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ウズベクからコーラン現代曲がやってくる [現代音楽]

連載仕事が一気に3本もなくなり家賃が払えん、などと鬱々としていたら、いつの間にか目の前に細かい仕事が山積みになってるぞ。なんせ、税金がまだ手つかずの所に、上野の「オペラの森」のオペラ以外の部分の取材というやたら時間ばかりかかるミュージック・イン・ミュージアム仕事が入り、そこに持ってきて、来週半ばには現地滞在31時間の超特急香港往復を敢行する運びとなった。これで大金持ちになれれば良いが、なぜかそこは上手くいかぬ。ううううん。

んで、今日も今日とて、急ぎのニュースのみ。

昨年のケシの花が咲く頃、遙か天山山脈の彼方、ジンギスかーんも届かなかった世界、ウズベキスタンにたびの空してきたのは、当電子壁新聞読者諸氏はご存じでありましょーぞ。んで、せっかく現代音楽祭に行ったのに、音楽祭がなくなっちゃって、聴けた現代曲はケルンの打楽器合奏団とエクが弾いた日本と韓国の曲だけだった。http://blog.so-net.ne.jp/yakupen/archive/20060426タシケントにもそこそこの数はいるだろう若き作曲家たちの努力の結果には全然触れられないのがとっても残念でした。

さても、その埋め合わせというのじゃないけど、国際交流基金の招聘部の方から、ウズベクの現代曲が聴けまっせ、というご連絡をいただきました。

                            ※※

      ウズベキスタン・イルホム劇場日本初公演:プーシキン原作『コーランに倣いて』

★長野公演: 2007年3月3日 土曜日 14時、3月4日 日曜日 14時
終演後、ポスト・パフォーマンス・トークあり。マルク・ヴァイル(イルホム劇場演出家)、串田和美(まつもと市民芸術館芸術監督)予定。
会場: まつもと市民芸術館実験劇場 料金:全席指定3,000円 共催:まつもと市民芸術館

★東京公演・コンサート (東京国際芸術参加):2007年3月8日木曜日、9日金曜日19時公演
終演後、ポスト・パフォーマンス・トークあり。マルク・ヴァイル、宇山智彦(北海道大学スラブ研究センター教授)予定。
★10日土曜日14時30分公演、16時30分 シンポジウム(入場無料、要申込)
「ソ連解体後の中央アジアにおける新しい文化をめぐって」マルク・ヴァイル、貝澤哉(早稲田大学教授)、内野儀(東京大学教授)、鵜飼哲(一橋大学教授)、鴻英良(演劇評論家)予定。
★3月11日 日曜日 14時30分 本公演で弾き語りのミュージシャンによるライブ
会場: パークタワーホール(新宿)
料金:[公演] 一般4,000円、学生2,000円、[コンサート] 一般3,000円、学生2,000円、[セット券(公演+コンサート)] 一般5,000円、学生3,000円
共催: NPOアートネットワーク・ジャパン
http://www.jpf.go.jp/j/culture_j/news/0701/01-01.html

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なんと、もう今日から松本なんぞで公演が始まってるようだ。アルチョム・キムという作曲家さんの名前、ソ連時代に北朝鮮国境から強制移住させられて、この多民族国家には凄く多い韓国系の方ということかしら。せっかくだから、キム氏の母校タシケント音楽院の現在の新校舎の勇姿をご覧いただきましょう。現代音楽祭が予定通り行われていれば、エクもこの学内で弾くはずでした。

正直、キム氏の音楽がどんなものか、全然判らんです。でも、凄く面白そうなのが、テーマが「コーラン」だということ。そんなオッソロシーものに手を付けて良いのか、妙なことやったら半月剣を手にしたハッシッシでおかしくなったアサシンがキム君を追っかけてこないか、心配になっちゃうんですけどね。←猛烈な偏見であーる

実際のところ、旧ソ連時代の名残なのでしょう、少なくともタシケントの街はイスラム強制色はないし、サマルカンドもモスクは観光地という感じでした。

イスラムという思考パラダイム(敢えて宗教とは申しません)は、どう考えても21世紀から22世紀初頭くらいには「思想のライフスパン」としての限界が来るわけです。10世紀単位のスパンで眺めれば、明らかに構造改革の時期なんですな。石油というアッラーの与えてくださった宝のおかげで、今は世界の金がイスラム圏に急速に集まっていて、本質的な宗教改革が起きるに不可欠な条件たる富の集積も起きているし、人口も増えて社会の構造矛盾も隠せなくなってる。ホント、砂漠の中でF1やったり、海岸にイスラム・ディズニーランドみたいなマヌケな現代建築ぶったてたり、エアバスA380を4ダースも買ったりする金があるんなら、イスラム圏の知性を結集し最良の条件で勉強できるイスラム総合研究所をジャンジャン創設すべきだろーに、湾岸諸国の指導者さんたち!
なんであれ、20世紀末からのイスラム思想は、イスラム教が砂漠を越えられるか、ローカル宗教として衰退するか、極めて重大な岐路に立たされている(ホントは人類が宇宙に出ることで、イスラムに新たな意味が与えられた筈だったのだけど、人類はその路を選ばなかった)。ビン・ラディンらの思惑通り911テロで北米発信のイスラム改革は壊滅させられてしまった(あのテロの最大の標的がアメリカ政府なんぞではなく、北米発イスラム改革運動だったことは、イスラム圏の知識人なら誰もが知ってる)。でもまだ中央アジアと東南アジアがある。ウズベクのイスラム思想家たちよ、そして、ウズベクの芸術家たちよ、24世紀にイスラムが真の世界宗教になれるかどうかは、君らの知的活動にかかってるのだぞ!

…なーんて床屋談義はどうあれ、現実は厳しい。東京公演の日は税金直前、来年の住吉神社例大祭準備会議、さらには山のように演奏会が重なってる最悪の日じゃないか。あたしゃ見物できるかわからぬが(土曜日はウィハンQだしなぁ…香港から成田に戻ってくるのが昼過ぎだから、金曜日夜の公演はまるっきり間に合うけど)、我が心のシルクロードが赴くところからやってくる楽人と舞踏家たちのコーランをモチーフとした創造の有り様、お暇な方は見物なさってくださいな。

なお、この劇団がやってくるのは、東京国際芸術祭のためです。そっちからの案内はこれ。http://tif.anj.or.jp/program/ilkhom.html
そんなのやってるなんて、音楽関係の方は殆ど知らないでしょ。来週、東京国際フォーラムで開催される「東京芸術見本市」の関連なんです。http://www.tpam.or.jp/

芸術見本市では、錚々たる面々が顔を揃える指定管理者問題の討議も予定されてます。http://www.tpam.or.jp/japanese/seminar.html
でも、なんとなんと、そのシンポジウム真っ最中の水曜の晩、あたしゃジャンボの2階席に座って、フライトアテンダントのオバチャンにありったけのワイン出させながら、東シナ海上空を南下中の予定。残念ながら「ほぼ速記まんま」シリーズはなしです。本業でして、意図的なトンズラじゃありません!お許しを。


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