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水谷晃ゆふいん音楽祭2023を語る [ゆふいん音楽祭]

いよいよ2023ゆふいん音楽祭が今週末に迫りました。
https://i-oita.net/yufu/event/68057/
約半世紀前の地震をきっかけに始まった盆地の夏の音楽祭、2016年の熊本大分大地震を受けての再開後は、実質上、毎回ひとりの演奏家にプロデュースを託した演奏会を続けて来ました。

そして音楽祭がとうとう夏の週末に戻って来る2023年、プロデュースを任されたのは若き俊英ヴァイオリニスト水谷晃氏です。現在のiichiko文化センターが建つ場所にかつて存在した大分県立病院で生を受けた文字通りの大分っ子、桐朋学園卒業と同時に群馬交響楽団コンサートマスターに大抜擢され、東京交響楽団に移籍。水谷率いる東京交響楽団は、新ホールを拠点に首都圏で最も注目される「イン」なオーケストラとなったのは、音楽ファンなら誰もが知る事実でありましょう。

10余年のそんなコンサートマスター人生に一区切り、水谷氏は新たな活動を始める決断をしました。そして、ゆふいんという場所を次の時代に運んでくれようとしています。

あと2年で音楽祭半世紀。演奏家もスタッフも、次の世代に渡されつつあります。以下、水谷晃氏がこの夏のゆふいん音楽祭を語ります。ご一読あれ。

水谷晃ゆふいん音楽祭2023を語る

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まず一日目は、僕と道夫先生でモーツァルトのK.454の大きな変ロ長調のソナタを演奏します。それと、ゆふいん音楽祭は35回で一度終わっていますよね。その最後のプログラムとして、K.502のトリオを河野先生、道夫先生、岸邊先生で弾いてらっしゃいます。やはりもう一度ゆふいんの音楽祭を再始動するということなら、継承ということを大事にしたいので、この曲しかないというのが自分の中でありました。それを山崎先生と道夫先生で演奏します。それから、今年の秋から山崎先生が津田君とベートーヴェンのチェロ・ソナタ全曲演奏を始めるので、その中から何かを選んで弾いていただきます。

二日目は、メインとなるのがメンデルスゾーンの2番のトリオです。ちゃんと理由があるんですよ。この前ゆふいんに来たときに、隠れキリシタンのお墓を見せてもらったんです。最初に僕が演奏する無伴奏ソナタ3番も賛美歌とフーガですし、メンデルスゾーンの2番も最後は賛美歌。由布院の中心にある、西洋とのつながりを示したい。


僕は道夫先生とは共演させていただいたことはないんですよ。勿論、演奏は聴いてますけど、先頃初めてゆふいんでご挨拶をさせていただいた次第です。面白いことに、小林道夫先生と僕の師匠の小林健二先生って、同じ1933年生まれなんですよ。健二先生は2年前にお亡くなりになって、今、録音などを整理してるんですけど、そこにお二人の《春》の昔の録音とかが見つかったんです。人生のこのタイミングで小林先生と自分の師匠が組んだデュオが出てきたり、自分が実際に道夫先生と弾けたり、音楽が繋げる縁みたいなものをあらためて感じてます。健次先生もゆふいん音楽祭がとても大好きでいらした。音楽祭の古株の方とお話をさせていただいて、まさかゆふいんで自分の知らない健次先生の一面の話に触れることがあったり。そんなこと、思ってもみなかったです。

道夫先生を第1世代とするならば、山崎伸子先生は第2世代、僕らは第4か第5世代かな。道夫先生はみんなが知っていて、山崎先生も僕らの世代と深い関係にあります。僕と津田君も今、生徒を教えながらいろいろ吸収している世代。ゆふいんという凄く穏やかな時間が流れているところに滞在して音楽作りも出来るので、学びつつ、僕らも発信しつつ、上手く混ざると良いんですけどね。今年はちょっと短いですけど、来年からはそういう風にしたい。東京では出来ないものが出来るんじゃないかと期待してます。

(2023年春大分にて 文責:2023ゆふいん音楽祭実行委員会)


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