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上海の春国際音楽祭は共産党100年がテーマ [音楽業界]

恐らくはどの日本語メディアも報道しないであろうニュースです。

昨日(多分)、「第37回上海の春国際音楽祭」が上海音楽庁で開幕しました。こちらをご覧あれ。
https://klassikom.blogspot.com/2021/04/major-western-institutions-endorse.html?fbclid=IwAR0MqWnqCfFFotcHOeMjIVjpzWN-5TWvQRjG7BIRJajeUQH1LT0WV9jNMwI

今年のテーマは「中国共産党100年記念」だそうな。以下、面倒なんで、まんまコピペします。英文ですから大丈夫。

The stage of the Shanghai Grand Theatre was dominated by an official emblem of the Party's centennial celebration in both Chinese and English. Beneath the emblem, artists from major performing troupes in Shanghai including Shanghai Ballet, Shanghai Conservatory of Music, Shanghai Chinese Orchestra and Shanghai Opera House performed on stage. They were joined by musicians from Opera Australia Orchestra and Israel Camerata Orchestra Jerusalem under the baton of Avner Biron with pre-recorded video.

The gala opened with a video address from heads of major international musical institutions, among them Philharmonie de Paris, Royal Opera House Covent Garden, Opera Australia, Bayerische Staatsoper endorsing the opening of the festival which was suspended last May due to the pandemic.

This year, the festival carries the theme "Sing the centennial, homage to the classics".

「オペラ・オーストラリア管とイェルサレム・カメラータ管の事前に録音された映像と共演」って、どういうことなんでしょうねぇ。下にある隠し撮りみたいなクォリティの映像眺めても、よく判らんです。祝辞を寄せているのがフィルハーモニー・ド・パリ(オンドレ御大なんだろーなぁ)、コヴェントガーデン、オペラ・オーストラリア、バイエルン国立歌劇場の偉いさんがヴィデオ・メッセージでお祝いの挨拶をした、ってのが興味深いですな。上海なら、上海響と関係の深いNYP、はたまた上海フィルと関係の深いフィラ管だっけ、からの挨拶があっても良いような。都響なんて元コンマスが上海響のコンマスだったわけだから、なんか挨拶とかありそうなものだが。

てなわけで、すっかりニッポンが鎖国となって世界のことが判らなくなっている間にも、いろんなことが起きてます、って話でありましたとさ。上海、羽田から2時間ちょい、長崎から船で一晩で到着するんだけど、遙かなり…

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ゆふいん音楽祭2021初夏チケット発売のお知らせ [ゆふいん音楽祭]

ゆふいん新公民館ホール落成オープニングを兼ねた「ゆふいん音楽祭2021」、昨日、実行委員会が開催され、演目、チケット発売及び連絡先などが決定しましたので速報いたします。

6月27日午後2時開演 ゆふいんラックホール
出演:川田知子(ヴァイオリン)、河野文昭(チェロ)、小林道夫(ピアノ)

モーツァルト:ピアノ三重奏曲 K.548
黛敏郎:BUNRAKU
ドビュッシー:亜麻色の髪の乙女(Vn,Pf)
サン=サーンス:序奏とロンド・カプリチオーソ
メンデルスゾーン:ピアノ三重奏曲 第1番

チケット受付は5月10日(Mon.)より
一般:3,000円 小中高生:1,500円
【お問合せ】由布院観光総合事務所
Tel: 0977-85-4464 (9:00〜17:00/平日のみ)
Mail: info@yufuin.gr.jp

道夫先生のメンデルスゾーンのニ短調って、ありそうでないかも。マジ、プラチナチケット化必至です、後で泣きつかれてもダメですからね!

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2021年のショスタコーヴィチの弦楽四重奏像とは [弦楽四重奏]

去る木曜日晩に鶴見のサルビアホールでエクが初レパートリーとなるショスタコーヴィチのシリーズ第1回として第1番から第3番の演奏会をなんとか無事に終え
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そのオマケ企画たる司会タイムキーパー仕事もなんとか恙なく完了、さても新帝都にはまた緊急事態とやらが出るそうで5月は三度の仕事スッカラカンになりそうだ、なんてボーッと思ってたら、この商売始めてから難しさではトップとも言えるであろう無茶な仕事が入り、先程までバタバタしておりました。

なんせ、コロナ禍で楽屋取材は一切出来ないのが原則の中、演奏会当日、既にGPが本番会場で始まっている時間に「取材やれないかな、締め切り明日、2ページ空けて待ってるので」などというウルトラ無茶ぶり。慌ててマネージャーさんに電話し、掲載誌取りにチャリチャリと都心まで走り、そのまま会場までチャリチャリと戻り、マネージャーさんに泣きつき…結果としてなんとか取材OKが取れ、人々が慎重な楽屋詣でをせんと並ぶのを押しのけ裏に入れて貰い演奏者と共演者に3分間インタビュー。頭下げっぱなしでチャリチャリと佃縦長屋に戻り、作業をしようとするも頭が動かずぶっ倒れ、翌日土曜日はどうしても必要な資料を漁りに上野文化会館資料室に行き、奇跡的に必要な59年前の資料現物を手にすることが出来て、なんとか時間内に初稿を入れる。以降、日曜日は写真をいただくやりとりやらなにやらあり、先程、上がってきたゲラのチェックをして戻したところでありまする。平時の週刊誌取材じゃないかい、これって。いやはや。

