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アルバン・ベルク弦楽四重奏団解散 [弦楽四重奏]

今、露地を出たところのご町内区議会議員さん仮設事務所に顔を出して、「ともかく気を付けてくれ」とだけ申して参りました。なんせ、この住吉神社の御神域近辺、もうひとつのスミヨシさんも本場ですから。
昨日から(財)地域創造の音活研修会を東京でやっていて、各地の市立市民会館をやってる財団の若い連中なんぞがゴッソリ赤坂に出てきており、長崎市長襲撃はみんな他人事ではない。長崎市は音活2年目だったために来てなかったそうだけど、長崎市音楽アドヴァイザーをしているコーディネーター氏は、午後9時前くらいから盛んに連絡を取っていたとのこと(現地も何も情報はなく、テレビ3台付けっぱなしにする以外に何もなかったらしい)。うちの嫁さんも長崎市で仕事したし、小生も年に1度くらい長崎市の財団のための作文仕事してますし。
VTの惨劇といい、どうも「○○○○に刃物」系の話が続くなぁ。「だから俺たちにも銃を持たせろ」という議論にならぬと良いけど。

もとい。で、今日はその(財)地域創造の研修会2日目で、晴海で「平成19年度公共ホール音楽活性化事業公開プレゼンテーション」なるものがあるので、昼から見物にいかねばならぬ。奈良希愛(ピアノ)、小野明子(ヴァイオリン)、早稲田桜子(ヴァイオリン)、荒川洋(フルート)、加藤直明(トロンボーン)、大熊理津子(マリンバ)、益田正洋(ギター)、江崎浩司(リコーダー)、片岡リサ(箏・地唄三味線)、渡邊史(ソプラノ)、Duo Yamaguchi/山口博明・山口真由美(ピアノ&チェロ)、Quartet・SPIRITUS(サクソフォーン四重奏)、以上の本年度地域創造音楽活性化事業登録アーティストが、各地の公共ホール担当者にアウトリーチや自分らが地域の音楽活動のために何が出来るかのプレゼンテーションをする、まあ一種の公開オーディションです。残念ながら公開の部分はもう締め切りなんですけど、公共文化財団職員というのはこういうこともしているのだ、という事実だけはお伝えしておきましょ。

                           ※

もといもとい。で、で、やっと本論。先月、アルテミスQのブラームス&ヴェーベルン全曲演奏会を見物に香港まで出かけ、地下鉄終点駅前のスーパーマーケット食品売り場にいたら、携帯がブーブー震えた。東京からの連絡で、「アルバン・ベルクQの解散が正式に発表になって…」というもの。で、そのことに関連し、アルテミスQに直接訊ねたいことがあるので、今晩ちょっと捕まえて訊いといてくれない、という緊急連絡でした。

ハンブルグのABQ事務所担当者にリリースをよこせと連絡したら「特別のリリースは出さないわよ」って調子で、ま、それほど盛り上げようという気はないみたい。別に秘密にしていたわけではないのですけど、なんで今日出しているかというと、本日発売の「音楽の友」5月号に小生が書いてる記事がこの事実に触れている。恐らくは日本語紙媒体では最初に出る公式情報だろうから、そこまでは伏せておいたわけです。お暇な方は、ご覧あれ。結果として香港まで出かけたアルテミスQの記述が飛んでしまってます。ま、師匠のことだから弟子は諦めてくれたまえ。

なお、アルバン・ベルクQは、5月下旬、香港、台北、カオシュン、ソウルと東アジアツアーをします(日本には世界中から音楽家がいくらでも来る、などと思ってらっしゃる皆さん、この数年、日本国のマーケットとしての魅力は急落しており、このように日本にだけは来ない有名演奏家アジア演奏旅行は珍しくなくなってますよ、もう日本国はアジアの特別な国ではなくなってます)。香港はアルテミスがやったのと同じく香港島のシティ・ホール音楽堂、台北はあのバカでっかい蒋介石記念公演のコンサートホール、カオシュンは知らぬ。で、ソウルはやっぱりあのバカでっかいアーツセンターの大ホールで、「アルバン・ベルクQ最終公演」とでっかく記しています。
ABQの今シーズンと来シーズンのプログラムはふたつしかなく、ヨーロッパでやってるプログラムにはなんとなんと、シェーンベルクの第3番が入ってる。シェーンベルクをやるなら台北かソウルまで出かけるんだけど、どうやらアジアツアーはハイドン、リーム(カクシュカの想い出に)、それに「大フーガ」付きの作品130、というもうひとつのプログラムだけみたい。しょーがないなぁ、6月にヨーロッパに往くときにどっかで捕まえなきゃならん。面倒だ。ソウルの案内はこちら。http://www.sac.or.kr/eng/bannerPage.jsp?htmlURL=/eng/lab2007/albanberg/index.html

