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トロンハイム大会結果 [弦楽四重奏]

先程、今年は4年に1度の弦楽四重奏部門で争われたトロンハイム国際室内楽コンクールの結果が出ました。4年前は大阪の後にメンバーが交代したファン・カイックQが優勝、そのままロンドンに向けて勢いを付けることになった大会です。今回はキャンセルも多く、7団体が参加、結果は以下。

優勝&聴衆賞:マックスウェルQ
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2位:オマールQ
3位:エスメQ及びシンプリーQ

なお、もう結果も出たので記しますと、セミファイナルでオマールQが演奏したドビュッシーが課題曲に入っていなかったことが本選進出団体発表後に発覚。昨日は関係者、参加団体含めた討議が繰り返され、本選に4団体進出ということになりました。オマールQの扱いが注目されましたが、上述のような結果となった次第。結果から除外、という判断は下されませんでした。

昨日の段階で「本選参加団体は当初アナウンスがあった3団体にエスメQを加える」と聞いたとき、「ああ、オマールQはせっかくここまで来たのだから本選では弾いて貰うけど、流石に賞は付けるわけにいかないだろう、そのため他に3団体が必要になったのかぁ」と思ったです。どーもそういう訳ではなかったんですねぇ。へえええ…

正直、オマールQとすれば、本選では圧倒してぶっちぎるしかないと思ったか、これまでボルドー、バンフ、レッジョと聴いてきた彼らの音楽とはちょっと違った、かなりアグレッシヴな本選での演奏でした。まあ、これはこれでひとつのまだこれからの団体が危機的な局面にどう対処するかを見ることが出来たので、やくぺん先生的にはとても興味深いことでしたけど…本人らとすれば、なんというかなぁ、いろいろと難しかったでしょうねぇ。

マックスウェルQはある意味で逆に肩の力が抜けたか、本選でのハイドン作品74の2がとっても楽しい音楽で、長ぁい本選の一服の清涼剤でした。ですから、今日の演奏だけを考えれば、この結果はあり、でしょ。ま、なんにせよ、オマールとマックスウェルの戦い、イースター前のロンドンまで引っ張りそう。ふうう…

今回のトロンハイム大会、なんといっても「アジア勢の大量参加」という大きな特徴があり、このクラスの大会でこれだけのアジア勢参加があると、この先2年くらい、あちこちでそういう傾向が出て来るのかなぁ、なーんて思ったりもするわけですが、ま、その辺りを含めた「音楽祭の中でのフェスティバル」という位置付けについては、来年春の「奏」に書きますので、半年くらいお待ちあれ。忘れちゃいそーだけどさ。

てなわけで、北緯65度の街を去り、明日は移動日で、バルセロナに向かいます。秋から、また夏の終わりに逆戻り。

皆様、お疲れ様でした。御世話になりましたです。

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トロンハイム

時としてコンクールの審査にスキャンダラスに噛み付く Slipped Disc あたりの格好のネタになりそうな一件ですね。(といってもあまり注目もされない室内楽のコンクールのことですから取り上げる価値もないかしら)。

普通なら失格。規定違反が「審査後」に発覚するというのも、あり得ない話で(セミファイナルに弾く曲なんてコンクール前に申請してるはずです)、かえって何かを疑ってしまいます。課題曲は公式サイトに掲載されていて、ドヴュッシーなんてどこにも書いてありません。明確すぎるほど明確です。

まあ、実力のある優勝候補なのだから、フェスの一環のコンクールなのだからということで、ファイナルで弾かせてあげる親心は理解はできないわけではありませんが、賞をあげてはいけないでしょう。

まともに課題曲弾けば入賞が確実だとしても、ルール違反はルール違反。将来ある若者だからこそ、世のコンプライアンスの最低限の遵守については厳しく教育的であるべきでしょう。そこを妥協しないことこそが、彼らの背を押す真の親心というものだと思います

あるいはむしろ、この入賞で、まとわりつく疑念と世評をあえて彼らに背負わせるという試練を審査団が与えたということなのでしょうか? (そこまで穿った見方ができる一件とは思えませんが)

クァルテット自らがファイナル進出あるいは入賞を辞退する。そんな展開があったら、すべて丸く収まり、彼らにとっても長い目で見れば(入賞賞金は逃すけれど)その方が良かったと思いますが、まあ、どんな経緯があれコンクールは賞という記録しか残らず、その間のゴタゴタは雲散霧消するものという見方もでき、実利を取ったということでしょう。

ただ、「課題曲と違う曲を弾いて、超法規的措置により第2位になった」エピソードとして、長く語られることにはなるでしょう。

彼らがこれから歩む道がイバラでないことを祈るのみです。
by トロンハイム (2017-10-01 19:15) 

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