そんなわけで、ホントならば週末にはアップしておきたかったネタが今になってしまいました。ショスタコーヴィチの弦楽四重奏についての、今時の学問レベルでの定説について、ちょっとだけ。「書いてあることは嘘ばかり、信じるなぁ」をモットーとする当無責任私設電子壁新聞としては異例な、珍しくまともな話です。

エクの20世紀作品シリーズは、これまでも作曲家さんを呼んだりしてプレトークを行っていました。今回、ショスタコーヴィチ・サイクル開始にあたり、まさかロシアから関係者を招聘し話をお願いするなど零細NPOにはとても不可能。じゃあどうするか、ということになり、「せっかくショスタコーヴィチが生きていた頃は知らない世代で、これまでに弾いたショスタコーヴィチは8番と14番、それにピアノ五重奏曲くらいのエクが始めるチクルス。若い頃にショスタコーヴィチQに10番を習ったことはありますが…というショスタコ専門家ではない常設団体やるのだから、新しい世代の研究者の方に最新のショスタコーヴィチ研究の中での弦楽四重奏のあり方について喋って貰おうではないか」ということになりました。

作曲者没後そろそろ半世紀、かの20世紀最大の偽書のひとつと認定されている『ショスタコーヴィチの証言』以降、西側ではいろんなショスタコーヴィチ像が出てきている。弦楽四重奏の創作に関しても、飛び抜けた著名曲たる第8番の「ドレスデンを訪れたとき…」という誰がどう聴いても眉唾っぽい定説は完全に揺らいだし、なんといっても4番以降はヴァインベルクとの関係を知らずには議論が出来ないというのがこの10年ほどの常識になっている。

そういう21世紀20年代の視点から、ショスタコーヴィチの15曲を弦楽四重奏文献の歴史に位置付ける新たな常識、せめてその入口くらいは確認しようではありませんか、ということです。

で、白羽の矢を立てたのが、この春から国立音楽大学准教授に就任なさったロシア・ソヴィエト音楽専門家の中田朱美先生だったわけであります。一昔前ならばソヴィエト音楽といえば一柳富美子先生の独壇場だったわけでありますが、そろそろ演奏者同様に研究者も世代を交代していく頃でしょうからね。

以下、京浜東北線が鶯谷で人身事故を起こしてJRも代行の京急もオソロシー三密状態の中を駆けつけて下さった愛好家の皆様の前で行われた20分程の本番前プレトーク内容を記します…ってなればいいんでしょうけど、ゴメン、録音してません。内容の詳細なメモを記したくても、司会とタイムキーパーをやってて、メモを取ってませんっ。

というわけで、結局のところは「書いてあることはみんな嘘、信じるなぁ」電子壁新聞の本領発揮、迂路吠えで大事なポイントを、おぼろげな記憶の彼方から最も重要なひとつふたつを記します。客席にいらっしゃった皆様からの「おいおい、そうじゃなかったぞ」という訂正、修正がありますれば、どんどんお寄せ下さいませ。よろしくです。

中田先生のお話の中でなによりも印象的だったのは、「ショスタコーヴィチの弦楽四重奏は交響曲などでは言えない内面を吐露したものだ、という認識は間違っている。弦楽四重奏は私的なばかりのものではなく、ショスタコーヴィチは弦楽四重奏曲であれ大丈夫か慎重に状況を見て発表していた」という内容のコメントであります。そもそも、ロシア・ソ連では弦楽四重奏は音楽のあり方の中では決してメイジャーなジャンルではなく、ショスタコーヴィチは第5交響曲での命に関わるような批判のあと、まずはピアノ五重奏で様子を見て伝統形式の室内楽への当局の反応を探ってみた。で、これは大丈夫なジャンルだと判断し、弦楽四重奏に着手した、とのこと。

へえええ、なるほどねぇ、いきなり、今までの曲目解説を全部捨てなきゃならんかな、と思わされるような話でありました。今後、4番以降はユダヤ主題の問題(2番にもちょろっと出ているとのこと)、そしてヴァインベルクとの関係など、興味深い話が次々と出てくることでありましょうぞ。

エクのショスタコ・チクルス、音楽そのものはパシフィカQなんぞ以降の、何度もベートーヴェンなどの演奏を重ねてしっかり古典演奏の技術と弦楽四重奏演奏に必要な和声感や音程感が身に付いた今時のまともに弾けるモダン楽器の「常設団体」の再現で、隅から隅まできっちり見えて技術的な破綻は皆無、というものであります。時代は変わってるなぁ、と感じされられる一晩でありましたとさ。次回が1年後になるのは、諸処の事情で致し方ないとは言え、待ち遠しいぞ。

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連日の上野通い [音楽業界]