日本でのサヨナラ公演は、ええと、まだ公式に発表がないから、書くわけにはいかん。予定はされてる、くらいは洩らしてもいいのかしら。←この情報、まだ聞かなかったことにしてください。「音楽の友」誌でご覧になっていない皆様は、ブログで書き立てたり、ABQの日本のマネージャーに電話したりしないよーに。チンピラ三流ライターがブログで流したアヤシイ情報なんですからね。

蛇足ながら、ソウルのアーツセンターは、今月の頭から23日まで、「韓国地方都市オーケストラ・フェスティバル」をぶち抜いてます。すみだトリフォニーどころじゃない、空前の規模ですね。これも紹介しようとして、ずっと忘れちゃってた。もう4月も後半じゃないか。おおおお。


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データ・インフォメーション・インテリジェンス [売文稼業]

本日も読者対象は数人、殆どの方々にはなーんの関心もない売文商売の技術的な愚痴話です。お忙しい方はさっさとお仕事にお帰り下さい。

さても、この数日やってる商売で、毎度ながらの困ったことが起きてます。非常に単純、「一次証言の食い違い」です。

記憶の混乱も当然なほど過去のこととか、発言者の立場によって見え方が異なって当然なこととか、じゃあない。単なる事実関係の食い違い。その日は晴れてたか雨だったか、とか、目の前を歩いているのはハムスターなのか栗鼠なのか、とか、そんなもんです。

具体的な内容を書けないのがもどかしいんだけ…ちょっとだけ記せば、この数日、某町有名演奏家のインタビューのテープ起こしをしており日本語訳で原稿用紙40枚以上の量になった。ふうううううう。んで、勿論、こういう作業では相手の発言を信用しないわけではないのだけど、なんせ目の前に資料があって喋って下さったことではないだけに、細かいデータの記憶違いなどがないとも限らない。だから、「おや」っと思ったことは、チェックをするわけですね。

今回のインタビュー相手くらいの巨匠になると、記憶違いなどが発見されても、特にマネージャーや本人に確認することもなく、正しいデータに差し替えてしまいます。なぜならば、有名人だけに本人の証言以外のデータがそれなりに残っていて、正確さの客観的評価が可能だから。
これが新人だったり、無名の大物だったりすると、喋ってる内容の検証なりチェックができないので、全面的に相手の話を信用する以外にない。ま、それはそれ。だって、「違ってるぞ」と読者に突っ込まれることもな~いもん。←なんて悪辣なっ!

んで、何が困ったって、某名演奏家K.L氏の仰ることと、その演奏家のCDを作っているプロデューサーI氏が御本人のホームページで日記風に書いていることとが、どうも微妙に違う。←もろばれ…
時期が違うのならば、「ああ、こういう話だったのが、結局はこうなったのか」と思うことも出来るが、筆者が演奏家にインタビューした時期と某有名プロデューサー氏がウェブ上に記述している時期が殆どいっしょ。この短い数日の間に両者が会って、話し合いをして、ある方向に決まった、というならばそれはそれで良い(記事としては、日付が1日でも新しい方を用いる)。でも、某プロデューサー氏が日記のように記しているウェブの内容では、そんな形跡はない。

うううん、困るなぁ。つまり、こうなると、このデータはどちらが事実として正しいかまるで判らないので、記事には使えない。「じゃあ、ふたりにもう一度聞いてみれば良いじゃないか」と思うでしょ。そりゃ正論なんですけどね…でも、録音プロデューサーは商品を企画制作する責任者だから、アーティストとはまた違った複雑な思惑があり、敢えて演奏家の思っていることとは違うと知りつつこのような言い方をしているのかもしれない。うううん、両者の間の微妙な駆け引きがあるとしたら、そんなもんには巻き込まれたくないぞ。

いやはや。困る。

昨今、ウェブによるアーティストや業界関係者の直接の情報流出が常識になりつつあります。無論、この際、編集者はいないから、その情報をコントロールしているのは発言者本人だけになります。
さても、そんな状況に於いて、ある情報はデータとしての一次情報なのか、それともデータの並べ替えや整理をしたインフォメーションなのか、はたまた価値的な意味付けをされたインテリジェンスなのか?どう判断すべきなのか?うううううううん。

ジャーナリストという商売とすれば、有難い反面、難しいことも増えている21世紀初頭のウェブ社会だなぁ、と思うのでありました。以上、愚痴はオシマイ。働け、あたし!


