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昨晩のQアマービレ開演時間のこと [音楽業界]

YCAオーディションに合格して北米でのキャリアの第一歩を掴んだ団体の帰国最初の公演なので、本来はそっち方向からお伝えせにゃならんことなんでしょうが、終演後にアマービレ連中に確認したところ2021年からの契約とのことなので、ま、先にしても大丈夫みたい。で、この演奏会を巡ってちっちゃく盛り上がった開演時間の話。

あ、先に記しておくと、Qアマービレの演奏会、中身は立派でした。少なくとも作品18の3とバルトークの4番に限れば、これならメイジャー大会でファイナリストになれるだろうし、状況に拠っては勝てるくらいの力はあるなぁ、と思わされたです。ご本人らの意向はこの先1年の準備期間でどうなるか判らないけど、ヨーロッパじゃなくて北米を選んだのは正しい選択だったでしょう。過剰な「解釈」競争をやる必要なく、今はなんとなぁくイェルサレムQがゲットしている感があるかつての東京Q枠(パークアヴェニューの高級アパートみたいな綺麗さ、って路線)を継承し得る可能性はある。無論、作品18の3第1楽章コーダ前の弱音なんかで一昔前の日本の団体に言われていた「弱音の質感のなさ」みたいなものを感じないでもないが、そんなん、やりこんでいけば格好はついてくるもんですから。ともかく、数年間は他の仕事などせずにクァルテットに打ち込める環境に自分らを追い込む気があるなら、久々に出た正統派「パウロニアQ」たり得る可能性があるでしょうねぇ。個人的には、栄光のパウロニアの名前を継承して欲しいけど…本人たちにそういう意識はまるでない世代だろーなぁ。

てなわけで、アマービレの皆様には失礼ながら、本題。この演奏会、なんと、感謝祭休暇の真っ最中ブラック・フライデーとはいえ(っても、いかなアメリカ合衆国委任統治領ニッポンの中心神奈川はヨコハマとはいえ、みなとみらいショッピング地域に明らかに横須賀厚木座間からの兵隊らしき連中は普段よりも多いような感はあったものの、一応、ニッポン国民は休みとは思ってないみたい)、開演が夜の7時半というちょっと面白いことになっていた。

で、なんでこうなったのか、事前にFacebookなどでも横浜市の公共ホールの方とかと話が盛り上がったりしていたわけであります。とにもかくにも、遙々新帝都は大川端から都営地下鉄と京急乗り継ぎ、明日から相鉄が横浜パスになるという汽笛一声新橋から鉄道がやってきたとき以来の大変革(なのか?)に沸く横浜へ、アルディッティ連発の間のアマービレというオソロシー三連チャンの中日へと向かったのであった。

遙か海を挟んだ向かいの占領軍基地は、いつものように怪しげな音響監視船がなんと2艘も並ぶも、感謝祭休暇で全く静かなもの。だけど、夕方前のみなとみらい地区、ものすごくいっぱい高校生らしき生き物が群れておるわい。なんなんじゃ、こりゃ。全国の修学旅行が今日は横浜を目指しているのかぁ?

って、地区内のコーヒー210円也で延々居座れる安喫茶で大量の細かい連絡仕事をし、午後7時をまわったところでノコノコと商業地区側からみなとみらいホールにやってきたぞ。と、今日の演奏会の案内が出ています。ほれ。
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ああ、昼間に大ホールで音楽教室があったのね。あ、小ホールはそういう催しかぁ、なーるほどなるほど。アマービレの演奏会、なんせ「毎日ゾリステン」ですからねぇ。

この瞬間にある程度は見えたとはいえ、勝手な憶測で終わりにするわけにもいかぬ。開場後、ロビーにいらしたみなとみらいホール側の方は、「ホールの主催ではありませんので、うちはお貸ししただけです。みなとみらいホールとして7時半開演をやってみた、ということはありません」とのこと。

じゃあ借りている主催者さんは誰か、といえば、当然、その伝統と格式のシリーズ名が語るように、毎日さんなんですわ。なんせ1960年代から続くこのシリーズ、正直、まだやってたんだぁ、と思わざるを得ない。かつては毎月に近い頻度でやっていたけど、今は年に1度のペースで続いているようです。弦楽四重奏として登場しているのは、マリカルとかゼフィルス、それにニューアーツ、ってんだからその伝統ぶりも判ろうというものでんな。

問題は昼の出し物で、午後からずーっと「全日本学生音楽コンクール」の横浜会場になってる。なんのことはない、毎日新聞主催事業じゃないの。なーるほどね。

アマービレ開演後、かつてトッパンホールの偉い人をなさっていたご隠居さんにロービーで久しぶりにお会いし、いやぁお元気、お互い隠居だねぇ、なんて隠居爺らの与太話をするついであれこれ尋ねてみると、要は「今日は午後は全部毎日さんが会場を押さえている。なんせコンクールだから時間がきっちり判らない部分もあり、夜の演奏会は後ろにずらしたんでしょ」とのこと。あ、説明は必要ないと思いますが、トッパンホールは今世紀に入ってから毎コンの全国大会会場になってるところですから、そこのOBさんがボランティアで裏のお手伝いに来ているのは極めて筋の通った話なんでありますわ。