世間では大阪は大変だの、首都圏にも緊急事態三度目の発令だの、すっかりコロナ対策落ちこぼれ三等国になりバタバタの新帝都なれど、先週末の荒れ模様はどこへやら、この数日は新帝都の空ったらすっかり晴れ渡り、ドバたちは新たな命を求めて追いかけっこ、雀らも口に葉っぱくわえて新緑の桜の間を飛び回り、ムクらは可愛らしい声あげて地面突っつき、おっと、まだ帰らないつぐみんやらシロハラさんも藪の中でゴソゴソ。さあ、イースターも開けて、すっかり春だ春だ、もう夏もそこまで…

って不思議なノンビリ陽気に浮かれて、ってわけでもないんだけど、6年ぶりだかに中央区民に復帰、人生初の居住地が縦長屋になったお嫁ちゃまのお宅に居候状態のやくぺん先生ったら、この数日はまるっきり東京の春の音楽祭状態で、連日上野に通っておりまする。てなわけで、コロナの日常の中の上野界隈の雑談あれこれ。

※※※

現時点では固定オフィスがなく、資料類は倉庫に入ってしまって実質上は出せないやくぺん先生、そうはいっても有り難いことに細々と商売仕事は来るわけで、なんとか通常業務を処理していかねばならぬ。んで、ひとつ曲目解説でベートーヴェンの作品18のベーレンライター版の頭に記された、かのバリー・クーパー大先生の解説を確認せねばならなくなったんだが、おお、引っ張り出すには猛烈に面倒な手続きとお金がかかる豊洲の倉庫に入ってる。だが大丈夫、僕ら都民には強い味方、上野東京文化会館資料室があるじゃないかぁ。

ってなわけで、ちゃりんちゃりんと大川越えて、人形町通りの路面店でチャリの上からおねーさんに声をかけて人形焼き買って、アキバ東口の雑踏を恐怖しつつ抜け、首都高上野線の下を延々と、JR上野駅のかつての皇室御用達貴賓室前に設置された公共有料自転車置き場へと向かった次第。おいおい、いつの間にか微妙に値上げになってるじゃあないかい。それにしても、駐車場で眺める限りは、新帝都での自転車利用者の数はやっぱり増えてる感じだなぁ。311直後、一気に帝都内の自転車が増えたけど、あれに似た感じ。まあ、みんな満員電車に乗るのは怖いもんねぇ。

日も暮れて時短の宵ともなれば大量のマスク無し外のみ軍団がたむろし上野界隈でも有数の危険地帯となる駅上歩行デッキを抜け、文化会館に向かいます。なんせ住所が変更になったので、新しい保険証を提示して、新しい利用カードを作っていただきます。資料室は、コロナ騒動が始まって長い閉館状態を終え、やっと再開したといえ、この場所の利用者のかなりの数を占めていたであろう試聴室は未だクローズしたまま。使えるのは自由にアクセス出来る図書館部分と、スタッフのおにーさんたちにお願いして出して貰う図書資料、楽譜資料のみであります。てなわけで、席使用制限などがあって入れなかったら困るなぁ、という不安は杞憂に過ぎず、ぶっちゃけ、ガラガラでありました。

おやっ、カード式の伝統的楽譜検索のコーナーはビニールシートで覆われております。「あそこ、使って良いんですか?」と尋ねると、手指の消毒をしてからシートを捲ってお使い下さい、とのこと。うううむ、とはいえここまでピッシリ貼られていると、下の方はともかく、上の辺りはカードボックスを引っ張り出すだけでも一苦労じゃわい。
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んで、BのQの辺りを引っ張り出し、調べるがぁ…ないっ。おいおいおい、天下の文化会館資料室、もう10年以上前にリンゼイやらエンドリアンやらがクーパー先生やらとバタバタやってた校訂譜、入れてないんかい!無論、全音からブライトコップフから、昔馴染みのものはいくらでも収まっているけど、なんせ今やオリジナル譜面がボンのアルヒーフで誰にでも貴方のパソコンで視られます、って時代。次から次へと楽譜出版社が出してくる新校訂版を全部買っていくなんて、とてもじゃないが付き合えない。貧乏ながらも税金納める都民とすれば、貴重な公共専門ライブラリーにはきちんと入れていただきたいんだけどなぁ…

などと悄然と夕方の空を眺め、まさかと思いつつ、一応は試してみるか。6台のうち2台しか稼働していないパソコンの前に移動し、検索してみると、なんとなんと、あっさり出てきました。無事に、ちゃんと熊ちゃんマークの現物も出てきましたとさ。

カード検索は出来ないんでね、とスタッフのおにーさんに言うと、「新しい楽譜はカードに整理してないんです」とのこと。うううむ、まあ、版の違いで検索しに来るような奴は、最新のテクノロジーをまず活用するべぇに、ということなんでしょかねぇ。

以上、文化会館資料室、利用上のちょっとした注意、でありましたとさ。なお、現時点では資料室は実質的に月の半分くらいしか稼働しておりません。退去するときに、おにーさんが「明日明後日は休みですので」と声をかけて下さいました。