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祝辞:このうたはきみたちに [音楽業界]


茂木大輔アンサンブルが「恋とはどんなものかしら」を吹き
吉野直子がグランジャニーをはじき
松原勝也&鈴木理恵子がバルトークとピアソラを叩き
藤森亮一&向山佳絵子がバッハ=グノーの「アヴェ・マリア」を歌うとき
君たちが座って聴いていることなんて
この先の人生にもうないだろう

だって君たちは裏方なんだもの

この人たちにとって君たちは空気みたいなものさ
空気がなければ鳥だって飛べないんだけど
そんなこと鳥は考えちゃいない

それはそれでいい

つぎに彼らが君たちのために歌うのは
何十年かのあとのことで
そのときの君は花に飾られた写真の中
どっちかひとりはそんな歌を耳にするだろうけど
たぶん…聴いてなんていられないだろうし

だから今日だけは
下手に据えられた雛壇の上から
鳥たちの歌を聴きたまえ
司会者が「恵理子」と言い間違えようと
鳥たちの歌なんてちっとも特別に思わぬ元ボスたちが酔って嬌声を発していようと
ヴァイオリニストの椅子の位置がばみりからずれていようと
走ってって直してはいけません

澄んで羽を伸ばしやすい空気が都会から減っていくように
きちんとしたマネージャーは絶滅危惧種
鳥たちの飛び方を仕切りたがる輩ばかりになってきて
空はドンドン飛びにくくなってきてる

Maruta&Yukiが
鳥たちに上昇気流をタップリ与え
どこまでも高く飛んでいけて
どこまでも響く歌を心おきなく奏でられるような
あたりまえのちゃんとした大気になれますように

2007年卯月吉日 地上を這いずるPenguin夫妻より


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シモン・ゴールドベルク・メモリアル07 [シモン・ゴールドベルク・メモリアル]

新しいカテゴリーを立てます。「シモン・ゴールドベルク・メモリアル」です。

来る9月9日から、富山県魚津市天神山交流館をメイン会場に、「シモン・ゴールドベルク・メモリアル07」が開催されます。
内容は、基本的にはセミナーです。演奏会としましては、セミナー支援者の皆様に対するお礼という形でのコンサート、それに富山県立近代美術館に寄贈されたゴールドベルク・コレクションと関連しての美術館コンサートが予定されております。

音楽アドヴァイザーには、1950年代にアスペンでシモン・ゴールドベルク氏に指導を受けたヴァイオリニスト小林健次氏が就任いたします。他にも日本でゴールドベルク氏の薫陶を受けた音楽家が協力し、3月27日に実行委員会が組織されました。

公式ホームページが出来るまで、情報は当電子壁新聞にて追って報告いたします。

なお、誠にタイミング良く、フィリップスに録音されたゴールドベルク氏オランダ室内管弦楽団時代の録音がセットで再発売されるそうです。
http://www.hmv.co.jp/news/article/704120050
これまで存在も殆ど知られていなかった声楽録音の他、ハイドンの鍵盤協奏曲のピアノとチェンバロでの録音など、オランダがピリオド楽器演奏の拠点となっていくプロセスでどのような活動が行われていたのか、ピリオド演奏ファンの皆様にも関心が高い内容かも。ご存じの通り、ビルスマなどは若い頃はゴールドベルクの下でバッハやハイドンを身に付けていったわけですから。

残念ながら、ミヨーなど近代物は含まれておりません。ゴールドベルク翁が唯一遺したバッハのカンタータ録音も、このセットには含まれておりません。で、上述のHMVホームページには、その部分をフォローするような情報が上がっておりますので、ご関心の向きはそちらもどうぞ。

なお、昨年開催されました「こしのくに音楽祭」に関しましては、「こしのくに音楽祭」というカテゴリーはこちらには吸収せず、アルヒーフとして遺します。必要な方はそちらを参照下さい。


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アウトリーチ報道でのタブー:実践編 [音楽業界]

昨日の当電子壁新聞記事に対し、個人メールへの反応がいくつかありました。で、どうも案外と世の中には報道関係というか、ものを伝えるという商売に従事なさっている方でも基本的原則をご存じない方もいるようで、非常にビックリしてます。

晴海を拠点に中央区や湾岸地区のアウトリーチを定款のひとつに活動するNPOトリトン・アーツ・ネットワークが、先頃やっと出版した『アウトリーチ・ハンドブック』でも、この問題は取り上げる予定があったそうです。http://blog.so-net.ne.jp/yakupen/archive/20070131なんのかんので触れられなかったのは、この冊子にとって残念なことでした。「アウトリーチの広報をどうするか」は、NPOなど「スポンサーからお金を貰ってこないとやれない団体」とすれば、非常に重要なことですからね。改訂版をつくることがあれば、この辺りはきっちり詰めて欲しいなぁ。

