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昭和末期レトロな香り [弦楽四重奏]

昨日来、遙かカナディアン・ロッキーの向こうはバンフで第14回、なのかな、ともかく3年に一度のバンフ国際弦楽四重奏コンクールが始まってます。「室内楽」じゃなくて純粋にクァルテットだけに特化したメイジャー国際大会って、レッジョ、ロンドンとここくらいなんだわなぁ(ボルドーは、もう普通の意味での「コンクール」じゃないし)。残念ながら今年は我が灼熱の列島からは誰も行っておらず(そもそも、日本列島拠点でバンフまで呼ばれたことあるのは、911騒動直前のエクと、今や半分が葵トリオとして出世してしまった前回の連中だけなんだが)、でも審査員席には今井信子さん、客席には大阪室内楽振興財団のK氏というガッツリ信用出来るソースがいらっしゃるので、爺は安心して隠居生活出来るのじゃわい。うん。

っても、時差が酷い場所なんで午前中のセッションは無理だが、夜のセッションは列島湾岸新帝都の午前中になるわけで、ライブが聴ける…のは良いが、この時間だと、仕事の連絡などがいろいろ入り、ちゃんと聴いてられないと判った。なんせ夏休みが明けて諸編集部が動き出したところですから、細かい連絡があれこれ来る時間でありまする。結局、現場に行かないとちゃんとは聴けぬ、という当然の事実を確認するばかりの夏の終わり、レイバーデー休暇週間(宗主国は)の湿っぽい列島なのであった。

いずれにせよ、明日からは、ってか今日からはロマン派セッションなんで、どの団体もハイドンみたいに「馬脚をあらわす」ってことはないでしょう。娯楽として聴いていられる筈ですので、お暇な方は明日28日の日本列島&朝鮮半島南時間午前10時半から、ヴァイオリン・チャンネルで中継されるライブをご覧あれ。来年の6月に湾岸に来る予定のメルマンとか、2年前の大阪以降あちこちで弾いては研鑽を積んでるオマールとか、出て来ますから。

そんな中、まだお前聴くのか、と言われそうだけど、涼しくなったとはいえちっとも爽やかじゃなく、夏の疲労が老体に一気に響き始めなんか作文どころか動いたり飯を喰ったりするのすら億劫な死に損ないっぽい我が身を鞭打ち、上野まで京成電車で行って参りました。知る人ぞ知る、って感じの団体、東京ベートーヴェン・クァルテット、ってか、奈切Qの定期演奏会でありまする。
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この団体、なんと1971年から日本フィルの奈切さんらがやってて、今は創設メンバーはチェロさんのみ。ま、そりゃそーでしょー。で、「定期」と題した演奏会はいつも夏の終わり頃で、第一線引退宣言前のやくぺん先生ったら、バンフやらミュンヘンやらで列島にいないか、さもなきゃ松本だった頃。で、この団体、かの荻窪の某名曲喫茶でずーっと続けているライブの他で聴いたことなかった。基本、「オケマンベースのクァルテット」です。

なかなか議論し難い団体ですが、ともかく第一線引退とはこういう地元団体をきちんと拾っていくのが仕事という意味でもあるわけで、のこのこ出かけたわでありました。溜池では今を時めく流向作曲家の現代の傑作と呼ばれるオペラ、どっかでは某大手音楽事務所社長が業界関係者集めた集会みたいなもんがあって、客席にいる怪しげな奴らはやくぺん先生ひとりであります。そんな奴ら、いようがいまいが関係ない、って空気。

結論から言えば、音楽だけじゃなく運営や聴衆まで含め、もうしっかり自分らの世界が出来上がっている団体で、外からどうこういうもんではない。午前中に必死に弾いてたロッキーの向こうの若者がやってるような弓の置き場ミリ単位の合わせの競い合いとも違うし、先々週だっけに松本で聴いた「独奏コンクールファイナリスト級を集め、室内楽アンサンブルと楽譜の読み方の勉強をする」というものともまるで違う。聴く側も弾く側もそれぞれのことが良く判った人達が、モーツァルトやベートーヴェンの楽譜で自分らのやりたこと、弾きたいこと、聴きたいことをやる、という会であります。ですから、お客さんは文化小ホールの8割型が埋まる。無論、奈切さんと一緒に歳を重ねてきた熟年が圧倒的多数で、若いのはお弟子さんかな、って感じ。

第1ヴァイオリンの仕事とは歌うこと、チェロはショスタコなんて大変なもんでも頑張ってるじゃない、内声はどっちに付き合うかをはっきりさせて、って。それはそれでいい。こういうものも、演奏の在り方として、ある。良くも悪くも、名曲喫茶ミニオンとまでは言わぬが、巌本真理Q最後の頃くらいからの、懐かしい昭和末期の「クラシック音楽」そして「室内楽」の香り。

こういう環境で聴くと、アーヴィン・アルディティなんぞは絶対に弾かないと(おおっぴらじゃなく)仰ってるショスタコーヴィチの弦楽四重奏のなんとも言いようがない不思議な「技術的な難しさ」ってのがどういう意味なのか、教えて下さってるような。なんせ日本フィルを引退なさってからかれこれ暦ひとまわりくらいになろうという大長老が、チェロ大活躍の14番ですからねぇ。へえええ、こういうもんなんだなぁ、って。そういえば、この作品、東京ならぬモスクワのベートーヴェンQのために書かれてるんだっけね。そう、巌本真理Qはショスタコーヴィチが新しいクァルテットを書いたという情報が入るたび(恐らくは、よりとよ先生なんかから経由で話をきいてたんでしょうねぇ)、ソ連大使館に行って楽譜を取り寄せてくれるよう頼んでいた、なんて話が現役だった頃からの団体ですから。

ベートーヴェンの作品132も、それこそ世界各地のコンクールで若い連中が弾くのやら、初夏の溜池でいちばん脂の乗りきった頃の奴らが弾くのとは、まるで違う世界。でも、細かいこと言い出さなければいろいろ面倒な後期でも、(明らかに誰かが校訂している作品135以外では)いちばんそのままちゃんと弾けば誰でも「すげえええ名曲だあぁ」と感動する第3楽章後半があるわけで、この演奏家さんで長く聴いてきてる聴衆は、ちゃんとみんな感動してお家に帰れる。

なんか、やくぺん先生如き腹黒い悪人までが善い人になったような気持ちになって、西郷さんの向こうのデパート上掲示板が大気温度28度と示すのを眺めながら、川向こう葛飾に戻ってきたのでありました。

高原の爽やかさじゃない場所で老いていくわしらには、わしらの音楽があっても良い…よね。

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バンフ・コンクールが始まった…が [弦楽四重奏]

日本時間での本日早朝から、遙か大平洋を越え、更にカナディアン・ロッキーを越えた(越えかけた?)バンフで、恒例のバンフ国際弦楽四重奏コンクールが始まりました。日本からはちゃんともののわかった人が行ってますので、現場の報告はそちらを待ちましょう。

で、このアホな日本列島に居残っている隠居初心者やくぺん先生ったら、今時はインターネットでの映像やら音のライブが放送されるので、ことによるとあの音の酷い会場で座ってるよりもいいんじゃね、くらいに思ってました。こちら。
https://theviolinchannel.com/vc-live-2019-banff-international-string-quartet-competition-livestream/

タイムラインはこちら。ってか、上のストリーミングのページが演目や時間など最も詳細かな。
https://www.banffcentre.ca/bisqc

いずれにせよ、ストリーミングはいつでもみられるじゃん、ラッキー、さてぇ眺めてやろーか、とバリーの最初の演説からカリストQが作品77の1をてーららっ、と楽しげに弾き始めるのを眺めていたのだが…これ、全部ホントに眺めていったら、仕事出来ないじゃーないかぁ!