※※※

かくてしっかり必要なお仕事済ませ、階下の大ホールに座って新帝都のティンパニー関係者が学生から巨匠まで勢揃いしたんじゃないかって客席で都響首席さんがアホのティンパニー協奏曲を鳴らし、後半には「東京に来ないで下さい」という都知事の後の歴史に残る絶叫に喧嘩売るかのような先週末の大阪名古屋ツアーでも演奏されたという16型ベルアップホルン起立の《巨人》が高らかと響き渡り、夜の上野は前夜のムーティ御大喝采に続き連夜の熱狂に包まれるのであった。

終演後、上野の杜から大川端まで延々と5キロちょい戻る午後9時をまわったチャリの道、目撃した開店中の飲食店はわずか6店ほど。うううむ、なんと素晴らしき都民の自主規制、世は全て事も無し…なんじゃろかね。

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演奏会形式というもの [音楽業界]

いろいろと世間で物議を醸しているマエストロ・ムーティ入国の最大の目的たるヴェルディ《マクベス》、改訂版イタリア語演奏会形式上演を拝聴してまいりましたです。場所は、「東京春音楽祭」ホームベースたる上野は東京文化会館。なにせコロナの世界になってから、恐らくは13ヶ月ぶりくらいにニッポンの舞台のポディウムに紛れもないみんな知ってるスター指揮者が登場するとあって、客席は大いに華やいでおりまする。
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平土間真ん中招待席には、イタリア三色旗のマスクをなさった大使館っぽい方などがIIJ会長さんと懇談なさったり、天井桟敷までマニアさんたちがギッシリになったり。

既にSNS上は評論家さん、関係者、マニアの皆様などからの絶賛の嵐が吹きまくっているようでありまして、ま、こういうものに「終わり良ければすべてよし」なんてノンビリしたことを言っても良いのか些かなりと後ろめたく感じつつも、やってはみたけどボロボロでみんな頭抱えてました、なんてことにならないでホントに良かったです。ハイ。

やくぺん先生の個人的な嗜好からすれば、「ああああ、俺はハワイアンとヴィンナ・ワルツはダメと公言してきたが、やっぱりイタリアオペラもダメと正直に言うべきであろーか」と下を向いてしまう、ってのが本音。無論、あたくしめなんぞの好き嫌いがどうであれ、そんなことはどーでもいいことでありまして、素晴らしいヴェルディ初期(なのかなぁ、なんせ初期作品といえ、《シモン・ボッカネグラ》いじり回してた頃に改定した版なんだから)の猛烈なパワーが上野の杜を熱狂させたことは事実でありまする。

大感動なさっている多くの皆様は、ここから先は立ち読み止めて帰った方が良いですよ…と呟いて、後の自分のためのメモとして以下を記すわけですがぁ…

本日の演奏会、「演奏会形式」というものの利点やら美点と、敢えて言えば問題点というか限界点がよーく見えたものだったという意味で、あたしのようなヴェルディ初期ダメダメ人間にも凄く勉強になったです。

音楽、特にオーケストラパートの細部まで明快な指揮者の意志が伝わり、それを誇張しているわけではなかろうがガッツリ前に出されて他の要素は皆無な純粋に音楽だけの舞台ということで、演奏が立派であればあるほど、作品の要式性がどんどんと表に出てくる。結果として、やっぱりこの作品って、「スーパー歌舞伎ワンピース」とか、「ミュージカル・セーラームーン」とか、はたまた「宝塚版風と共に去りぬ」とか(実はどれも良く知らんけど…)、そんなもんと同じ意味での「ヴェルディ版マクベス」だよねぇ、と思わされるばかり。ネガティヴもポジティヴもない、そういうもんなんだよね、ってこと。

無論、ヴェルディ自身はこの作品に凄く思い入れがあり、まともなシェイクスピア上演なんてされていなかった19世紀半ば以降のイタリアで本気でシェイクスピアの本質を再現しようとしたのでありましょう。そして、ヴェルディなりにもの凄く成功しているからこそ、先程のトーキョーの聴衆の大熱狂もあったわけですし。

ヴェルディの真摯なマクベス主題のオペラ化だからこそ、もの凄くヴェルディであって、ある時代の、ある特殊な様式にもの凄く則ったものになっている。今回の「オペラ・アカデミー」が、そんな様式を異文化の連中や若い連中に伝えることが目的なのでしょうから、この企てとすれば大成功。関係者の皆様、ご苦労様でした。

本日の演奏では、この作品が20世紀前半のドイツという「オペラ演出」というものが現代的な意味でまともにアートな行為として成り立ち始めた頃から復興してきた、一方でシェイクスピアの本場たる英国ではなかなか取り上げられなかった、という事実にもいろいろ納得いかされました。このヴェルディの熱すぎる音楽って、案外とウーファー的なドイツ表現主義の極端な表現と親和性が高いんじゃあないかい、ってね。シュレーカーとかにも似ている極端さは、マックス・ラインハルトなんぞの流れの演出家も大いに喜んで飛びつきそうな、ウルトラ極端な部分だけを繋げていくような展開。ムーティ御大が若い人たちに「ヴェルティの楽譜への忠実さ」をたたき込めばたたき込むほど、表現主義的とも言える譜面のとんがり具合が深掘りにされていく。