なお、このハンドブックでも、掲載写真を巡って、アウトリーチ先、特に学校の先生とは綿密なやり取りをしたそうです。編集側が使いたいような「良い写真」の殆どが、学校側からの要請でボツになったとのこと。だって、表紙だって、カッコ良さを第一とする昨今のデザイナーさんならば一発でボツにするようなダサさでしょ。でも、この写真でなければならない。

どうしてか、判りますかぁ。

さて、というわけで、結果的に素人ながらフォト・ジャーナリスト的な動きをせねばならぬことが多い小生の具体例をお見せして、ご理解いただきましょう。2月のパシフィカQによる中央区アウトリーチのときの写真。作文の問題ではなく、あくまでも写真の問題なので、「売文家業」カテゴリーではなく「音楽業界」にしておきます。

まずこの写真。ご覧あれ。

この写真はギリギリOKです。もうちょっと右に振ったら完全にアウト。まあ、このくらいなら、右側の被写体がもうちょっと入っても、横3センチくらいまでの小さな図像ならOKかもね。

この日、小生は50ショットくらいは撮ってます。で、実際にNPOが広報に使ってるのは、このショットだけです。他は参考用で、絶対に外には出しません。ほれ。

しろーとが撮ったものとすればなかなか使えるかな、というくらいのものですね。残念なのは、シッビの顔が入ってないこと。でも、シミンの表情が良いし、いかにもアウトリーチで弦楽器の弓の説明をしてます、ってのが判りますから、そこは諦めましょう。なんせプロがやってる仕事じゃないんだから、その瞬間にファインダーの中の全てに意識を巡らすなんて不可能だもん。

で、もうひとつ。別の学校の体育館。演奏家の背後から撮影し、それでもアウトリーチだと判る、ある意味でとっても珍しい1枚。問題の朝日新聞の写真と似た構造ですけど、このショットなら使えます。ちょっと趣味的なアングルになるので、アウトリーチの状況の説明というよりも、いくつも写真を散らばらせて紙面を作るときなどに用いるくらいでしょうけどねぇ。実際、これは使われなかったんじゃないかな。

いかがですか、以上の3例で、アウトリーチ報道写真のタブーがお判りいただけたと思います。全てのショットに共通なことはなにか、そして、昨日お伝えした朝日新聞の、プロカメラマンが撮影しているけど、まともな編集者ならば絶対に掲載しないはずのショットとの違いはなにか。

最後に、非常に珍しい例。

昨年暮れ、ハノイの盲学校にミドリさんチームがアウトリーチしたときのもの。このようなショットを撮って堂々と発表するのは、日本や北米では不可能でしょう。無論、南米なんぞはもっとダメでしょう(ヨーロッパはアウトリーチという概念が殆どないから、議論しても意味がない)。
ヴェトナムの場合、「ここはこのような子供らを預かっている場所です」と施設そのものが世間に広報する必要がある。だからこれでもOKなんですね。
この後に訪れたホーチミン市郊外のNGO施設など、施設で育っている子供達の写真を広報用として渡されたほどでした。残念ながら、この施設が下さった写真は、日本のメディアでは絶対に使えません。理由は、ここで議論していることと正反対。現在の日本の商業メディア(皆さん、「商業メディア」を「マスコミ」と呼称するのは、「売春」を「援助交際」と呼ぶのと同じですよ)は、読者や消費者に不快感や不安感を与えるようなショットは一切掲載しないからです。
戦争報道だって、自軍兵の死体や、自軍兵が殺した住民などは絶対に晒しませんからね。「嫌なモノは事実であれ隠し、見ないようにし、存在しないものとし、あると言い立てる者は黙殺若しくは排除攻撃する」--今の日本語文化圏はそういう社会なんです。貴方が商業メディアを経由して接している全ての情報は、きっちりコントロールされたものなんですよ。
良い悪いの問題じゃなく、事実としてそうなんだから、あたしに文句を言ってもダメ。

おっと、話が別の方向にぶっ飛びそうなんで、これでオシマイ。本日はかなり本気のレクチャーモードでした。


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アウトリーチ報道でのタブー [音楽業界]

「売文家業」か「音楽業界」か、カテゴリー分類に迷うところだけど、ともかく、大事なこと。

当電子壁新聞は、アートマネージメントの学生さんなどもご覧になってる可能性が高いので、「余りに常識過ぎて誰も語らないおかげで、ことによると常識と知らないままでいるかもしれないこと」を記します。

