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市議会議員が演奏会に行くのは経費か [売文稼業]

NYの広報君とのやりとりやら、東京各方面とのやりとりがえらく面倒なことになってきて、日曜日の出発までにまだまるまる1本終わっておらず(機内作業がほぼ確定です)、とても壁新聞所ではない。相変わらずニューヨークのNHKはフライングやってるし、絶対、来週になって大手メディアどもの間で揉めるだろうなぁ。毎度のことだけど、ま、小生のようなフリーの人間は、実はこの狭い狭い音楽業界にもある「記者クラブによる情報寡占及びフリーの締め出し」状態になってることは確か。ってか、日本大手メディアさんは、情報コントロールでカーネギーの広報君まで蚊帳の外にしてる有様なのに、当人たちは全くそんなことしてるとは思ってないのがオソロシーところです。いやはや。

てなわけで、今日もネタひとつ。これ。
http://www.asahi.com/national/update/1206/TKY201012060140.html
数日前から一部では話題になっているみたい。

まあねぇ、こういう話を目にするに、やっぱり世間の多くの人にはクラシック音楽鑑賞とは「興行を愉しむ」ことであり「娯楽」であると思われてるんだなぁ、って事実を再確認するわけですね。

小生とすれば、記事にある

「全国市民オンブズマン連絡会議事務局長の新海聡弁護士は「政務調査費をコンサート代に使うべきではない。客層や収益性、運営についてはコンサートに行かなくても分かる。演奏の響きといったコンサートのよしあしは、調査に名を借りて趣味を満足させているだけではないのか」と疑問を示している。 」

という部分については、新海弁護士をそこに座らせて説教ひとくさりしたいけれど、恐らく、聞く耳を持ってはくれないでしょうねぇ。少なくとも小生なんぞの感覚からすれば、この弁護士さんの仰ってることはアホです。

うデータ見ても客層なんて判りません。運営は現場見なければ判りません。データは、データになってくる段階でいろんなものがフィルターにかかって、濾過されている。そのフィルターは何なのか、濾過されちゃったものはなんなのかが大事。分析できないものをトータルで感じ、とてもじゃないけど箇条書きには仕切れない程の無数の情報を己が鍛えたセンサーで瞬時に読み取り、「そこで起きてることは何なのか」を感じたところから、始めてデータを読み、意味のあるものにすることが出来る。それがジャーナリストの基本です。議員の視察も同じ事でなのしょう。

勿論、問題の議員さんが、我々の商売では不可欠で日々鍛えねばならない類のセンサーがちゃんと機能する人なのかどうかは、あたしゃ知りません。

小生らの世界だって、取材の日程から相手側とのやり取り、門前払いを喰らわせようとする相手に他からの渡りを付けて門を開けさせる人脈の育成と維持のための努力、ビジネスクラスどころかタクシーだって使えないんで地下鉄やバスに乗って現場まで行くための労力、きちんと連絡なんて来ないんで最悪の場合は氷点下の楽屋口に何時間も立って張っていなければならないことの疲労(カーネギーの楽屋真ん前の楽譜屋が廃業しちゃったんで、暖かいところから楽屋口を張る場所がなくなった!)…そんなものを積み上げることで、やっと見えてくるものがある。そこには、NHKやら日本経済新聞やらの名前を出せば相手が手招きしてくれる商売が常識になっている大手記者さんには、絶対に見えないものもあると信じている。
実際のところ、小生らのようなフリーと大手メディアの記者さんでは、同じ現場を眺めても、センサーが感知するポイントが随分と違っているようです。そりゃ、背景が全く異なるんだからしょうがない。ただ、小生らのセンサーに引っかかってくるものにも意味があると一部の編集者さんらが思ってくれるので、なんとか商売になってる。

何の話じゃ。これじゃ、今の状況の愚痴じゃないの。

もとい。なんであれ、現場に行かないと判らない。そうじゃなかったら、みんなパソコンの前に引きこもって、他人様の出したデータを弄っていれば、世界のあらゆることが判ることになっちゃう。

自分になんかがあったとき、あたしゃこの弁護士さんには頼まないだろう。現場に来てくれ、といっても、いや警察の発表したデータの方が客観的だから行く必要はない、って言われそうだもん。そんな奴、あたしゃ、信じません。