そりゃ当たり前で、ちゃんと現地に行っているなら、さあセッションが始まるぞ、もうだいたいの流れは判ったから聴きたくないけど、そこでやってるんだから流石に行かないとなあ、と部屋からホールに向けて坂を上り、途中で雀の親戚みたいだけどなんだかわかんない奴とか、きゃーいいチップマンクとか出て来て遊んじゃったりして…ってことになるわけです。だけど、ああだけど、ここ新帝都湾岸のバンフ大気中の水蒸気の10倍もありそうな湿っぽい空の下、あたしにゃ、いつもの作文仕事がガッツリ待ってる。それどころか、夜になればなんだ知らんが毎晩パツパツに演奏会が入ってる。これじゃ、ちゃんと座ってセッションを聴いてる時間なんてなあああああい!

結論:やっぱり、コンクールは現地に行かないとちゃんと聴けない!どうしてもちゃんと聴きたいなら、引き籠もりになるしかないっ!

※※※

今、午前11時半過ぎ、やっとユリシーズQのセッションが始まり、ハイドン作品33の1を弾いてます。なるほどなぁ、ライヴ映像で眺める、ってのはこーゆーことなのね、って感想です。どうしても10日くらい前に松本で聴いた「ソロコンクールのファイナリスト級が楽譜とアンサンブルのお勉強のためにやってる弦楽四重奏」と「この道で飯を喰おうと必死になってる若い連中の弦楽四重奏」の違いが最大の興味になってしまうのはしょーがないでしょう。

それにしても、こういう風にして聴くと「この会場だからこうするしかないんだろうなぁ」ってのが全部なくなっちゃうんで、ちょっと判らなくなる部分もありますねぇ。あ、今の弱音、聴こえるかな、とかさ。現場レポーター、ぐぁんばってくださいませぇ!

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象徴は逆にだって使えるのだ [演奏家]

夏の終わり、天樹くらいの高原の街から木曽の谷間にちょっと立ち寄り、小淵沢駅から眺める諏訪湖の方に青春18きっぷ5日目の夕日が暮れて行きました。
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小淵沢始発の各駅停車で甲府盆地を抜け、大月まで。乗り換えて新帝都中央駅まで一気に向かいます。新帝都駅到着は午後10時半過ぎ。まだまだ道中は長い。

昨日、お誕生日のプレゼントみたいに、ペンティングになってた原稿がひとつ、すごおおおく面倒な指示と共に戻され、慌ててやらねばならなくなった。こんなことしてる暇はないんだけど、我ら青春18貧乏人やら山歩き疲れの熟年らが、ロングシートにそれぞれ数人程度が座った閑散とした車内では頭が働く筈もない。ってなわけで、忘れないうちに、昨日の松本での《エウゲニ・オネーギン》(どうしても「ゆーじん・おなーじん」と口に出してしまい、片仮名書きがなんかしっくりこないなぁ)の感想にもならん感想を。っても、ホントに感想にもならない、「なんでやねん……うーん、なあるほどぉ」って間抜けな話なんですけどさ。

昨日で3回の公演が終わった4年ぶりの松本でのフルサイズ・オペラ、当電子壁新聞を立ち読みなさるよーな酔狂な皆々様はよーくご存知のように、オリジナルはメトでえらく昔に出たカーセンの演出でありまする。今回は御大は来てないそうで、「カーセンのオリジナル演出で、カナディアン・オペラ・カンパニーのプロダクションを持ってきてますよ」とのこと。第2回の《火刑台上のジャンヌ・ダルク》以降、ずっと松本のオペラ・プロデューサーをなさっていたM氏が去ってから最初の本格上演ということで、やくぺん先生如きにはどうやって創ってるかとかぜーんぜん判らないんだけど、ともかくちゃんとした舞台にはなっていました。当たり前といえば当たり前ながら、その当たり前が出来ないこともあるわけですからねぇ…

もとい。歌手がどうだ、オケがどうだ、指揮者がどうだ、なーんて話はあっちこっちで出てるでしょうから、そっちをご覧になっていただくとして、やくぺん先生としては「へえええええ、もしかして、カーセン御大って、やっぱりすげーんじゃね?」などと不遜極まりないことを思ってしまったポイントについてのみ。

この舞台、メト上演のオリジナル演出がDVDなりのパッケージで出ていて、非ロシア系の上演映像としては定番になってるらしい。恐らく、生真面目な松本の聴衆の多くは、しっかり予習なさって客席にいらしていたのでありましょう。とはいえ、画面に切り取られた映像パッケージではもしかしたら良く判らなかったかもしれないこと。この作品でいちばん有名な(「ポロネーズ」じゃなくて)「タチアナの手紙の場面」でありまする。昨晩の舞台では、恋に恋するようなうら若い乙女が恥ずかしくも初々しくも恋心を綴る夜の場面で、舞台の下手上の辺りに、上弦の月が光っていたのであります。かなり上の方に、それも、かなり小さく、です。とはいえ、ベッドと机くらいしかない舞台ですので、あの月は(客席から見える聴衆には)極めて印象的だった。で、月が出てるなら、タチアナ嬢が夜なべして恋文をしたため朝になってしまう間に、当然、月も動いていき、沈んで行くにせよ上っていくにせよ、時間の経過があらわされるのだろーなぁ、手紙書いててこんなに時間が経ってしまった、あらあぁ、朝だわぁ、って。

ところが乙女の純真な燃える心を眺め照らすお月様ったら、ずーっと同じ場所に留まり、動こうとしない。んで、朝になり、婆やがやって来て、おやまぁお嬢様、今日はお早いこと…なんて会話をする間に、いつの間にか消えてました。

えっ、なんなん?

休憩の間、どっかにトロントでこの舞台を眺めた人がいないか探したけど、ロビーにうごめくは猛者揃いの顔ぶれとはいえ、トロントのあの劇場でこの作品を眺めてそうな方は流石にめっからなかった。ううううん、まさかと思うけど、オリジナルのカーセン演出では月が動いていったんだけど、諸般の事情でこういうことになってしまったのかしら。誰か、教えてちょ!

