SSブログ

コロナ禍の北の島へ [たびの空]

なんだかすっかり「コロナ」が終わった感も漂う新暦文月朔日、今世紀に入って「梅雨空」という言葉の喚起するイメージが激変してはいるものの(「梅雨」というよりも「雨期」でんなぁ)、とにもかくにもなまぬるぅく湿った梅雨の大気をかき分け、遙か北の大地は札幌に辿り付き、エクがこの街でのコロナ禍後最初の通常の演奏会再開という認定NPO最初の仕事に相応しい公共性が高いイベントになってしまった演奏会のお手伝いに参っております。

一応、某紙媒体の取材でもあり、それよりもなによりも去る3月頭にびわ湖ホールの《神々の黄昏》GP見物以来の「取材」ってか、お仕事っぽいお仕事だったもので、もうヘバヘバ。コロナお籠もりですっかり体がなまっちゃって、どう動けば良いか忘れてしまった爺初心者なのであーる。

てなわけで、もう細かいことは言わず、羽田から札幌中島公園までたどり着く道中を、後の記録のために記しておきましょうぞ。

今回の札幌行き、当日は地元媒体の取材がいっぱい入るとのことなんだけど、そういう媒体から写真やら映像資料を貰うのは実質不可能なので、自分らで押さえねばならない。とはいえ、札幌では特別価格でお願い出来る信頼出来るプロのカメラマンなどはおらず、しろーとカメラマン及びヴィデオボタン押し係の主催NPO雑用担当として向かったわけであります。エクNPO化前の東京在住の頃にあれこれ現場の手伝いをしてくれ現在は関西の某ホールで指定管理職員やってる強力な助っ人M女史も来てくれるとのことなので、本州助っ人チームとして動くことが決まったのが出発の数日前のこと。

なんせ状況が見えない中での記録用動画撮影があるので、大風が吹いてもひっくりかえらないような一昔前の重く巨大な三脚を背負っていかねばならず、昨年秋の病人認定以降連れて歩いている医療器具一式もある。となると、もうこれはLCCでは無理。追加荷物10キロ超過は確実、ましてや三脚はコロナだなんだ以前から機内持ち込み不可能、預けるとなると身ひとつを運んで貰う額と機材のお値段が違わないくらいになってしまう。それだったらもうレガシー航空会社にするしかない、とANAさんのタダ券を差配したのが「県を跨いだ移動」を御上がお許しになった直後。最初に予約した飛行機はガラガラで、おおいおいおい、これ、ホントに飛ぶのかといぶかしく思っていたら、案の定、以降、往路は機材がどんどん小さくなるわ、復路は便そのものが間引かれてネットでの変更が出来ず延々とANAさんに繋がらない電話を1時間もかけねばならぬわ…ある程度は予測した事態とはいえ、ここまで思った通りのドタバタぶりだと、もうこれはこれと腹を据えるしかないぞよ。いやはや。

ご家庭内にも先週末に家族会議をし、成田じゃなく羽田なんで佃の縦長屋からの出発帰宅も仕方あるまい、気をつけて下さいね、と合意を取り付ける。かくて、ありったけの機材とアホのようにデカく重い三脚を準備するうちに水無月晦日の夜も過ぎ、月も変わった朝ぼらけ、なんだか半端な空であることよ。荷物が多いので都心のラッシュアワーの移動を避ける便にはしたのだけど、天気予報は土砂降りみたいなことを申しており、この大荷物で月島駅まで行くのは一騒ぎじゃのぉ。ええええい、収入激減のおり節約必至ではあるものの、これは仕方ないと東京五輪マーク入りのタクシーに機材を詰め込み、浜松町まで向かいます。

三密回避、運転手さんとの無駄話なども厳禁らしいけど、やっぱり築地の魚河岸横を抜ければ、「ここってどうなってるんですかねぇ」とか
01.jpg
再び幻となった五輪関連施設の中途半端な惨状に悪態をつくことになるのは、今の都民ならば仕方ないところであろー。

これまた世界大運動会に向けて整備していた駅周辺車寄せが滅茶苦茶になったままで今に至る浜松町駅に文句ひとしきりの運転手さんにバイバイし、モノレールのホームへと大荷物抱えておっちらえっちら。長距離バス乗り場の方からだと、直接改札階に届くエレベーターがないんだわなぁ。通勤時間の東京モノレール、途中までは通勤ラッシュと朝の空港利用客で大混雑になる。とはいえ、そもそもが空港アクセス用に設置された交通機関とあって、京急の朝ラッシュに空港に向かう大荷物を詰め込む際の周囲の白い目とは些か異なることは確かで、こっちの方が罪悪感は少ないわい。意外にも、浜松町を発車した各駅停車は、ガラガラとは言わないけど、充分に空いてました。
02.jpg
天王洲アイルで下車するサラリーマンさんもあまりおらず、途中から乗ってくる人もなく、コアジサシ飛び込む運河を眺めるアヤシげな空の下、辿り付いた羽田の整備場近辺は、この数週間地上に置きっぱなしにされてる巨大機械鳥たちの巣窟になっておるわいなぁ。
03.jpg

