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チェコからギリシャから [演奏家]

第5回クァルテット・ビエンナーレの第2日も淡々と過ぎております。本日も、シテ・ド・ラ・ムジークの地下の円形劇場には、300人くらいの老若男女、数字の比率から言えば、若は猛烈に少ないんだけど、ま、ともかくそれなりの聴衆を集めて地味に派手に展開してます。

今日は「もう元ペンギンとは言わせないぞ、ツェムリンスキーQ」と、第1ヴァイオリンとチェロはアンサンブル・アンテルコンテンポランでも演奏していたというアテネをベースにした新鋭、テトラクティスQの登場。チェコとギリシャ、EUのギリギリ周辺からの代表ですな。

元ペンギンはリームの10番をやって、まあこれは、「ピチカート楽章、全音音階の民謡が隠れてるでっかいアレグロ楽章、マーラーの9番みたいな消え入る緩徐楽章」という明快な3つの楽章だか部分から成ってる曲。1997年のベルリンでリーム大会があったときに、御大がアーヴィンらのために書いた新作だったわけで、へえ、それから15年で3曲増えたわけね。ベルリンでガースと朝飯喰いながらどーでも良い話をした(このイベントがガースのアルディッティ会社から卒業の演奏会でした)ときには、次の作品は歌が入るらしい、なんていってたけど、結局その次の曲はあの「クスVSパシフィカ」の歴史に残る大激戦が繰り広げられたレッジョで委嘱初演された12番だったわけで、なかなか思い通りにはいかんものなのね。

んで、終演後に元ペンギンの楽屋を訊ね、リームの曲でどれを弾くかはディレクターさんからのご指定なの、と訊ねたら、「いや、早い者勝ちで、俺たちは10番がいちばん出来が良いと思ったのでこれをやりたいと頼んだんだ」とのことでした。

ま、これ以上は商売ものの内容になっちゃうので、ここまで。なお、元ペンギンのご一行、2週間後にナントに行ってグラズノフとか弾くそうで、5月の東京に行くかどうかはまだ知らないけど、今年は東京も同じようなテーマなんでしょ、なんて仰ってましたです。相変わらずギリギリまで決まらない音楽祭なのね。

なお、元ペンギン、最新録音はグラズノフであります。シテ・ド・ラ・ムジークの売店にゴッソリ並べて売ってました。
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で、ギリシャ代用の若者達は、これからリーム作品でも最大の難曲、第6番に挑戦であります。「20世紀のベートーヴェン作品131」とも、「50分の間延々と続く大フーガ」とも言われる(って、あたしっきゃ言わんが)ウルトラスーパー超やばい難曲でありますな。これだけで演奏会を終わりにしても良いくらいでんがな。


リームの50分が終わり、会場全体に不思議な共犯感というか、いやぁよくやった感というか、まるでマラソンか駅伝を眺めたあとの高揚感と疲労感が漂っております。
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この後はオマケというか、ご褒美というか、「不協和音」を弾かせて頂けるギリシャの青年達でありました(中身に関しては商売もん作文で触れるので、ここでは言わない)。アンコールにやった、スカルコッタスのグリッサンドだらけの緩徐楽章が大受け。

そういえば、昨日は遙かミュンヘンから山奥に入ったお城では、トルコの若者達がサイグンの弦楽四重奏を弾いていた筈。時代は、確実に変わってる。

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