さても、そんな細かい部分にひっかかったやくぺん先生なんぞを舞台が構ってくれる筈もなく、このなんとも言えんビミョーな話はどんどん進み。さあやってきた、地味っぽい話の中での最大の見せ場、決闘シーンでありまする。全部が斜幕の向こうで展開されたロシアの田舎の朝の決闘シーン、自分が殺した友人の遺体を抱え上げたオネーギンの後ろに、さっきから頭だけ見えていた巨大な太陽がずんずんと昇ってくるのでありまする!おお、巨大なシルエットとなったかつての友人達、若気の至りとはいえ、なんてこった、なんて運命なのじゃ…

と、人々は涙せねばならんのだろーし、客席のほぼ全ての人がそうやって感動なさっていたのでありましょう。だけど、ああ、だけど、お誕生日プレゼントみたいに眺めているやくぺん先生ったら、頭の中に巨大な「?」マークがぶっ飛びっぱなしだったのでありまする。「なんで死んでくときに太陽が昇ってくるんねん?????」

続く「ポロネーズ」の壮大な響きの中で、いかにも今時風に舞踏シーンはなく、オネーギンが若者から青年へとなっていくお着替えが行われている。まあそれはそれで今時っぽいねぇ、と思いつつぼーっと眺めながら、先程のシーンを反芻するに、ああ、なーるほどねぇ、と思えてきたわけでありました。カーセン御大、とんでもない捻り技を出したんじゃないかな。

現代の映像表現の文法をご存知の方は、もうお判りでありましょう。そもそも「月」は「死」の象徴であります。そー、「綾波レイはなんでいつもでっかい月を背負って登場するのか?」ってやつですな。タチアナの手紙の場面は、わしら凡人が常識的に考えれば「燃え立つ青春の真っ盛り」、正に未来に向けての「生」のエネルギーが、このお嬢さんなりに無茶苦茶に爆発している場面であります。そこに敢えて、「死」の象徴である月をぶつけて、それどころかそこで動いている筈の時間まで止めてしまう。その一方で、正に「死」が舞台化されている決闘で親友を殺すシーンで、地平線の彼方からまるで青春の力が爆発するようなでっかい朝の太陽が昇ってくるのでありまする!

乙女の若く秘めたる情熱を冷たい「死」の象徴がひたすら静かに眺め、若者達が無益でバカな殺し合いをした直後に「生」の象徴たる灼熱の太陽が上り殺戮現場を燦然と照らしていく。

これって、完全に映像表現の基本文法を逆に用いているとしか思いようがないじゃん。いやぁ、カーセン御大、やってくれるなぁ。

象徴表現の文法は、意図的に逆にして使われるともの凄い違和感を生み出します。その違和感こそが、この《エウゲニ・オネーギン》という些か特殊な作品の本質なんだぞ、っとカーセン先生が仰ってるような。

こうなると、最後の最後は傷痍軍人の旦那がオネーギンとタチアナの密会現場を目撃し全員射殺し自分は自殺、くらいのことだってしかねないぞー…なーんてワクワクしながら眺めていたけど、結末は真っ当な、オネーギンもーだめぽ、ってもんでありましたとさ。

お誕生日に夏の暑さですっかり糠味噌になってしまって、もう動かないんじゃないかと自分ながらに心配だった頭をガツンとぶん殴ってくれた皆々様に、ありがとうございました、と頭を下げて、感想におなってない感想、オシマイ。新帝都はまだまだ彼方、もうひとやま越えた向こう。

[追記]

深夜前に佃縦長屋に戻ったら、かつて「トロントの怪人」と呼ばれた(呼ばれている?)トロント国際交流基金のAさんから、「バイロイトでヴァーグナー三昧してるぞぉ、うらやましーだろー」という絵葉書が来ている。今時、メール連絡もFacebookもやってない方なんで、どうやって連絡とればいいのか判らんのだけど、そうだ、Aさんなら絶対にトロントのあのアーツセンターで《オネーギン》観てる筈だぞ。ってか、観てない筈がない。月のこと、尋ねられる信頼出来る方がいたではないかっ。お互い、爺になったけどなぁ。

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浅間温泉の宿にて [たびの空]

おはようございます。松本郊外、浅間温泉の宿の朝です。

ええ、驚くなかれ還暦越えた爺さん初心者も、本日を以てまた一年を死なずに生き延び、危険思想で逮捕されることもなく、六本木で兵隊に不審尋問され銃撃されることもなく、乗ってた飛行機が落ちることもなく、深夜バスがバスジャックされることもなく、なんとか無事に日々を過ごしてくることが出来ました。これもすべて、愛するお嫁ちゃま、義母様、弟君、ふたつのブンチョウたち以下佃縦長屋の皆様、そして世間の皆々様の有り難いお目こぼし故でありまする。ありがとうございました。

昨晩からのこの宿、もうダメじゃないか、と思われそうな古い温泉街の奥の小さな10部屋もあるかないかの旅館で、温泉も今時のもんではなくなみなみとお湯があるだけ。朝ご飯は、「the うちの朝ご飯」みたいな極めて普通の、でもどれもちゃんとした
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そう、まるでベートーヴェンの作品18の6みたいな…って比喩が誰にわかろーかっ。

目の前には松本の街と北アルプスのいちばん南端が眺められ、松本空港に向けてちっちゃなジェットがたまに降りて行く。上空は燕さんの天下で、とはいえここから東はもう美ヶ原とか草津に向かう山並とかが始まるので、明らかに高い所で俺がいるぞと縄張りを主張する小さな飛ぶ方々の声も遠くに聞こえている。昨日までは2日間、大雨もあったそうで空気は湿っているけど、今朝はスッキリと晴れ上がり…

昨晩の松本のオーケストラ、いろいろ思うところがありました。なんせ、この温泉街に泊まったのは、思えばジェシー・ノーマンが部屋に入れずホテルを改装したという伝説が残る第1回の《オイディプス王》に来たとき以来じゃあないかい。この音楽祭、業界からは「またなんだかわけのわからんことを始めて…」みたいな目で見られていた初回がビックリするような成功で終わり、さてどうするんじゃろか、と人々が思っていた数回目から何回か、大学の同級生で目白に厄偏庵があった頃には会社兼自宅がお近くだったO氏がオーケストラマネージャーをやってて、引っ越し手伝って貰ったよしみ、当日プログラムに書いたり、チラシになんか書いたりしていた。あれよあれよとメイジャーになっていき、もうやくぺん先生のようなへっぽこ三文売文業者には関われないようなところになってからは、まあ、たまに観とかないといかんオペラなんぞに通うことがあるくらい。室内楽勉強会が始まってからまた来るようになった。今年は…何年ぶりかなぁ、《ベアトリーチェとベネディクトゥス》の指揮者交代騒動が原稿のメインになってしまった年以来でんな。だって、現役時代なら今はバンフにル筈だもんねん。

サイトウキネン管も、ザツルとかカーネギーで眺めたことはいろいろ記憶にあるが、本拠地ではいつ以来かしら。パーソネルマネージャーは相変わらずS女史のようで、基本的な顔ぶれは変わっていないけど、こういうフェスティバルオーケストラってのは指揮者と一緒に歳を取っていってオシマイになってしまうものだと思ってたら、なんとそうでもなく、今やコンマスのT氏やらY氏は中堅所か長老。ヴィオラのT氏やチェロのK氏、H氏なんぞに至っては最長老になってる。首席やってるのが、チェロはこの前カナフィル辞めたY氏だったり、ヴィオラがサンガ・サラスバティQなんて言っても本人だって忘れてそうなシカゴからロンドンに行ったレディだったり。うしろの方にはシモン・ゴールドベルク音楽祭セミナーでニックにガンガン言われてたお嬢さんがボンのオケを経由して大人オケのメンバーとして座ってたり、我らがエクのN様がすっかり中堅を固めてたり。だけど、今日のオペラには、やくぺん先生が「オペラを制作するとはどういうことか」を学ばせていただいたM氏はもう関わってないそうなんだよねぇ…

ひとりひとりの年の重ね方をぼーっと思って行くと、ルイージ御大が弄り倒したまらいちはどんどん進み、ホルンばかりかトロンボーンとラッパまで起立するフィナーレへと雪崩れ込み、大拍手!