以上、結論からすれば、昨晩のアマービレ金曜日午後7時半という開演時間は、別に実験的な試みというわけではなく、たまたまいろんな事情でそうなった、というだけのことのようでありまする。

ちなみに、9時20分くらいに演奏が終了し、アマービレの面々のロビーでのサイン会が終わり、ちょっとだけ話をして、やくぺん先生がみなとみらいから湾岸佃に戻ってきたのは、佃堀にはプカプカとカルガモも眠る夜11時も近くなっておりましたとさ。

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感謝祭のお客さん [新佃嶋界隈]

ホントに久しぶりの佃地元ネタ。サンクスギビング休暇のお気楽話ですぅ。

ブラック・フライデーのセール案内が山のように飛び込んでくるけどなーんにも買わない資本主義社会の宿敵やくぺん先生、昨日の冷たい雨のサンクスギビングのお休み(実質的にアメリカ合衆国の委任統治領みたいなニッポンだけど、流石にこの習慣だけは入ってきませんねぇ)、朝に葛飾オフィスで吹き始めた木枯らしに落とされた柿の葉をガサゴソとかき集めてゴミ袋に入れ、午前8時にやってくる燃えるゴミ収集に間に合わせ、手間取っていた原稿の初稿を編集部に入れて、今日は遙か鶴見までアルディッティQに行くんだっけか、と日程把握すら怪しいアホな糠味噌頭でボーッと大川端まで戻ってきて、小雨降る佃堀の横を医療器具引っ張ってダラダラ歩きながら、新しくなった佃堀で生まれ育ったカルガモたちのテリトリーにもなにやらいろいろ冬のお客さんも来る季節になったなぁ、なーんてぼーっと眺めるともなく眺めていると、おやぁ、なんだか見慣れぬ方がいらっしゃるぞ。
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おやまあ、お珍しや、オシドリの旦那さんじゃあありませんかぁ。

地味自慢みたいな奥様は周囲にいないか探したけど、見当たらない。オシドリ旦那ったら、ノコノコと歩いて住吉神社の境内裏からポチャンと佃堀に飛び込み、ノンビリ泳いだり、水面をバタバタ飛んだりなさってますぅ。
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道行くニンゲンの方々ったら、秋の終わりの冷たい雨に足下ばかりを眺めていて、スターがいらっしゃるのに気付いてないみたい。

やくぺん先生も、ともかく医療器具を縦長屋に置いたらまた出かけなきゃならんので、名残惜しげにご挨拶だけさせていただきましたとさ。明日は晴れると言うから、また会いに来るからねぇ。

※※※

感謝祭なのに、だか、感謝祭だから、なのか、七面鳥ならぬケンタッキーの毎月28日は「ニワトリの日」セール1000円パックを佃縦長屋ご家族で喰らった翌朝、さあ買った買ったのブラック・フライデーは天高く晴れ渡り、今日はヤンキー猛禽類は絶対に飛ばない新帝都の空の下、朝っぱらにお医者さんに行きついでに佃堀を眺めると、おお、いらっしゃるいらっしゃる、数ヶ月前に出来たピカピカの船着き場、すっかりカルガモ一家の寝床になってるところに、イケメン旦那もノンビリ寝てらっしゃいます。
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一丁目の長老曰く、「昨日から居るんだよ、久しぶりだねぇ。え、雌は…いないなぁ。」

やってきた幼稚園の子供たちに、ほれ、あそこで寝てるのが世界でいちばん綺麗な鴨だよ、と指さすと、きゃーきゃーぴーぴー、なんか先生の方が喜んで携帯でピースしたりしてさ。秋晴れの佃堀、スターの出現にちょっとしたパニック状態じゃ。

さても、これからどうするのかなぁ、と思ってたら、夕方前にアマービレ聴きに横浜に向かうべくまた佃堀横を抜けながら水面を眺めると、イケメン旦那の姿がありません。どうやら、奥さんのいらっしゃりそうな場所に抜けちゃったみたい。

かくて久しぶりの鴨界のスター、佃堀にはサンクスギビング休暇に一泊二日なさっただけでありました。カメラマンの被写体にされるなら、インバウンドさん溢れるニッポンチャチャチャの浜離宮の方が良いのかもね。しっかりスターするんだぞぉ。

オシドリも ターキーもゆき 秋が往く

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急告:アルディッティは聴いておくべきです [現代音楽]

12月8日のヴァインベルク生誕100年記念日祭り参加のため、来週頭から超短期でアムステルダムに行くため、今週はまとめて作文作業をやっつけてしまわねばならず、そこにもってきてアーヴィンたちがいたり、親父の命日で千葉の寺までいかねばならなかったりで、当電子壁新聞がすっかりご無沙汰になっております。すいません…って、誰にあやまるもんでもないけどさ、一銭にもならんもんなんだからぁ。