昨日の朝日新聞電子版に、こんな記事が出ました。
http://www.asahi.com/life/update/0412/TKY200704110354.html
今朝からまだ朝刊すらだに手にしてないので、果たして紙媒体(多分掲載されたとしても東京ローカル欄でしょうが)でどのように扱われているか知らない。また、他のメディアが伝えているかも知らない。なんにせよ、ほぼ丸1日経った12日夕方の今となっても、ウェブには挙がってますね。削除を求めた人が誰もいない、ということなんだろうなぁ。

この記事、というか、この掲載データ、非常に危険です。アウトリーチの報道としては、最もやってはならないタブーを犯してます。お判りになりますでしょうか。

ええ、まず、このようなアウトリーチ活動は、そもそも報道すべきなのか、という大きな問題がります。ヴィーンフィル(というか、これはトヨタがやってる、ヴィーンの複数主要オケ首席などを集めて編成した臨時団体ですね)の側とすれば、特に広報する意味はない。そもそも、ヴィーンを筆頭とするヨーロッパ系の楽人には「アウトリーチ」という概念がほぼ皆無ですし。
この記事は、このトヨタさんのイベントを取り仕切ってる代理店か、広報を請け負ってる会社がメディアに仕掛けた結果でしょう。アウトリーチを日常的に行ってる財団やNPOの広報が仕切ってる仕事ではないのでしょうね。

実を申しますと、所雑の事情で、小生はこのトヨタ・マスターズの日程表を目にしてます(取材をするからじゃありませんから、ご安心を)。それによれば、東京と名古屋でイベントの中心メンバーが確かにアウトリーチをすることが記されてます。小生が見ているのはヴィーンから参加する演奏家用の日程表だから、記されていて当然です。でも、普通は、プレス側がアウトリーチの日程を知ることはありません。アウトリーチがあるぞ、と教えられなければ、判らない(地元ケーブルテレビなどのホントのローカルメディアは、アウトリーチされる側からの情報が入る可能性があるから、話は別)。アウトリーチする側が新聞に情報を流し、取材させたとしか考えられませんね。

まあ、ある意味、トヨタさんは報道して欲しいだろうから、それはそれで良いでしょう。このアウトリーチを報道するのだ、というはっきりした意志があった、ということ。そこまではいいにしても、この記事のマズイ点は、「掲載写真で子どもの顔が特定できる」ことにあります。まともな主催者側広報ならば、この写真を見た瞬間に、朝日新聞に厳重抗議し、直ぐに差し替えるか、削除してもらうのが常識です。

どうしてかは敢えて記しません。ただ、ニューヨークでもどこでも、ある程度以上規模のデカイ都市の場合、そんな常識があると覚えておいてください。理由は考えてください。あ、考えた結果をコメント欄に書いたりしないでくださいね。

天下の朝日さんがこんな風に堂々と出しているように、そんなアウトリーチ報道の基本的常識を弁えない編集の人たちがいます。残念ながら、います。それどころか、「子どもの喜んでいる写真が欲しい」などと素っ頓狂で非常識なことを言うとーしろー編集者すらいる。昨年の「こしのくに音楽祭」では、地元主催者側が地元テレビメディアに子供らの顔を真っ正面からとらせようとして、プロデューサーがそれを阻止しようとし、険悪な空気になったこともありましたっけ。

「子どもが喜んでるところを見せるのは宣伝になる」、「子どもが喜んでる絵を取ってこないと、放送にならない」、どんなにそんな風に主張されても、ダメなんです。

はっきりいえば、「アウトリーチという活動は、原則的に不特定多数相手の報道はしない」のが常識と思ってください。スポンサー対応などで、どうしても広報せざるを得ない場合は、慎重に各方面への配慮をし、ホントのプロのレポーターを入れるべきです。

なんか隔靴掻痒で困るなぁ。とにもかくにも、今日はそれだけ。ここで記していることの意味が全然判らない、という方は、アウトリーチ活動には関わらないこと。これ、本音。冗談や皮肉じゃないよ。

追記:深夜過ぎに佃オフィスから厄偏庵に戻ってきて、ようやう朝刊を開き、腰を抜かしました。「ののちゃん」の斜め下に、どっかーんと写真が掲載されてるじゃないの!それどころか、この写真、演奏家の裏にまわり込み、演奏家たちはピントを外し、聴衆の子供達の表情を真っ正面から撮ってるじゃないの!完全な確信犯じゃないの!学校の先生、これ、即刻抗議した方が良いですよ。恐らく、昨日の朝から、学校の内部ではみんな頭抱えてるか、朝日新聞を罵倒してるはずでしょ。学校で文句言っててもダメです。直接、新聞社に抗議すべし。いやはや、でんなぁ。