そう、みんな歳を取っていく。それはそれで良い。いろんなことが起きた、とっても大事なものがなくなったり、スゴく嬉しいものが出て来たり、ま、ともかく、なんのかんので1年間、みんな生きていて、ここにいられて、良かったねぇ。

さても、撤収しましょうか、と宿の小さな机のお宿説明書きを眺めると、おや、隅っこにこんなことが書いてある。
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ごく当たり前の古い温泉宿にしか見えないこのお宿、周囲には廃墟モダン温泉ホテルも並ぶ中で、おばちゃんひとりでやってるのは、それなりに訳があるんだろうなぁ。

そう、生きているものには、それなりに訳がある。それがどんなに嫌なことでも、やな奴でも、はたまたいるだけで嬉しくなってくるくらい愛しいものでも、みんな、そこにいるには訳がある。

だから…「微笑みをもって 人生に対す。」文豪堀田には張り合えない小心者やくぺん先生は、「苦笑をもって 人生に対す。」のであーる。

皆々様、この一年、ありがとうございました。まだもうちょっとは生きていくつもりなんで、場所、貸してくださいませ。宜しく御願いします。

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秋吉台閉館か? [音楽業界]

松本の奥座敷浅間温泉、今晩のこの街では貴重な素泊まり(朝ご飯付けちゃったけど)4桁の古い旅館におりまする。スゴく熱いお湯です。オバチャンは今日は変な天気と仰るが、湿っぽいけどすっかり秋の空気。

マリオならぬルイージ御大の棒の下、真面目な職人集団サイトウキネンがすっかりやんちゃ坊主になっちゃった一期一会のまらいちに熱狂する人々をかきわけ、本日ここまで来た理由のある演奏家さんにちょっとライブで挨拶するというご家庭内的な御用事を終えて、小雨ぱらつく中を歩いて戻って来ました。ったら、なかなかビックリするようなニュースが踊っている。こちら。
https://www.yomiuri.co.jp/local/yamaguchi/news/20190822-OYTNT50048/?fbclid=IwAR02-BcjCGzKkuAg2jO4O7yIJgIXwaMgMKhw7Pr-VLadr3N7oiwWZlR8VtA
この新帝誕生連休に利用させていただいた秋吉台国際芸術村が、どうやら廃館になりそうだ、とのこと。

うううん…なんというか、正直なところ、あああ来たか、という感じでありまする。アベ総理の地元(ではなく、選挙区は隣だけど)だし、あれだけいろいろ公共事業に資金が投じられている県だからなんとかなるのかなぁ、とか気楽に思ってもいたけど、そういうわけにもいかないんですなぁ。

ええ、この讀賣さんの記事では「利用低迷」と身も蓋もない見出しになってますけど、やくぺん先生が現地のスタッフから耳にしたのは、ちょっと違う、ある意味、もっと深刻な問題でありました。この記事で触れていないのは何か意味があるのかもしれないし、もしかしたらある方への「忖度」があるのかもしれないけど、別にこれは隠すようなことではない事実なんだから記しても良いと思うので、記します。無論、「書いてあることはみんな嘘、信じるなぁ」をモットーとする当私設電子壁新聞ですから、まるで公式な事実みたいに引用したりしないよーに。

ええ、この施設、ゲンダイオンガク業界の方はよーくご存知のように、ノーノの《プロメテオ》を作曲者の指示通りに演奏することを目的とした極めて特殊なステージと客席配置のホールを中心に、練習室やスタジオが配された音楽棟(讀賣さんの写真の建物です)と、その手間のレストランなども備わった住居棟から成っています。つまり、アーティストが滞在しながら、いつでもデッカい音で練習したり作品を創ったり出来るようになっている。経緯をご存知の方はご存知のように、最初はゲンダイオンガク中心だったわけですが、今はスポーツ団体の合宿なんぞにも使われてるそうです。食事は正直、腹を減らせた高校生が合宿に使うには立派すぎるくらいのクオリティのものが提供されます。

ただ、現場スタッフに拠れば、ひとつ大きな悩みがあるとのこと。それ即ち、宿泊施設の老朽化。具体的に言えば、空調施設関連。宿泊棟のいくつかの部屋のエアコンがダメになっているそうな。

なにせ山口県の真ん中、松本みたいにまあ気候温暖爽やかな場所、というわけではありません。夏は暑く、冬は寒い。エアコンがアウトな部屋は、実質、使えない。かくて、宿泊棟のかなりの部屋が使用不可能になっているとのこと。

そんなの直せばいいじゃんかぁ、と思うでしょ。その通り。だけどね、それがそうもいかない。なにせこの宿泊施設、音楽棟と住居棟の全体が緑の谷間に存在する巨大なアートみたいな作りになっています。これが南側、施設入り口の辺りから眺めた住居棟。
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入口のところから眺めると、こんなん。やくぺん先生が数日滞在した部屋は一番手前でした。
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んで、奥の音楽棟から住居棟を眺めると、こんなん。
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問題は、この写真の右手の部分にあるそうな。

この施設、建築物の自然との調和を大事にするために、無骨な空調施設は住居棟の横の山の中に埋め込まれているのだそうです。んで、空調がダメになってる部屋の修理をするためには、山を掘り返さなければならない。莫大な費用がかかる。

なんだか、言っちゃいけないことを書いちゃったようにも思えてきたなぁ。でも、まあ、そういうことらしいのです。

施設のメンテナンスにもの凄くお金がかかる、さらに施設としてフル活用できるように整備する経費やらランニングコストと、入ってくるお金とを天秤にかけるとぉ…ということ。今、政治家さんだか行政の現場だかが、なんらかの判断をせねばならないタイミングになったのでありましょう。

などと記していたら、もうひとつ、ニュースが飛び込んできた。
https://www.jti.co.jp/knowledge/arthall/pdf/Release190823.pdf
なな、なんと、マッカーサー道路入りっ端のJTアートホールが貸し出しを停止する、とのこと。うううん…小ホール大盛況の今日この頃、勝ち組と思ってたんだが…

80年代終わりから90年代始め、バブル全盛期に生まれたホールがあちこちで寿命を迎えている、ということなんだろーか。先週訪れた松本ハーモニーホールも、よく見ると内装がかなりくたびれて来てたしなぁ。うううん…

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「耳で聴かない音楽会」を聴きにいく [音楽業界]

昨年から日本フィルがやってる「耳で聴かない音楽会」という企画があります。なにやらあちこちで褒められているようなんだけど、案内やらチラシやらを眺めてもどんなものなのかよく判らぬ、ってか、全然判らん。
https://www.japanphil.or.jp/orchestra/news/23774
とはいえ、その題名やら褒められ方からして、恐らくは今時のテクノロジーを総動員して聴覚障害などがある方や「聴く」という作業そのものにハンディキャップのある方をターゲットとしたもんだろうから、おいそれとお邪魔するわけにもいかんよなぁ、と思ってた。で、記者会見みたいなものくらい眺めさせていただいてもバチがあたりはすまいが、本番眺めずに記者会見だけ行くのもなぁ…とぼーっとしてる間に時は経ち、あらまあ、もう明日は本番じゃないの。慌てて公報さんに連絡を取ったら、じゃあともかくご覧になって下さいとのこと。

