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現代音楽な週末 [現代音楽]

灼熱のダキアから戻っても前頭葉の絶不調は続き、昨日からたった300字のチラシ裏作文にのたうってます。んで、景気付けに一発、大枚8ドル99セントもはたいてボストン響タングルウッド音楽祭アルヒーフの「トゥランガリラ交響曲」ストリーミングを買い込み、今のデュダメルみたいだった若きSeiji Ozawaがイヴォンヌ・ロリオら第1世代と繰り広げる音の饗宴で溜飲を下げ(第5楽章の後で大喝采ですわ、どうやらここで休憩を入れたみたい。今では考えられないですね)、その勢いでええええいと一発、ともかく書いて送ってしまった。今月になってご商売原稿1本目だ。これで生活できるのかっ、あたし!

それにしても、ボストン響はこんなアルヒーフを持っているなら、いっそのことディスクでは100年記念で一部の楽章のみが出たバーンスタイン指揮による同曲世界初演の録音もストリーミングで売れば良いのになぁ。みんなジャンジャン買うだろうに。全曲は残っていないのか、はたまたなにやら権利に問題でもあるのかしら。

このボストン響のタングルウッド75周年記念ストリーミング、毎日、24時間は無料で聴かせてくれて、それを過ぎると有料になって、聴きたかったらオンラインで買って下さい、ってことになる。パッケージでの販売は一切無しのMP3音源のみ、曲目解説はホームページで読めますよ、ってもの(かのリチャード・ダイヤー御大のいつもの調子の曲解だけどさ)。始まってからレイバーディ頃まで続く連日の放送スケジュールはこんな風になってます。
http://www.bso.org/brands/tanglewood/features/from-the-audio-archives/schedule-of-75-free-streams.aspx
こうして眺めると、4分の1くらいが所謂「現代音楽」って感じだなぁ。ま、アメリカ合衆国のアーツオーガニゼーションでは、特殊な関心を表明しているところ以外はどこでもモダンアートや現代作品の割合が極めて高い。先々週の滞在中にやってた「両岸芸術祭」ってマンハッタン南のあちこちを会場にした音楽や演劇の無料イベントフェスティバルでも、音楽の中心はスティーブ・ライヒのバンドだったり、若いイタリア系おねーちゃん作曲家のメディア・コンプレックス型の室内オペラだったりした。「印象派やらルネサンス、ましてや中世美術なんぞに比べれば、現代アートの方が余程自分等の感性に合ってて親しみやすい」って感覚が一般的なんだよなぁ。この感覚、中国各都市やソウル、シンガポールなんかでも同じみたい。なんで日本はそうじゃないのか…結構でかい問題だぞ。

ま、それはそれ。で、このタングルウッド音楽祭のリスト、面白いですね。なにより興味をひかれるのは、我等が同胞作曲家の作品が複数も上がっていること。ひとつは8月17日の武満「リバーラン」。そしてもうひとつは、8月5日に放送になるかの安生慶&一柳&山本直純作曲の「天・地・人」。いやぁ、懐かしいですねぇ。この曲、大昔にNJPでやって、国連に持ってったんじゃないっけ。録音はないし、まさかこんなところで出会えるとはなぁ。皆さん、佃の住吉神社例大祭の真っ最中で外がどんなにキチガイじみたことになっていようが、頑張ってパソコンにヘッドフォン繋いで聴きましょう!

ところで、この懐かしい「天・地・人」の作曲メンバーを眺めるに、イヤでも頭に浮かぶは明日明後日にサントリーで開催される「日本フィル・シリーズ」再演演奏会であります。山本直純の録音が遺されていない秘曲が演奏されるだけでももう溜池まででかける価値は充分。日フィルさんが偉いのは、殆どの方には「なんじゃこれ?」になっちゃう作品が並ぶからか、それともいつものことなのか、ウェブサイト上にガッツリとした解説を挙げていてくれること。NAXOS音源だけだけど、ちょっとだけ聴けたりもするし。片山先生の曲解は、ある意味、毎度ながらの歴史観でビックリするようなことはないが(偉くなってきてあちこちに書くようになると、ホントは凄く刺激的なことが書いてあろうが、読者に中身の想像が付くようになっちゃうのが売文業のオソロシさ。無論、これは自らへの反省でもあります)。売文業者さんのお仕事がどうあれ、下野さんのインタビューは必読!
http://www.japanphil.or.jp/cgi-bin/concert.cgi?action1=preview_details&seq=694
この辺り、ボストン響なみに初演時の音源揃えてストリーミングで売る、なんてことまでして下されば完璧なのだが、無理なんですかねぇ。国会前デモに出てしっかり60年代気分を味わい、サントリーホールで「日フィル・シリーズ」を聴くなんて、完璧な金曜夕方の過ごし方じゃーないか。

なお、大阪の方には、土曜日にいずみシンフォニエッタのフランス系現代物特集がありますので、そちらへどうぞ。メシアンはないけどさ。
http://www.izumihall.co.jp/schedule/concert.html?cid=307&y=2012&m=07

さあ、現代音楽な週末だ。あたしゃ…ちょっと滅茶苦茶な動きをせざるを得ないけど、出来るだけいっぱい聴くぞお。あのチェリビダッケの新作を練習から聴いちゃった我が身、もーモダンなオーケストラ曲ならなにが出てこようが怖くなんてないわいっ!

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コメント 3

hyama

1949年のバーンスタインによる世界初演時も、第5楽章の後で休憩が入ったそうです。ハンフリー・バートンの評伝によると、当時の組合の規定で奏者は1時間以上休憩なしで演奏できなかったそうです。
1970年代の小澤の演奏は、初演時のやり方にしたがったのでしょうか? その当時もやはり組合の規定があったのでしょうか? あるいは野外だから、休憩を入れたのでしょうか?
by hyama (2012-07-13 12:25) 

sayasukameiko

天・地・人で検索したらここに辿り着いたよ。半年も前の記事じゃん。山本直純さん指揮の「人」の録音持ってるから、YouTubeにアップしようかな〜なんて思ってます。楽しみにしててネ。
by sayasukameiko (2013-01-26 00:23) 

Yakupen

sayasukameiko様

当電子壁新聞、「書いてあることはみんな嘘、信じるな」をモットーとしているため、出来るだけ検索には引っかからないように工夫しているのですが、やっぱり引っかかっちゃうこともあるんですねぇ。ご愁傷様でした。

ああいう作品、20世紀の音楽としてどのように評価されていくのか、それはそれで楽しみです。

by Yakupen (2013-01-26 00:35) 

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