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ジョシュア・ベル通勤客に黙殺さる [演奏家]

昨日、某所から配信されたニュースが余りにも滑稽なものだから、当電子壁新聞に勝手に貼り付けます。

ええ、オリジナルは、この前の日曜日のワシントンポストです。記事そのものは無論英文ですけど、読むのが面倒だという方も騙されたと思って記事の真ん中に貼り付けられた動画をご覧あれ。ほれ。http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2007/04/04/AR2007040401721.html

要は、「純粋に芸術の力のみでアーティストはどこまで無関心と戦えるか」という実験です。

ジョシュア・ベルが、ラッシュアワーのワシントンDCの地下鉄ランファン・プラザ(スミソニアンに行くときに下車するDCのど真ん中の駅、東京なら大手町駅みたいなところ)でストリートミュージシャンを本気でやったらどれくらい稼げるか、というもの。もー、嬉しくなっちゃうようなオバカ企画ですな。なんだか「探偵ナイトスクープ」みたいだなぁ。小枝かなんかが出てきそう。

で、結果は、記事でご覧の通り。「43 minutes of playing was $32.17」だそうな。正直、結構な額だなぁ、と小生は思ったですよ。この売上高に関して、ストリートミュージシャン諸君、大道芸人諸君、若しくは若い芸人さん、ご感想お寄せ願いたいですな。

ベルは「このくらい稼げるなら、いいかもね」なんて感想を述べてるのは爆笑。「♪ちゃんちゃん」ってエンディングの音が聞こえるぞ。

この実験、日本でもやらんかなぁ。それこそ誰か「探偵ナイトスクープ」に調査依頼してくれませんかね。え、東京では…JRも東京メトロもラッシュ時どころか、基本的に駅構内ストリートミュージシャンを許してませんからねぇ。なんせ今や商業イベントならばなんでもありの日本国、大手町駅なんぞでやろうもんなら、ああ「ラ・フォル・ジュルネ」のプレイベントか、って思われちゃうだろうし。案外、純粋な実験は難しいかも。

そうそう、げーじゅつに理解あるイシハラ知事が率いる都営地下鉄ならばOKかな。ちゃんちゃん。


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クラシック音楽サイト日本発海外版の現状(簡易版) [音楽業界]

先月の末、こんなお願いをしたことがあります。
http://blog.so-net.ne.jp/yakupen/2007-03-23
何人かの方から、コメント欄やら個人メール宛やらへの反応をいただきました。幸か不幸か、「俺の英文サイトは御上なんぞに教えないでくれ」という要請はありませんでした。ひとつふたつあるかと期待したんですけどなぁ。

さて、以下の文章はそれら数人の方が読者対象です。ほれほれ、他の方は見ないように(横から覗き見するぶんにはかまいませんけど)。
文化庁孫請け仕事の結果報告をちょっとだけさせていただきます。簡易版。詳細版はお見せしません。契約の中に、この仕事で得た情報を開示してはいけない、なんてのはなかったけど、まだギャラ貰ってないしなぁ、どうなんだろうか。ま、基本的には誰にだって出来るエレファントな仕事で、小生の「音楽ジャーナリスト」としての職能は「海外に向けて情報を伝達してくれていると良いなぁ、と思う価値のあるサイトの選択と、クラシック音楽ウェブサイトとしての内容評価」の部分なわけで、結果の概観と感想ならば特に問題はないんでしょうね。

なーんて勝手に解釈して、話を進めるわけだけど、特に大したことはありません。以下、情報提供者様への領収書みたいな感じで、幾つか気づいたことの箇条書き。あくまでも2007年3月末現在での状況です。瞬く間に状況は変化するでしょう。

①日本語文化圏から発信されているウェブサイトで、英文(韓、中、独、西、などを含む)の情報提供が成されているサイトは、小生が調べた限りでは、150程度存在した。調査の分母は、所謂「オフィシャルサイト」が殆どで、演奏家や作曲家のファンが個人的に発信しているサイト、演奏家や小規模演奏団体が個人的に発信しているサイト、楽器製作者が個人的に発信しているサイトは含まれない。除外理由は、単にデッドラインまでに時間が足りずに調べられなかっただけ(あと4日間まるまるこの作業に従事できればなんとか出来たかなぁ)。ざっとあたりを付けた限りでは、恐らくは更に100を越えるくらいの英文サイトは存在していると思われる。ざあああああっと鳥瞰した感じでは、「日本(日本語文化圏)発」と断じ得る外国語クラシック音楽関連サイトは、まあマキシマムで300くらいなんじゃあなかろうか。