さても、とはいえ、急ぎでお伝えしておくことがあり、京急鶴見駅下の喫茶店で記しております。本日は裏番組にサントリー財団の細川委嘱新作なんて困ったものがあるので、流石に絶対に来なさいとはいえませんけど、明後日土曜日の神奈川県立音楽堂と、続く日曜日のどっかで行われるアルディッティQ&舞踏のパーフォーマンス、お暇な方もそうでない方でも、所謂正統派「ゲンダイオンガク」に興味がある方は、是非ともいらっしゃられることを強くお勧めしますです。こちら、って、ツゥイッターじゃないか。いいのか、これで。
https://twitter.com/hashtag/%E7%A5%9E%E5%A5%88%E5%B7%9D%E7%9C%8C%E7%AB%8B%E9%9F%B3%E6%A5%BD%E5%A0%82

正直、舞踏とのパーフォーマンスというのはどうであれ、なんせ演奏されるのがリームの第3弦楽四重奏曲。まあ、作品としてはこの先も独系のいろんな団体、ってか、ぶっちゃけ、特定のいくつかの団体が弾くことはあるでしょうけど、アルディッティQが演奏するのを経験しておくのは絶対に意味があります。リーム御大、春頃にはあまりお体が良くないとのことだったんですが、どうなんでしょうねぇ、その後。

高崎で世界初演された細川作品は、どうやらベートーヴェン250年に絡めた委嘱だったようですが、特に作品の引用があるわけではありません。この作曲家さんらしい、極めて静謐な、でも雄弁な音楽になってます。静謐さが堂に入ってきてるなぁ、などと言うと失礼かもしれないけど。

いつものアルディッティQ演目じゃないか、それよりも今日これから鶴見で演奏されるパヴェル・ハースの方がよっぽどアルディッティ的には珍しいんじゃないかぁ、と突っ込みたい方もいらっしゃるでありましょう。そう、仰る通り。ある意味、いつものアルディッティQ来日公演です。だけど、今回聞いておいた方が良い理由はあるのです。

おおっぴらに言うことでもないでしょうが、秘密にしても仕方ないことでしょうから書きます。20世紀末にはカザルスホール・アウフタクトが招聘していたアルディッティQ、カザルスホール騒動で企画室が解散した後は、なんのかんのあったけど、このところオカムラ・カンパニーさんが招聘を行っておりました。ですが、カザルスホール時代からの長老プロデューサーで、オペラシティのオープニングのときに武満さんが没してしまった後を引き受けた岡村さんが、とうとう引退をお決めになったそうな。で、会社をたたむことになった。

つまり、アルディッティQの日本での招聘元がなくなってしまうのです。まあ、東京コンサーツとか、いかにも引き受けそうなところはあるとはいえ、やはり個人のマネージャーさんが情熱を持ってあちこちに話をして公演を作っていくという、極めてアナログな、ってか、20世紀のマネージャー的なことが、この先もやれるかどうか判らない。武生とかがある限りフェスティバルでの招聘はあるでしょうけど、所謂普通の「来日公演」という形で日本中あちこちをまわる、というやり方は、この先はなくなる可能性があります。まあ、アーヴィンも若くはないわけで(そんなこと言ってると知られたら、がっつり叱られそうだが…)、もう無理なツアーをやる必要もないですしねぇ。

ぶっちゃけ、このところ隔年ごとに日本で演奏していたような感じで、まるでいつもいるみたいにアルディッティQが聴けるかどうか、ちょっと判らないよ、この先は、ってことであります。

さあ、土曜日は横浜の坂の上に来られたし、そして20世紀後半のヴィルトゥオーゾ・ピースをご堪能あれっ!これが最後、とはいわないけど、現代音楽祭じゃない普通のコンサートとしてはこの先は珍しいことになるかもしれませんよ。

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高崎芸術劇場騒動まとめ [音楽業界]

昨日、遙々上州空っ風の街(まだ吹いていないけど)高崎まで行って参りました。帰りの高崎線の中で当電子壁新聞をやるつもりが、パソコンそのものを忘れるという完全な老人性健忘症を発症し、おおお、一日作文系仕事が出来なかった。明日締め切りの原稿、まだテープ起こしすら始まってない。やばいぞっ。

もとい。で、めちゃくちゃにタイトな状況ながら、これは今出しておかねばならないネタなんで、手短に。数日前から話題の(話題なのか?)高崎芸術劇場照明器具入札情報漏洩で館長と副館長、及び出入りの業者逮捕という騒動のまとめです。まずは、最も詳細な第一報。基本、後述のように一般のわしらにとってこのニュースの情報源として最も信頼できるのは上毛新聞ですので、そちらを並べます。首都圏の中央メディアは、基本、ベタ記事に毛が生えたようなものですから。
https://gunmanodaidokoro.owst.jp/
夜明け前からのガサ入れなどの操作状況、市民の反応などを除いた事実関係は、リンクがなくなっても大丈夫なように、以下にコピペしておきます。見出しはカットします。

