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もの凄く判りやすい弦楽四重奏編曲 [弦楽四重奏]

もの凄く暇なご隠居状態の昨今、ちょっとしたこちらのミスで昨日今日に予定していたクラリネットとピアノの些か特殊な演奏会に行けなくなってしまい、仕方なくというわけではないのだが、手元にあるホントに数少ない商売仕事をやってる湿っぽい日曜日の昼、皆様におきましてはいかがお過ごしでありましょうか。見下ろす大川の向こう、人形町の区民会館ではメサジュの《お菊さん》なんてもんをやってるそうだが、どうもそういう超珍品を喰らいに行くだけの精神のパワーもなく…

てなわけで、CDもオーディオもアクセス出来ないところに持ってきてコロナで公共音楽図書館が閉まっているこの瞬間、オフィス無し環境の唯一にして最大の味方たるNMLに数日ぶりにアクセスし、必要な音源を探そうとしたら、今月の新譜コーナーに引っかかってしまったぞ。へえ、オーマンディ指揮フィラ管の《運命》とか、凄いもんが入ってきてるなぁ、ああ天下のドイツグラモフォンの黄色いジャケットでロン・ユー御大指揮上海響の《カルミナ・ブラーナ》って相変わらずDG中国市場突っ込みは凄いもんじゃわい、バツェヴィチのポーランド語のオペラ全曲なんてどんだけ需要があるんだろーか…なーんて他人事みたいに眺めていく中で、ひとつの新譜に目が留まってしまったぞ。NMLはここでURLを貼り付けてもどーしよーもないので、Chandosrレーベルのオフィシャルページを貼り付けます。5月28日にリリースされたばかりで、もうNMLでは聴けますし、ダウンロードでの購入は出来ます。お皿が日本やら東京の輸入レコード屋さん店舗にまで届いているかは、ゴメン、知りません。
https://www.chandos.net/products/catalogue/CHAN%2020162
なんとなんと、解説のブックレットは無料でPDFがダウンロード出来るという太っ腹ぶり。ほれ。
https://www.chandos.net/chanimages/Booklets/CH20162.pdf

もうこれを読んでいただければオシマイなんだけど、一応、最低限のことだけを記しておけば、「皆様お馴染みのブロドスキーQ、ヴィオラ奏者さんはいろんな作品の弦楽四重奏編曲者としても知られている方でありますが、彼がバッハの無伴奏ヴァイオリン・ソナタ全3曲を弦楽四重奏に編曲、ブロドフスキーQが演奏しました」というものでありまする。

思えば、バッハの作品って案外と弦楽四重奏への編曲がされていて、《フーガの技法》は20世紀半ば頃からの定番で、ヴィオラどうするんねん、っての含め、いろんな楽譜や録音が山のように出ていますな。ボロメーオQのニックが《平均律》全曲やら《ゴールドベルク変奏曲》を編曲して自分のとこでやったり、日本でも松原かっちゃんが五重奏に編曲したり、あれやこれやある。無伴奏弦楽器作品でも、《シャコンヌ》はいくつかの編曲があり、やくぺん先生も実際の舞台で耳にしたこともあります。わざわざ録音で聴く気はあまりしないけど、どういう編曲でやってもそれなりに格好は付くなぁ、と思わされる。あ、セント・ペテルスブルクQがヘンシェルQの音楽祭にゲストで呼ばれ、《シャコンヌ》弾いたっけ。その頃の演奏がYouTubeに上がってますな。
https://youtu.be/BJ3I39dptgo

そんないろんな編曲ものの中にあって、このブロドスキーのヴィオラ御大の編曲は、なかなか良く出来てます。ってか、全く違和感ありません。実際に楽譜も眺めずにチョロっと音だけをヘッドフォンで聴いてみるに、違和感は1ミリもなし。こういう弦楽合奏曲なんですよ、と言われれば、ああそうなんですか、としか思えぬもんになってます。特に、各曲の2楽章に置かれるフーガ楽章なんかは、もの凄く判りやすくなっていて、正直、判りやす過ぎないか、って感じちゃうほど。どうやらYouTubeにアップされてるみたいなんで、ご視聴あれ。これは公式な広報用としてのアップなのかしら?
https://www.youtube.com/watch?v=m-js_u3r8L4
まずこれを聴き、どういう曲か勉強し理解してからオリジナル楽譜をやってみましょうね、ってガイドブックみたいな音楽になってます。お仕事のながら視聴にはちょっと勿体ないちゃんとしたもんですわ。

弦楽四重奏のレパートリー拡大も、古楽奏法(HIP、というのが今風なのかな)が若い世代に常識になった今や、バッハより向こうに向けての発掘がドンドン進み、多声音楽であればなんでもあり状態になりつつある。そんな中で、今や重鎮クラスの団体がこういうもんをちゃんとレパートリーにし、コンサートでも弾いてくれるのは、有り難いことでありますな。

それにしても、ブロドスキーはハレーと、ペテルスブルクはイグレッグと、最後から3つ前と2つ前の民音室内楽コンクールで争って共に2位だった団体、ってのはなんの因縁なんだろーなぁ。

