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びわ湖その後 [たびの空]

昨年来、いろんな騒動があったびわ湖ホール周辺でありますが、少なくとも京阪電鉄線路の真横の安ビジネスホテルから眺める2009年10月上旬の朝日の光の中におきましては、何事もなかったかのようにノンビリと佇んでおります。
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湖面には鳰はおらねど観光船は浮かび、そこそこ人出はあるようだけど、晴れ上がった秋の観光シーズンはじめの日曜の午前中にこんなんで良いんかぁ、と言いたくなるぞ。みんな鈴鹿の山脈の向こうまで自動車レース見物に行ってるわけでもあるまいし。

さても、昨日、なんのかんのでびわ湖ホールに半日もおりました。立ち話ながら、受付のおねーさんから沼尻監督まで、いろんな人と断片的な話をしました。が、今や「びわ湖ホール事件」とアーツマネージメント教科書にも掲載される昨年の騒動の影は、まるで感じられない。「立地最高なんだからびわ湖ホールはフェスティバル会場として周囲と共同しながら集約的なプログラミングをすべきだ」なんて誰でも考える提案も盛んにされたのをさり気なく(この、さり気なく、が大事なんだけど)受け流し、今年は大津駅、浜大津、びわ湖ホールを結ぶ△地域をカバーする「びわ湖大津 秋の音楽祭」なるイベントを組織、今回のびわ湖ホールでのアルバン・ベルク小フェスティバルもその一部に組み込まれているようです。そんな話をしてくれるホールスタッフも、外野が期待しちゃうような「昨年来の騒動からの反転攻勢」みたいな意気込みとはちょっと違う。今まで通りに、やれることをやってきますわ、って感じ。

とはいえ、一応、ホールの中はミニ・アルバン・ベルク・フェスティバルです。昨日土曜日の昼はエクがベルクの「叙情組曲」を弾くレクチャー・コンサートがあり(関西から九州へと抜けるツアー中のエクは、数多い演目の中で敢えてベルクを入れ、曲の骨格を大掴みで示すいつもとはちょっと違うアプローチの実験をしてる)、夜ともなればまっ暗くなったびわ湖を背景にびわ湖ホール声楽アンサンブルのメンバーが月を讃える歌やら(残念ながらロビー会場からは見えません)、ベルクの歌曲などを披露する無料のロビコン。歌が終わるや、月に憑かれてフラフラと湖の畔までやってきた県民の前に、音楽監督の沼尻氏が登場。翌日の「ルル」に向けてちょっと宣伝。ほれ。
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ま、このヴィーデキントのファム・ファタール話、主役さえ選べばヨーロッパでは大人気の演目なんだけど、琵琶湖の畔に幸せに暮らす人々には階級社会での成り上がりと没落なんてテーマそのものが、あんまり関係ないしねぇ。大人ならば誰でも密かに抱えている青春の苦さで泣かせて下さる「ボエーム」みたいに切符が売れる筈もない。マニアの皆様、東京からでもまだなんとか新幹線飛び込めば間に合うかもしれません、日曜午後2時開演です。演出は数年前に日生劇場でやった佐藤演出をベースにしながらも、指揮者沼尻氏に拠れば「舞台の広さも違うし、まるっきり新しい演出ですよ」とのこと。関西方面の演劇関係者の皆々様、まだ全然間に合います。さあ、浜大津へGO!

って、ひとしきり遅すぎる宣伝をしたところで昨晩の話に戻し、ロビコンを終えて朝5時起きのウニ頭を抱え湖畔を宿まで歩けば、おお、中秋の名月の下、光に浮き上がるはかの琵琶湖文化館!
http://yakupen.blog.so-net.ne.jp/2008-03-18
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なんとこの日から11月末まで、「よみがえれ琵琶湖文化館」と題されたイベントも何度か企画され、ライトアップがされるとのこと。湖畔では仮設舞台が組まれジャズやってたり、模擬店が出て近江牛焼く煙が上がってたり。リオデジャネイロの熱狂を期待するわけじゃないけれど、盛り上がりはいまひとつでんがな。

このところ滋賀県は琵琶湖の畔で頻発していた騒動、嵐が去ってまたいつもの日々が戻ってきた、って感じなのかしら。全国の皆さんの注目を浴びたんで頑張るぞ-、って盛り上がりじゃあない。

ちなみに、もっと大騒ぎがあった栗東では、全く時を同じくして問題の文化施設10周年を祝うフェスティバルが賑々しく執り行われ、少なくともスタッフは終演後にきっちり盛り上がっていたようではあります。ゴメン、参加出来なくて。

一歩一歩着実に、ってことなのか、それとも、世は全てこともなし、なのか。湾岸住民風来坊にはよーわからん近江の空。

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かめ

こ、ここのピアノは赤だ!
うわあ何かを象徴していませんか!?
by かめ (2009-10-05 05:11) 

Yakupen

かめ様

ああ、確かにこの写真だと、とっても赤く見えますね。多分、夜のロビコンで光の関係でしょう。
肉眼で眺めると、赤っぽくは感じますが、それほど衝撃的な色ではありません。弦楽器のニス表面ほども赤くはないくらいです。

ちなみにこのピアノ、エラールの初期タイプで、びわ湖ホールでは「エラールの響きと」というキャッチフレーズでロビコンを宣伝してます。楽器については手入れをしている会社のホームページをどうぞ。
http://www.morita-piano.com/jp/index-j.html
こっちの写真はしっかり黒く見えるぞ。不思議だ。

by Yakupen (2009-10-05 09:51) 

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