「群馬県高崎市の文化施設「高崎芸術劇場」で使う照明設備の同市発注の指名競争入札に際し、予定価格を漏らしたなどとして、群馬県警捜査2課と高崎署は19日までに、官製談合防止法違反と公契約関係競売入札妨害の疑いで、高崎財団副理事長の菅田明則(66)=安中市安中=ら3容疑者を逮捕した。県警は同日、市役所や同劇場、高崎財団など関係先を家宅捜索し、資料などを押収。詳しい犯行の経緯や3人の関係性などを詳しく調べている。高崎市長の側近3人の逮捕劇は、関係者に衝撃を与えた。(一部既報)
 ほかに逮捕したのは、高崎市課長で同劇場副館長の佐藤育男(50)=高崎市大八木町、阿久沢電機社長の阿久沢茂(68)=同市江木町=両容疑者。3人の逮捕容疑は共謀して1月ごろ、同劇場の照明設備の備品購入を巡り、同社に落札させようとして予定価格5800万円(税抜き)を漏らし、5680万円で落札させて入札の公正を害した疑い。県警は3人の認否を明らかにしていない。県警によると、備品は劇場に使用されるムービングライト32台。市内の電気工事関係の13業者による指名競争入札で市が発注した。3人はいずれも高崎高のOB。菅田、阿久沢両容疑者は長年の知人とされ、佐藤容疑者も菅田容疑者と親しい仲だったという。捜査関係者らによると、3人は大筋で容疑を認めているといい、菅田容疑者は「劇場を良くするため、海外製の特殊な照明設備を入れたかった。この製品を取り扱っている阿久沢電機が受注できるようにしたかった」という趣旨の供述をしているという。市内では、限られた業者しかこの照明を取り扱っていないとされ、菅田容疑者は阿久沢電機が受注できるよう、同市都市集客施設整備室長だった佐藤容疑者に価格を教えるよう働き掛けたとみられる。」
(上毛新聞2019年11月20日Webサイトより)

オープンしたばかりの高崎芸術劇場の館長と副館長が談合で逮捕されちゃった、ということ。こちら、高崎芸術劇場の公式ページ。事件についての言及はありません。
http://takasaki-foundation.or.jp/theatre/

さても、昨日、アルディッティQが高崎芸術劇場委嘱での細川作品世界初演があるので、遙か湾岸大川端からノコノコと高崎線各駅停車に揺られること2時間、高崎芸術劇場に初見参させていただきましたです。こちら。豪華バスターミナルじゃないよっ!
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なんせ新ホールの委嘱作品世界初演なんで、さぞや地元メディアが詰めかけているだろうと思ったら…全然おらんわいっ!なんなんねんっ!もー、終演後のアーヴィン達、もう、すっかりお茶目さん。顔を合わせたら社長一発曰く、「ホントにおまえの音楽趣味は判らんなぁ!」って…
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もといもとい。んで、群響からトップが逮捕されちゃった高崎財団に移り劇場のクラシック音楽系出し物の中心になっている方から、大ホールも聴いていけと言われ、そのまま居座り、みっちーのブルックナー&武満を聴かせていただきましたです。正直な感想を言えば…群響さん、あの響かない音楽センターでずっと作ってた響きはまるで古いシカゴ・オーケストラホールで鍛えられたシカゴ響サウンドみたいなところがあって、このホールに来たら響きを一から作り直さねばならないなぁ、でもまあ、長期的には「綺麗な響き」に向かうのは良いことじゃないの、と失礼なことを思った次第。

もといもといもとい。談合話です。細川新作&まるでブルックナーのような壮大な羽音をたてて五角形の庭に舞い降りたヒヨちゃんかムク軍団みたいな武満の間、流石にちょっと名前を明かすわけにはいきませんが、市役所から群響事務局、能力をかわれ似た状況にあった京都市響に移り事務局長として手腕を発揮し、今はご隠居となって群馬音楽センターの将来計画を一民間人としてお考えになられてらっしゃる業界長老さん(判る方にはバレバレ…)と、今回のことやこの芸術劇場のあり方を巡り、なんのかんのお話をさせていただきましたです。なにしろこういう話は一般論だけではまるでわからない、本当の意味でのローカル情報がないと意味すら不明なことなので。

結論からすれば、この談合騒動、全国区ニュースとして一般誌やら音楽専門雑誌に持ち込むものではなく、地元の記者さんがきっちり報道し、地元高崎の有権者に正確な判断材料を与えれば良い事件である、とやくぺん先生的には判断しましたです。この問題は、「高崎市の公共事業発注は市内業者に限る」という市長のやり方が高崎市納税者にとってどうなのか、という極めてローカルな話なのです。で、この無責任電子壁新聞ネタとして記すことにした次第でありまする。つまり、商売もんにはならない、ということ。

事件として意味がない、ということではなく、広く世界に伝える必要があることではない、ということです。高崎という場所に関心がある人には、とても大事な問題ではあるでしょう。

この問題を整理するために、これらの逮捕後の続報を眺めてくださいませ。いちばん大事なのは、この市長記者会見の記事。問題の根本は、「私は工事とか備品の購入は地元の会社を使えという方針は出している。」という発言に集約されています。
https://www.jomo-news.co.jp/news/gunma/society/174667
んで、これが背景説明、刑事事件なら「動機」でんな。それにしても、こういうのって警察が記者会見してるのかなぁ?
https://www.jomo-news.co.jp/news/gunma/society/175124

ま、以上終わり、といえばそれまで。てなわけで、全国区としてこのニュースが意味のある人は、高崎市外の舞台照明納入業者さんだけなのですわ。そういう方々は、「お、これで高崎市は市長が次の選挙で落選するだろうから、新市長の方針で高崎市にもうちが入れるかもしれない」と考えるでしょう。でも、そんな人はマスメディアが伝えなくても業界情報で必要なものは取れる。つまり、専門誌、業界紙レベルの情報なわけです。

