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「本気ですれば…」 [弦楽四重奏]

本日から、パシフィカQの東京都中央区ショートターム・レジデンシィが始まりました…と言いたいところなんですけど、実は、旧暦の大晦日は2月16日金曜日午後3時の段階で、パシフィカQはまだ東京湾岸地区に到着してませんっ!一昨日からの我が家での大騒ぎというのは、それなんです。

早い話、彼らが住んでる(文字通りのレジデント)イリノイ大学のあるシャンペーンというところ、シカゴからまああっすぐ南に車で2時間くらい、NY・ボストンよりは近いくらいの距離なんだけど、火曜日にシカゴ経由で成田に向かおうとしたら、飛行機が大雪で飛ばなくなった。で、1日遅らせ、成田から日本橋に直行してローカルFM局収録、というオソロシイ予定になった。ま、奴らならやれる。うん。

でも、1日延ばしてもシャンペーンの小さな空港は閉鎖が続いている。これはダメだ、と車でシカゴはオヘア空港まで向かうことにした。オヘアは流石に世界一デカイ空港、ちゃんと飛んでます。小さな子供を連れてるので、無茶はできないから、余裕を持って出かけたんだけど、大雪のおかげでハイウェイのあちこちで車がクルクル回転してたり、ひっくり返ったり、トラックが衝突して放置されてたりで、途中から大渋滞。で、昨日の東京行きの出発が迫る。なんとかギリギリにオヘアには着いたが、もう出発時間、とそこにいる登場予定機に乗せてくれない。チェロのブランドンは、東京で直ぐに仕事があるのだ、と頑張って机を叩いたが、ダメであったぁ。

かくて、辛うじて間に合った第2ヴァイオリンのシッビだけを乗せたアメリカン航空は、強い偏西風に押されながら昨日木曜日夕方に成田に到着。当然ながら、受け入れる晴海のNPOトリトン・アーツ・ネットワークはもう大騒動。なにせ、金曜日の朝10時から、水天宮の東京シティ・エア・ターミナル裏の小学校にアウトリーチがある。夕方には晴海総合高校生徒会主催のイベントに招かれている。さあああ、どーするどーする!

ここであった様々な騒動、緊急事態をMディレクターがどうやって切り抜けたか、急遽召集された「アウトリーチ界の女ターミネーター」田村緑さんとシッビが昨晩落ち合い、曲を決め、練習をし、いかにしてスペシャル・アウトリーチ・プログラムを緊急に完成させたか、それを語ればその筋の関係者諸氏はこのNPOの瞬発力に驚嘆し腰を抜かすであろーが、ま、それは語りません。ともかく、今日の午前10時、無事に中央区立の某小学校の音楽室で、「シッビ・パーンハートソンさん&田村緑さん」のアウトリーチコンサートが行われました。さりげなく手元にある刷り物だって、この12時間以内に作られたものなんだよなぁ。いやはや。

アウトリーチの中身はまた別のところに報告書を書くので、それはそれ。以下、まるで別の話。

音楽室にはいろんなものが張ってあります。「チェロの弾き方」なんて、いきなり川向こうの直ぐそこに住んでるチェリストM.Fさんの写真があったり。んで、極めつけを2点。


苦労人のあなたに真っ正面向いて言われると、説得力があるっつ。「すべてのことができる」じゃあなく、「大抵のことができる」なのが、妙に謙虚だなぁ。(それにしても、どうして音楽室って、必ずグラモフォンがタダでくれる白黒の演奏家カレンダーが貼ってあるんだろーか?)

じょーだんはさておき、貴重なのはこっち。

は、はちゃとぅーりあんが日本の子供らを指揮してます!

びっくりして、音楽の先生に「この学校にハチャトリアンが来たんですか」と尋ねたら、「いいえ、うちじゃなくて、世田谷の三宿小学校なんです」とのことでした。いずれにせよ、讀響振ったりした1973年の来日の時のことなんだろうなぁ。この頃は「アウトリーチ」なんて言わなかったんだろうけど。「大作曲家ハチャトゥリアン氏、小学校訪問」なんて大騒ぎになったのかしら。

以上、どーでもいい話ふたつでした。さて、運河の向こうの高校に行かねば。シッビが生徒会主催の「パシフィカQと語る会」に、ひとりで参加しますっつ。なお、明日のモーツァルト協会の演奏会からは、ちゃんと4人になりますので、ご安心を。

                            ※※

午後5時前、シッビがひとりで高校生の前でバッハ弾き、パガニーニ弾き、30分も質疑応答に応え、孤軍奮闘の戦いをしている中に、パシフィカQの残り3人が成田から直接晴海高に到着しました。えびちゃんみたいなキュートな生徒会長から「今、新木場近辺を走ってます」という緊急アナウンスがあるや、100人ほどの高校生や先生、親御さんなどから大喝采。
やがて大拍手の中を到着した3人は、おもむろに楽器を取り出し、譜面台を出し、ブランドンが「こんなクレイジーな旅はありませんでした、でも、無事に来れて嬉しいです、今日の演奏は忘れないよ」とひとくさり、で、ぎゅぃいいいん、っとピアソラの「フォー・フォー・タンゴ」を一発!もう会場はやんやの大喝采でありましたとさ。そー、本気で行けば、大抵のところには行ける!

さても、本気で21世紀の世界制覇を目指すパシフィカQ、野望達成前にお試しにお聴きになりたい方は、火曜日の昼に旧GHQの1階でロビコンがありますので、そちらへどうぞ。
ちなみに、高校生に尋ねられてシッビが応えたところによれば、「毎日の練習時間は、クァルテットとして5時間、個人としては更に1時間半くらい」とのこと。「クァルテット」を気楽に名乗る若者たちよ、これが本気で世界を取りに行く連中の生活なんだよ!


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