てなわけで昨晩は、病院アウトリーチをそーっと見物するような気分で突拍子もない土砂降りの中を初台まで向かった次第でありました。

おそるおそるロビーに入ると、なにやらイベントが開催されているぞ。ヴァイオリンの楽器体験、ここに並びなさい、と書いてある。なーるほど、ミドリさんがアジア各地でやってるようなヴァイオリンを弾いてそのボディに手を当てさせて目の見えない人に振動を感じさせる、なんてことをやってるのかぁ、と勝手に納得して眺めていたら、なんかちょっと違うぞ。で、日本フィルの担当者の方に尋ねると、「そういう要請があればOKですが、基本は地方公演でやっている楽器体験コーナーです。普段は子どもさんが対象なんですが、やってみたいのは親御さんみたいなところもあるので、本日は年齢制限をしてません」とのこと。なーるほどねぇ。ちなみに日本フィルさんは団としてアウトリーチでの楽器体験のために用いる楽器を所有しており、本日もそれを用いているそーな。ま、それなら「触りたい」という人がいても大丈夫、ってわけでんな。

反対側にも人の列が出来てる。覗き込んでみると、こちらは正にこのコンサートのひとつの主眼であるところのモダン・テクノロジーのようじゃ。抱っこして音楽を視覚と振動で感じるボールみたいなものと、髪の毛に射して振動や光を感じるマシンの体験コーナーでありました。これが客席に全部備えられていて…というわけではないようです。他にも、最近はでっかいシネコンなどには備えられてるシートに振動する装置が付いていて…ってもんとかもあったみたい。

もうひとつ興味深いのは、当日プログラムを開いたところに「コンサートが始まる前に!タイプライターアプリをダウンロード!」とQRコードが印刷されてます。アプリを増やすのは嫌だけど、これはなんか演奏会で使うなんだろーなー、しょーがないなぁ、と慌ててダウンロードしようとするけど、なんせそもそもコンサートホールという場所は電波を遮断するようになっているわけで(とりわけニッポンの場合は)、たくさんの人がいっぺんにこんなもんをダウンロードすることは想定していないのでしょう。電波大混雑でいくら待っても下りてきません。ま、しょーがなあぁ、と客席に着くしかないのでありました。

斯くて「耳で聴かない演奏会」は、その題名が示すが如く、天下の名曲《4分33秒》第2楽章で賑々しく幕開けした次第であります。これが終演後に出されていた演目。当日の刷り物にはパッヘルベルとサン=サーンスしか記されてません。
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冒頭のケージですけど、オケの皆さんは一所懸命演奏しているけど音だけは出さない、というエアオケをやって下さって、始まった途端に「あー、ケージかぁ、全曲やるのかなぁ、どっかの楽章だけかな?」と思ったすれっからしは客席に少なくなかったでありましょうぞ。で、続いてちゃんと音を出して《剣の舞》をやってくれる、という「耳で聴く演奏会」になったわけでありました。

結論から言えば、このコンサート、聴覚障害者の方向けの特別な演奏会というようなものではありませんでした。要は、「日本フィルが各地でやっている(でも、案外、首都圏のメインホールで夜の演奏会で示すことはないような)ファミリーコンサートのノウハウを用いた体験型コンサートに、今時のヴィジュアル系メディアアーティストのゴージャスな映像が絡む」というもの。パイプオルガンの下に細長いスクリーンが設えられ、平土間のいちばん後ろにシュトックハウゼンでも始まるかという勢いでエンジニアさんたちがパソコンやらコントローラー開いて座り、って状況。で、「耳で聴かない」とは、「みんなでいろいろやってみましょう」という意味。正確に言えば「耳で聴くだけではない演奏会」でありましょうな。

なにしろ、楽しいファミリーコンサート定番のルロイ・アンダーソン《タイプライター》は、いつものように打楽器奏者さんが独奏者になるだけじゃなくて、客席にスマホ出すように司会者さん(手話通訳さん付き)が呼びかけ、事前にダウンロードしたタイプライターの音が出るアプリをみんなで起ち上げ、さあそれでじゃんじゃん一緒に叩きましょう、ってさ!あたしゃその時点でもダウンロード出来てなかったんで、ぼーっと眺めているだけでありましたけど。いやはや。

このコンサート、実はいちばんすげえええええと思わされたのは、独奏タイプライター奏者として舞台に上がったメディアアーティストでこのコンサートの仕掛け人みたいな位置付けの落合陽一という方(わしら爺初心者には、あのCIAやモサドの内部事情を全て知ってる世界的ジャーナリスト落合某氏の息子さん、と思え
てしまうのだけど)が、客席に向かって「どんどん写真撮って良いですよ」と仰ったこと。ほれ、こんなん。
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ステージ上にカメラさんが入り、タイプライター叩くところを後ろに大きく映し出したりしてさ。無論、日本フィル打楽器奏者さんを独奏者に本番演奏がされた後には、はい撮影ストップ、という命令が出されましたけど。いやぁ、この日、最も「未来」っぽかったのはこのインスタ向け大サービスの瞬間だったなぁ。

で、その後は、当日プログラムと一緒に配られたサンドペーパーをみんなでジャリジャリ言わせる《サンドペーパー・バレエ》でまた聴衆参加。休憩中には本日大活躍の打楽器陣がロビーに出て来て、クラッピングのサプライズ演奏で聴衆を巻き込む(うううん、ホントに地方ファミリーコンサートのノリだなぁ)。てな調子の聴衆参加型はここまで。後半はCG作家さんが作った映像を流しながらの《動物の謝肉祭》全曲でありましたとさ。

さても、この演奏会、正直、これだけいろんな人やチームが参加してくるイベント系の演奏会だと、いろんな事故は起きるもんですねぇ、と思わされること多々だったわけでありますが、とにもかくにも今時の30代前半、それこそ生まれたら直ぐにケージなんて死んじゃってるし、って世代の方々が「オーケストラ」を相手に何かしようとするとどういうことをしたいと思うのかはよーく判った演奏会でありました。ちなみに客席は、普段に日本フィル定期演奏会でインキネンのシベリウスに心奪われたり、ラザレフ御大のショスタコに熱狂すしているようなお馴染みの顔ぶれは(関係者以外)ほぼ皆無。それはそれでよろしかったのでありましょう。

所謂「クラシック音楽のコンサート」の枠組を実は全然壊すことはなく、今風のテクノロジーを動員してポップスなどの「コンサート」では当然のこととなっている「聴衆の身体性」を少しでも探求してみましょう、ということなのであろーなー、などと夏の暑さですっかり糠味噌になってる前頭葉で考えたりするわけだが…だからなんだ、とトラッドなファンの皆さんに突っ込まれても、そういうもんです、としか言いようがないです。はい。