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コンクール委嘱新作の行方 [現代音楽]

昨日来、浜松市の「浜松ピアノコンクール中止」という決断が世間の話題となっております。大阪の1年延期からの中止決定は殆ど音楽業界メディアの関心すら集めなかったのに、やはりピアノというのは注目度が高いのかなぁ、とちょっといじけそうになるけど…やっぱり小説の舞台になって、映画化までされて、というだけの効果はあったのですなぁ。

…なんてどーでも良い話ではなく、ともかく、これが現時点での浜松事務局から出されている公式リリース。
https://www.hipic.jp/news/2021/05/0527news.php
余りにも真っ当な、現在のこの極東の列島の状況を考えれば致し方ない決定でありましょう。現在、ヨーロッパではメイジャー大会が次々と開催されておりますけど、参加者の偏りはもの凄く、大会としてのレベルの確保がなによりも心配される事態となってるわけですし。現在進行中の東京オリパラ騒動で露呈された「どうしても競技会を開催しないといろいろと困る主催者」の事情が、コンクール業界でもあれやこれやと露呈してますな。かえすがえす、よりによってこんなときに世界音楽コンクール連盟がいろいろあって上手く機能していない、というのは不幸だったのか、それとも神様が「もうコンクールという才能発掘の方法は止めなさい」と仰られているのか…

もといもとい。で、この浜松の決定が公式発表となった翌日、地元新聞社の追加報道として、このようなニュースがありました。
https://www.at-s.com/sp/news/article/shizuoka/907534.html
地元メディアさんが、このような形で報道の後追いをちゃんとしてくれるというのも凄いなぁ、と感嘆するわけでありますが(後援団体に名を連ねているから、というだけではないでしょう)、さりげなく重要な話が出ています。引用すると

「財団によると、コンクールでは2次予選の課題曲として、作曲家川島素晴さんの新曲を用意していた。応募者に呼び掛けてこの新曲を演奏・録画してもらい、インターネット上で公開する企画などを検討している。」

なるほどねぇ、こういう手があったか、と膝を打ったりして。

コンクールやら、はたまた学校の卒業試験のために作品の提供するというのは、近代以降の作曲科にとって大事な仕事のひとつとなってきております。名曲として生きている作品もいくつかはあり、そうねぇ、コンクール由来で最も有名なのは、やっぱりシャミナードのフルート小協奏曲かしら。弦楽四重奏業界では、かのヴィドマン御大が偉くなる前の最初の弦楽四重奏曲がベルリンで開催されたローカル大会の課題曲で、今思えば、あたしゃクスだとかディオティマだとか、はたまたアルモニコが世界初演するのを散々聴いたんだわなぁ。

一方で、「演奏が終わったらみんなで楽譜を焼いた」などと嘘かホントか判らない話を参加団体メンバーから聞いたこともある(笑いながら、だけどさ)悪夢のような、二度と弾きたくない、なんて曲もいろいろあるんでしょうけど。

昨年来のコロナ禍では、世界のコンクールが審査用に委嘱した新作が、いくつも初演されないままになってます。リストを本気で作り始めたら、恐らくは1ダースくらいはあるんじゃないかしら。この話とかみたいに、現状ではなんとか初演が迎えられそうな作品もありますけど。
https://yakupen.blog.ss-blog.jp/2021-05-21
浜松の新作、作曲者さんの名前からすると、内部奏法とかもありそうなんだけど、どういう形であれ世の中に出ることを期待しましょう。そのうち、「コロナでお蔵入りになったコンクール課題曲特集」なんて演奏会もあり得るかもなぁ。

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欧亜境界近くで「ディアギレフ・フェスティバル」開催 [音楽業界]

毎朝起きると世界のあちこちから「なんでこんな案内が届くんねん?」ってメールがいっぱい配達されてるのを右から左へとゴミ箱に投げ込むのが日課なのでありますがぁ、今朝はそんな日常作業中に手が止まるリリースがありましたので、ゴミ箱に突っ込む前に電子壁新聞に貼り付けておきます。

来月10日から20日、遙かシベリアを飛び越えた向こう、アジアと欧州を隔てるウラル山脈の西の麓のペルミで、「ディアギレフ・フェスティバル」なるイベントが開催されます。リリースをまんまPDFにしましたので、下に貼り付けます。ほれ。あ、ロシア語じゃなくて英語だからご安心を。
Teodor Currentzis Supervises the Diaghilev Festival in Perm on June 10 – 20[15976].pdf
何が興味深いって、無論、へえええロシアって、こんな国際イベントやれるんだぁ、って吃驚。それになによりも、芸術監督がニッポンでもだああああっとトップスターへの道を駆け上っている真っ最中にコロナになっちゃった若きニューヒーロー、今、この人を褒めておけば「意識高い」と鼻高々になれること必至のクルレンツィスが、音楽祭の監修を務める、というところ。平時だったら、一部熱狂的なマニアさんたちがアエロフロートに飛び乗って、いそいそとシベリア越えそうなイベントでしょ。

