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サヨナラはブラームスのあとに [弦楽四重奏]

またサヨナラです。

先程、もう公式にオープンになったので喋っても良い、との本人からお許しを頂きました。で、おおっぴらに言います。

アルテミス弦楽四重奏団を10数年に亘り内声で支えてきたヴィオラ奏者、ヴォルカー・ヤコブセン氏が、近く同団を退団します。理由は、子供が大きくなってきて、人生に一度しかないこの時期を父親として出来るだけ一緒に過ごしたい。だから、今のアルテミスQのような世界中を飛び回る生活は残念ながら続けられない、というものです。

この話、ヨーロッパではアルテミスQと同じマネージャーの某北米クァルテットの連中からつい先頃聞きおよび(ソースがバレバレじゃあ!)、その瞬間に、今回のアルテミスQ香港芸術祭参加公演を聴きに来る決意をしたのでありました。税金でとてつもないことになってる筈の時期、どうしようかずっと迷ってたんですけど。

昨晩の演奏会の様子や感想は、商売の作文をすることになってますので、書けません。でも、それとヤコブセン君のアルテミスQからの卒業は、まるで別。だから、こうやってお伝えする次第であります。

ああスッとした。せっかくだから、終演後にスタッフと笑いこけている写真。使い物にならないブレブレのショットでどーぞ。

ブラームスの変ロ長調クァルテット終楽章の変奏曲、ヴィオラが喜びと寂しさが錯綜する微妙な歌を唄っていく。香港市庁舎音楽堂の聴衆たちが、それをどう感じたかは知らないけれど、少なくともこの海で繋がる1800マイル向こうから押っ取り刀で駆けつけたやくぺん先生には、なんだかとっても沢山のことを語ってるように感じられましたとさ。

ミュンヘン・コンクール優勝のときに初めて聴いて仰天して以来なんのかんの10年、このメンバーで聴くのも昨晩が最後でしょう。あと数時間して亜熱帯の夜が明ければ、やくぺん先生は北は極東の島国へ、クァルテットは長いツアーが待っている遙か南半球はオーストラリアへ。

そんな生活も、あとどれだけ続くんだろうねぇ、お互い。

アルテミスQの第1期が終わろうとしています。「完成度」をとことんまで追求し、ある意味、その限界まで見えて来ちゃったところで、また新しい時代を始める。期せずして、彼らの師匠とされる人たちが去っていくのと一緒。

おおきなのっぽのヤコブセン君、お疲れ様でした。息子がクァルテットをやりたいと言い出したら、どーする?


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