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ゆふいん遙かなり [たびの空]

急な用事で、来週末にゆふいんまで行かねばならなくなりましたです。

隠すようなことではなく、前、というか、元湯布院音楽祭実行委員長のKさんが、お隣さんの小林道夫先生の年末恒例、上野での《ゴールドベルク変奏曲》演奏会のために出てくるついでに話をする予定だったのだけど、それが急にキャンセルになった。道夫先生の演奏会がキャンセルになったのではなく、Kさんの新帝都状況がキャンセルになった。「キャンセル料1万6000円もとられちゃいましたよ…」と仰ってる。実はK実行委員長夫人は大分の病院に勤務するお医者さんで、そちらからの強い要請で上京中止となったとのこと。えええ、なんじゃらほい、と思ってたら、昨日、こんな報道が。
https://news.yahoo.co.jp/articles/a2d9dfabcdd5d48c42d8362a896d0882c60a9642
http://www.kamenoibus.com/topic/pdf/20201206203128.pdf
ううむ、大分市内や空港と湯布院を結ぶ大動脈たる亀の井バスの運転手さんがコロナ陽性と判明したそうな。なるほど、これは大事だなぁ。

てなわけで、しょうがないからこっちから出かけて、でもK氏宅には泊まらずちゃんと別に宿を取りさっさと用事を済ませ、道夫先生の演奏会の日に間に合うように戻ってくるべーか、ということになった次第。考えてみたらアドヴェントの頃にゆふいんに行くなんて…そうだなぁ、いちどだけあったっけ。かつて音楽祭ボランティアスタッフが寝泊まりした亀の井別荘の別館というか、社長宅の隅っこに転がり込んで、冬の盆地の寒さを痛感したっけなあ。

かくて、飛行機と宿がついた格安パックを慌てて物色し、実質1日仕事にするために木曜日の午後の半端な時間でいちばん安い便で行き、土曜日の午後に戻ってくる手配をちゃっちゃっと済ませてしまう。んで、夕方になって雑務終えて、ええと、大分空港4時半着だから、6時には到着しますとKさんと宿屋には連絡を入れておこうか、飯もKさんの家に行って酒飲みながら喰らうわけにはいかんコロナ情勢だからなぁ…と空港から解体中の(多分)湯布院中央公民館の隣のバスターミナルまで行く亀の井バスだか大分交通だかの時間をチェックするかぁ、と空港のホームページを眺めたら…あれ、湯布院行きの時刻表、ページはあるけどスッカラカンじゃないの。大分駅方面行きの時刻表はちゃんと出てくるのにさ。

バタバタ調べたら、なんとまぁ、緊急事態宣言が出された4月頭から12月20日まで、湯布院バスターミナル行き空港バスは運休中だそーなっ!おおおおおお…

空港連絡バスというのはどういう時刻表表記をするのか知らないけど、定刻4時25分着となってる便に4時半と4時35分の大分行きバスが接続しているのだろう(これは荷物は預けられないなぁ)。で、別府まで行き、湯布院行きのバスに乗り換える、ということになる。ところがこれ、時刻表を見る限り別府での湯布院行き乗換は考慮されていないようで、かなり厳しい。うううむ。ちょっとでも飛行機が遅れたり、荷物出てくるのを待ってる団体さんとかいたら、空港連絡バスはいくらでも待つだろうけど、乗り継ぎ予定の湯布院行きはそんなこと知ったこっちゃなかろーに。別府で1時間の待ちになってしまうかも。

じゃあ、少し面倒だけど大分駅まで行き、久大本線に乗ってしまおうか、どうせこの日は着くだけだからさ、と思ってそっちを調べたら…ななな、なんということでしょう。
https://www.jrkyushu.co.jp/railway/notice/index.html
由布市役所がある庄内までは走ってるけど、そこから先はバス代行になってるじゃあないのぉおお!

コロナ騒動が一段落ついたかに見えた夏休み前、天ヶ瀬温泉を抜ける久大本線が大雨でやられたのは報道されましたけど
https://www.youtube.com/watch?v=tELo9mQJ51A
まさか夏休みも過ぎ秋も終わり師走になっても、まだ久大本線が復旧していないとは。観光列車で稼ぐ気まんまんのJR九州にしてこれだから、JR北海道だったらそしらぬ顔で廃線にしてしまいそうな勢いだなぁ。

庄内から湯布院までバスに乗り換えるとなると、ここだけで延々半時間もかかるようだ。そもそも久大本線はここから先は観光と免許がない高校生の通学だけの路線ですから、ある時間を過ぎればそんなに走ってないし。

てなわけで、新帝都は羽田を3時前に出て、半島隅っこの半分海上空港に4時半前に到着してから、別府の向こうに聳える由布岳麓の盆地に至るのは、上手くいっても7時前くらい。ヘタすると8時を過ぎることになりそーな。

うううううむ、なんだか、バブルの終わり頃に湯布院に通うようになった頃、まだ福岡から大分に向かう高速道路が湯布院に到達していなかった懐かしい時代に戻ったような気分になり、思わず青空文庫から中谷宇吉郎の「由布院行」なんぞ引っ張り出してしまった師走の晩なのであった。

「この道位、自動車で馳はしって気持のよい所は少いだろう。何しろ三千尺じゃくの峠を越して、由布院の盆地が二千二百尺の高さなのである。六里の高原を、一時間半自動車が走りつづける。山が急なために、道は色々に折れて、渓たにに沿いながら登って行く。アメリカの活動によく、広々した高原を見渡しながら、自動車が山腹を縫って走るところがあるが、丁度あのような所なのである。大きい岩の蔭かげで急に道が折れる時など、自動車が丁度天へ馳かけ昇るような気がする。岩を越して、その裏に脈々として続く道を見るまでは、随分冷や冷やすることもある。時々ふり返ると、別府湾がだんだん低く小さくなって行く。登りつめた頃から、周囲は茅かやの草原になる。鶴見山つるみさん、由布山のなだらかな麓ふもとに、針葉樹の黒い密林が望まれる。そして緑の高原が遠く続いて、ゆるやかな起伏に沿って、所々に黒土の道があらわれている。自動車は安心したように全速力を出す。ここまで来ると、急に空気の冷ひややかさに気が付く。」(中谷宇吉郎)
https://www.aozora.gr.jp/cards/001569/files/53209_49816.html

ゆふいん、100年経っても、やはり、遙かなり。

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