音楽的に興味深かったのは、パッヘルベル《カノン》の弦楽合奏版がヴィオラパート抜きで演奏されたこと。それから、《動物の謝肉祭》の「白鳥」は独奏チェロと2台ピアノで演奏されたのでありますが、オリジナルで演奏すると、高橋たかこさんが弾いた方のパートってなんか滅茶苦茶勿体ない楽器とピアニストの使い方してるんだなぁ、作曲家はなんかピアニストに悪意でおあったんかい、と思っちゃったとこ。

とにもかくにも、テクノロジーをきっちり使いこなすのはホントに大変なのである、とあらためて当たり前のことをつくづく思わされたものでありましたとさ。願わくば、このいろいろな仕掛け、日本フィルが地方公演やアウトリーチでも使える簡易版というか、テクノロジー簡素化ポータブル版みたいなものが作れて、1回やってみました、ってんじゃなくて、ちゃんとオケの財産となってあちこち持って歩けると良いんですけど。そういうわけにもいかないんでしょうかね。

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せーしゅんじゅーはちらー新帝都に戻る! [たびの空]

往路を記した以上、復路も書かぬ訳にはいくまいて。無論、復路が始まる前のお仕事本番関係は、巨匠の松本での最後になるかもしれない指揮姿目撃譚、記者団入り乱れる取材騒動を含め、某月刊音楽雑誌(って、日本語では既に最後の一誌のひとつだからバレバレだけどさ)に掲載予定なので、一切記せません。ゴメンです。

語れと言えば延々数十枚でも語れそうな7分間の演奏が終わり、涙が出そうにあたたかい聴衆がご老体を慮りたった2度の呼び出しで解散、熱狂というには余りにしっとりしすぎた不思議な空気が漂う松本ハーモニーホールを後に、若い頃にはお嫁ちゃんの同僚だった現ディレクターへの挨拶も出来ず島内駅に向かう人の流れに紛れていると、目の前を元讀賣新聞文化欄記者S氏が、いつものようなきっちり夏のジャケット姿で歩いていらっしゃる(業界専門誌関係者は、小生とSさんしか会場にはいませんでした)。小澤氏と一緒に歳を取ってきた長老先輩、楽屋にはいらっしゃらないんですか、と声をかけると、「いやぁ、今日は僕なんかには会ってくれる状態じゃないでしょ」なんて仰ってる。いやいや、今日、ご挨拶しておかないと、先生、絶対に後で後悔しますよ、と背中を押すと、そうかなぁ、なんて仰って、踏切越えて楽屋へと引き返していらっしゃいました。ま、次の大糸線でも最終あずさには間に合うから、千葉のお宅まで無事に戻れるでしょ。

そう、やくぺん先生なんぞの親爺の世代が、北アルプスの夕暮れのように美しく暮れていくのを、ニコニコ笑って眺めるべきなのであろー、わしら爺初心者共は。

※※※

さあ、お仕事終わった終わった、で、湾岸は佃縦長屋まで戻りましょ。まずは6時50分無人駅の島内発、大糸線たった二駅で松本まで至ります。この音楽祭が始まった頃はそんな感じでもなかったけど、21世紀も10年代が終わろうとする松本は、今や車がないと生きていけない社会。この駅が人で溢れ、2両編成の大糸線がラッシュ状態になるなんて、連休最終日の今日午後の上りくらいしかないんじゃないかね。
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長距離各駅停車の最大の敵は水物でありまする。昨今はどっかの車両にトイレがあるとはいえ、一度座ったら動かない方が安全に決まってる。かくて、松本ハーモニーホールのカフェでチキンカレーセット&ホットコーヒーで座り込んで以来、演奏会時間から佃帰着まで飲まず食わずが原則でありまする。松本駅ではいくらなんでも手ぶらでは戻れないマスオさん、ほぼ空っぽの売店で最後の1個になった野沢菜漬けを買い込み、保冷シートに入れていただきます。お客さん、まだ急がなくてもまだ大丈夫ですから、と7時25分だかくらいのあずさに乗ると思われるのを訂正もせず、7時35分発甲府行き3両の各駅停車が入ってくる1番線ホームへと向かうのであった。
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あとは特に記すこともなし。なんせ車窓はずーっと夜なので、撮影するべき絶景もなし。斯くて、以下は取材メモをパソコンに入れる作業すらせず、ひたすら紙の本を読みながら戻るつれづれ、Facebookに書き込んだ観察メモのコピペでありまするぅ。

向かいのホームのあずさは、意外にもガラガラ。Sさんには、まさか普通乗り継ぎで帰りますとは言えなかった小心者…あ、走り始めたあずさ車内、普通車はそこそこ人がおりました。あずさが出て行くと、急に雨が落ち始めた。

さて、各駅停車がやってきたぞ。始発じゃあないんだなぁ。ロングシートが丁度全部埋まって、立ってるのはお友達と一緒にいたいチューボーくらいのこの時間の上り各駅停車、車内を埋めるのは車を運転できないティーンエイジャーと、明らかにせーしゅんじゅーはちらー、あとは近場の熟年くらい。この子達も18歳になったらアルバイトして足りない分は親に出してもらい、50万円くらいの中古軽を買うんだろーなぁ。斯くてトヨタ以下自動車会社は栄え、文化にもジャンジャンお金を下さるのであろー。

岡谷駅ですれ違い列車が遅れ、延々と停車します。甲府での乗り換えが3分で、乗り継げないと東京まで辿りつけないんだわなぁ。上諏訪駅でも2分遅れを維持。この単線区間、もうどうする気も無いのであろーなー、我らがJR東日本さんは。あ、島内からずーっと一緒だった熟年ご夫婦が降りていきます。すっかり若者&バックパッカー専用列車になりました。

風光明媚な筈の八ヶ岳と日本アルプス、遙かに霊峰富士を見渡す辺りを真っ暗闇で走破、小淵沢に到着。「本日最後の新宿行き特急、本日最後の小海線に乗り換え」とアナウンスしてます。殆ど乗ってくる客はないままに動き出し、日野春駅であずさに抜かれる為に8分停車。なるほど、ここで数分の遅れは取り返せるのかぁ。車内、誰も動かず、人々は黙々と携帯に眺め入ってる。「マッタリ」という副詞はこういう状態です、と辞書編纂者さんに写真を見せて教えてあげたいよーな空気が流れる。
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横を、新宿への最終あずさが追い越していきました。

1時間と58分の乗車時間を以てして、21時33分に無事甲府駅到着。反対ホームの高尾行きに乗り換えます。どうやら身延線か甲府でコンサートがあったみたいで、たくさんのJKやら若い女の子ちゃんたちがもう座ってます。みんな楽しそうだなぁ。この駅、なんで発車チャイムが「木星」トリオ部コラール後半なの?

目の前でJK半ダースがスマホ眺めるかキャッキャするかしてるのをボーッと眺めながら、マッタリ各駅停車は午後10時くらいからいよいよ新帝都に向けた最後の山越え。大月からは女子大生くらいのねーちゃんたちがいっぱい乗ってきて、なんだか付属校付き女子大の放課後状態。四方津駅で、向かいに座って「はしがころがっさも可笑しい」をずーっと繰り広げていたJK六人組の半分が降りていく。ドアオープン・ボタンをポンと押して下車するや、かっこよく慣れた手付きで手を伸ばし自分でクローズ・ボタンを押し、お友達にバィバィ!残りの半分も上野原で下車し、車内は一気に淋しくなる。大月からの年長女子らは、みんなお疲れだし。こうなってくると、車内広告の寂しさがやたらと目に付いてくるぞ。アベノミクス、トリクルダウン、どこに行ったぁ?

