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「音楽教育の新しいステージ」シンポジウム [音楽業界]

昨日、新百合ヶ丘の昭和女子大学コミュニケーションセンター主催で、「音楽教育の新しいステージ―自己啓発とキャリアデザイン」なるシンポジウムが開催されました。
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正直、どんな内容で、何を目的としたシンポジウムなのか皆目分からず、TANTANさんからのリクエストもあって見物に行ったのでありますが、そーですねぇ、この電子壁新聞で内容をお伝えするものなのか、ちょっとギリギリかな、って感じです。

中身がボロボロだったというのじゃなくて、対象と目的ですね。オープンのシンポジウムだし、「アーツ・イン・コミュニティ」プログラム特別企画ということで、「大学と地域」とか、「地域社会と大学という組織がどう関わっていくか」というものだと思ってたんですけど、どうもそうじゃなかった。
結果から言えば、「音大の教育は楽器の弾き方だけ教えていればいいのか」という問題意識を対象としたシンポジウムでありました。ですから、娘さんが音大に行っているような方でもない限り、あまり地域の人には関係ないものでありました。この電子壁新聞の宣伝でどんなもんじゃと思って来た皆様、スイマセンでした。

とはいえ、宣伝した責任もありますので、内容を概観だけしておきます。

まずは基調演説として、地域創造の公共ホール音楽活性化事業の立ち上げから10年間、地方公共ホールでの短期レジデンシィとアウトリーチなどを含めた活動のコーディネーターを行ってきたMプロデューサー(音活からのスピンアウトとしての「アウトリーチ・フォーラム」もやってた方で、NPOトリトン・アーツ・ネットワークのやり方を第一生命さんと一緒に作り、昨年までディレクターとして動かしていた)の概論と現場話がありました。若い音楽家と地域社会の関わり方を本気で考えた日本での先駆的な事例の現場報告ですな。

続いて、昭和音大の「アーツ・イン・コミュニティ」プログラムで、学部1年生の子たちが実際に行った活動の報告。要は、地域創造などが手を付けた「音楽を地域の中に持ち込んでいくノウハウ」を学校が単位をくれる授業として取り込んだ日本では最初の例の実践現場報告です。川崎市の小学校にアウトリーチに行った金管合奏団が、子供らと♪ポーニョ・ポニョ・ポニョ~やってしまうオソロシー映像流れたりして…うううううう。
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で、後半のパネルディスカッションは、実際に学校としてコミュニティとの関わりなどを教育された元学生達の事例が報告されました。なんかいつもこういうことには先端的に手を付けるイーストマン音楽院を出た指揮者シズオ・クワハラ氏による同校の「アーツ・リーダーシップ・プログラム」の話。『ビヨンド・タレント』でお馴染みNECのCCPで様々なアウトリーチなどを行ったフルート奏者の青森名菜さんの話。ギルドホール音楽院で「ミュージック・リーダーシップ」というプログラムを今も習得しているデッタ・ダンフォードさんの話。ま、どれもそれぞれの学校での「アーツ・イン・コミュニティ」プログラムが自分の音楽家としての成長にどれほど意義があったか、という具体例です。それぞれのプログラムの内容は、恐らく、ググれば出てくるでしょうから、ご関心の方はご自分でどうぞ。

というわけで、結論からすれば、「音楽学校の教育はこのままでいいのか、演奏家がコミュニティの中で生きていく方法を学校としても教えねばならぬのではないか、実際にこんなことが世界中で成されているぞ」という事例が示された、それなりにまとまりは良い報告会でありましたとさ。

誰に一番刺激になったかと言えば、そうですねぇ、音楽学校のあり方はこれで良いのかと悩んでいる人、つまり、音大の先生たち、かもね。その意味で、会場に来ていたという文部科学省の方などには、このような取り組みが日本でも成されているという事実が判ったことは意義があったかも。

以上、梅どころか桜が咲いて散っちゃいそうなアホ陽気の中行われたセミナーの、短いご報告でした。

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タンタン

アーツ・イン・コミュニティというキーワードからの連想のみで、余計なリクエストをしてまい、なんだか、ご苦労ばかりお掛けしてすみません。有難うございました。

アートの持つ力を、どのように自分たちの社会に開いていくか(取り入れていくか)という問題意識は、音大などを初めとした教育関係者にも持たれている意識なのだということが分かりました。

そこに、音楽業界が滑り込む隙間があると、グッドだと思います。金銭沙汰にはトンと疎い先生方には、眉顰めな話なのでしょうが、そういう仕事、職業、パブリックな商売ができてくるというのは、いいことだと思うんです。

以上お礼メールです。失敬。


by タンタン (2009-02-16 14:22) 

Yakupen

タンタン様

そーですねぇ、率直な感想を述べれば、「アートの持つ力を社会に開いていく」ことが、学校というそろそろ使用期限切れになりそうな教育機関を生き延びさせるひとつの方策なのである、という風にまで考えている先生がどれだけいるかは、なんとも判りかねます。ただ、基調報告をなさったMさんによれば、彼女としては極めて淡々と喋った内容が、一部の出席者の方々には驚くほどセンセーショナルに受け取られたそうです。

これではまずい、と感じている方もいる、ということでしょう。

by Yakupen (2009-02-17 10:52) 

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