②外国向けに積極的な情報を提供しているのは、音楽祭とコンクール、それに学校であった。

というようなもんでしょうかね。

中身についてちょっとだけ概論しておきます。

・オーケストラはウェブ濃度がまちまちで、所謂常識的な意味でのメイジャー度とウェブ充実度、はたまた外国語サイト充実度は、殆ど無縁なようである。
とはいうものの、讀賣日響のウェブサイトに英文がないままになってるのは、ちょっとマズイんじゃあなかろうか。かつてNYケネディ空港のノースウェストやらエアリンガスやらJALやらが到着するターミナルに「世界で唯一オーケストラを持つ新聞社」などと讀響の写真をでっかく出した広告をやってた部数だけは世界一の讀賣さんなんだから、直ぐにも改善してくださいな。

・音楽祭のサイトは、海外からの聴衆及び参加者を考えているのであろう。PMFは日本発ウェブサイトで英文が最も充実している。また、内容は簡素ながら、「東京のオペラの森」の日・英・中・韓の4カ国語対応はちょっとスゴイ。

・学校のサイトで最も充実していたのは、神戸女学院でした。へえええ、と思いますよ。藝大など、頑張って欲しいですねぇ。

・最も多彩な外国語に対応していたのはどこでしょうか?これ、クイズにしようかなぁ。ま、それほどのもんでもないから解答を申しますと…東京外国語大学管弦楽団でありました! 恐らく、日本語文化圏から発信されているクラシック音楽情報サイトで、ロシア語、中国語、韓国語、ヴェトナム語での情報発信があるのはここだけでしょう(アマオケの演目知ってなんになるんじゃあ、と突っ込まれそうですけど)。

・ホールや主催者などは、基本的にローカルな存在なので、思ったほど外国語情報は充実していない。福岡のホールが韓国語、中国語に対応しているのは興味深い。また、外国語情報が充実していると予想していたレーベル関係(日本国内録音)は、案外と充実していなかった。今時、ネットで世界中を対象に商売をするのは当たり前だと思ってたんだけど、まだまだでんなぁ。みんな、もっと稼ごうぜ!

というわけで、これ以上やると秘匿情報までばらしそうなので、こんなもの。ご協力いただいた皆様、有り難う御座いました。皆様の情報は、小生なりの評価の上、文化庁にデータとして提出させていただきました。文化庁肝いりの「日本から文化を発信する総合ポータルサイト」が早く完成することを願いましょ。日本語文化圏の現状を「未だに情報鎖国状態」と思うか、「案外と情報が流れているなぁ」と思うか、皆様のご判断に任せします。

ちなみに、同じ作業を演劇などで行った方の経過を漏れ聞く限り、クラシック音楽はそもそもが外来文化とされるだけあってか、小生の調査した数は決して小さいものではなかったようです。へえええ。


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Happy Easter! その2 [演奏家]

イースターの季節のお便り、その後。

北米在住のピアニスト、相澤吏江子さんから嫁さんのお誕生日お祝い兼イースターおめっとさんメールが来ました。相澤さんといえば、今から20年前のカザルスホール初期をご存じの方は今更紹介するまでもないでしょう。少女ピアニストとしてNHKの番組に出ていた小学生のお嬢さんを、カザルスの片腕にしてブダペストQの伝説の第2ヴァイオリン奏者アレクサンダー・シュナイダー御大(こんな形容詞をいっぱいつけきゃならなくなってるんだろうなぁ、今や)が来日公演の独奏者に起用。その後はなんのかんのでフィラデルフィアに渡り、ホルショフスキーの最期の弟子のひとりになった。NJP定期でシュナイダー御大と弾いたりもしてましたっけ。今はすっかり立派な女性ピアニストとなり、ニューヨークの郊外だかに住んでらっしゃって、アメリア・ピアノトリオの一員として活動してます。ウェブサイトはこちら。昔の「りえこちゃん」しかご存じない方は、ちょっとびっくりでしょ。http://www.ameliapianotrio.com/live/

去る1月、NYからコペンハーゲンに移動する日の午後に、タウンホールで相澤さんとグァルネリQがドヴォルザークの五重奏を弾くことになってて、なんとか聴いてからケネディ空港に向かおうとしたんだけど、さすがにちょっと危険で泣く泣く諦めざるを得なかった。これもアルカイダのおかげだぞ、まったく!