つらつら考えるに、羽田空港を利用するのは昨年9月の札幌からの戻り、台風で房総半島先っぽが大被害を受けたとき以来ではないかい。それからは国内線もLCCで成田ばかりだったからなぁ。いつの間にやら「国際線ターミナル」が「第3ターミナル」になってら。ただ、空港ターミナルそのものは、そもそもがセキュリティやら体温検査をやってたわけだから、コロナ対応でバタバタしている感はあまりありません。ラウンジもひとり空け座りにはなってないし。ただ、売店の空弁はいつもの5分の1程度の入荷量。朝ご飯のおにぎり屋さんもガラガラで、「それでも8時くらいまでの便はお客さんは戻ってるんですけどねぇ」とヒマそうなおねえさんがマスク越しに仰いまする。

搭乗もいろいろいままでと違ったらしいのだど、ラウンジでグズグズしてたらもう全員搭乗になっていて、慌てて駆け込むと、最初は777だったはずがあれよあれよと321になった千歳便、となりはひとりあけくらいの客の入り、殆どが明らかにビジネスマンで観光客の姿は見えませぬ。流石メイジャー会社のメイン路線、ちいさいとはいえ最新の機材で、過剰なまでに立派なモニターが目の前にあり、どこ飛んでるかは良く判る。電源もUSB対応のみながらあるしね。

今日はダメだろうなぁ、と思っていた通り、Cランの南風の離陸で
04.jpg
あっという間に雲の上。葛飾オフィス巨大柿の木を上空から真下に見下ろすことは叶わず、市川上空の雲の中を上昇していき、ぼーっとしているうちに、はや北の島に到着。

ゲートに入ったはいいが、ソーシャル・ディスタンスとやらを保った降機がなかなか大変。前列から数人ずつ、おそるおそる降機していき、自分の番になるまで原則、ヘッドビンの中の荷物も出せません。ま、これはこれでいいんだけど、今、飛行機に乗る方で到着後に急いでるなら、前方座席にしないと10分くらいはかかりますよ、ヘタすると。ここでやたらと時間がかかるので、幸か不幸か、荷物拾いテーブルに至る頃には、もうデッカい三脚も医療機材もぐるぐるまわってました。お、本日の主役、エクの皆さんも無事に荷物を拾えたようじゃ。
06.jpg
エクは明日の帰京便が間引かれたとのことで、ちょっとカウンターで交渉せねばならぬとのこと。ではまたキタラで、と手を振り、関西から到着する助っ人をJALの到着口前でしばし待ちます。表のバスターミナルに巨大観光バスがまるで通らない、ここはどこのローカル空港だ、って閑散っぷり。目の前のファーストフードも、午後4時に閉まります、なんて書いてあるし。

待つこと半時間ほど、伊丹からちっちゃなジェットで到着したM女史と無事合流、激安レンタカーに向け連絡バスに乗るも、他に客は誰もいません。通過する国際線ターミナルには、2ヶ月以上の間1便も到着がないそうな。いやはや、維持費だけでなんぼかかるやら…

梅雨が無い筈の北の大地、新帝都程湿っぽくはないものの小雨が落ち、いつもなら世界一真面目に練習している我らがニッポン空軍の鷲部隊も静かなもの。久しぶりのお客だわ、って感じのレンタカー事務所のおねーさん、こんなに稼げない客で申し訳ないねぇ。

ちっちゃな、ブレーキの効きが今みっつくらいで絶対に雨の高速なんぞ走りたくない車を転がし、あとは、ただダラダラと移動じゃわい。早めにキタラホール楽屋口に到着したところで、今の情勢では時間まで中に入れるかも分かりゃしないしさ。ノンビリと下道で札幌まで参りましょまいりましょ。途中、感染対策らしきものはしているようだが、なにやらほのぼのお気楽ムード漂う道の駅で、小雨の中のセキレイさんに迎えられ
08.jpg
地元農家さんの持ち込んでる野菜を眺め、あああ白アスパラの季節は終わってしまったのだなぁ、と失われた過ぎた春に思いを寄せるのであーる。
07.jpg
無論、「インカのめざめ」は激安購入しましたですっ。北広島の近辺で新たな野球場建設のための巨大なクレーンが森の中に立ち上がるのを眺め、手入れの悪い国道をまああああっすぐひた走り、コロナ禍で激安の中島公園隣の宮内庁御用達某高級ホテルに到着。コロコロコロと素敵なお声をあげるカワラヒワさんが迎えてくださりまする。
09.jpg
さても、慌てて荷物を放り込み、キタラホールに向かうと、セキュリティは存外にあっさりしたもの。数ヶ月ぶりに入るホールの裏は、これ見よがしに「ちゃんと綺麗にしてますよ」と仰るのであったぁ。
10.jpg

かくて、札幌で4ヶ月ぶりに鳴った演奏会、エクがベートーヴェン作品132の第3楽章「病から癒えた感謝を神に讃える歌」が客席数半分のホールにしっとりと響いたのでありましたが、ま、それはまた別の話。

nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:音楽