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日本フィルは香港に行きます [音楽業界]

少なくとも東京首都圏には「歌舞音曲の類は自粛」という妙な空気が流れ始めているこの瞬間、香港芸術祭に参加するため明日朝にキャセイ航空で成田を発つ予定だった日本フィルは、当初の予定通り芸術祭に参加することになりました。招聘側からも、原発事故後も出演拒否などの動きはなかったようです。

広報さんの言葉によれば
「やるべきことをやるために、全力で努力する。そんな状況です。」
とのことです。

小生も、予定通り、明日朝の羽田便で香港に向かいます。こんな状況の日本からやってきた音楽家たちが、香港の中学生や学生、音楽好きに何をするのか、そして香港の人たちが彼らをどうやって迎えるのか。結果的に「緊急事態下の日本」を代表することになってしまった音楽家たちの姿を眺めてきます。

一応、商売原稿ですので、当電子壁新聞にどこまで記せるか判りませんが、日フィル広報さんと折り合いを付けつつ、お伝えはするつもりです。

なお、蛇足ながら、墨田のNJPの方は、16日のハーディングの区民公開リハーサルは中止になったとのことです。サントリーでの本番はまだ未定とのこと。
独奏者のブラッハーは来日中止。ま、これは仕方ないでしょう。六ヶ所村の原発事故のときも、水戸芸術館に客演する予定だった某有名歌手がキャンセルしましたし、今の諸外国メディアの原発事故報道を眺めるに、このような演奏家の来日中止は暫く続くことでしょう。幸い、日本国は3月終わりから連休明けまでは、地方公共団体の年度初めのために地方公演が作りにくいので、来日演奏家が少ない時期にあたっていますから、それほど大きな影響はないでしょうし。

また、今、すみだトリフォニーの地方都市オーケストラ音楽祭事務局に確認しましたところ、今週末からの地方都市オーケストラフェスティバルは予定通り開催とのことです。幸いにも今回は全て東海道以西の団体ですので、アクセスはOKだろうというなわけですな。無論、今後も大きな余震などがあるに決まってますから、オケ版ゴールドベルク変奏曲など期待なさっている向きは、ちゃんと直前にチェックして下さいね。

追記
西新井のスチューデントプロデュース・コンサートは、残念ながら中止と決定したとの連絡が、主催する文化スポーツ事業団担当者さんからありました。
また、当電子壁新聞とは直接は何の関係もありませんけど、大物としましては、フィレンツェ市が来日中の同市オペラ団に帰国命令を出しました。本日付で公表されています。
http://www.nikkei-events.jp/opera/firenze.html
日本側の対応は、まだ明らかではありません。いずれにせよ、これだけの規模の来日公演を途中中止緊急帰国させることになると、日本側主催者側も過去にない騒ぎになること必至ですので、払い戻しをどうするかなどはこれからでしょう。払い戻しが現金になるとすれば、ちょっと大事になりかねませんね。

追記の追記
極めて真剣な提案です。 今、福島原発の状況や津波が押し寄せる惨状の映像が、世界中で繰り返し流されているようです。その結果、野次馬ではなく、日本に住んでいる知人や友人を本気で心配している人たちの中には、繰り返される映像を眺めて殆どパニック寸前になってる方もいるようなのです。メディアというのは最悪の事態だけを配信するもので、それが繰り返される結果、日本は冗談じゃなく沈没寸前だと思われています。 ですから、諸外国に友人がいらっしゃる方は、直ぐに「メディアはああいう映像を流しているが、自分はどうこうしているから大丈夫だ(若しくは、どうこう出来なくなっていてホントに大変だ)」という連絡をしてあげてください。個人的に知っている人からの直接の連絡が、最も相手を安心させるものです。 今、我々に最も手っ取り早く出来ることは、世界中の不要なパニックを取り去ることです。そして、それはメールのワンクリックで簡単に出来るのです。

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コメント 4

アホストロ

まあ、神奈川フィルさんにあんなこと言っておいて何ですが、払い戻しのことを考えると無理にがんばらずに中止する方がリーズナブルですね。

がんばって開催しても、来られなかった人には払い戻すとなれば、経営陣としては中止した場合との収支を考えてしまうでしょう。国立や新国立のように自分のところでやっている団体なんてほとんど無いのですからホール代もばかになりません。

ホール側も中止の場合はまさか全額払えとは言わない(??)と思いますけど、前日だったら半額払え!とかも言わない(??)と思いますけど、実行したら満額を払えというでしょう?逆に川崎などのようにホールの都合で中止したからって、その被害を補償しろとかオケも言わない(??)とは思いますけど、結局そこに多大な負担が発生するのは確かですからねえ。

前のエントリーで歌舞音曲をするなという「空気」に怒っていらっしゃいましたし、そのことに文句をつけるわけではありませんけど、それがあるがゆえに、「実行+来なかった分の払い戻し」に比べて比較的負担の少ない「完全中止」を選択肢として考えらますし、みなさんが楽しみにしていた公演を中止しても非難されないのですから意外と開催側にとってはありがたい「空気」なのではないでしょうかねえ?