この作品、舞台で取り上げられる場合は、3幕の魔女の場面をどう処理するのかとか、トリッキーな舞台対応のことばかりに目が行っちゃって、そこで鳴ってる音楽が相当に激烈苛烈、ある意味滅茶苦茶なものであってもケロッと容認しちゃってるんだなぁ、ってあらためて思ったりして。

ま、もう疲れたんでこれくらい。ホントにオペラやヴェルディが好きな方々が盛り上がってる部分はちょい違う部分なんだろうけど、やくぺん先生なりに大いに面白いものでありました、ってお話でしたとさ。

でもやっぱり、個人的にはヴェルディは《シモン・ボッカネグラ》と《ファルスタッフ》で充分だなあぁ。弦楽四重奏は…ううううむ。

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空調音 [音楽業界]

もしかしたら「パンデミックな日々」カテゴリーなのかもしれないんだけどね。

あたしら都民みんなが選んだ(あたしゃ、この人には入れてないけど)我らが緑の都知事さんが「皆さん東京に来ないで下さい」という後にこのパンデミック史が書かれるときに確実にヘッドラインとされるネタ発言をやらかした翌日、大川と六郷川と、はたまた鶴見川まで跨いで、神奈川県民ホールに参上した不届きな都民なのであーる。
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神奈川県はほぼ緊急事態宣言みたいな奴が出されているのかよー知らぬが、ワクチン接種も進んでいるのかニッポンより遙かに状況が落ち着いている占領軍さんのピアは静かなもので、大桟橋の北では我らがコストガードが盛んに訓練中。芝生に入ってはいけません、という大桟橋もなにやらアヤシげな雲行きなれど春の午後をノンビリ楽しむカップルやら、港ヨコハマを楽しむ観光客の皆さんがそれなりに出ている夕方なのであーる。

さても、ここまでやってきた理由は、ものすごく久しぶりに大桟橋向こうの神奈川県民ホールの大ホールで、プロのフルオーケストラを鑑賞するため。ま、ホントの理由は、来週やはり神奈川某所でショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲第1から3番の演奏会のプレトーク司会をせねばならず、そんなタイミングでショスタコーヴィチの第5交響曲を鳴らしてくれるというのだから、これはやっぱり聴いておかないとねぇ、ってことでありまする。ちなみに明日は、溜池で第10番。ま、この辺りはまだ先だけど。要は、「第5交響曲の後に、鬱憤晴らしのように初めての弦楽四重奏に着手する」って話の相づちを打つため、気分を盛り上げときましょ、って。

そんなわけで、ホントに久しぶりに座った県民ホールの平土間。
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こういう、二昔前の「地方都市の巨大な公民館総合ホール」みたいな造りの舞台にしっかりと反響板を後ろに立てて巨大なシンフォニーオーケストラを鳴らす、って姿、うううむ、コロナ騒動が始まる直前に日本フィルさんに付き合った唐津のホールを想い出させるぞ。あのホール、ついこの前、取り壊しになったんだわなぁ。
https://www.fnn.jp/articles/-/162643

今や歴史的に貴重な構造の建築物となりつつある…かどうかは知らんけど、ともかく懐かしい「デカい市民会館大ホール」型の神奈川県民ホールで、我らが三鷹と大津のスター沼尻マエストロが、日本フィルを指揮なさりまする。その前には、このためにドイツから2週間の隔離を経てお帰りになった人気の若手ピアニストさんがシューマンを弾いてくれるし、なんと素敵な週末の晩。

ってわけで、この団体のヨコハマ定期らしい頭の白い熟年聴衆で埋まる会場に、妙なる音楽が鳴り始めるわけであります。いかにもロマン派なつくりの繊細な音楽が流れ、2楽章は猛烈な弱音で繊細な感情を語る…のだがぁ、なんだか騒々しいぞ。

弱音が極まってくればくるほど、頭の上からガーガー鳴っている空調音がドンドンクレシェンドしてくるんでありますわ。

一度気になると猛烈に気になる。あれぇ、この会場って、こんなに凄い空調音がしたっけ?それとも、コロナの換気のために、いつも以上にガンガンに空調マシンを稼働させてるのかしら。

終演後、だだだだぁ、っと吹っ飛んでいって、日本フィルのスタッフさんに「今日は空調を思いっきりまわしてるんですか?」と尋ねると、ああそうかな、とのこと。もうひとり、かつては名物ヴィオラ奏者で今は事務局を切り盛りしている某氏に同じ事を尋ねたら、「あ、やっぱりそう感じましたか。僕の耳がおかしくなったのかと思った」とのことでありまする。

いずれにせよ、この空調音は主催者の日本フィルさんがコントロールするものではなく、ホール側の責任事項だったようであります。ハードウェア側が県の意向を受け特別なことをしているのか、これは関係者に尋ねてみないとなぁ、と思いつつ、六郷川越えて東京湾岸に戻ってきたのでありましたとさ。

