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ドーネーションが増えた? [音楽業界]

この週末は殆ど作文作業が出来ないので、本日は原稿2本入れにゃならないのだが、ふううう、なんとかひとつ入れたらもうパワーが落ちてしまった。歳を取るってのは、こういう無茶がきかなくなることなんだなぁ、とつくづく思ったところで何が変わるわけでも無し、いやはや、です。

んで、ひとつだけニュース。先月くらいから、メトの秋からのシーズンがちゃんとやれるか、という争議が起きていたわけですけど、一昨日になんとか決着したようです。
http://www.nytimes.com/2014/08/21/arts/music/metropolitan-opera-labor-talks.html?ref=music&_r=0
Facebookには書いちゃったんだけど、後で検索するときのために、この壁新聞の方にも貼り付けて置きます。ま、自分の為の整理、ってこと。

この争議の結果、メトの財政が我々のような数字を読むしろーとにも判る形で出されたわけで、これが非常に面白い。何が面白いって、このグラフです。
http://www.nytimes.com/interactive/2014/08/17/arts/music/the-metropolitan-operas-finances.html
左側。どんなアホが見ても判るよーに、ボックスオフィスのあがりが減っていて、で、ドーネーションがもの凄く増えている。なんと、20年前の倍になってるわけですよ。無論、アメリカ経済、ってか、NY経済のインフレってのもあるんでしょうが(確かに、20年前と比べると宿代は確実に倍以上になってますからね、あとは公共交通の値段も倍以上になってるなぁ)、それだけだったらチケット売上だって同じくらいに上がっていく筈で、実際、20世紀の終わりまでグラフは殆ど重なってる。21世紀になった途端にドカンと落ち込みがあるのは、言うまでもなく、911のお陰でしょうね。観光客も減ったし、チケット代にまわせる個々人のお金が減ったでしょうから。

面白いのは07年くらいにコントリビューションの増加率が一気に増えて、最終的には911以前の増加ラインに戻ってること。リーマンショックは2008年で、このお陰でNYシティ・オペラが最終的にダメになったんだけど、その辺りは少なくともこのグラフからはあまり良く判らないですねぇ。

なんにせよ、この数字はどういう風に読めば良いのか。ドーネーションの増加率はそれまでの推移で来ているのに、切符の売上だけが落ちている、と考えるべきなのか。切符の売り上げ額ってのは、ぶっちゃけ、値付けをどうするかによっていくらでも変わってくるものだから、その辺りのこともあるのかしら。最近は高い切符と安い切符の凄く激しい、って感じもありますし、ファミリーサークルなんてみんな30ドルくらい、って感じだもんねぇ。NHKホールの3階みたいな空気だし。

ドーネーションが増えている、という風に捉えるのならば、そのひとつの理由として、「シティ・オペラが無くなったお陰で、そこに流れていた大口寄付が隣のメトに一本化された」という可能性が大いにある。もしもそうだとすると、メトを生き残らせるためにしシティ・オペラに死んで貰った、ということになるわけでんなぁ。その後のメトの「アメリカ現代名曲定番化プロジェクト」なんかを眺めるに、明らかにシティ・オペラがしていた仕事の一部を引き継いでますから。

それと、やっぱり、映像配信のお陰かしら。メトの映像ライブって、最後に「皆さんのドーネーションのお陰でメトをやってけます」と必ず言いますね。あれがそれなりに、有効に働いてるんじゃないのかなぁ。

ヨーロッパの関係者の間ではオペラの映像配信は決して成功していない、少なくとも客層を広げることにはなっていない、という声が強いとも聞きます。でも、小生が聞くアメリカのローカルオペラ団体の人達の話では、「メト・ライブのお陰で、みんなああいうのが観たいと思うようになっちゃって、NYに観光に行ってメトで観れば良いと思う人が増えるばかり。アンケートではメトライブで評判になった作品ばかりが観たい作品に挙がってくるし…」ってんですけどねぇ。つまり、オペラとはメトみたいなもので、ああいう立派な奴じゃなきゃ嫌、と思う人が増えただけだ、要はメトがお上りさんを集めるための体の良いPR媒体としては大成功している、ってね。

それから、大きな声では言えないが…数年前からwebでチケットを買おうとすると、ぼーっとしていると知らぬ間にドーネーションを被されてる、ってのがありますよね。あれって、結構、知らずに言われるがママに払っちゃってる人がいるんじゃないかなぁ、って思うんだけど、どーなんだろーか。日本の団体では絶対にやれない、ってか、やらないなぁ。どうしてなのかしら。切符買うときに「ドーネーションお願いします」ってのは、「ポテトはいかがですか」って言うみたいに感じられるのなかぁ。

専門家の方からすれば、なんてアホなしろーと談義、と思われること必至の無駄話でありました。

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