中身としては、ディアギレフ芸術祭とはいえ、特にストラヴィンスキー没後50年をフィーチャーしたわけではなく、今時のヨーロッパの総合芸術祭ですけど、音楽は重要な中心になってるようではありますな。ま、関心のある方はじっくりリリースをお読みあれ。流石に写真などをこんな電子壁新聞に貼り付けるわけにはいかんでしょうから、それはしません。ちなみに、こちらが公式のページなんで、こっちを眺めていただいた方が良いかな。英語版を出しておきます。
https://diaghilevfest.ru/en/

てなわけで、お暇な方はどうぞ…って、誰も行けっこないけどさぁ。それにしても、ペルミって、成田羽田から太陽を追いかける昼便でずーっと昼間から夕方のままでシベリアを越えるとき、モスクワ上空ビーコン拾う様な南寄りの行路を取ったときにはウラル山脈越えて見えてくることもある、馴染みといえば馴染みの街の名前だけど…生涯、行かんだろーなぁ。

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元ペンギンがドヴォルザーク・チクルスやってます [弦楽四重奏]

忙中閑あり、の真逆、閑中忙あり、って妙な感じになってる梅雨入り前の梅雨っぽい皐月の終わり、カレンダーも大阪大会で埋まっていた(お陰でガラガラになっていた)日々が過ぎ、本日の初台を皮切りに昨年来のコロナ禍の中にあってもそれなりに頑張ってこの瞬間にやれる中での成果を着実に上げ続けている「現代音楽」業界のイベントが、水無月初めまでギュウギュウに立て込んで来ております。デュサパン→クセナキス→サーリアホと続き、その間に大阪崩れのニッポン代表若手弦楽四重奏団シリーズが鶴見で始まり、ちゃんとやれるのか未だ心配な初台の室内楽お庭へと雪崩れ込んでいく。

これがずーっと「緊急事態」が宣言される下、というのだから頭がクラクラしてくるぞ。

天皇ならぬIOCのお告げをひたすら唱えつつ狂気の夏へと突き進む特攻ニッポンはどうあれ、欧州はシーズンオフから夏にかけ、秋のシーズン通常再開に向けてそろりそろりと動き始めてる。オペラやらオーケストラやら、はたまたコンクールやら、派手な話はいろいろとパソコン画面通して伝わってまいりますし、地味でローカルな室内楽も再開されつつあります。クスQからは数日前に「コロナ禍になってから初の客を入れたライヴがあるぞ」という報告があった。当電子壁新聞では元ペンギンとして皆さんよくご存じのツェムリンスキーQからも、昨日、こんなメールが舞い込みました。面倒なんで、まんま、必要な部分を貼り付けます。ほれ。

Today, on Wednesday May 26, 2021, at 7:30 pm (Czech time), we will perform the small but lovely Movement F major B120, and then the first of the "mature" Dvorak quartets -string quartet no. 8 E major op. 80. The third piece today is a handful of joy and optimism - the famous string sextet op. 48. Today, we will have two special guests - one of the most famous Czech violinists of this time Pavel Sporcl, and also his brother Petr Sporcl. Both are great musicians, and the spirit of the sextet is very light and enjoyable. And, to explain how a quartet could engage a violinist for a sextet - our first violinist Frantisek enjoys playing viola from time to time! :-)

Just to tell you - since two days, the corona regulations in Czech Republic allow the audience in the concerts (50% of the capacity of the hall)!!! So, today after many months again, we will be able to welcome the audience in the hall! Thanks to that, the athmosphere of the concert will be different and I think that everyone in the hall will enjoy the concert so much today... :-)

The link to buy the tickets for the online stream is here:

https://goout.net/en/listky/zemlinske-kvarteto/jmii/

The price of the ticket is 149 CZK (cca 6 EUR). After the payment, you would get an e-mail with confirmation of the payment, and with the link for the concert. The concert will be always available in the website then, so if you do not manage to be online today, you can watch it any time later.
(Should you have any trouble with the payment, please write back to me!)

Thank you very much for all your support, and please stay safe and healthy!
Yours,
Petr Holman
Zemlinsky Quartet

チェコも、やっと半分の聴衆が入れられるようになったんですねぇ。

お暇な方はご覧あれ。それにしても、ホントならば、生誕150年の記念年を祝って世界のあちこちでツェムリンスキー弦楽四重奏全曲演奏会などをやりたいだろう元ペンギンなのに、残念だなぁ。

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「弦楽四重奏曲」という題名の管弦楽曲 [弦楽四重奏]

驚くなかれ、「緊急事態」下にある2021年5月もあと1週間を切ったところで、やくぺん先生ったら「弦楽四重奏」というフォーマットのライヴ演奏をひとつも聴いておりませんっ!もう言うのも哀しい、本来ならば今月は大阪大会で、最低でも10団体、演奏会の数としてはなんのかんので少なくとも2ダース以上の力の入った本番に接する筈だったわけで…ま、それが「コンクール」というものなんだから当たり前なわけだけどさぁ。