てなわけで、この市議会議員がどうであろうが、この弁護士は信用出来ん、という全く個人的な感想を述べただけでありました。ま、あたしゃ今回のNYも自腹で完全な赤字仕事ですから、この弁護士さんに「そんなのお前の娯楽じゃないか」と鼻で笑われようが、「あんたはバカか」って顔をして相手にしないだけで済むんですけどねぇ。

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アホストロ

いやいや、違いますよ。
この弁護士が市議会議員の側にいれば、「現場を見ないで、何が判るんだあ〜〜」って言ってくれるはずです。弁護士というのはそういうものです。

官房なんとかの弁護士さんは、今はお役人様をクライアントにしているので、ああいうことになっているんですよ。草履・・・ちがった「そ〜り」は一般国民レベルなので、弁護士さんに口でかなうわけがありませんしねえ・・・

これについて思うのですけど、例えばオケやホールがその議員を「招待」していたらど〜なるんだろうか?ああ、それは利益供与で事件になるのか・・・ということは、文化行政というのは、政治家が現場に行かずしてやれということなのだなあ・・・

あれ?秋の芸術祭関係のイベントや演奏会って、お役人様や関係者は招待じゃなかったっけ?それってお役人様への利益供与ちゃうんやろか???

脱線ごめん

 
by アホストロ (2010-12-11 12:02) 

Yakupen

アホストロ様

なるほど、仰る通りなんでしょうねぇ。でも、単にあたしゃ、この弁護士のこの発言に怒ってるだけで、そんなあたくしめをこの弁護士さんは笑ってるだろう思うくらいの冷静さがないでもないけど、やっぱり怒ってるわけです。

あたくしめもバカになって言ってるので、皆々様、「ここに書いてあることはみんな嘘」の精神でお許しあれ。

全く関係ないですけど、皇室の場合は必ず招待です。どこかから「御上がこれこれの演奏会を聞きたいなんて思ってるらしいなんて噂がないでもない…」なんて情報が流され、ははあああああと下々の者たる主催者共は御上のお心を察知し、ご招待申し上げるのでありますな。

いやはや…

by Yakupen (2010-12-11 19:35) 

北

小石を一個積み上げるのもアレですが…

一時期WWFジャパンが単純作業のボランティアを募ってまして、手を挙げたら「退会した人へのアンケート」の集計が割り当てられました。
なんて後ろ向きな作業なんだ、と最初は思いました、ええ。

いちばん示唆に富むのが文字情報でした。「グリーンピースのように実力行使をしろ」から「エコツアーやボランティア活動を企画してください」まで、ある程度グルーピングはできるけど、幅自体はとても広い。自分が無意識にガードをかけて考えるのを止めている発想がぽんぽん出てくるので、こちらもガードを解かなければ読めないわけです。そういうスリルもあいまって、ものすごく面白い。

退会したのにわざわざアンケートを送ってくれるということは失望と同時に変化への期待も残っているわけで、文字情報はその「現状欠けているもの」を個々に指摘していまが、具体的すぎるために上のレベルにいく集約の過程で選別され、最後には消え去ってしまいます。
これが上に届くのかなあ、と思ってましたが、届いたようです。あそこの事務局は小さいので意識共有も楽なのかも。元々ロビー活動のためにできた団体ですから頭のいい人が集まってますし。


それが北のいう現場かい!とツッコまれるとスミマセンなのですが、この集計体験は得難いものでした。大げさですが世の中の見方が少し変わりました、いやホンマ。
ただし観察力とコトバで整理する能力とをフルに使って形をかえ、自分に応じたスケール(←どういう意味でも)で再発信できなければ宝のもちぐされにおわります(反省)。

失礼しました。
by 北 (2010-12-11 20:10) 

アホストロ

あのですねえ・・・つまりですねえ・・・先のコメントでなんとなあ〜〜〜く示唆したのはですねえ・・・たとえばですねえ・・・橋下知事にですねえ、「クラシックの演奏会のすばらしさを知って欲しいのです!」とか言ってね、センセのおっしゃるとおりに「現場に来い」と言ったとしますね。その場合のチケット代はど〜〜なるんやろか?ということなのですね。

でね、橋下くんを招待したらですねえ、それはもしかしたら買収とかなんとか言われかねませんね。そうすると、府知事のお仕事一覧に「コンサート視察」が無ければ、橋下くんがチケットを買って行くしかないですよね。そうすると、「オーケストラなんてぜいたくひんだああああああ」と行ってるおこちゃまがお金を払ってクラシックの演奏会に行くような「大人の行動」をとるんやろうか?ということですねえ。

逆に橋下くんがどういう風の吹き回しか、「オーケストラはすばらしい」とかいって、楽団に寄付したら、それは「買収」事件となってしまうわけです。なんとも情けない国ではあ〜りませんか!

