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夏の終わりのシェーンベルク [音楽業界]

なにしろ主催者さんが文化庁だからこのご時世で開催されるのかなんとも判らないなぁ、と思いつつ、オケ連さんからもなにも行ってこないので、仮オフィスへの徒歩通勤の途中のコンビニに寄ってともかくチケットを確保しようとしたら、みんな同じ事を思っているのか可哀想なくらいまだたくさんのチケットがありそうな気配の演奏会があります。んなので、無責任な当電子壁新聞らしく、何食わぬ顔で宣伝します。お仕事でも何でも無い、単に「これじゃもったいないだろーに」ってお節介。

ニッポン国御上が自ら主催者となって、日本各地にオーケストラの響きを広めてやろーじゃないか、という壮大な企画であります。実質の運営をやっているオケ連さんのページから能書きをまんまコピペすると、「『オーケストラ・キャラバン47』は、文化庁の「大規模かつ質の高い文化芸術活動を核としたアートキャラバン事業」の一環です。文化芸術の重要性や魅力を発信し、体感して頂くことにより、コロナ禍の萎縮効果を乗り越え、地域の文化芸術の振興を推進する目的で開催されます。 全国37会場、47公演をお届けいたします。 お住まいの地域をクリックして是非ご覧ください。」へええええ…なんで函館以北の北海道、それに九州には全然キャラバンは来ないのか、ちょっと不思議だけどさ。
https://www.orchestra.or.jp/caravan2021/

関東地方は、オリパラ祭りの間の寂しいお盆の新帝都を盛り上げようというのかしら、秋のアジア各国からのオーケストラを集めるシリーズのお盆企画みたいな感じで、来週の火曜日から金曜日まで連日4日間ぶっ続けでオペラシティに大阪仙台名古屋のオーケストラを招聘して開催されることになってる。これ専用のチラシまであったりして。
https://www.nhk-p.co.jp/event/detail.php?id=1671

大いに盛り上がって良い筈の企画なんだけど、うううむ、どうもあまり盛り上がってる感はないなぁ。ミューザ川崎の夏祭りが奇跡的に一切の事故もなく無事に終了した後だから、ということでもあるまいが、なんだかちょっと不思議な空気が漂ってるのは否めない。だってねぇ、五輪騒動が終わったと思ったら一転、家から出るな、デパ地下行くな、帰省なんて滅相もない、ということになってるわけで、そんな新帝都は都庁のお膝元に日本各地からオケがやってくる、と言われてもなぁ…

そんなわけで、この企画そのものが静かにキャンセルになったのかと思ってもいたんだが、そういうことでもないよーだ。それなら、万全のコロナ対策をし、なんとでも足を運ばねばならぬ演奏会があるではないかぁ。そう、この演奏会ですっ!
http://sym.jp/publics/index/637/

いかがでありましょうか、マーラー、シュトラウス、ツェムリンスキー、シュレーカー、はたまたヴァーグナーから山田耕筰くらいまで、そんなもんをお好きな方ならば絶対に聴き逃すことなど出来ない貴重な演目の極めて貴重なライヴでの演奏、シェーンベルクの作品8全曲が披露されるのでありますよ。

こんな曲だからググってwikiでも眺めてくれ、で済ませたいが、今、やってみたら、意外にもこの作品に関しては日本語に限らず殆ど情報がありませんね。ユニヴェルサールの楽譜売ってるページの解説が、いちばん面倒がなさそう。
https://www.universaledition.com/6-orchestral-songs-for-voice-and-orchestra-schoenberg-arnold-ue34794
なんとまぁ、YouTubeにオーケストラ総譜付きで音が挙がってます。ほれ。

なんとか生活が出来そうだと世紀転換直後のベルリンに乗り込んだシェーンベルク、あの人気曲《キャバレー・ソング》なんぞを残した滞在を終え、些か不遇なままにヴィーンに戻って来たところで手がけた、マーラーやシュトラウス、ツェムリンスキーに範を取ったオリジナル管弦楽伴奏のソプラノの為の歌曲集。ちょっと後になるけど、ベルクの《アルテンベルク歌曲集》なんかにより近いかな。いかにもこの時代を反映した、でも所謂無調の「ゲンダイオンガク」になる前の世紀末ドロドロ濃密な世界(…とも、ちょっと違うけどね)。《グレの歌》やら《浄夜》やらの世界とほぼ(あくまでも、ほぼ、だけどさ)同じ。

ほら、聴きたいでしょ。いかなこれだけのマーラー・ブームになったとはいえ、日本のオーケストラの定期では殆どやられてない。まさか日本初演ということはないと思うし、若杉氏なんぞがいかにもやってそうだけど、どうなのかしら。メゾソプラノじゃないからなぁ。

もの凄く貴重な機会ですし、月末の《ルル》の予習にもなりそうですから、ご関心の向きは是非とも来週の木曜日、オペラシティへどうぞ。こういうものをサラッとやれちゃうのが、こういうオーケストラ・フェスティバルの有り難いところなんだわなぁ。

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