もといもとい。んで、それらがなくなっても、緊急事態宣言と言いながら地下鉄浅草駅に降りる人がひとりもいなかったような昨年の同じ頃とは様相は様変わり、演奏会はなんのかんのやってる。特に、「演奏会やオペラの開催に補助金を出す」というニッポン独自の文化助成制度のお陰で、既存のオーケストラやオペラ団体などは客席がどうあれともかく公演を行わねばならぬという世界に類例のない奇妙な事情があり、その類いの音楽は(がっつり禁止されている大阪を除き)鳴り渡ってるのは皆様ご存じの通り。

だけど、弦楽四重奏の演奏会は全国的にほぼ壊滅で、予定されていたものは前の日曜日の故岡山先生のご自宅サロンでのエルディーディQとか、去る土曜日のつくばでのアマービレのちょっと特殊な演奏会とか、数える程しかなかった。んで、どっちも諸事情で行けてない。

このままじゃあ、これだけ演奏会があるのに「弦楽四重奏曲」が全くない皐月かな、って思ってたら、いえいえ、あるじゃあないかぁ。そー、この演奏会があったぞ。
https://www.operacity.jp/concert/calendar/detail.php?id=14358
ご本人は勿論、パリから遙か極東の島国まで来られる筈もなく、出演者も当初の発表からはあれやこれやの変更があったようですが、どうやら無事に開催されるようでありまする。んで、そのプログラムの中に、「弦楽四重奏曲第6番」なる題名があるじゃあないかい。

ああ、なんとか今月もひとつくらいは聴けるかぁ、と思えば、妙な副題がある。曰く、「~弦楽四重奏とオーケストラのためのハパックス」。そー、この作品、世にも奇妙奇天烈なことに、「弦楽四重奏曲」と謳いながら、なんのことはない、実態は弦楽四重奏とオーケストラのための協奏曲なのでありまする。

この作品、数年前の夏のサントリー音楽財団フェスティバルでデュサパン特集をやり、サントリーが委嘱した新作として初演を前にしていた《ペンテジレーア》の抜萃を出してきたという委嘱した側とすればちょっとムッとするようなことをされてしまったときに、遙々初演のアルディッティQを招聘して日本初演されてます。
https://www.suntory.co.jp/suntoryhall/schedule/detail/20140821_M_3.html
https://yakupen.blog.ss-blog.jp/2014-08-20
それほど昔のことではないので、覚えてらっしゃる方も多いことでありましょう。やくぺん先生とすれば、日本初演の前のパリの弦楽四重奏ビエンナーレでも聴いてるのはやっぱりアルディッティ御大で、別の奏者での演奏は明日が初めてなわけか。
https://yakupen.blog.ss-blog.jp/2014-01-18

なんであれ、幸いにも明日の初台でチェロ務める猛烈お忙しの山澤氏が、ご自身のtwitterにデュサパン御大の解説をアップなさっているので、ご覧あれ。
https://twitter.com/operacity_hall/status/1397512854010466306/photo/2
うーむ、「なんであんたはこの曲を弦楽四重奏曲と呼ぶんねん?」という素朴な疑問に、腑に落ちるような答えがあるかはなんとも言えぬですが、こんな形態で二度と書く気はない、とはっきり仰ってますな。残念ながらパリでも映像収録はしていなかったようで、YouTubeにも音しかありません。こちら。

デュサパンって、正直、なんだかニッポンの音楽学校の優等生が卒業制作で書いて学内最優秀賞を獲得したり、芥川賞の候補作として演奏されたりするような昨今の若く才気溢れる作曲家さんが書きたがるような曲のお手本みたいな感じがあり、所謂「現代音楽」を聴き慣れた方なら、妙に懐かしさすら感じるような響きがするのだけど、この作品も全く抵抗感、ないでしょ。なんでこれ、弦楽四重奏曲なんじゃ、という疑問は、やっぱり残り続けるでしょうけど。

なんであれ、弦楽四重奏とオーケストラの協奏曲といえば、シュポアに始まり、エルガー、シェーンベルクの擬似バロック、くらいしか定番はなく、あとはガンサー・シュラーと、最近のヒット曲で我らがアタッカQの持ちネタたるアダムスの《アブソリュート・ジェスト》があるくらい。新作はそこそこあるものの…やっぱり、誰がどう見ても管弦楽曲でしかない楽譜を「弦楽四重奏曲第×番」などと堂々と名告ってるのは、古今東西デュサパン御大しかおらんみたいだわなぁ。

てなわけで、お暇なら、話のネタに明日の初台にいらっしゃいな。蛇足ながら、初台で「弦楽四重奏」が演奏されている丁度同じ瞬間、溜池でも「弦楽四重奏」が鳴ってます。
https://www.nhkso.or.jp/concert/20210527_2.html
こっちは、弦楽四重奏の弦楽合奏版。どーしてみんな、妙な変化球ばっかり投げるんじゃいっ、素直に4人で弾いてくれよぉ!

