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携帯電話に出ないのは無礼 [音楽業界]

先程まで、晴海の第一生命ホールで年に1度の企画「育児支援コンサート」の客席におりました。このホールを拠点とするNPOの名物企画で、一言で言えば「前半は子供は別の部屋で年齢別のコンサート、親はホールでホントのコンサート。後半は親子が一緒にホールで豪華メンバーによる巨大絵本読み合わせ」というものです。こんな演奏会。http://blog.goo.ne.jp/shink_2006/e/ca4f7c746712ccf754e0d34a962ced22
つまり、後半はコンサート会場の半分は3歳から7歳くらいまでの子供になる。静かにしてろ、なんて怒る奴の方がどーにかしてるよーな状況であります。勿論、チェリビダッケのチューニングを固唾を呑んで見守る2000人の聴衆の静寂、なんてもんはあり得ません。あっちこっちでいろんな音がしている。でも、佐久間さん以下のオイロス・アンサンブルは、そんな中にも流れる空気を読みながら演奏します。正にプロですな。

さても、このところ連日あちこちから個人メールはいただくは、演奏会場でご意見はいただくは、もー吉田純子記者大ヒットの「キレる客」論議、さっきの子供と親の楽しそうな時間を見物していて、またひとついらんことを思い出しました。

まずはこの写真をご覧あれ。

どっかの会場の演奏会前風景、とお思いでしょうね。ええ、実はこれは、正真正銘、演奏の真っ最中なんです。場所はホーチミン市音楽院大ホール。昨年暮れのこと。ステージではミドリさんバンドが演奏してる。会場の後ろの方の空気です。この写真そのものは、遅刻した人が入ってきてるところだったと思うんだけど。かなり明るく弄ってあります。

ヴェトナムはマナーが悪い、なんてことを言いたいんじゃない。このヴェトナムの状況において、「チラシが煩い」なんて怒っても、誰からも相手にされようがない。なんか妙な人がひとりで怒ってる、と思われるだけでしょう。「人が集まるところでどう振る舞うか」という、社会の基本部分が違うんだろー。

だってね、あなた、日本でもどこでも、「携帯電話はお切り下さい」って言いますよね、コンサート会場では。ところがヴェトナムでは、そんなこと言わない。
それどころか、演奏会の最中に携帯電話がかかってきたら、隣の人をのけて通路に出て、電話に応えながら客席の後ろまで行き、外に出る。で、電話を終えたら、また何事もなかったかのように自分の席に戻ってくる。どうやらこれが普通で、周囲の人も特に嫌だとも思っていないみたい。「電話がかかってきたら出ないのは失礼ですからね」って感じでした。

小生がヴェトナムのお客さんと携帯電話のあり方について議論したわけではありません。客席にいらした在ヴェトナム邦人の方になんとなく尋ねたら、ここはそうなんだ、と情けなさそうな顔をなさってただけです。小生のたった2回しかないヴェトナムでのホールでのコンサートで全てがそうだ、なんて断言するわけにはいかないけど…どーもこれは、そーらしーぞ。

どうしてそうなのか、恐らくはこの文化では「コンサートというのはPAを使ってデカイ音を出すもので、大事なことはデカイ音で言うものだ」という常識があるからのような気がする。ま、ホントののところはよく判らぬ。ヴェトナム在住の方、その辺り、なんかご教授下さいな。

とにもかくにも、「キレる人」問題の基本にある「他人の発する音に対する許容量」は、「これが常識だ」という落としどころを発見するのはなかなか困難だ、という一例でありました。

さて、地獄のように働きます。佃から晴海にかけ、運河の辺りはまだ桜なんぞない春の雨。


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