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優勝団体に遭いにいく・その7:第4回ボルドー国際弦楽四重奏コンクール第1位ツェムリンスキーQ [弦楽四重奏]

恐らくは日本語のみならず、チェコ語を含めその長き苦闘の歴史を最も詳細に綴った文献であろう当電子壁新聞、久々の「元ペンギン」の登場でありまする。そー、言わずと知れた大劇場で開催された最後の大会となった2010年のボルドーで、おいおいおい(ちょっと苦笑)、って感じで悲願の優勝をした苦労人、ツェムリンスキーQに先程久しぶりに遭って参りましたです。
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なお、長く険しかった元ペンギンの歴史、ご覧になりたい方は当電子壁新聞の検索欄に「ペンギン」と入れてみてください。バンフの舞台に上がるやいきなりポケットからペンギン出して譜面台の真ん中に置いて、会場を爆笑というか苦笑というか、に巻き込んで以来のその道のり、ゴッソリ出てきますよ。
http://yakupen.blog.so-net.ne.jp/2005-11-07
http://yakupen.blog.so-net.ne.jp/2006-04-10
http://yakupen.blog.so-net.ne.jp/2007-09-03
http://yakupen.blog.so-net.ne.jp/2010-05-16
なんか、こうして眺めると、ホントに「ペンギンと辿る長く辛いコンクール優勝への道」って感じですねぇ。ちっとも悲壮感がないのは、元ペンギンのキャラなんだろうけどさ。

なんせ日本には何故かラ・フォル・ジュルネでシューベルト特集だかやったときに、初期の作品が直ぐに弾ける連中をるねまるちゃん、元ペンギンしか発見出来なかったらしく、なぜか連中が初夏の有楽町に連れられてきた。それ以来、日本なんて南極から遠いところにはわざわざ来ることもなかったんじゃないかしらね。やくぺん先生としても、久しぶりにきっちりコンサートの舞台上でお遇いしたわけです。プラハでの演奏会の招待状なんかメールで送りつけられてきてたんだけど、飛行機の切符も自家用ジェットの差配もなかったもんで、流石に行くわけにはいかなかったぞい。

今回、今やすっかり「欧州圏の弦楽四重奏業界関係者主催者ジャーナリストの集会所」と化しつつあるここハイデルベルクの弦楽四重奏フェスティバルにゲストとして招かれ(レジデントの作曲家くんがプラハ出身なんだけど、彼の作品はディオティマQが担当で、元ペンギンがやるわけでもありません)、シューマン3番、ベートーヴェン作品18の1、ヤナーチェク2番、などまともな曲をきっちり弾かせて貰ってます。んで、金曜の晩の大トリに、みんなが大好き《アメリカ》を演奏。ペンギン体型のヴィオラのペートルくんの顔芸炸裂で、なぜか冒頭一発、拍手が収まらないうちからヴィオラが歌い始めてしまうという「現代曲とかいっぱい聴かされた長い1日の最後、大いにお楽しみくださいなぁ」という、押さえるところはしっかり押さえて崩れは一切無いけど、もうある意味やりたい放題の娯楽芸を披露。この娯楽が娯楽ときっちり判る聴衆ばっかりなので、もうみんな大はしゃぎで世は更ける…

特に感心したのは、俺たち頭良いでしょ、っていろんなことをやってくる連中ばかりのシューマンの3番を、一昔前の「中欧の響き」で地味ながらきっちり、真面目に俺が俺がにならずに聴かせてくれた再現。それと、これまた地味な響きでトリッキーなことをなにもしないのに、若きベートーヴェンのパワーと創意がビシバシ伝わってくる18の1の真面目面白っぷり。いやぁ、良い団体になったなぁ。人間苦労して成功し、妙なことをやらずにきちんとやって、それなりに成功してる姿を見るって、ホントに気持ちいいこってす。《アメリカ》の最後のコラールで感動しそうになってしまったじゃないかぁ!なんてこったぁ!

タイミングから考えれば、レパートリーとして持っているなら2020年を過ぎて直ぐくらいにベートーヴェン・チクルスをやってもらうのに最適な団体のひとつでしょう。尤も、その頃にまだ溜池お庭がそんなことやってるか、判りゃしないけどさ。嗚呼…

それにしても、意外にも中欧の王道路線まっしぐらとなった元ペンギン、極北を行く孤高の天才パヴェル・ハース、プラジャークの後続的な汎欧的団体を突き進むベネヴィッツ、チェロ不在でどうなるか判らないけどスメタナ趣味の後継者ウィーハン、ローカルからの制覇がなるかスロバキアのムハ、等々、旧チェコスロヴァキア文化圏は錚々たる実力派がズラリと並んで、スメタナ時代どころではない弦楽四重奏団の黄金時代を迎えてますねぇ。やっぱり、プラハという街なら音楽家も生活出来る、ということなのかなぁ。

プラハに遊びに行く方、街角で「ツェムリンスキーQ」の名前を見たら、騙されたと思って聴きにいくべし。チェコフィル行くより意味がありますぞ。「ペンギンQ」、って探してもダメですよ。

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