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シンガポールで《ヴァルキューレ》初演 [演奏家]

お金持ちな出国禁止もなんのその、あっさり逃げ出せるニッポン列島に蟄居するやくぺん先生とすれば、行きたくても行けない話なんですけど…

今やニッポン越えて東アジア圏で最も「先進国」やってるシンガポールでありますが、ひとつ弱点がるとすれば、未だに西洋型オペラハウスのきちんとしたものがないことでありましょう。無論、エスプラネードではシンガポールのオペラカンパニーが《アイーダ》とかをちゃんと自国のオケやコーラスで上演しているし、小規模オペラカンパニーが興味深い演目を出したりしてますけど、バブル期以降のニッポンみたいな「引っ越し公演」が次から次へと行われる、という風にはなっていない。どうしてなのかなぁ、と思わぬでもないけど、まあ、事実としてそうなんです。オーストリアからの国家文化交流でヴィーン国立歌劇場管が監督の小澤氏と《フィガロの結婚》をやったときも、エスプラネードでセミステージ形式、ってか、歌手が勝手に演技する、みたいなものだったし。
https://yakupen.blog.ss-blog.jp/2007-09-27
ましてやハードルが高いのがヴァーグナーで、シンガポールのプロダクションで過去にステージとしてきちんと上演されたヴァーグナーは《オランダ人》だけみたい。
https://yakupen.blog.ss-blog.jp/2016-09-30

そんなシンガポールで、来る日曜日の1月5日、とうとう《ヴァルキューレ》が初演されます。こちらが会場となるエスプラネードのリリース。
https://www.esplanade.com/events/2020/omm-die-walkure?utm_source=Esplanade+Mailing+List&utm_campaign=85fb68dd45-whats_on_jan_012020&utm_medium=email&utm_term=0_abb3f82f99-85fb68dd45-51699803
なんか、このポスター、完全に『スターウォーズ』だわなぁ。確かに同じようなもんだけどさ。なんせ、「Destiny awaits a pair of young lovers and their Valkyrie protector, as their forbidden love threatens to thwart Wotan, the king of the gods’ master plan to combat the forces of evil. 」だもん。

このプロダクション、世界には確実に人口の零点数%は存在するらしいヴァーグナー好きにはそれなりに注目されているようで、バックトラックにはこんな記事も出ています。書いてるオッサン、会ったことある奴じゃないかぁ。
https://bachtrack.com/interview-chan-tze-law-orchestra-of-the-music-makers-wagner-die-walkure-singapore-november-2019

興味深いのは、このプロダクションが日本でもよく知られるシンガポール響やシンガポールのメイジャー・カンパニーがやってるのではなく、オーケストラ・オヴ・ミュージック・メイカーズというちょっと特殊な団体の主催である、ということ。こちらが、そっちの公式ページ。
https://www.orchestra.sg/the-valkyrie

この団体がどういうものか、説明するとメンドーなんだけど、敢えて言えば「アマオケ」と分類されても仕方ない団体。演奏者の全員が別の職業を持っているそうだけど、プロとしての教育を受けた人が殆ど。若い音楽学生も入っていて、ヴェローナQのオンちゃんも国に居た頃にこの団体で弾いたことがある、と仰ってたっけ。

ニッポン国の「クラシック」文化が凄く深く根付いていることの証拠に、無数のアマオケが存在し、名古屋ではアマオケが《リング》チクルスを完奏してしまった、なんて話が世界の業界を驚かせているわけだが、ニッポンを追いつき追い越せで「発展」し、今やしっかり追い越してしまったシンガポールは、こういう文化の面でも似たような状況にあるのかなぁ、と思ったりして。

まだチケットがあるようなので、お暇な方はどうぞ。午後4時開演ですから、お間違えないように。

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