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横浜版《浜辺のアインシュタイン》上演概要発表 [現代音楽]

神奈川県民ホールさんからリリースが来ました。10月になんと、《浜辺のアインシュタイン》をやるそうな。〈一部の繰り返しを省略したオリジナルバージョン/新制作/歌詞原語・台詞日本語上演〉だそうです。
https://www.kanagawa-kenminhall.com/d/50th-opera1

うううむ、この広報文章というか、公式ページの作文をした人が誰なのか判らんので、そもそもこの作品を他人様に説明しようとするとどれくらいめんどーな、ってか、ほぼ絶望的に無理な作業であると判った上で「まあ、こう書くしかないよなぁ」と腹をくくってこの作文をやってるのか、見当も付かないのだけど、キャストやスタッフの表記の仕方などからなんとなく判るのは…

★俳優さんやらがしっかり出てくるようなので、所謂「ロバート・ウィルソン初演版、第2次、第3次改定版などのオーセンティック版とされる舞台のコピー上演」ではない。だから、Blu-rayになってる舞台を観られると思ってはいけません。まるっきり違うものです。

★音楽はフィリップ・グラスの譜面を使うが、恐らくは舞踏が猛烈に長い辺りをカットするのであろう。演出家が舞踏の方なので、舞踏シーンが作られていく過程でカットの量が決まってくるんだろーなぁ。ホールの自主公演でどんだけ長くなっても問題ないし、昼過ぎから始めるなら最長でも冬の日暮れ過ぎには終わるだろうし。

★「歌詞」と「台本」が別にされているって、どういうことなのかしら?どれが歌詞でどれが台本かって、はっきりと判る部分を強引に探せば、最後のバス運転手のモノローグが「台本」かしらね。バスの旅の人が俳優としてキャスティングされてるのは、思わず爆笑してしまったぞ。この作品、永遠にも思える数時間をボーッと眺めて、文字通り時間と空間の感覚がぐちゃぐちゃにおかしくなってしまった最後の最後に、バス運転手が若い恋人達の物語を語る。と、なんでかわからんが、まるで「ヴォータンの告別」くらいに感動するわけですよ。作った側がそういう「感動」を求めていたかっていえば、恐らくそうじゃないんでしょーが、結果としてものすごおおおおく「感動」する。ああああ、E=MC2、時間と空間が入れこになって宇宙が消えていくぅ、ってね。そこを「あるよぉ」の方がやるって…ううううむ。

★幸いにして演出が舞台系の方ではないので、一昨年のジュネーヴ版みたいな中途半端に思わせぶりな「お話」でっち上げはないでしょう。
https://yakupen.blog.ss-blog.jp/2020-04-15
ただ、「台詞」を日本語にするのは、法廷のところで喋られるわけわからん、わざわざ意味が判らないように言葉が並んでるナレーションが日本語になって流れる、ということなんでしょうかねぇ。ドルトムントがやった「舞踏を一切落として、ドイツ語のナレーションを新たにガンガン突っ込む」なんて荒技は
https://yakupen.blog.ss-blog.jp/2017-06-04
この演出家さんにはやれってもやれないでしょうけど。

無駄なお節介とはいえ、「オペラ」という言葉をこの作品に用いるのは、「黒海艦隊旗艦」ってのと同じくらい罪作り、まるで誤った印象を与えると思うんですが…まあ、他になんとも言いようがないですから、こればっかりはしょーがないのかしら。

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