11時1分に高尾到着、反対ホームの11時1分発各駅停車東京行きが待ってます。もう大丈夫、とホームで飲み物を買う暇もなく
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アッという間に帝都に向け、最後の各駅停車は出発!立川迄は下りる奴らばかりだったけど、随分と乗ってくるぞ。で、西国分寺、国分寺とドンドン人が下車していく。吉祥寺では若い酔っ払いがいっぱい乗ってくる。多摩県の人の流れは複雑じゃのぉ。それしにても、中央線沿線は諏訪湖からずーっと若者しかいないのか?こんなに車中に年寄りがいないなんて…。高円寺、車内満員也!車内平均年齢20代半ばくらいか。

深夜2分前、新宿でゴッソリと下車。共産党の横あたりで日付けが変わり、不吉な予感しかない世界大運動会メイン会場を眺め、公明党聖地はもうお盆休み明けの月曜。市ヶ谷で有楽町線に乗り換えようかとも思ったが、ここまで頑張ったんだから、終点は新帝都中央駅まで向かおうではないか。かくて、御茶ノ水で少なかった乗客の殆どが下車し、新帝都中央停車場の高いホーム帰着は0時17分。反対ホームでは、「高尾まで行く最終電車です」とアナウンスしてら。
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空気の熱さが息苦しい新帝都。八重洲口にたむろするのは、これからまだ宿へ向かおうかというインバウンドさんと、深夜発のバスを待つ若者ばかり。割増と赤く光るタクシーが次々と擦り寄ってくるけど、ここでそんなもんに乗ったら元も子もないじゃあないかい。誘惑に負けず、完成した新ブリジストン美術館前をまあああっ直ぐ歩く。コンビニのカウンターにボーッと立ってる黒いおにーちゃん、とっても暇そうじゃのぉ。君の国より暑いじゃろ、我が新帝都は。

斯くて午前1時前、大川端を渡るは、生暖かくもほんのちょっとだけ秋を感じさせる北からの風。天樹は既に光を落とし久しい頃、やうよう縦長屋に帰宅。松本から各駅停車乗り継ぎは甲府高尾共に待ち時間ほぼ皆無で、総計乗車時間5時間弱。ま、成田からハノイくらいと考えれば、そんなもんかいな。お値段は、普通料金にして正価4000円也でありまするぅ。ちなみに青春18きっぷは、本日分2370円、だっけか。
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Long Way Home!

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安曇野の 風をまといし 秋いずこ

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せーしゅんじゅーはちらー松本へ! [たびの空]

もの凄く久しぶりに、松本ハーモニーホールの喫茶に座ってます。目の前では2時から受付のテレビなど報道チームなんぞ、いかにもそれっぽい連中がグチャグチャと集まり始めてます。

どうも世の中、このままでは「21世紀の近衛総理」っぽい空気マンマになりかねぬ横須賀選出若手三世衆議院議員の結婚電波ジャック騒動を筆頭に、考えただけで力が抜けるようなアホで馬鹿馬鹿しい話ばかりで、当電子壁新聞も開ける気にならない灼熱の日々が続いたこのところ、流石に「生きてますよ」という残暑見舞いくらいはせねば、と、取材受付が始まるまでの時間にパソコンを開いている次第。ふううう…松本盆地、風は吹くもちっとも涼しくありませぬ。いやはや。

本日は某音楽祭初日の歌曲セミナー発表会と総監督記者会見という「お仕事」、明日は一応本職ってか、まあ眺めればそれなりのことはそれなりには判る室内楽勉強会の発表会で、今晩は安曇野で1泊でありまする。この取材、あまり大きい声では言えないけど取材費は「あずさ」に乗って新帝都から往復する程も出ず、娯楽で行くならばどんな風に金を使おうが構わぬが、商売である以上は赤字にするわけにいかぬ。となると、もう方法はひとつしかない、そー、世に有名な季節限定貧乏人御用達チケット、「青春18きっぷ」しかないのでありまする。新宿からのバスよりも安いんですからねぇ、なにしろ。

てなわけで、朝の7時過ぎに佃縦長屋を出て、まずは都バスで東京駅へ向かいまする。んで、おもむろに既に1日使用済みの「青春18きっぷ」を出し、自動改札マシンの隅にある有人コーナーに向かい、ジャパンパスのインバウンドさんやらの後ろに並んで、ぺったんと本日のスタンプを押していただくのでありました。どうせ土曜日の朝、混むはずもなかろうと、東京駅のながぁい中央線ホームに向かうのが嫌なんでさっさと山手線で一駅、神田駅まで参ります。さあ、いよいよ中央線各駅停車の旅でありまする。
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神田駅というのは案外と使いそうで使わない駅で、このホームもホントに久しぶりだなぁ、と東京駅から降りてくる特快高尾行きを待つ。んで、やってきた特快は、案の定、ってか、有り難いことにってか、さほど混んでおりませぬ。殆どが近場散策の熟年ハイカーさんばかり。えんえん1時間弱、本日はパソコン電源温存のために紙の読書に徹し、懐かしの多摩県の夏空も週末で静かな下、ミサゴも帳蜂も飛ばぬ平和な空の下、中央線は新帝都を抜け多摩県に突入。1時間弱で高尾駅に無事到着。

だだだああだ、と跨線橋を越える我ら、なんとなく八割が「せーしゅんじゅーはちらー」みたいな空気を醸し出している。やってきた8時45分発小淵沢行き各駅停車に乗り込み
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中央高速に並走しつつ、小淵沢までは行かずに10時22分に灼熱の甲府に到着。途中下車致します。

昨今の立派なマシン改札は、青春18きっぷにはちょっとした鬼門。ひとつしかない有人改札に並び、切符を駅員さんにちゃんと提示しないといけません。昨今のインバウンド人気で大量に発行されているジャパンパス、そしてこの時期に溢れる我らせーしゅんじゅーはちらーが有人改札に行列になり、外国語で面倒なやり取りをやってるので、気の短い人は切れそうになったり(短気な方はせーしゅんじゅーはちらーにはなってはなりませぬっ!)。ともかく、突破して駅ビルに入り、最も貧乏人向けの朝飯を調達し、直ぐにホームにとって返すと、直ぐに甲府発松本行きが入線してくる。この駅の3番ホームに下りが入るのは珍しいのかな。
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やってきたのはなんと3両編成。わらわららぁ、と人々がホーム後方に走り始める。乗ってみればまあ、そこそこみんな座れるくらいなんだけど、3分の連絡時間しかない次の高尾からの各駅停車からせーしゅんじゅーはちらーが雪崩れ込めば、もう車内はギュウ詰めでありまする。ふうううっふっふ、この切符が誕生した頃から使い続けている貧乏の先輩達は、Googleマップさんが教えるような接続はやっちゃいかんとよーく心得ておるのじゃ、若い者達よっ!