んで、彼女からの復活祭祝いに添えられてたのは、「アメリアトリオがハービーソンに委嘱したピアノトリオの録音が、先月末に出ました。日本で買えるのか判らないんで、送りましょうか」ってお言葉。

へえ、スゴイじゃないか、ハービーソンに委嘱して書いて貰っちゃうなんてね。なんせ、一昨年くらいにメトで鳴り物入りで初演された歌劇「偉大なるギャツビー」の作曲家、東海岸アカデミズム系の作家として次々と大作を書いてる大物なんだから。まるで個人的な話だけど、ピーター・ゼルキンがハービーソンのピアノ協奏曲第2番初演をする、というボストン響NY公演で、案の定作品が完成せず、なんとなんと代わりに武満の「アステリズム」をゼルキン&オザワBSOで聴けた。いやぁ、ハービーソンさん、有り難う御座いますっ。それもこれも貴方の遅筆のお陰でですっ。←こんな有り難がり方をされても、ちっとも嬉しくないだろうなぁ

さても、相澤さんのお弾きになるディスクはこちらをご覧あれ。小生はまだ聴いてませんが、「ハイドンなんぞの精神を汲んだ、弾いて楽しい曲」と作曲家は申しておるそうです。http://www.naxos.com/catalogue/item.asp?item_code=8.559243
なんせナクソスですから、もうそろそろ、そんじょそこらの輸入盤店に山積みになるでしょ。上述のアメリア・ピアノトリオ公式ホームページでも、一部が試聴できます。スゴイ世の中になったもんだ。

それにしてもこのナクソスってレーベル、なんのかんのでいろいろ知ったような名前が録音するようになりましたね。まだちょっと書けないけど、もうすぐ、このアメリカ現代作曲家シリーズである大物が来ます。いよいよ満を持して、です。相澤吏江子女史のハービーソン共々、乞うご期待。

蛇足ながら、相澤さんは10月にセントポール室内管に独奏者として出演なさり、あっとビックリ、サリエリのピアノ協奏曲を披露なさるそうな。楽譜が全然手に入らず、やっと到着して、これから大変だそうです。ミネソタ州にお住まいの方、聴きにいってあげてくださいな。詳細はこちら。http://www.thespco.org/subscriptions/subscription_details.cfm?id_object=1003


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んで、これどーするの? [新佃嶋界隈]

復活祭兼花祭り兼愛する奥さんのお誕生日の日曜日、深大寺にいた頃に武蔵境駅とICUの途中に細々とあった商店街の自転車屋さんで購入後、20年に近い時間を共に過ごした老ママチャリにブレーキケーブル故障が目立つようになったこともあって、月島清澄通り沿いのプロっぽいオバサンが仕切る自転車屋さんで新品を購入。で、オープン1周年が過ぎたばかりの晴海大橋を渡り、お台場までテストランしてまいりました。

晴海大橋を渡れば、ほれ、ここが都知事選で急に話題になった汚染物質まみれの市場移転予定地。暫く来ないうちに、それなりに工事は進んでいて、空港にするのはもうちょっと無理だなぁ。向こうは晴海埠頭。ジャパン・コストガードが一隻停泊するばかり。一昨日までは日本丸もいたんだけど。

少しは交通量が増えたのか、日曜の午後だからなのか、はたまた豊洲とお台場を繋ぐ観光車両があるのか。ま、あいかわらず、ですな。そして、これ。元ジュリアナ東京(後記:コメントのご指摘にありますように「ジュリアナ東京」じゃなく、調べたら「エムザ有明」でした。当時は東京近郊深大寺、自分以外は全部アジア留学生ばかりの安アパート住民だった田舎者故、お許しあれ)のちょっと手前。

この世界的な商業スポーツイベント、ここに記される年にとーきょーで開催されるオッズは、客観的にみれば、F-1グランプリでアグリチームが優勝するくらいのもんでしょ。そんなこと世界中の誰にだって判ってる。

さても、イシハラ氏を支持した有権者の皆さん、あたしらの隣町にどんな責任を取ってくれるんです。別に、あたしゃイシハラ氏が悪いなんてちっとも思わない。だって、これまでああやって生きてきて、あとちょっと同じように生きていくだけの人なんだから。

だけど、彼に一票を入れたあなたのことは、豊洲近隣住民として、心から恨みますよ。いやはや、どーすんのよ、これもあれも。そんなこと俺には関係ない…ってことなんでしょうけどねぇ。

やっぱり現東京都は分割するか、皇居周辺区をスペシャル・ディストリクトとして独立させ「江戸市」にし、東京都と特別市に緊張関係を持たせるべきなんだろうなぁ。東京以外のどこに行っても、県知事と県庁所在地市長が張り合い、健全な緊張関係が生まれている。それがない東京って、猛烈に歪な自治体。うううん。


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