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夏の現代音楽祭開幕へ [現代音楽]

ある方とヴァーチャルで会話していて、今更ながらに気付かされた事実。2020年コロナの異常な夏の音楽業界にあって、いちばん「いつも通り」にやってるのは、意外にも現代音楽業界なのではなかろーか!

考えてみれば、そもそもが大きなお金や仕掛けが動いて膨大な人を動員するようなものではなく、業界の規模に比べ注目される度合いは高いジャンル。どれも手作りみたいなところがあり、媒体だって大手は相手にしてくれないから、草創期からWebを利用して自分らでやってきた。ネットワーク作業は創作のジャンルとして既に存在していたし、電子音はそもそも業種として半世紀以上の長い歴史を有し、Webや配信の媒体としてのキャラクターを利用した創作も、《ヘリコプター四重奏》以来とっくに普通に行われていた。

理由をあげつらえば、いくらでも小難しいことは言えるのでしょうけど、それも「ゲンダイオンガク」の創作者さんのお仕事のひとつ。とにもかくにも、確かに言われてみれば、ゲンダイオンガク業界、合唱やオペラみたいにコロナ直撃で萎縮している、という感じはありませんね。

とはいうものの、やっぱり影響は出ている。「たくさんの人が集まってプロジェクトを一緒にする」という作業が出来ない今、所謂セミナー系のイベントは難しい。いずみホールさんはしっかりこういうことをおやりになられておりますが。偉いなぁ。18日には発表演奏会もあるようです。
http://www.izumihall.jp/schedule/concert.html?cid=2267&y=2020&m=8
ニッポンの僻地関東では、打楽器奏者の加藤訓子さんが数年かけて中央線の多摩地区から奥の公共ホールあちこちを会場に進めていた「18人の若手打楽器奏者がクセナキス《プレアデス》を合奏する」というプロジェクトが夏のイベントとしてあり、本来なら来る8月22日に目黒パーシモンホールで数年にわたる訓練を終え本番になる予定だった。だけど、当然ながら、なくなってしまいました。その先にあったアテネの音楽祭出演という大プロジェクトも…欧州遙かなり。

とはいえどっこい、転んでもただでは起きないのが現代音楽の皆々様。本日からくにたち市民文化小ホールを舞台に諦めずにセッションが行われ、来週には発表会のような形で、今時のクローズドなセッションを基本に、クセナキス関連のミニフェスティバルが開催されます。こちら。
https://npo-artsworks.org/ja/inc
遙か多摩は谷保で開催されるセミナーに続く演奏会の案内は、こちらのPDFファイルでどうぞ。
inc kunitachi 2020_f.pdf
19日昼間は、どうやら野外らしいのですが、一般公開もちょっとだけあるそうです。猛烈な残暑の中、これだけのために谷保まで来てくれというのも無茶だとは思いますけど、お近くにお住まいでご関心の向きは、ご覧あれ。なお、17日からの本来だったら公開の筈のセッションはストリーミングがあるらしいので、詳細が判りましたらFacebookの方で速報いたします。

夏の終わりの恒例となっていた松本や木曽福島はなくなっちゃっても、どういうわけかうんと地味な現代音楽祭りだけは開催されるような夏の終わり、来週の週末からは溜池のサントリー芸術財団主催のフェスティバルも始まり、今年のテーマは「アヴァンギャルド」などというぐるっとまわっていちばん古めかしくも懐かしいものがトップランナーになってしまった、みたいな奇妙な現象も起きている。そして月が変われば、溜池でのシュトックハウゼン最晩年の電子音楽披露を受けるように、いよいよ秋吉台にクセナキスの巨大電子音楽が響き渡る。ついでに越前は武生でも、出演者は国内のみと縮小されたとはいえ、秋の名物現代音楽祭が始まる。

ゲンダイオンガクの夏の終わりは、今年もさりげなくやってくる。

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