SSブログ

ヘンシェルQ25年目のお誕生会 [弦楽四重奏]

フランクフルトから郊外列車で50分ほど、フランクフルト空港から国道3号線を東に40分くらいのマイン川左岸の小さな修道院の街ゼーリゲンシュタットで、毎年この季節恒例のヘンシェルQが監督を務める「小さな弦楽器音楽祭」が開催されました。
IMG_1978.jpg
今年はヘンシェルQ結成四半世紀をお祝いするイベントとなり、地元やフランクフルトの室内楽愛好家ばかりか、遙々ミュンヘンからもヘンシェルQ友の会の皆さんが駆けつけたり。

記録的な熱波が押し寄せた初日は、蓼沼先生をゲストに迎えたシューマンのピアノ五重奏は修道院の教会の中で演奏されたものの、後半は例年通りに外のクロイスターの真ん中に舞台が作られた演奏。10時を過ぎてやっと日が落ちても、南から熱い風が吹き込み、基音は34度を下がりません。熱風で譜面が吹っ飛ぶ事故も起き、シューマンの3番では客席からボランティアの譜めくりならぬ譜押さえが動員され、なんとか最後まで演奏出来ました。

2日目は暑さも少しは収まり、演奏は全て野外。日暮れ前には楽章の間で烏が鳴いたり、ほーほー鳩が歌ったり。10時の鐘の音が演奏中の箇所の和音とピッタリ合ったりして、これぞ神様飛び入りの合奏じゃわい。

最終日、熱波も去ってすっかりヨーロッパの初夏らしい爽やかな晴天が広がります。昼間には市庁舎で地元メディアとの記者会見だったんですが、音楽祭事務局長が市長と不穏な空気になっている。なにやらよー判らん状況だったんだけど、直ぐに理由は判明。修道院の真ん前の広場で、仮設舞台にスピーカー積み上げたロックだかの無料野外演奏が夜に予定されている。これ、取り止めてくれ、と事務局長は盛んに言っていたのだが、市長は共に街を盛り上げる夏の夜のイベントだからとのらりくらりで、結局、ヘンシェルQがお弟子さんたちとブラームスの六重奏を弾く時間に完全にかち合ってしまった。いやはや…

そんな冗談にもならないトラブルもあったけど、最終日の開演前には身内を集めたお誕生日パーティが修道院カフェで開催されました。ほれ。
010.JPG
なんだか結婚式みたいだけど、弦楽四重奏団って、そういうもんだもんね。
014.JPG
つづいて、クリストフのアウグスブルク音楽院時代のお弟子さんに「よく頑張ったで賞」がヘンシェルQから授与され、ご褒美は今日一緒に弾くこと。
007.JPG
かくて世も更け、今晩はせいぜいが譜面台の明るさに虫が演奏家に寄ってきて離れない程度のトラブルで(無論、向こうからドッカンドッカン、バカでっかい音でロックの響きが伝わってくる、というのはおいておいて…)、ヘンシェルQお誕生日を祝う小さな音楽祭、無事に終了致しましたとさ。
002.JPG

なお、記者会見に潜り込まされたやくぺん先生、モニカさんに「エクがここに呼ばれて、なるほどこういうものが音楽祭なのか、と納得し、日本に戻って翌年の春にながらの春音楽祭を起ち上げたんだよ」と話したら、その話は是非とも市の人に知ってもらわねば、と市広報おばさまの前に連れて行かれ、話させられました。ったらオバチャン曰く、「それはもう、姉妹音楽祭にしなきゃね!」ってさ。

今年からセカンドに座っているグレゴリーくん(まだ38歳。チェコ系アメリカ人なんだけど奥様がドイツ人で、奥さんとドイツに里帰りして仕事を探し、ヘンシェルQに加わることになったそーな)を加えたヘンシェルQ、11月には懐かしい日本で友人知人と四半世紀を祝います。モニカさんは来年の大阪国際室内楽コンクールには審査員として別の意味での里帰り。

四半世紀、長いと言えば長いし、アッという間といえばアッという間だったなぁ、婆さんや。


nice!(2)  コメント(1) 
共通テーマ:音楽

nice! 2

コメント 1

佐藤

当方プログレやらメタルやら大好きですが、
ロックの範疇でも、静かさが最重要の部分が大半の曲というのは当然少なからず存在する訳で、
彼らの多くもそういった曲を予定している際に
すぐ近くで大管弦楽の野外演奏があるなどと聞けば「頼むから止めてくれ」と思うでしょうし、
詳細を知れば理解を示す人間も少なくはないと思うのですが、
市長が悪いのか、当該バンドが無理解なのか、両方か、いずれにしても、残念ですね。

いわゆるロックの全てが好きな訳ではありませんが、素敵なバンドも数多と信じる身としては、
こういったことでその界隈大半がクラシック愛好者に嫌われる原因にならないことを願うばかりです。
by 佐藤 (2019-07-04 04:34) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。