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アールQの映像 [弦楽四重奏]

とんでもない映像があることを知りました。こちら。
https://www.criticalpast.com/video/65675022217_Benny-Goodman_Japanese-musicians_record-spinning_Mozart-Quintet
歴史的な映像を商業放送用に販売する会社のようで、上のサイトは「こういう映像を売りますよ」というページ。ここから無料で鑑賞しても$300弱課金されるというわけではありませんので、ご安心を。なんか、YouTubeに転載もされてるようだが、そういうのはOKなのかなぁ。商業放送用に権利関係をクリアーにしてくれている値段、ということなのかしら。いずれにせよ、これを流したところで俊達先生のDCのご遺族になんぼか入る、というもんではなさそうなんだけど。

ご覧になってお判りのように、渡辺あけさんがセカンドに入っていた頃、ごく短い時間だけの初期アールQの映像です。これがヴァイオリニストとしては最後の演奏だったそうで、その後は柴田南雄夫人に交代しましたから、猛烈に貴重。っても、後期アールQの動画だってまるで視たことないけどさ。

ここにはデータがきちんとありませんが、拙著『黒沼俊夫と日本の弦楽四重奏団』の資料データを眺めると(まあ、使い難いデータページのレイアウトだこと)、1957年1月17日、主催は文化放送で、日本青年館が会場の筈。クレジットが産経時事なのは、発足直後でまだ定期演奏会は始まっていない日本フィルという背景を考えれば当然ですけど、こういう映像収録もあったのは知らなかった。もう数年前から売っていたようです。いやはや、とんでもない時代なったなぁ…

っても、また別のこういうソースもあり
https://www.youtube.com/watch?v=ldE-5Ny3m28
こっちは1月12日から15日にサンケイホールでの収録となっている。背景なんぞを視ると、どうも昔の日本青年館には思えない。「いらっしゃいガラ」みたいなものが別にあったのかなぁ。

「直前に一緒に演奏したボストン響の弦楽四重奏より良かった」とグッドマン御大がご満足だったというこの硬質な演奏、無論、ブロダス・アールという日本戦後室内楽の隠れた(としか言い様がないなぁ、現状では)偉人の存在故に可能になったとはいえ、あるハーピストを巡るソイヤーとのさや当てがなければ傷心のアール氏がニュー・ミュージックQを解散して遙か太平洋の彼方の敗戦国にやってくることなどなかったわけだし、そうなっていなければライバルのジュリアードQのその後の立ち位置もなかったでしょうから、戦後の弦楽四重奏演奏史が根本的に違うものになっていた可能性もあるわけで、いろんな意味で凄い歴史的な貴重映像でありまする。

やっぱり、『ブロダス・アール伝』は、やくぺん先生の最期の仕事としてちゃんとやるべきなんだろなぁ。アメリカ合衆国がこんなに遠くなるとは思ってもいなかったけど、ことによると今は葛飾に座ったオンラインでも、こんな風にそれなりに資料が漁れるのかもしれないんだし。

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