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移動状況 [パンデミックな日々]

一昔前ならば表に出なかった類いの業界の現場情報が、リアルタイムに本人らによって出てしまい隠しようがない昨今なので、後の記録のために貼り付けておきます。

昨晩遅く、来月6日から始まるベートーヴェン全曲演奏会に向け溜池に向かっていたイェルサレムQが、こんなFacebookの書き込みをしています。
IMG_1939.jpg
https://www.facebook.com/jerQuartet/posts/166137555515651
このような文字データがWeb上にいつまで残るか判らないので、視られなかったらスイマセン。敢えて魚拓を。日本時間の2021年5月24日午後10時過ぎの書き込みです。書いているのは、イェルサレムQのチェロさんみたいですな。

要は「今(日本時間24日午後10時)、僕とヴィオラくんはベートーヴェン全曲演奏会のためにチューリッヒから東京に到着したけど、テルアビブからドバイ乗り継ぎで東京に来る筈だったヴァイオリンふたりが、ドバイで搭乗拒否され、テルアビブに戻されてしまった。書類はすべてあるのに、とんでもシュールな話だ!」と怒ってらっしゃります。

日本時間火曜日の午前中の時点で、状況の変化は書き込まれていません。フォローもまだありません。無論、サントリーホールからの発表はありません。招聘現場は徹夜で必死に来日の方策を探っている筈ですので、ファンの皆さん、暫くは無事に溜池まで辿り着けるように祈るだけにしましょう。ただ、チケットお持ちの方は、日程変更を覚悟しておいたほうがいいかもね。

法務省の最新ページを眺めると、今月19日の段階でイスラエルはオリンピックなどの例外を除き(!!!!!)日本入国が出来ない地域になっているようです。昨日成田にチューリッヒから直行で到着する便はなかったようなので、果たしてどんなルートを採ったのか知らんけど、東京に無事に来られたヴィオラとチェロくんの方がラッキーだった、って感じ。第1ヴァイオリン氏は、10日位前にはプラハの春音楽祭弦楽四重奏コンクールにオンライン審査員として参加してましたけど、テルアビブにいたんですなぁ。

※※※

連日お伝えしているパオロ・ボルチアーニ国際弦楽四重奏コンクールですが、本日もホームページが更新され、地元イタリアから唯一参加だったジークフリートQという団体がキャンセルになりました。これで残っているのは参加予定は9団体。ボストンの団体など、大西洋越えて来られるんでしょうかねぇ。一昨日日曜日に本選がある筈だった大阪にも参加する筈だったカオスQは、まだ出場予定のようです。

まだまだ、何が何だか判らないパンデミックな日々は続く…

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大阪大会優勝団体NYで最先端を走る [大阪国際室内楽コンクール]

もういい加減にしなさいとお嫁ちゃまには言われるのだけど、やっぱり「ホントならば今日は大阪大会も佳境に入り、ファイナル前の大盛り上がり」と言っていた日曜日。現実逃避じゃないけど、このコロナ禍の現実でホントに頑張ってる大阪大会優勝団体をご紹介しましょうぞ。

去る金曜日、前回の大阪大会弦楽四重奏部門の覇者アイズリQが、NYはマンハッタンの日本領事館からライヴをネット中継しております。日本領事館がコロナに苦しむNYの日本に縁のある演奏家を招待し、数人の聴衆を前に演奏、中継するというもの。昨年10月から始まっているそうな。なんせアイズリQは、現在のパスポートがどうあれ、第1ヴァイオリンとヴィオラが血としてはニッポン列島。この映像の頭でも、日本領事が「ミホさんは私と同じ北九州出身です」などと仰ってます。何故かYouTubeのアクセス先が見つからないので、NY日本領事館のFacebookページからどうぞ。視られると思うんだけど。
https://www.facebook.com/JapanConsNY/videos/285125993324263

冒頭に領事の演説があり、演奏は8分過ぎくらいから。プログラムはこちら。
https://issuu.com/cgjny/docs/_fnl521__hq_print?fbclid=IwAR05pBuc3ibNqYHxtUJchRHGwya6suUSc2zPfvg1BVh8ETjbAh8dAyg58w0
まずはベートーヴェンの作品127の第1と3楽章。続いて25分過ぎくらいから、2019年に生誕記念年でちょっとだけ話題になったバロック期に数少ない女性作曲家バルバラ・ストロッツィ作品の弦楽四重奏用編曲をふたつ。続いて40分くらいからドヴォルザーク《糸杉》から3曲。Rhianno Giddensのこれまた声楽作品の弦楽四重奏版をやり、最後は大阪や以降の日本公演でもお馴染みのアイズリQお得意のポール・ビアンコ《リフト》で大盛り上がりでありまする。流石にちょっとぶっ飛びすぎたと思ったか、「皆さん、お付き合いするのが大変だったでしょうから…」と笑いながらアンコールで《故郷》を披露するのは、いかにもニッポン領事館向けコンサートでありますな。

もうひとつはニュースのみで、音はまだ無し。アイズリQの前の前、思えば311大震災と312フクシマ事故の直後に最初に日本で開催されたメイジャー国際大会となった2011年の大阪弦楽四重奏部門で優勝したアタッカQの新譜のご案内です。なんと、SONYから出ます!
https://www.prnewswire.com/news-releases/attacca-quartet-sign-exclusively-to-sony-classical-and-announce-label-debut-with-genre-defying-album-real-life-available-july-9-2021---preorder-now-301296999.html
独占契約の第1弾はクロスオーバーもの。最初のトラックのプロモーションヴィデオはこちら。
https://attaccaquartet.lnk.to/reallifePR
年内に出る2枚目の演目は、グラス、ペルト、それにルネサンス作曲家だそうな。こっちの詳細はしばしお待ちを。