かくて10時58分発松本行きは風光明媚な甲斐路を淡々と下り、小淵沢をもって観光気分は払拭。後は誰が乗っているのかよーわからんが、諏訪方面に向かう中学生とか、おっさんおばちゃん、それに我らがびんぼーなせーしゅんじゅーはちらー&何故かそれなりにいる外国人観光客の皆さんを乗せて、ひたすら松本盆地へと向かうのであった。塩尻での待ち合わせでちょっと遅れ、12時52分の定刻から5分程押し、全然涼しくない松本駅に到着した次第。

あとは大糸線で島内に至り…って、この駅で目の前のホールに行く目的で降りた客は、やくぺん先生以外にひとりもおらんじゃあないのぉ。烏が水浴びしてるのを微笑ましく眺めつつホールの前まで来ると午後2時前。中ではスタッフが本日のブリーフィングを始めていて、おお、懐かしいカメラマンさんの顔も。
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あ、これで写真は大丈夫、シロートがカメラ振り回す必要ないから、記者会見のカメラ場所取り抽選にも参加する必要はないわいな、って安心したら、すっかり力が抜けてしまったのでありましたとさ。

さて、そろそろホールに入れそうだ。お仕事モードに切り替えねば。

※※※

かくて本日の歌曲発表会も無事に終了。小澤監督の2年ぶりの松本入りにメディア22社がグチャグチャに押し込まれるも奇妙に秩序だった記者会見(もうワシらと一緒にやってきた世代の大手文化欄記者連中なんぞ、みんな隠居しておるわい、婆さんや)も無事に終了し、安曇野の宿に辿り着きました。明日のスイス室内楽セミナー発表会、やっぱりトンでもない奴が来てますが…それはまた明日にでも。では、一日の終わり
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遠き山に日は落ちてぇ…

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カナフィルの指定管理を見に行く [指定管理者制度]

今、世間はお盆休みの真っ最中のなにやらいう国民の祝日、神奈川県横浜市は港から二山越えた保土ケ谷の丘の上、保土谷公園の真ん中にある「かながわアートホール」のオープンハウスに来ております。
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周囲ではハマのおこちゃまたちが走りまわり、2階楽器体験コーナーに向かう通路ベンチに座って見下ろす眼下ホールロビーでは、似顔絵やら風船アートやら、はたまたギター弾き語りの準備などが進んでおり、ホール内部では南京玉簾がパーフォーマンス真っ最中。この後、神奈フィル木管五重奏が「美空ひばりメドレー」なんかやりまする。
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うううん、全て世は事も無し、としか言いようがない世界でありますな。

この「かながわアートホール」、日本世界津々浦々のホールに出没する音楽愛好家の皆々様におかれましてもあまりご存じないかもしれませぬがぁ…それもそのはず、横浜駅西口からバスで延々20分程の公園の中にある、いちばん大きなオーディトリアムでも300人程の小規模な施設。実際のところ、有料無料の公開コンサートに使われることは殆どありません。ぶっちゃけ、運動場なんかと一緒に公共施が建てた音楽練習場、みたいなもんですわ。

とはいえひとつ興味深いことがあって、なんとなんと、ホールと練習室、会議室などを収めたこの公共文化施設の指定管理をしているのが神奈川フィルなのであります。日本で初めて「プロのオーケストラが公共ホールの指定管理者となった」という場所、指定管理者業界(なんてあるのか?)ではそれなりに有名なところなのであります。既に一期目は終えて、この初夏には無事に指定管理も二期目に入り、順風満帆みたいでんなぁ。その辺り、細かい資料をご覧になりたいなら、こちらをどうぞ。一期目はライバルがあったようですが二期目の指定管理、対立候補は出なかったみたい。なんせオケですから公共施設の管理運営の人材が全部いる筈もなく、無論、共同事業体で、一緒に組んでるのは横浜アーチストトという施設管理もやってる広告代理店さんでんな。
http://www.pref.kanagawa.jp/docs/yi4/cnt/f520017/index.html
http://www.pref.kanagawa.jp/docs/hy8/prs/r7537518.html
指定管理者決定の評価書みたいなものもどっかにあった筈だけど、今、めっからないなぁ。ま、関心のある方は探してみて下さいな。

この神奈川フィルの指定管理について、殆ど話題にならないのはどうしてなのか、ま、問題は起きない方が良いに決まってるけどだからって知らんぷりしてるわけにもいかぬ。てなわけで、年に一度、ホールに皆さんどんどんいらっしゃい、というイベントがあるのだから見物位してくるか、ということでここに来ている次第。

ホールは、実質的には様々な運動施設が並んでいる横浜を取り巻く丘の上の公園というよりも総合運動施設の中の管理棟みたいな感じ。内部は、300席のメインホールがあり、二階には音楽練習室が2つと室内楽の練習くらいは出来る集会室みたいなものがある。ま、横浜だから小さなホールですけど、人口数万くらいの町に公金投入して音楽ホール建てました、なんてときにはよくあるような施設です。立派なもんです。

神奈川フィルは普段からこのメインホールで練習をしており、それが公開されていることもあるとのこと。楽団主幹さんにここでの室内楽公演などは考えないのですか、と尋ねたら、まあ場所が場所ですしなかなか…とのことでありました。

もう面倒なんでいきなり結論を記しちゃえば、神奈川フィルがこの場所を指定管理しているのがそれほど大きく話題にされないのは、ぶっちゃけ、「公演会場ではなく練習場の管理だから」でありましょう。実際、指定管理を取るにあたり、この会場に聴衆を集めて商業的に成り立つ公演を行うことは求められていない。ホールを練習室として使ったり、発表会をしたりする市民や音楽ファン、その関係者は用いるだろうけど、年間に万単位の聴衆が訪れるところではない。要は、「日本センチュリー交響楽団がオーケストラハウスの指定管理をする」みたいなものですわ。←この比喩が判る人が関西圏関係者以外にどれだけいよーか…

なーるほどねぇ、と思えたんで、もうあとは気楽に「夏の楽しいお子様ランド」となってる会場を見物していきましょか。本日はメインホールのステージで神奈川フィルの金管五重奏と木管五重奏がミニコンサートもやってるしさ。っても、演奏の真っ最中も、ホールの客席側後ろ半分ではお祭りの縁日状態なんだけど。さあ、夏らしく、そしてヨコハマらしく、神奈川フィル金管五重奏団が演奏する加山雄三メドレーをお楽しみあれぇ!
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…これって、前に坐ってる2010年代に生まれたお子ちゃま達にとって、新鮮なカッコ良い曲なのかしら。

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エベーヌQベートーヴェン全集早速登場! [弦楽四重奏]

速報です。ともかく、事実関係のみ。

数週間前、TOKYOは溜池で「世界五大陸でベートーヴェンを演奏しまくり、記念年に全部録音で出す」というイベントの一端としてのライヴ録音をしていったエベーヌQ
https://yakupen.blog.so-net.ne.jp/2019-07-17
某関係者の方から早々と第一弾が出るという公式な案内が来ました、との情報をいただきました。もう発表になってるようです。こちら。
https://wmg.jp/quatuorebene/
昨今のベートーヴェン全曲録音ではちょっと珍しいラズモ1番と2番という組み合わせ。これってやっぱり、「各大陸で演奏した演目で1枚づつ録音する」ってことになったようですね。これはこれで、こういうやり方でなければあり得ないカップリングで、興味深いことであります。耳に出来るまで、もうちょっとお待ちあれ。

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