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「聴く」ための特別講座から [弦楽四重奏]

慶応日吉の単位にならない特別講座で、「みんなでトルストイのクロイツェルソナタを読んで、ヤナーチェクの同名の弦楽四重奏曲について理解を深めよう」ということをやってました。講師にクァルテット・エクセルシオを呼び、ヤナーチェクの音楽について演奏者と議論し、必要ならパートパートを実演で聴いてみましょう、ってんだからスゴイ。

どうも音楽に関する特別な授業とかお勉強というと、ワークショップ型の「さあ、やってみましょう」って方向に走る傾向にあるのが世の常。それを悪いとは言わぬが、実は「やってみる」というのと「精密に聴く」ってのはそれほど単純に繋がっているわけでもない。ぶっちゃけていえば、まるで別の作業。なんせプロの演奏家のなかにだって「聴く」って作業が凄くヘタな奴はいて、極端な話、「周囲のやってることは聴かずに徹底して自分のやりたいことだけをやるけど、滅茶苦茶達者なんで、こいつだけは特別にそれも許してやるか」というタイプでもの凄くレベルの高い奴がソリストという極めて特殊な職業を仕方なく選択する、ってところもあるわけだしね。←すげええええ暴言!

「やってみよう」のワークショップやアウトリーチで唯一「もの凄く精密に聴く」という作業に意味があるのは、ひょんなことからエクが開発しちゃった「まねっこコンクール」のみであると思ってます。これ、大真面目な発言ですよ。

もとい。さても、この企画、小生と同様に「聴く」ということの創造力が余りにも世間で軽視されていることを常々納得いかぬとお嘆きだった慶応の先生がお考えになられた、知識人予備軍のための「聴く」作業開発特別イベントであります。原作小説を読み、それに触発された作曲家の想像力を実際の音で感じ取ろうとする、極めてクリエイティヴな「聴く」作業。ブラスバンド100年やってても絶対に身に付かないことをしようとする、「聴く」に特化した講座であります。これが講座生徒募集のためにS先生が作った学内チラシ。殆どアジ文です。
実験授業ポスター.docx
この講座、おまけも凄いんだわ。「じゃ、いろいろ判ったから、自分も弾いてみよう」になるのが普通なのに、なんとなんと、「じゃ、いろいろ判ったから、他の人にも聴いて貰おう」になる。よーするに「エクがヤナーチェク弾くコンサートを作ってみましょう」になるわけです。自分らでチラシをつくり、あちこち宣伝し、なんとか500の席の半分くらいまでは埋めよう、って企画。スゴイぞ、この発想!流石だ、S先生!

だってね、考えてみれば、慶応大学を出て音楽のプロになる人と、慶応大学を出て音楽や文化を売ったり広報したりするプロになる人の数を比べたら、後者のが1万倍くらいいるわけでしょ。それだったら、「商品としての音楽をきちんと深く聴いて、そこから売り方を考える」ってのは、もの凄く実践的な社会勉強じゃあありませんか。ちょっと体を動かして音楽を一緒にやったような高揚感を与えるだけのワークショップなんぞより、よっぽど大学生的ではありませんかね。

てなわけで、昨晩、講座を取っていた若い人から、チラシが出来たんで壁新聞に貼りつけてくれませんか、と連絡がありました。ほいほい、貼りつけましょうぞ。

あまりでっかい声で言いたくないが、無料です。会場は、日吉駅前の驚くほどちゃんとした場所です。お暇な方も、いや、ちょっと忙しいくらいの方も、是非ともいらしてくださいな。年末はエクのベートーヴェン、新年はエクのヤナーチェクで迎えようではありませんかっ。
本チラシ表(校了) (2).pdf本チラシ裏(校了).pdf

皆々様、正月明けの土曜日は、晴れ着で(下駄はダメよ!)日吉に繰り出し、新年早々、どう考えても納得いかぬ純情トルストイの意見に対し、ヤナーチェクといっしょになって突っ込みを入れましょ。

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