なお、この事件の結果としての高崎芸術劇場そのものに対する市民からの負のイメージについては、また別の話。つまり、「空洞化する高崎駅近隣の大規模公共施設建設による再活性化」VS「平成の大合併でむやみに巨大化した高崎市の広域ソフト整備」という高崎市の税金の使い方を巡る別のレベルの大問題になってしまい、そこで「群馬交響楽団」という文化ソフトを行政がどうワイルドカード的に使うか、群響がどうそれに乗るか、というなかなか厄介な文化団体マネージメントのテクニカルな話になってくる。文化小国(御上の付ける予算として)ニッポンでは余り話題になりようがない、限りなく軍事産業に近い位置づけの文化産業、なんて問題になってくる。そっちの方なら全国区的な話題にし得るんだけど、それがやれる事例というか場所(地域)が少なすぎるからなぁ、ニッポンブンカコッカは。いやはや…

勿論、群馬交響楽団の新たなホームベースにはたいそう立派で使い勝手が良さそうな小ホールだけではなく、駐車場問題とか周辺宿泊施設とか、いろいろ問題があるようです。幸か不幸か、館長逮捕はクラシック関係にはダメージは殆どないようで、昨晩も壮大なブルックナーの雄叫びが上州の峨々たる山々に向けて吠え終わるや、客席は大喝采、みっちーも祝福の言葉をステージから語り、大いに盛り上がった夜でありましたとさ。

高崎芸術劇場、隣にある長距離バスターミナルは残念ながら東京からは殆ど役に立たないんだよねぇ。だるま弁当買って高崎線のグリーン車を奮発し、高崎経済に貢献したまえ、ということですかな。

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メンゲルベルク初演稿95年ぶりの蘇生 [演奏家]

このところ香港からのニュースはろくでもないものばかりなんで、ちょっとは少なくとも一部音楽ファンを熱狂させるネタをひとつ。

来る12月13,14日の香港フィル定期で、ヤープがなかなか興味深い楽譜を演奏します。こちらをご覧あれ。
https://www.hkphil.org/concert/jaap-mahler-10-shostakovich-10
ご覧になってお判りになりますように、この告知を額面通りに取れば、「メンゲルベルクが上演のために用意したマーラー第10交響曲のアダージョと煉獄を、95年ぶりに上演します」ということ。

このニュースに瞬間湯沸かし器的に反応するであろう方は、世界有数のマーラー大国ニッポンには数十人のレベルで存在するでありましょうねぇ。

さあ、今なら香港便はものすごく安く出ています。本当の香港がどうなっているのかを眺めるついでに、数あるマーラー交響曲第10番演奏譜の出発点のひとつとも言える版を聴きにクリスマス前の香港文化中心にお出かけになられてはいかがでしょーか。なにしろ、ご覧のように公式の演奏会案内ページに”Please stay tuned for the traffic arrangement on that day.なんて記してある状況みたいですし。ま、なんにせよ、病人認定の上にアムステルダム短期滞在から帰国直後のあたしにゃ…無理だろうなぁ。

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アーヴィンVSゆうじさんの闘いは幻に終わる [現代音楽]

先程、マネージャーさんから連絡がありました。来る土曜日に新装成った高崎のホールで予定されていた「アルディッティQvs高橋悠治」という想像を絶する精神の格闘技に近い五重奏、ピアノが野平さんに変更になったそうです。まだこちらのリリースにはなにもありませんが。
http://takasaki-foundation.or.jp/theatre/concert_detail.php?key=18
現時点では「ピアニストが野平さんになった」との連絡で、ゆうじさんの新作、というのがあるのかも判りません。ともかく、変更は確かなようです。あ、公式に出ましたね。
http://takasaki-foundation.or.jp/theatre/information_detail.php?id=64
あー、やはりゆうじさん作品はなくなり、リゲティの2番をやることになったようです。

…なんてノンビリした話をしたいだけなんだが、この「新ホールの館長と副館長逮捕」というとんでもない話とは関係ないんだろうなぁ。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/maebashi/20191119/1060005894.html
こっちはこっちで、果たして土曜日に出かけたときにホールの方と話ができるようなことなのか、それともそんな状況ではないのか、なにがなにやら。

ともかく、土曜日の悠治さんVSアーヴィンは、残念ながらなくなった、という速報でありました。あたしゃ、なんであれ参りますけど。

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JASRAC音楽文化賞 [音楽業界]

JASRACさんが10年代に入って「音楽文化賞」というものを出していて、その第6回の授賞式記念パーティのために、今話題の紀尾井町のホテル・ニューオータニに来てます。これが前回の受賞者さん。
https://www.jasrac.or.jp/profile/culture_award/05.html

このページから過去の受賞者をたどっていくと、なんだかやたらと近しい方もいらっしゃったりして、一体どうやって選んでるんじゃ、と不思議になってきますな。ま、とにかくなんであれ、日本中から著作権使用料として集めたお金を、こうやって少しでも業界内の恵まれない人々(苦笑)に再配分してくれようというのですから、有り難いことでありまする。

なんでそんな場所におまえがいるんじゃ、と言われても、まだこの瞬間には言えません。勿論、天下のへっぽこ三文売文業者やくぺん先生にくれてやろう、というんじゃありませんから、ご安心を。

また、発表できる状況になったら追記いたします。唐揚げやお寿司をタッパーに詰めて帰ったりしませんっ!