このネタをFacebookで挙げたら、いろんな意見があがってきました。みなとみらいホールが使用できない期間、既にこの会場でのオーケストラ演奏会はそれなりに行われているらしく、「確かに煩かった」とか、「昔からあんなもんだった」とか、意見はいろいろ。某評論家氏に拠れば、ここでフルオーケストラで演奏された《4分33秒》はたいそうな聞き物だったとか。ま、確かに、あれなら空調マシン独奏会になるだろーなぁ。

そんなこんな、神奈川県民ホールで弱音を聴くときは、心を広ぉくもちましょう。

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藤倉新作映像 [弦楽四重奏]

恐らくはコロナ時代に最も活発な創作活動、というか、新作創作物の発表が続けられている作曲家が藤倉大氏でありましょう。昨年、あの状況で国立劇場クラスの場所で完全新作が初演されているのは、世界でもこの方だけなんですから、普通に考えれば「なんでやねん?」でありますが、ま、いろいろな事情があるんだろう、でオシマイ。

一昨日だか、今、ニッポン国音楽業界でいちばん注目されてる若手弦楽四重奏団たるアマービレが、藤倉作品の新作初演を行っております。その音と映像が一般に公開されました。こちら。

やっぱり、21世紀の作曲家さんにとっての弦楽四重奏という媒体の最大の魅力は、「五線譜の音程を外れた音による厳密なアンサンブル」なんだろうなぁ、というのが良く判る作品ですな。

長さも適当だし、楽譜へのアクセスと演奏の制度的、経済的な壁を下げていくことが出来れば、そこそこ弾かれる可能性があるかな。

昨年来、コロナの中で世界初演にストップがかかっている邦人作曲家の弦楽四重奏の世界初演作品は、望月京と細川俊夫の2作があるのは皆様ご存じの通り。他にも、コロナ禍のオーケストラの様々な生き残りをかけた試みの中で生まれた日本センチュリー初演シリーズの薮田翔一作品とか
https://www.century-orchestra.jp/wp/wp-content/uploads/2020/10/d04af4ae7568ea314f943e47c310492e.pdf
この媒体のレパートリーになるものが出てくると良いんですけどねぇ。

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速報:シンプリーQがジメナウアーと契約! [弦楽四重奏]

数時間前に入ったニュースです。

中国出身で、現在はヴィーンを拠点に活動するシンプリーQが、ジメナウアー音楽事務所の所属アーティストになりました。まだFacebookでの速報だけで、公式サイトは一生懸命作ってるところみたい。
https://www.facebook.com/simplyquartet/photos/a.229005157607835/1095562257618783/

いやぁ、なんというか、久しぶりにこういう話題だなぁ、という気持ち半分。ジメナウアーもおばちゃんが引退して、ましてやこのコロナ禍で、いろいろ方向を模索してるんだろうなぁ、って気持ちが半分。この瞬間、ジメナウアー事務所の公式サイトの頭は、ご覧のように「シンプリーQと契約しました」というものになってますね。
https://www.impresariat-simmenauer.de/

彼らの担当者として挙がっている奴は、もううちのお嫁ちゃまなどは知らない名前だそうで、ま、それはそーだろーなー。

ちょっと根暗な第1ヴァイオリンと、逆にネアカでムードメーカーのヴィオラくんが上海時代からの生き残り。チェロはノルウェーのにーちゃんで、ヴィオラが数年前からヴィーンのお嬢さんに交代。中国&欧州の連合旅団となり、拠点はヴィーン、という活動の仕方になってる。

思えば、現時点では一度しか開催されていない北京国際コンクールの弦楽四重奏部門に、実質上の中国代表として登場、セミファイナルまで行ったんだっけか。
https://yakupen.blog.ss-blog.jp/2011-09-20
https://yakupen.blog.ss-blog.jp/2011-09-23

その後、チェロがソリストになるべく抜けて、なんとなんと八王子カサド・コンクールにやってきて優勝しちゃったり。
https://yakupen.blog.ss-blog.jp/2013-12-01

弦楽四重奏としては、中国出身で初めて団としてヴィーンに渡り勉強、あの藝大とヴィーン音大の合同で作った『ハイドン・トータル』なる題のハイドン弦楽四重奏全曲録音にも、チェロが安定しない中でも参加しております。ううむ、現物は今、豊洲の倉庫に入っていて出せないのが残念。

その後、チェロがノルゥエーのお髭くんに安定し、波乱のトロンハイム大会では、前回のロンドンで勝っちゃったエスメと並び3位となった。
https://yakupen.blog.ss-blog.jp/2017-09-30

んで、その翌年にはグラーツで悲願の優勝。
https://yakupen.blog.ss-blog.jp/2018-02-28
その勢いを駆り、やくぺん先生が現時点で最後に眺めた国際大会たる一昨年のボルドーではマルメンQと並び実質上の優勝。
https://yakupen.blog.ss-blog.jp/2019-06-12