でね、長い前振りですけど、そういう政治家という職業の人が、「もっと文化を!」とか言ってますけど、ほんまに現場を知ってるんやろか?現場に来ているんやろか?っちゅうことですな。そんなんで、現場もろくに知らないで有効な金の使い方ができるんでっか?

この「事件」の告発者の文化的知的レベルは明らかに低いわけです。それを弁護する高学歴の弁護士の追及の言語的なレベルが低いのは、弁護士のせいではなく、クライアントの主張のせいなんですね。だから、そんな表面的な事象にひっかかってなくて、その背景にある、

「文化を体験することっちゅうのは私的もしくは娯楽でおます。そやけど、その個人的体験の蓄積が国家。社会の成熟につながるんやおまへんか?そやさかい、議員という公的な立場の人間が個人的な体験を蓄積することに価値があるんやないやろか?」

ということをもっと真剣に考えた方がよいと思うんやけどどうでしょうかねえ。

ちなみに、わたしの周りのクラシックファンは、ほとんどみんな、「そんな議員はけしからん!」と言うと思います。「俺たちはチケットを買うのに苦労してるのに」「安い給料から無理してるのにい・・・」「税金返せ!」という、告発者と同じような被害妄想満開の連中ですから。だから、この国の文化はあかんのかもねえ・・・

あ、橋下知事も弁護士出身だ!・・・センセ、弁護士は天敵でんなあ\(^O^)/
 
 
by アホストロ (2010-12-11 23:28) 

へっぽこ

「現場」という言葉に引き寄せられてきました(笑)。

現場を知ることは大切だと思います。肌で感じる事の中に、遠隔からでは得難い何かをがあるのはもちろんです。踊る大捜査線の「事件は会議室で起きているんじゃない。現場で起きているんだ!」という啖呵に、多くの人が共感したでしょう。

ただ、現場原理主義というか、現場を知らないと全部ダメよ、と言われるとちょっと違うとも思います。そうでないと、リーダーと呼ばれる人は全ての職種を経験しないといけないし、そもそも経験したからといって全てが分かるわけでもなければみんなが納得できる答えを得られるわけでもない。
議員とかトップの人が現場を見ることの意義は、個別具体的な問題を把握することよりも、自分が何らかの「フィルター」を通して社会を見ていることを再認識したり、そのフィルターで見えなくなってしまった要素が「あるんだ」ということを肝に銘じるところにこそあるのではないでしょうか?

あたしのフィールドの医療でも、医療関係者の中に「官僚に何が分かる。医系技官と言ったって現場経験もないし、やつらに医療が分かるわけがない」という意見が多いですが、私には対立構造を自ら作りだしているように見えてしまいます。官僚が現場感覚を持つのにも限界があるはずです。他方で、官僚が独りよがりにならず、マクロの数値からは見落としやすい現場の問題点・苦悩等々があるだろう、という認識を持つには、「現場を知ること」が大切だと思います。

もちろん、皆さま「そんなことは承知よ」ということでしょうが・・・。
by へっぽこ (2010-12-13 19:34) 

Yakupen

皆々様

おはよう御座います。正に「現場」やりにNYまで来てます。

この電子壁新聞の前で議論してるようなオッサン共は、みんな本音ではバランスのことは判ってる人たちでしょうから、心配せんでも大丈夫ですよ。現場しか見えてないことの危険性は百も千も承知で、でも現場だけじゃ動かせないのは当たり前、だからみんな苦労してるんだし、だからこそ「あなたの意見も判るけど、バランスを取らないと」なんてことを言い出したら、それこそ「どの政党に入れても同じ」と言い続けて半世紀、とうとう政権交代による政策の変更が構造的に不可能な国家になってしまっていたことが1年半かけて露呈した我が日本国のようなことになってしまうわけでありまして。

なお、この問題を巡って、個人メールにそれこそ現場の方からの反応がいろいろ頂いています。それらのみなさま、有り難うございます。大ぴらに言えない本音はいろいろあるようだ、ということだけをお伝えさせていただきます。

by Yakupen (2010-12-13 20:12) 

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