※※※※※

てなわけで、今、受賞記念兼JASRAC創設80周年記念(中華文化圏なのか?)パーティが終わり、座ってるだけというお役目ゴメンとなり佃縦長や勉強部屋に戻って参りました。一応、詳細を説明しますと…って、もうWebサイトにアップされてますね。こちら。
https://www.jasrac.or.jp/profile/culture_award/06.html
正直、受賞者の皆さんは、「高知のさだまさし」こと謡う公務員しまむらかずおさんは当然ながら作曲家としてJASRACに加盟しているわけではなく、自作のローカルヒット曲《龍馬サンバ》は学校の踊りだか体操だかでガンガン使われても一銭も入ってこないし、「ダ・ヴィンチ音楽祭」が大変だった濱田さんは著作権なんて無縁なバロック以前の世界の方だし、平井先生だって現代音楽関係でちゃんと神奈川のJASRACには払ってますよという立場でしかない。つまり、みんな「なんで私が…」って感じできょとんとしながらあれよあれよ、という感じの式典でありましたとさ。
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授賞式後のパーティは、JASRAC80周年パーティを兼ねており、もう文部科学大臣様以下、各界のお偉い皆様賑々しくおそろいの大パーティで、受賞者面々は、どっかに俺の知ってる人はいるかしら、ってキョロキョロ状態でありましたです。諸事情で平井先生の隣に座ってるのが仕事だったやくぺん先生ったら、反対がなんとなんと近藤譲先生という超ラッキーで、いろいろとお話出来て面白かったです。なんせ900人の招待者の中に、所謂「ゲンダイオンガク」関係は他には池辺先生がいらしてたくらい。クラシック音楽業界もオケ連関係者などが2名いたくらいで、全くマイナーフィールド。濱田さんなどホントにだーれも関係者がいないという、なんともはや、な状況であったとさ。これが21世紀10年代終わりのニッポン音楽業界の於ける「クラシック音楽」の比重なのであるなぁ、とあらためて認識した次第。

ま、いろいろなご意見はありましょうが、誕生してたかだか1世紀ほどの「著作権」という概念、21世紀にどのように変わっていくのやら。ま、そっち方面の専門家の皆様、ぐぁんばってくださいな。

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アマービレQのNYライブ [弦楽四重奏]

急ぎなので、事実関係のみ。

北米時間の明日17日日曜日午前10時から、マンハッタン厄偏庵からリンカーンセンターに下っていったブロードウェイ沿いのアップルストアのところをハドソン川側に入ったところのマーキン・コンサートホールで、今年のYCAの国際オーディションが行われます。参加者詳細はこちら。
https://www.yca.org/media/pdfs/FinalsProgram2019.pdf

今はYじゃなくてマーキンでやってるんですな。んで、いつもながら、これ、無料で入れます。NYには珍しく、無料だけど事前にチケットが必要なんで葉書やらインターネットで申し込むか、事務所にチケット取りに来い、というのではありません。いきゃいいだけです。出入りも自由。

で、なんとなんと、今時はこれがライブでストリーミングをやってくれます。面倒なんで、YCAから送られてきた案内をまんま貼り付けちゃうと…

This Sunday, November 17, the YCA International Auditions Finals will be streamed live from New York City beginning at 10:00 AM (EST). You can watch all of the performances on our Facebook and YouTube channels - don’t miss this thrilling all-day event! On Sunday morning, we'll send an email with a link to watch. Thanks to The Violin Channel for their partnership in livestreaming the Final Auditions.

てなわけで、このリンクを送ってくれるって、全員なのか、YCAからリリースが来ている人だけなのか(となると、業界関係者限定、ということになるなぁ)良く判りませんが、まあ、こういうやり方もあるんですねぇ。Facebookから直接行けるみたいだな。
https://www.facebook.com/youngconcertartists/

ともかく、アマービレのプログラムはこちら。

2:00 Quartet Amabile Japanese  Residents of Saitama, Japan

Ms. Yuna Shinohara, 26  Ms. Chihiro Kitada, 23 Ms. Meguna Naka, 26 Mr. Tatsuki Sasanuma, 24 String Quartet No. 2 in A minor, Op. 13 Mendelssohn I. Adagio – Allegro vivace
Five Movements for String Quartet, Op. 5 Webern I. Heftig Bewegt
String Quartet No. 4, Sz. 91 Bartók V. Allegro molto

どうもこれだけ弾くために遙々マンハッタンまで行ってるみたいなんで、きっちり仕事をして欲しいものであります。おお、弦楽四重奏としては他にパシフィカ弟子のカリストが来てるなぁ。合衆国拠点以外は、ニッポン埼玉から来てるアマービレとイギリスから来てるピアニストだけなのは、まあ、当然でしょう。