それにしても両者とももの凄く攻めた演目で、これが現代の弦楽四重奏業界のひとつの最先端、と思わせてくれるんですから、やはり何のかんの言っても「NYはアートの最先端」ってことなんでしょうかねぇ。

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群響定期は週末午後4時開演になりました [音楽業界]

高崎駅発18時47分の高崎線上野東京ライン、ガラガラの2号車ロングシートをひとつ占拠し、梅雨の初めの大雨のようなザアザア降りの中を新帝都中央駅に向かってます。次は籠原で、後ろに5両繋げるのかな。なんにせよ、新帝都中央駅到着は20時39分。雨が降ってたら都バスに乗っちゃうだろうから、大川端縦長屋には9時頃には戻れるでしょう。

いかな聖霊降臨祭が近づく昼の長い北半球とはいえ、流石に外はすっかり夜。土曜の宵の上り列車でガラガラのコロナ緊急事態のニッポン、客車の窓は薄く開けて、湿った空気がガンガンに流れ込んでます。なんせ、日没直前くらいに会場を出たら、まるで嵐のような大雨で、芸術劇場から駅までのプロムナードに設置された狭い雨よけの下は渋滞しそうな勢いでありましたから。
IMG_1891.jpg

思えば、トーキョーcityから越境するのは、連休終わりの子供の日に相模国は相模湖駅から戻ってきて以来。ホントならば今日は大分にいた筈が、アルゲリッチ様が極東の島国は温泉県に入れずに演奏会がキャンセル。用事があったゆふいんでも、由布市内の小学校でクラスターが発生してしまい近寄れる感じではなくなり、去る金曜日から来週前半の日程がすべて吹っ飛んでしまった。うううむ、Zoom画面でやったインタビューのテープ起こしなんて面倒なお仕事はあるものの、なんだかボーッとしてしまい、なにもやる気が無く、大川眺めていると急に東京駅からどっかに行きたくなり、都バスに飛び乗り、在来線ホームに向かい、高崎行きに飛び乗ってしまったのが昼過ぎのこと。延々と曇り空の関東平野に麦の秋がやってきているのを眺め、群馬交響楽団の定期演奏会当日券最後の天井桟敷貧乏人切符を現金3000円也で買ってしまったのであーる。

本日のニッポン首都圏ったら、初台と横浜でマーラー4番、池袋と川崎でピアソラ生誕100年、紀尾井町ではストラヴィンスキー没後半世紀、更には柿の木坂でバロックオペラまでやってる、ってオソロシー状況で、これが「非常事態」宣言下とは後の歴史記述者は絶対に信じまい、って勢い。遙か大阪ではオーケストラ以下、すべての舞台がストップしているというのに、なんなんねん。んで、緊急事態宣言の対象外とはいえ、ぐんまちゃんの故郷高崎では、マーラーの5番でありまする。やくぺん先生とすれば、翌日には葛飾オフィスからすべての家財が撤収され、半世紀過ごした(ことになってる)実家で寝る最後の日に、コロナ後最初に首都圏プロオケが鳴らすマーラーの大曲たる第6番《悲劇的》を聴き人生を考えるべく高崎にやってきたのは、今を去ること丁度2ヶ月前のことであった。
https://yakupen.blog.ss-blog.jp/2021-03-20
この時節、なにやら1番やら4番は大はやりだけど、コロナ禍真っ只中の定期で5番6番って並べて客入れてやってるプロのオーケストラなんて、中国を除けば世界中にないんじゃないかしら。なお、一昨日だかに飛び込んだ訃報を受け、「葬送行進曲」で始まるマーラーは群響名誉指揮者マルティン・トゥルノフスキー氏に捧げられておりまする。
IMG_E1894.JPG
演奏の中身は、そうねぇ、些か微妙な言い方になりますけど……「都内各地にクラシック専用ホールと謳う会場が次々とオープンし、オケがそれぞれにフランチャイズなどの活動を始めた頃の在京オケ」って感じでんな。

全くネガティヴな意味ではなく、さあこれからいよいよやるぞ、って言葉の良い意味でのローカルな高揚感で浮き立っていたバブル末期のトーキョーの勢いを感じましたです。無論、マーラーの5番なんぞの超名曲、ソリスト級の腕っこきを首席にズラリと並べた著名ヴィルトゥオーゾオケを著名指揮者が振りまわしたピシ、パシっ、どっかーん、すげーだろー、って「名演」は、今時はディスクやら映像でいくらでも簡単に手に入る。だけど、それはそれとして、やっぱりライヴよね、って思わせてくれる「俺たちのオケのマーラー」感がビシバシに伝わってくるもんでありましたね。特に3楽章のホルンを上手のハープの横に立たせて微妙にソリスト扱いで見せたりして、おらがスター前面押し、って。