そこで、いろいろな見せ方などを学ぶことになり、コロナがやってくる中でもそれなりに頑張っていて、来たる6月の、まだ止めるとは発表されていないレッジョにも参加することになっておりました。

果たして「中国が生んだ」と言えるか、なんとも微妙なフォーメーションだけど、少なくとも巨大な中国市場を本気でターゲットとする可能性がある本格団体としては、先達上海Qに続くポジションに付けたわけでありまする。そこにもってきて、ヨーロッパの弦楽四重奏業界を実質上コントロールする事務所に所属したわけですから、これはもう順風満帆…なのかな。

ちなみに、ジメナウアーのページからアーティストというところを推して、ロースターをご覧あれ。へえ、様変わりしてますねぇ。クレメルやってるんだぁ、今は。しかし、今年の溜池のお庭って、なんてことない、ジメナウアーからばっかりじゃないかぁ。これなら、来年再来年にはいよいよシンプリーも東京に来られるかな。

ニッポンの若者達よ、この名簿に上がることを目標とせよっ!

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ニッポンに入れる人と入れない人 [パンデミックな日々]

「パンデミックな日々」が恒常化し、現状に経済的な影響を受けている人と受けていない人の意識の格差がますます拡大しつつある春うらうらの善き日、皆々様におかれましてはいかがお過ごしでしょうか。佃縦長屋では、本日体重三十グラム超えのでぶちんブンチョウ君が無事に1歳の誕生日を迎え、よくまあ無事にここまで大きくなったものだ、と祝われておりまする。はい。

さても、この数日、オフィスなし仕事場なし生活で納税作業を終え、中央区民復帰作品第一号商売原稿を終え、葛飾区民時代最後の取材だった原稿に着手しているのでありまするが、そんな日常が戻ったと錯覚してしまいそうな中に、あれやこれやと世間を騒がすニュースが舞い込んでいる。この2ヶ月、右から左に積み上げていたそんな話題にも、少しづつ復帰していかないとならへんじゃろーなぁ。

んで、この数日で最も大きな業界ニュースはこちらでしょうねぇ。これ、貼り付けてもいいんだろうなぁ。オーケストラのメンバーまでちゃんと出てますから、関心のある方はあるでしょうし。
2021.04.13東京春祭2021プレスリリース.pdf
わしら一般庶民の実質上の鎖国は続き、東アジア圏では唯一未だにどんどんと感染拡大が続いている感染防止対策最悪落ちこぼれ劣等生のニッポン列島、こんなところにも来ようという音楽家がいるようで、一般大衆に課せられた検疫措置などを吹っ飛ばした特例で入国、演奏活動を行える方が出てきています。昨年のうやむやな美談になったヴィーンフィル以来の大物、ムーティ御大が今、新帝都にいらっしゃる。

へえ、入れるんだぁ、リーくんも来られるのか、っても、遇ったり話したりは出来ないんだろうけどなぁ、と思って上のリリースを眺めると
「なお、渡航規制等により参加がかなわなかった指揮受講生に代わって、ムーティ自身のオーディションを経て、新たに日本人指揮者2名、高橋達馬、湯川紘惠の参加が決定しました。」
ってね。あらまぁ、ノブースQ創設ヴィオラ奏者で、指揮者に転向すると退団。前回の民音指揮者コンクールでは見事唯一日本人以外でセミファイナルまで進出したサミュエル・リーくんは、どうやら「渡航規制等により参加がかなわなかった」組のようじゃわい。

ううううむ、どういう基準なんだろーか?ムーティ御大がOKなのは、高松宮殿下世界文化賞なんてニッポン国御上に近い筋が偉い文化人として認定するありがたぁい賞を獲ったりしているからだ、と言われれば、ああそうなんですかぁ、と納得させられなくもないけれど…誰が、どういう基準で入国可の判子を押してるのか、知りたいものでありまするなぁ。あ、商売として、というよりも、単なる一般庶民の下世話なゴシップ話として、ですけどね。

時を同じくして、遙か九州は別府からもこういう案内があったり
https://wmg.jp/marthaargerich/news/86157/
はたまた、こんな話があったり。
https://tempoprimo.co.jp/stage/y2021/barenboim

ざっと眺めると、どれもこれも4月7日から8日くらいに決定している動きのようなので、なにかそこであったのかなぁ、と思わざるを得ないですな。このニュースとも、微妙に話が異なるみたいだし。こっちは「2週間隔離」って昨年の暮れ以来のやり方みたいですから。
https://japanphil.or.jp/orchestra/news/24545

その一方で、昨日、こういう残念な情報も伝えられている。
http://www.jcmf.or.jp/news/detail.php?news_id=101
個人的には、シカゴ響音楽監督やベルリン国立歌劇場音楽監督の来日なんぞとは比べものにならないくらい期待していただけに、とっても残念でありまする。