このヤング・コンサート・アーティストという若手キャリア支援団体、なにしろ東京Qやらストルツマンやらアイダ・カヴァフィアンも若い頃に加わってたところ。最近では(でもないか)神尾真由子さんが受かっていて…そうそう、思い出せば裏番組がタカーチュのバルトーク全曲の後半だかの日で、どっちにいくか大いに迷い、結局、神尾さんのオーディション見物にYに行ったんだっけ(まだ当電子壁新聞開設以前、今は亡き「ストリング」にレポートあり、国会図書館に行けば閲覧可でしょうが…)。なんか、もっとめちゃくちゃ寒い頃だったような記憶があるが。

もとい。要は、今、日本でもいろんな団体がバラバラにやってる「学校出て、まだ大きな音楽事務所などとの契約がない若者に、プロとしてホントにやってくための様々な支援をする」ところです。ですから、ここを受けるとは、「米国拠点に数年は活動するぞ」と宣言していることになるわけです。実際、ヨーロッパやアジアに学籍があったり昨今はオーケストラのユース枠にいたりして離れられない奴らは受けられない(だからヨーロッパには、ヨーロッパの同じ名前の団体があり、英国の偉い人が元ベルチャQのテイトくんだったりするわけだが)。今回、アマービレが太平洋越えて出張っていったのは、いよいよ日本を離れて北米拠点でやるぞ、と腹をくくったということなんでしょう。

結局、日本で「常設弦楽四重奏団」が出来ないのは、ぶっちゃけ喰っていくだけのマーケットがないからです。まだ戦後の労音の勢いがあったマリカル時代は、かろうじて地方主催者が生きていたためにあれだけの回数を切れたが、今の日本で地方で弦楽四重奏団にまともなギャラを払ってくれるのは公金で支えられた地方文化財団などばかりで、他は個人が基本。そうなると、数年に一度ならともかく、毎年呼んで貰えるような関係は作れない。かくて金をちゃんと貰える仕事が余りにも少ないので、常設弦楽四重奏団はホントの意味では日本拠点の生活は経済的にまず不可能。となると、弦楽四重奏のレジデンシィ枠という固定給がある北米に出て行くのが最も手っ取り早い、ということ。いかな制度的に文化へのドーネーションを減額させる政策を採り続けるわしらの業界の宿敵トランプ時代になろうが、大きな状況はまだまだ変わらないですから。

てなわけで、アマービレの北米進出第一歩、お暇な方は日本時間の月曜朝午前4時からのライブ中継をお聴きあれ。さあ、ジャパンアーツさんに嫌われても、「アマービレを日本に帰れなくする会」を結成する必要が出てくるや否やっ?発表は日本時間月曜の朝でんな。そこまでライヴで聴けるのかしら。

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ヘンシェルQが凄いことになってる [弦楽四重奏]

ぶっちゃけ、宣伝です。毎度ながらの大手音楽事務所ではなく実質的に澤藝大学長が宗次ホールの協力で個人招聘のような形で日本ツアーを行っているため、殆ど宣伝もなく知る人ぞ知る状況になってるヘンシェルQ、いやぁ、凄いことになってます。

シュトゥットガルト放送響のヴィオラ首席だったお父さんの家に居候状態だったチェリビダッケに薫陶を受け、ってか子供時代からその辺にいるオジサンとして指導を受けての創設以来、かのモーツァルト《レクイエム》補筆完成のバイアー氏のお孫さんのマティアスがチェロとして固まって第2回大阪大会で優勝したときからの「アグレッシヴにして正確無比」なドイツっぽい団体というイメージが、四半世紀してうんと成熟し自由になった形で戻ってきた、ってかな。鶴見での終演後、サイン会の列もあとちょっと、お疲れさまでした。
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セカンドのマルクスくんが病気で長距離移動が出来なくなりニュルンベルク歌劇場オケに転身して以来、端正さの極みみたいなダニエル・ベルでサントリーで行ったベートーヴェン全曲は、ある意味で、マルクス後の彼らのひとつの完成像だった。その後、ぶっちゃけ、ルクセンブルク大学のレジデンシィが決まっていたのだが、国会予算承認が成らず流れてしまい、ダニエルが猛烈に多忙なエッセンのオペラとコンサート兼務オーケストラのコンマス掛け持ちは流石に無理で、家族のことを考えオケに徹する決断をして離脱。日本みたいにオケの首席が年に数回集まって、というのじゃないですから、やっぱりドイツでは類例のない「オケのコンマスやりながら常設弦楽四重奏のメンバー」というやり方は無理だった。

以降数年、なかなかセカンドが決まらない状況が続いていたんですが、今回の秋からの新人の若いお母さんたるテレサは、まるで昔からいるような相性の良さ。なによりも、マルクス時代に嫌でも漂っていた「判りすぎる関係故のヴァイオリン間の緊張感」とも、ダニエルが必死に手綱を締めていた「強引なスタイリッシュさ」とも違う、この団体本来の「新古典主義と表現主義のせめぎあい」みたいな、ある意味でチェリビダッケがやってた「古典とは拘束具なり」みたいな緊張感が、無理なく表現主義の方向に振れていけるアンサンブルになっている。
実際、シュルホフはロシアとかの「爆演」という言葉からは最も遠いところにありつつも、これはもうやはり「爆演」と言わざるを得ない音楽。アンコールのラヴェルの第2楽章なんぞ、まるっきりカンジンスキーの夜の世界でありましたとさ。