高崎駅を降りて反対側の県庁の足下まで延々と歩いていた戦後モダニズムの音楽センターがなくなり、今時のガラスピカピカの新しい大ホールが出来ることになり、いろいろな議論があったもののオープンした新ホールで鳴った我が街のオーケストラの音にあらためてみんな吃驚して、なんか嬉しくなっちゃって…って、良い循環が起きているような。聴衆も、今の在京メイジャーオケのマニア系ご隠居しかいないような客席ではなく、お高い席はそれなりにオシャレした老夫婦、貧乏人席にはマーラーやブルックナーで感動し青春の魂を燃えたぎらせたいような若い世代がそれなりに顔を揃えている。
IMG_1889.jpg
九州もそうだけど、今やいちばん熱心にこのような旧来型のシンフォニー・オーケストラを聴いているのは、人口数十万くらいの拠点地方都市なんじゃないかしら。

無論、このホールのオープンにまつわるいろんな面倒な話はあったことも、良かった良かったで忘れるわけにはいかんけどさ…
https://yakupen.blog.ss-blog.jp/2019-11-24

※※※

…ってな話は実は前置きで、そんな勢いと地元の盛り上がりを反映する、群馬県民ではない周辺地域住民、特に新帝都首都圏住民には興味深い改革を群響事務局は敢行しました。以下、実質、本論。

日本国独自のカレンダーに従い4月から始まった2021-22新年度シーズンで、群響は新拠点高崎芸術劇場大ホールでの定期演奏会の日程を変更しました。
http://www.gunkyo.com/hp/wp-content/uploads/2012/01/05f7f6b480780be54bfebebcd54e6226.pdf
まずは演目に目が行っちゃうけど、極端にレパートリーが限られたコバケン御大の名曲プロみたいな特殊な回を除けば、マーラーの2番と5番、ブルックナーの5番と8番、それにショスタコやって、伊福部やら矢代やらやって、という、堂々たるメイジャー大オーケストラのプログラムで、ホントに90年代のブルックナーマーラー流行爆発が始まった頃の在京オケみたいだなぁ。

それはそれとして、もっと重要なのは開演時間と日付の変更です。ほれ。
http://www.gunkyo.com/info/2021-2022%EF%BC%882021%E5%B9%B4%E5%BA%A6%EF%BC%89%E5%AE%9A%E6%9C%9F%E6%BC%94%E5%A5%8F%E4%BC%9A-%E9%96%8B%E5%A0%B4%E6%99%82%E9%96%93%E5%8F%8A%E3%81%B3%E9%96%8B%E6%BC%94%E6%99%82%E9%96%93%E3%81%AB/
ご覧になってお判りのように、10月のコバケン回を除き、すべて月の後半の週末土曜日か日曜日の午後4時開演に揃えてます。

これねぇ、高崎までのアクセスがその気になれば1時間以下くらいのところに住む首都圏住民とすれば、かなり重要な変更なんですわ。なんせ、マーラーの6番でハンマーぶったたいて終わった全シーズンまでの定期は、週末でも開演は午後7時でした。つまり、終演は高崎で9時です。新幹線が出来てからは往復$100出していいなら問題なく首都圏在住者なら行ける時間ではあったけど、やっぱりちょっと遠いよねぇ、という感じだった。それが、「群響定期は高崎で午後6時には終演になる」という感覚が定着すれば、都心の午後2時開演の感じで出かけ、都心の午後7時開演で戻ってくる、ってことが出来るようになります。

実際、高崎芸術劇場真ん前、ホール出口から徒歩15秒の長距離バス乗り場には、こういう時刻表が出ている。
IMG_1886.jpg
本日のように終演が6時20分にもなる長い演奏会はダメだけど、ブルックナー5番だけ、8番だけ、マーラー2番だけ、なんて演奏会なら、4時開演で6時の池袋行きバスに悠々で乗って帰ってこられるんですわ。

この時刻表を眺めていたら、バス停の事務所の中からオジサンが出てきて、「群響ですか、6時のバスがありますよ。チケットは4枚綴りで660円安くなるよ」と声をかけてきました。判ってるじゃん、バス会社の営業さん。だってさ、これなら、池袋12時半にバスに乗って、群響の会場真ん前に2時15分に到着し、当日券販売が2時半からで、終演したら拍手そこそこに階段ひとつ降りてくれば午後8時前には池袋に戻れる、って日程だもん。芸劇行くのと同じじゃんかぁ。

さあああ東京都民よ、群響はもう貴方のオケじゃ。これからの20年で劇的に変貌していくであろう「日本のバーミンガム市響」たる群響、要注目!

