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medici.tv日本進出 [音楽業界]

ぐぁっつり「音楽業界」ネタでんな。

今月の頭くらいに、かのmedici.tvのニッポン版がスタートしています。こちら。
https://medicitv.jp/
なんだか滅茶苦茶わかりやすい、堂々たるURLですなぁ。「これぞ本家本元のニッポン版だぞっ!」って。

ええ、このmedici.tv、日本語では「メディチ・ティーヴィー」というもの凄く表記も発音もし難いものになっていて、これはこれで困るんだけど(やっぱり、日本語文化圏でガッツリとメイジャーになろうと思ったら母音子音・母音子音・母音子音・母音子音の4音にしないとダメ、という黄金則に従うべきでしょーに)、ま、こればかりは仕方ないのでしょうねぇ。

もとい。このmedici.tvって、特にオペラ関係に関心のある方、歌手とか指揮者とかだけじゃなくて演出面に関心のあるコアでハードな愛好家の皆様なら、もうとっくにご愛用になっていらっしゃると思います。こちら。
https://www.medici.tv/ja/
ヨーロッパで10年くらい前に立ち上がった媒体で、10年代終わりの今や、「パソコンで眺めるなら、オペラはmedici、弦楽器はviolin channel」というのがヨーロッパの愛好家というか関係者の常識となっているくらいドミネートしてる。なにより強いのは、重要な上演などを無料で全曲提供してしまっていること。ラインナップをご覧になればお判りのように、こりゃもうディスクを購入して、なんてことはする必要ないなぁ、と思わされる。それにしても、日本版とはコンテンツがもの凄く違ってますねぇ。

だって、今、この瞬間にアップされてるオペラ全曲だけで191あり、その中にはグライドボーンの《ヴァネッサ》とか、バーデンバーデンの《メフィストフェレ》とか、チューリッヒのホキモ演出《ヴォツェック》とか、テアトロ・レアルの《恋愛禁制》とか、エクサン・プロヴァンスの《written on skin》とか、トゥールーズの《リエンチ》とか、ライン・ドイツオペラの《ドクター・アトミック》とか…そしてなにより、あの問題のパリ・オペラ座の宇宙空間《ボエーム》まであるぞおおおお!

つまり、誰が見ても安心な初台みたいな演出(←凄い偏見!)が並んでるんじゃなく、こんなもんあるんかぁ、って吃驚するようなイロモノとは言わないが、ちょっと捻ったものがゴロゴロならんでるんですわ。これが今のヨーロッパの状況を反映した健全なバランスなのか、よくわからんですけど。意外に《リング》サイクルがなかったりするのが不思議なんだけどねぇ。

視るためにはどうしたらいいか、無料コンテンツはどれなのか、いろいろあるんでしょうが、そういうのは詳しい方がいるでしょうから、Web上でそっちを探して下さい。ま、お金を払っても観たい、これがあたしのパソコンで視られるならお金を払って当然、と思えるようなもんが並んでるこの強力コンテンツであることは確か。ヘビーなオペラマニアさんはもうとっくにアクセスしているでしょうけど、日本でも(つまり、日本語字幕付き…なんだろうなぁ)これらを全部ノーストレスで視られるようにするには、いかな字幕自動翻訳なんぞが日進月歩の21世紀10年代の終わりといえ、猛烈なスタッフワークが必要になることは誰にだって判る。なんせ、細かい間違いでもあろうものなら鬼の首を取ったように文句言ってくる人がごっそりいそうなジャンルですからねぇ。

いやはや、凄いところに手を付けたなぁ、願わくば「グラモフォン・ジャパン」の悲劇を繰り返さないで欲しいものであーる…と思っていたら、年末のコンサート会場で日本版メディチ・テレビにWeb原稿執筆者となってる同業者さんにお会いしたので、「あれなんなんねん?大丈夫なの?」と率直なところを質問したですよ。

まさかそこでの業界内会話をこんな「書いてあることはみんな嘘、信じるなぁ」をモットーとする無責任電子壁新聞にそのまま記すわけはない、当たり障りのない書き方をしておけばぁ…要は「日本語版はAvexさんがやってて、どちらかといと日本側からmedici.tvにコンテンツを出すのが目的みたい」とのこと。なーるほど、そう考えれば納得はいくわな。なんであれ、ヨーロッパ版をまんま完全に日本語アクセス出来るようにするのが最終目的ではない、ってのは画面を眺めて感じるもんね。

過去に欧州の音楽情報産業は何度も日本列島に進出を試み、そのたびに神風ならぬ言語の壁(が作り出す高コスト)を前に敗れ去っている。Stradは韓国なんぞではすっかり韓国語版は根付いているのに、日本ではなんどか編集長以下マーケットリサーチをしに来たけど、進出の決断をしなかった。グラモフォンは神楽坂のもうひとつの大手出版社から果敢な挑戦をし、華々しく敗れ去った。さても、欧州王手の日本進出、Web時代になって状況は変化があるのか?乞うご期待…と気楽に言って良いのやら。コンテンツ商売の一部なのだ、と考えれば、こういう展開もありなんでしょうか。

文字だらけの旧来型「演奏批評」のBachtrackの場合は、日本版なんて話もないし、その必要もないのでしょう。ああいうのは「ぶらあぼ」があれば良い、ということなんだろうし。

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