

◆名刺交換
これは「コンサート」という切り口で議論しても仕方ない、「ニッポンの不思議商習慣」なんでしょうけど、コンサート会場での関係者との挨拶での名刺交換という習慣がありますな。コロナ下の日常での大規模な記者会見などはまだ経験していないのでどうなるか未知でありまするが、少なくとも会場での関係者ご挨拶、名刺交換、などは、今まで通りにやられてます。北米や欧州ではそもそも存在しないこの習慣、個人的にはコロナを機になくなっちゃって欲しいんだけど…そうもいかないかな。

以上、紙は神のように強し、という雑談でした。

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