てなわけで、これはもう大変だぁ。今週末の長岡の澤Qとの八重奏は東京で(奇しくもヘンシェル優勝のときに大阪第2位だった)エク定期があるので残念ながらいけない。となると、もういけそうなのはこの日しかない。
https://www.lib.wakayama-c.ed.jp/bunjyo/news/2019/11/-with.html
てなわけで、20日の和歌山に参上することにしましたです。

名古屋はさっき終わっちゃって、某関係者から「すげえええええ」という連絡が来たばかり。で、他の残された公演は、ひとつは問題のバッティングが多過ぎる日曜日の長岡
http://www.nagaoka-caf.or.jp/new_topics/21123.html
それから、火曜日には広島があるそうな。なかなか大変な移動だなぁ。
http://www.a-net.shimin.city.hiroshima.jp/anet/event/archives/60-14.html

関西近辺の皆々様、騙されたと思って、和歌山県立図書館までいらっしゃいな。駅からかなり遠い場所だけど、和歌山市内ではありますから、兵庫や京都辺りでもなんとか帰れるでしょ。ヘンシェルQも四半世紀、超高級スポーツタイプのメルセデスが「正確さ」を超えたところを狙い始めたような激演が展開されること必至!

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ターゲットは子どものみの音楽祭です [音楽業界]

本日、サントリーホールはブルーローズで、「こども音楽フェスティバル」の発表記者会見が行われました。
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いろいろ面倒なことを記すより、中身については公式のこちらをご覧あれ。
https://www.suntory.co.jp/news/article/sh0305.html?fromid=top
来年7月17日から21日までの5日間、サントリーホールの大ホール及びブルーローズ、それに隣のテレビ朝日(協力に入ってます)の前辺りまでを使って、子どもとその保護者をターゲットに絞った音楽祭を開催する、というもの。ま、時期は誰が考えても世界大運動会なわけですが、皆々様よーくご存じの通り、今のオリンピックは公共事業予算を膨大に引っ張る巨大商業イベントですから、公式スポンサー以外は「オリンピック」という言葉を使うわけにはいかない。だから、無数の民間による勝手な盛り上げイベントであると考えられても、別に問題はないようでありまする。←誰かが質問するだろうなぁ、と思ったら、オリパラ準公式スポンサーたるサンケイの記者がそこをまず尋ねてました。いやはや…

当電子壁新聞を立ち読みなさるような皆様は、このリリースの開催概要を眺めれば、どういう作りになっているかはお判りでしょう。SONY音楽財団もサントリー芸術財団も、それぞれが独自の「子ども向け」「親子向け」のプログラムを持っており、もう何年も展開してきております。
「0才前のコンサート」と「Concert for Kids」はSONY財団さんがずーっとやってる定番。「オルガンコンサート」はサントリーのお馴染みイベントだけど、普段はお子様はブルーローズで映像をライブビューイングしている。それを今回は、お子様がメインになってちゃんとホールの中でオルガンを聴いていただく。「いろいろドレドレ」は、サントリーのふたつの芸術系財団が合同したときからやっている子ども向け美術と音楽のコラボ企画。要は、それぞれの財団の手慣れた子ども向けイベントですな。
それに、オープニングとクロージングのオーケストラが入る立派なコンサートがあり(要は、子ども定期のノウハウ転用)、それにスペシャル・イベントとして夏だけど《ヘンゼルとグレーテル》を大ホールで子ども参加型で演奏する、というもの。やっぱりオペラが入るとフェスティバルっぽくなるもんだなぁ。こんな日程。
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詳細につきましては、まだこれから。チケット発売は4月を予定してるとのことですので、その頃までサントリーホールのページをチェックしてください。お値段は1000円から2000円くらいを予定している、とのことです。なんせ公金でやってる池袋のぼんくりとかとは違い、今話題の公的助成(苦笑)は無縁の民間企画、よくまあやってくれるよなぁ、と思わざるを得ませんな。正に公益財団法人のなすべき仕事でありましょう。

期間中はサントリーホールは他の演奏会は一切ないとのことで、5日間、アークヒルズは子どもの声で溢れることになりそう。子どもと保護者にターゲット特化というのは、案外、ありそうでない。いろいろなところでいろんな風にやれれている「子どものためのコンサート」が、このフェスティバルを軸にしてつながりが出来、それぞれの試行錯誤を集約していくような場所になれば良いんですけど…まあ、まずはやってみる、ということ。次回以降はまだ未定、ってのは潔いでんな。

中身とすれば、やっぱりいちばん面白そう、というか、大変そうなのは子どものためのオペラでしょう。なんせ、あのなんとも困ったちゃんの「バイロイト音楽祭のカタリーナさんが演出する子どもヴァーグナー」なんてトンデモなものを目にしてしまうと、わしらのお仕事はダメだったらダメとちゃんと伝えることなんだろうなぁ、と思わざるを得ぬ。どのようにして「参加型」にするのか、誰がプロデューサなんだか詳細の発表はされなかったんだけど、両財団のお手並み拝見であります。

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