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あんさんキレてるなら自分で演奏会作ったらどーや [音楽業界]

数日前の朝日新聞吉田純子記者の「聴衆がキレる、それも昔から馴染みの聴衆がキレる」という記事http://www.asahi.com/culture/music/TKY200703160235.htmlは、どうやらあちこちでいろいろな興味深い反応を引き起こしているよーであるなぁ。http://blog.so-net.ne.jp/yakupen/archive/20070316

小生の所にも、個人アドレスにいろいろと業界関係者の本音などが来ております。無論、公開なんぞしません。ひとつだけ面白い意見を記しておくと、ある関西出身の評論家氏からのメールで、「関西はそもそもマナーが悪いし、京都にはみんなが知ってるフライングブラボーオヤジがいる。東京では例の事件以降、確かにフライングブラボーマンが撲滅された」という暴力団容認とも取られかねないもーれつに危険な意見でありますな。うううん、なるほど、これが安倍政権を出現させた時代の雰囲気なのか。

で、面白いのは、「キレて何が悪い」という発言がかなりある、それも所謂匿名掲示板などには多いらしい、ということ。「らしい」というのは、匿名掲示板みたいな「他人様のストレスのゴミ捨て場」(それはそれで世の中での存在意義はあると思いますよ、うん、いつの世にも愚痴を言う場所というのは存在していたわけで、それが電子壁新聞になって世間に出ちゃってるだけのこと)をわざわざ漁ってる暇はないのであたしゃ眺めておらん、どなたかさまの個人電子壁新聞のご意見にそういう分析があったから無責任に引用しているだけ、ということ。悪しからず。こちらの方。書き手のお名前が判らぬので、「こちらの方」としか言えない。どうも名古屋圏の方みたいですな。http://dsch1906.exblog.jp/

さても、で、「キレて何が悪い」というご意見の方に、ひとつだけ、ぎょーかいの人間として「言ってはならないこと」(=お客様を挑発するようなこと)を言います。吉田記者の分析、キレて何が悪い派の方からすれば「いかにもアカヒらしい俺様を上から見おろしたような発言」がもう一歩進めば、主催者の側、特にクレームが面倒だと思うような主催者なら、「じゃあ、そういう面倒な客を相手にした演奏会はやめよう、どうせそんなうるさい客は多くても数十人なんだから、そいつらがいなくても成り立つような演奏会をやろうぜ」ということになりかねないんですよ。極めて合理的な帰結ですね。

実際にそのような極端な方向性が出てきているか、幸か不幸か、小生には判らない。でも、どっちのタイプの聴衆を取るか、という二者択一はあちこちで始まっています。これは事実(具体的には、「ラ・フォル・ジュルネ」という環境を作っちゃえば、子供がウロチョロして目障りだ、煩い、って怒鳴る人はいないでしょ)。無論、主催者の中には、「キレるような人たちこそがきちんとホントにお代を払ってくださる大事なのだ」という真っ当な考えをする人も沢山いますよ。ご安心を。

で、いきなり猛烈に前向きな結論です。

「俺がキレて何が悪い」とお思いの皆様、みんなで集まって音楽協会を結成しなさい。自分が主催者になって、音楽に集中できないタイプの客は絶対に入れず、静寂の中で音楽に浸る環境を自分らでつくればいいのです。

「俺が聴きたいのはオーケストラとかオペラだ」と仰るそこの君、帰っちゃわずに、やくぺん先生のヨタ話をもうちょっと聴き給え。

そんなおっきな音楽は、貴方が聴く必要などありません。貴方がコンサートであって欲しいような静寂な環境は、そんな大衆動員が前提になるような大規模ステージでは不可能なんですよ。諦めなさい。
でも、引きこもれ、といってるのではない。引きこもったら、引きこもりの君を資本主義の悪辣な人たちが寄って集って食い物にしようとします。コワイよぉ、これは。引きこもり対象産業は、今や日本経済を支えつつあるんだからね。お引きこもり様は神様です、なんだから。
だから、そんな悪辣な商人の食い物なんぞにならず、音楽協会を作って、室内楽を聴きなさい。貴方が求めるものは、ベートーヴェンの室内楽にこそある!これは嘘じゃない!まずは、本日お彼岸の午後3時、晴海のプレアデスQのベートーヴェン全曲演奏会の第1回に来てみたまえ。でね、この規模の音楽なら、自分らだけでプロデュースする可能性もあると判って欲しい。
実際、プレアデスQは去る日曜日に町田のサロンで弾いてます。ここ。http://www.artspace-oh.com/あそこなら、絶対に紙袋をグチャグチャやったり、カリカリ音を立ててなんか書いたりする奴はおらん。貴方が一緒に聴いて安心な人しかいない。最高の環境だよ。自分で仲間を集め、そんな環境を作ればいい。引きこもるよりよっぽど良いぞ。

考えてみれば、一昔前までの室内楽の演奏会なんて、みんなそんな雰囲気だったでしょ。小生は流石に現役では接していないが、プロムジカQがお堀端の第一生命ホールでやった邦人初のベートーヴェンチクルスなんぞ、真っ暗い中にスポットライトだけを当て、暗譜で、猛烈な集中力と他人を排除するようなピリピリした空気の中で敢行されていたといいます。そんな雰囲気こそ俺が求めるクラシックのコンサート、と思うならば、それを自分らでもう一度造り上げれば良い。そうやって素晴らしい地方主催者が、ルンデの鈴木さんや鵠沼のH先生みたいな方が、また出来ていくこともあり得る。

なんと、意外にも、猛烈に建設的な意見になってしまった。以上、キレやすい貴方を読者対象とした、朝日新聞以上にえらそーな作文でした。えっへん!さあ、怒りのコメントをドンドン下さいな。はしから抹殺してあげるから!

                            ※

急に真面目になります。このアホな挑発作文を読んで、冗談じゃなく、「おし、じゃ、俺が絶対に静寂しか許さぬ演奏会をつくったろじゃないか」と思ったけど、演奏会を作るにはどうしたら良いかが判らず困ったなら、小生の個人アドレスに連絡下さい。どうやったら小さな演奏会が作れるか、御指南いたします。ボランティアでお教えします。繰り返しますが、これ、大真面目な発言。