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細川新作弦楽四重奏曲世界初演は6月11&12日に決定 [現代音楽]

敢えて「弦楽四重奏」ではなく「現代音楽」カテゴリーで。

来月第一週から北イタリアはレッジョ・エミリアで一年延期の上での開幕が予定されていた第12回パオロ・ボルチアーニ国際弦楽四重奏コンクール、日本時間の本日早朝、公式ホームページが久しぶりに大幅更新され、日程が発表になりました。同時に、ファイナルのチケット発売が本日からとされました。払い戻しなんて面倒なことが大嫌いなイタリアですから、どうやら事務局さん、やると腹を括ったようですな。審査員がちゃんと来られるのか、いろいろ疑問はあるけど、なんせ世界コンクール連盟総会も現地で同時開催予定なんで、いろいろと話はつけられちゃうんでしょう。

ま、それはそれとして、日程が出たところで真っ先にお伝えすべきは、昨年来世界初演がペンディングになっている委嘱新作の扱いでありましょう。この大会、「招聘団体を絞り込み、呼んだ奴らは可能な限りいっぱい弾いてもらう」という今世紀に入ってからの弦楽四重奏専門コンクールの流れに沿ったやり方をしており、現時点で参加表明している10団体のすべてが、6月11日と12日に行われるセッションで演奏することになっています。タイムラインはこちら。
https://www.premioborciani.it/en/eventi/giorno-6-3/
https://www.premioborciani.it/en/eventi/giorno-7-2/

ご覧になってお判りのように、最初の団体が現地の午前10時半から、最後の団体でも午後7時には始まります。今は時差7時間ですから、委嘱新作がどんな曲かストリーミングでちょっと聴いてみたい、という方でも無理せずにアクセス可能。週末の夕方から夜ですから、午前中のセッションはもの凄く聴きやすい時間になっているとも言えましょう。ま、幸か不幸かニッポン列島を出られない新帝都在住者にしても、溜池初夏の室内楽お庭が日程が緩んでしまったんで、イェルサレムQの裏とはいえ一度や二度は聴けない時間ではありませんし。

おっと、話が前後してしまったけど、今回の委嘱新作、細川俊夫氏の《UTA-ORI. Weaving Song for string quartet》という作品であります。この大会、リームとかマックスウェル=デイヴィスとか、吃驚するような著名人気作曲家に課題曲を委嘱して、当日はレッジョの劇場にちゃっかり作曲家ご本人がご満悦顔で座ってたりするオソロシーことをやらかすのだが、今回もニッポンを代表する大物への委嘱。昨年の開催延期で果たしてこの作品がどうなるのか、みんな心配していたのだけど、どうやらちゃんとやられるようですね。大いに期待しましょうぞ。

ところで、大阪の新作はどうなるんだ…

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続・レッジョはホントにやれるのか? [弦楽四重奏]

嗚呼、ホントなら今日は大阪はいずみホール裏の宿舎滞在も1週間、コンクールの中身的にはハイライトになる弦楽四重奏二次予選が繰り広げられる筈…

なぁんて、もう毎朝恒例となった死んだ子の歳を数える妄想で目覚め、今日も今日とて早過ぎる梅雨空が広がる新帝都大川端、これまた朝恒例のメールチェックと定例Webサイト更新確認巡回をしていると、ああああ…

いよいよ開催が3週間後に迫った北イタリアはエミリア・ロマーニャ州レッジョ・エミリアの第12回ボルチアーニ国際弦楽四重奏コンクール、もうひとつ参加辞退団体が出ました。
https://www.premioborciani.it/en/admitted-quartets/
現時点では、最も実績ある団体だった我らがシンプリーQに続き、ザルツブルク・モーツァルテウムのジャヴスQが2団体目の辞退となってしまったわけであります。

この団体、結成が2013年という今回の参加が許された団体の中では比較的長い経歴がある連中で、タイミングとしても「そろそろ勝ち所」というくらいのキャリア。学んでいる先生も蒼々たるものでありまする(まあ、この大会に出てくるクラスの欧州拠点連中は、どれもがこういう方々やらこういう弦楽四重奏育成組織でしっかり習って来ているのが当たり前、そうでないアジア拠点なんぞの連中の方が例外なわけだけどさ…)。そして、なによりも重要なのは、チェロがあのハーゲンQ第1ヴァイオリンと、おねーちゃんが弾けないときは代演としてレギュラーで出てくるその嫁さんの息子、というところ。つまり、ハーゲン家の遺伝子を21世紀半ばに繋げる名門団体、と言う事実でありまする。いまどきはあっさり音も出てくるもんで、ほい、これが2020年の演奏で、シューベルトの断章。
https://www.youtube.com/watch?v=3zMh6QrmQb8

遺伝子や血統が弦楽四重奏団をつくるわけではないのは百も承知だけど、やっぱり音楽をする環境、そしてなによりも音楽業界との繋がりの濃さというのは否めないわけでありまして、配信の音を聴いてもセミファイナルくらいまでは問題なく辿り着けそう。そういうクラスの団体が敢えてメイジャー国際大会を辞退するのは、それなりの深慮があってのことなのでありましょう。

現時点で参加10団体となったレッジョ、昨年のフィショッフ大会シニア部門優勝団体、先頃のプラハ優勝団体を含め、まだまだ注目すべき参加予定団体があります。みんな、開催の希望を捨てず、頑張って細川作品を練習するのじゃぞっ!

[追記]

日本時間5月21日早朝、公式ページが久しぶりに更新され、新たに日程表がアップされました。
https://www.premioborciani.it/en/eventi/

辞退団体はその後は増えていません。なお、現在、某審査員さんに個人的に別件メールでさりげなく「レッジョって、どうなってるの」と問い合わせておりますが、返事はなし。ううううむ…

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