ムーティ、アルゲリッチ、マイスキー、バレンボイムならばニッポン列島に入国出来、ほぼ普通に直ぐに活動出来るけど、元ボリショイ劇場音楽監督じゃ一般と同じ扱い。ましてはペーペーの若者はダメよ、ってことならば、ある意味、とても判りやすい話だなぁ。失礼ながら、マルメンQは天下の讀賣テレビがバックでバレンボイムは民間音楽事務所ですから、招聘主催者側の現政府与党に対する政治力、って感じではないし。

ニッポン国が法の下での平等がない社会である、と人々が納得してしまうのは、国家の統治という意味で、とってもマズいと思うんだけどさ…

それにしても、ムーティ様やらバレンボイム様はともかく、別府で開催する室内楽でこのお値段って、どういう聴衆が来るのかしら。福岡から車で来るのかなぁ?大分に、このチケット代であの会場を埋めるだけの室内楽愛好家さんの分母があるとは思えぬのだが。うううむ…

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仮オフィスで納税作業完了 [売文稼業]

一ヶ月遅れでニッポン国民の義務たる納税作業を終え、先程、葛飾税務署宛てにレターパックで投函しました。本日は上野の「東京春」のブリテン大会に行く前に、久しぶりに立石の税務署に行くのかと思ってたら、郵送で良いとお嫁ちゃまが教えて下さり、処理をして下さいました。毎度ながら、有り難いことであります。思えば、確定申告青色申告を始めて以来、郵送は今回が初だなぁ。やっぱり木蓮が香り、年によっては桜もちらほらし始めた頃に書類揃えて税務署に持ってく、ってのがニッポン国民にとっての季節の風物詩だもんねぇ。

葛飾オフィスがなくなった今、領収書の束が積み上がり暫く放置される納税作業を行うのは、セレブでグルメな体重30グラム越えのでぶちんブンチョウ君が飛び回る佃縦長屋では不可能。なにしてるのなにしてるの、これ面白そー、もってっちゃおー、って小型飛翔生命体がウロウロしてるんだもん。

んで、ここ、佃大橋東詰は月島、旭倉庫内やくぺん先生仮設月島オフィスでやるしかない。余りに殺風景なんで掛け軸垂らし、葛飾オフィスの仏壇横に置かれた日めくりカレンダーを配し、アヒル軍団佃派遣部隊からの分遣隊としてボンから新任のベートーヴェンあひる、モーツァルトあひる、そしていかにも季節外れの倉庫送りっぽいクリスマスあひるが見守る中、簡易机を広げ、ネットは実質入らず電源はなく使用時間も週末は朝の9時半から5時まで、という限りなく監獄っぽい閉鎖空間で作業を行うしかない。
IMG_1336.JPG
いやはや、この状況、いつまでも続けられるもんじゃあないわい。

かくて昨日からの納税作業、コロナで世界がひっくり返っている世相はやくぺん先生の家計経済にもモロに反映されてる。昨年は何故か1月から2月頭にかけて、まるで40代後半の頃みたいに無茶苦茶な量の作文仕事が入り、このままでは年間総売り上げ過去最高、だけどその代償に失明するかもしれん、と不安がよぎる程だったので、11月には月収3万6千円だかという過去最低水準を記録しつつも、なんとかお嫁ちゃまの扶養家族にはならずに済みました。

それどころか、例年は収入にほぼ近い程の額になる旅費交通費及び資料研究費が、昨年の2割にも達しない有様。そりゃそうだろーに、なんせ30年ぶりに日本列島を一歩たりとも出ず、国際線航空券はいちども買っていない。コンサートも猛烈に少ない。必要経費とされるが額が記録的に少ない年となった。結果として、無事に御上に納税することも可能となり、立派な東京都中央区在住ニッポン国民として目の前で繰り広げられる(られない、可能性大だろーけど)であろう世界運動会の参加者住宅隔離大作戦騒動に堂々と巻き込まれ、一納税者として文句を言うことも出来るわけじゃ。えっへん。

今年の納税作業がこれほどあっという間に終わった最大の理由は、外貨支払いがほぼ皆無だったことにあります。例年なら、膨大な量の紙っぺらの外国での支払い領収書とクレジットカードの支払い調書を突き合わせ、経費支払い額が日本円でいくらになるのかひとつひとつチェックしては記録していかねばならなかった。この作業、酷いときには丸2日くらいかかり、目はしょぼしょぼで見えなくなるわ、頭はパーになるわ…納税とはニッポン国から課された強制労働である、と国家権力に対する敵意がもりもりと盛り上がっていくわけなんだけどぉ、今年はそれがぜーんぜんない。なんせ、外貨支払いは何を眺めたか判らぬブリュッセルの劇場だかに払った€9くらいと、ツェムリンスキーQのストリーミングライヴを眺めた5コルナだけ。総計、日本円で2000円もいかないくらい。誠に以て鎖国の年であったと実感するのでありましたとさ。

さて、金曜日に完全ノマドでテープ起こしをやっつけた明日初稿を入れにゃならん原稿をやらねば。外は良いお天気、ここじゃやりたくないなぁ。上野公園のスタバに行こうかしら。あそこ、混んでるし、恐らくは永居防止で意図的に電源が設置されてないしなぁ、うううむ。

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