もしそういう面も否定されるならば、「実行した団体の意気に感じて払い戻しを要求するな!」「お~!」という空気の醸成が必要です。う~ん、それは、今の経済状況では無理じゃないでしょうかねぇ~~?
 
 
by アホストロ (2011-03-15 18:49) 

Yakupen

アホストロ様

いつもながら、コメント、有り難うございます。御自身は大丈夫ですか。

で、「歌舞音曲の自粛」に関することですが、小生が直接頭に置いているのは、極めて少数の相手なのであります。具体的に申しますと、この数週間に本番を予定していて、そこに向けて一生懸命練習してきた若い演奏家たちがおり、彼ら彼女らの中で、なんだかもう練習する気もなくなっちゃった、みたいな虚脱感が広がりかけてるんですわ。

そりゃね、気を入れて頑張ってきた初めての他流試合の本番で、それがまるで予想もしない事態で中止になっちゃったとなれば、その先に予定されてた練習もする気がなくなって当然でしょう。そこに「なんとなく今はそういうことをする時期じゃない」みたいな空気が流れていれば、もーいいや、と思っちゃう。

いやいや君たち、それじゃ困る、必ずもうすこし経てば君らの出番が来るのだから、無理しても練習には集まりなさい、ってこと。実際、これだけ次々と外来演奏家がキャンセルになっているのは、日本にいる若い人たちに演奏の機会が増えるかもしれないですし。

こんなこと書いちゃって良いのか、という気がしないでもないけど、ま、そーゆーこってす。

by Yakupen (2011-03-16 00:49) 

アホストロ

どうもです。都内でなんとか生きてます。

まずエントリー黒字の海外の心配ですけど、これは海外の心配の方が正しいです。フィレンツェ市の帰国命令も世界基準では正しい判断です。なぜか被爆国のメディアがぜんぜん警告を発しませんが福島でドカンひとつで関東一円終わりです。

それに海外メディアの心配というのは、今もラジオで上杉隆さんが言っていますが海外メディアが総理や官房長官や東京電力の会見に出席できないし関係各所に接触できないそうで、これは世界基準では立派なサボタージュです。IAEAにすらきちんとした報告があがっていないようですから世界は何を隠しているのかと怒っているのです。

チェルノブイリの時はヨーロッパで空気中の放射線量が増加して大騒ぎになってからのソ連の発表ですから、各国はもしかしたらもう終わっているんじゃないか?と考えるのも経験からくる正しい姿勢です・

はっきり言うと日本国内、特に被災地のはしくれである東京でみんな冷静に生きていることの方が変です。

上記の若い人のやる気ですけど、私はそんなことよりさっさと逃げなさいと言いたいです。緊急ではないかもしれないけれどもやはり危険はあるからです。

この非常時、生きるか死ぬかの時に音楽のやる気なんてど〜でもいいです。生きているだけで、命あっての物種です。

あのね、私が被災地と書いたらあなたは戦時中と書かれましたね、そうです、こんな時に被災地で「音楽に集中しろ!」という方がよっぽど戦時中の「特攻カミカゼ」の発想です。演奏会を放り出して逃げるのは、決して恥ではないです。

で、なぜ私が逃げない中というと、今週来週に関係している仕事があるからです。私は、半世紀、もう十分生きたのでその人たちの判断につきあいます。他の人のことはとやかく言いません。

※素人のつぶやきですから、危険性についての信憑性はありませんので決してパニックにならず各自で情報を集めて判断してください。

※香港でのご成功と帰国できる状況にこの国があることをお祈りします。

もちろん、最終的にあほなコメントをしたなあと笑っていられることを祈っています。

不都合なら即時削除してください。お元気で。
by アホストロ (2011-03-16 07:13) 

Yakupen

アホストロ様

正直、即刻削除したい類の書き込みですが、敢えて挙げておきます。このように感じる人もいた、と後の記録になりますから。

お願いですので、今後は「不安を煽る」と思われる書き込みは避けて下さい。心からお願いします。死んでも東京にいたい、いわきにいたい、と思っている人もいっぱいいる。その人たちの「死んでも」という気持ちを説得する必要があるかどうか、です。

お願いですから、アホストロさんは御自身の信念に従って東京から逃げて下さい。そして、逃げたところでの状況を教えて下さい。はっきり言いますが、東京の今は、チェルノブイリの時のキエフというよりも、ちょっと遠いミンスクの状況みたいなものでしょう。幸か不幸か、過去に似たようなことが起き、今のキエフの状況とかも判っているわけですから、それらを参考になさってください。

by Yakupen (2011-03-16 07:40) 

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