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速報:大阪大会参加団体発表 [大阪国際室内楽コンクール]

先程、第10回大阪国際室内楽コンクール&フェスタの記者会見があり、参加団体が発表になりました。
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おうWebサイトに上がってますので、こちらをご覧あれ。
http://www.jcmf.or.jp/compefesta2020/

第1部門では、アメリカ団体4つ、日本団体3つ。ヨーロッパが少ないのは、やはり翌月にレッジョがあるからなんでしょうかねぇ。それにしても日本団体3つというのは、第2回以来じゃないかしら。0年代終わりくらいからあちこちで見えてきた室内楽セミナー、アカデミーなどが一定の成果を上げ始めた、ということなのかしら。

第2部門はもう、圧倒的にヨーロッパ勢が来てます。ピアノ四重奏はひとつだけ、というのは、毎度ながら難しいところでありまするなぁ。

というわけで、とにもかくにも速報。なお、演目などは近くなったら公式サイトで発表とのことですので、それまでお待ちを。ストリーミングもやるそうです。

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第10回大阪国際室内楽コンクール&フェスタの大改革 [大阪国際室内楽コンクール]

本日午後、大阪いずみホール裏某所で、2020年5月に開催される大阪国際室内楽コンクール&フェスタの概要が発表されました。
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詳細をご覧になりたい方は、ともかく、こちらが応募要項ですので、ご覧あれ。
http://www.jcmf.or.jp/competition-festa/?fbclid=IwAR0jVDO3ywlkkmOLJy2yxmFkWlXJfud7c3G1OD2et6f5_DrMZFIcFU9yZSw

ま、上のURLから「募集概要」が日本語英語で全部判るので、どうこう言う必要もないのかもしれないけど、とにもかくにも第10回記念大会&ベートーヴェン生誕250年記念大会の重要な改革ポイントを、以下に列挙しておきましょうぞ。

1:過去優勝団体から審査委員を招聘する。
2:弦楽四重奏第3次予選に、課題曲として望月京に新作を委嘱する。
3:第1部門の課題曲として、1次予選はベートーヴェン作品18、2次予選は作品59、《ハープ》。《セリオーソ》、本選には作品127、130、131、132、135が課される。第2部門もピアノ三重奏、ピアノ四重奏ともにベートーヴェン作品が課題曲とされる。
4:海外のフェスティバルとの提携を行う。ミュンヘンのニンフェンベルク音楽祭、ボルドー弦楽四重奏音楽祭(コンクール)、アムステルダム弦楽四重奏ビエンナーレに優勝団体、入賞団体を派遣する。
5:フェスタの1次予選を津、高岡の2都市で開催、大阪いずみホールでは勝ち上がった団体が決勝ラウンドを行う。
6:コンクール・プレイベントとして、過去の入賞団体によるコンサート・シリーズを大阪フェニックスホール、横浜サルビアホールで開催する。

以上です。特に5は大改革で、果たしてどんなことになるのやら。

開催期間は2020年5月15日から22日。さあ、今から日程表に書き込んでおいてください!

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2020年へのプレリュード [大阪国際室内楽コンクール]

今、京都コンサートホールでベルチャQのベートーヴェン初期中期後期から1曲づつ、というヘビーなプログラムを聴いて戻って来ました。
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これから数時間寝て、明日の北関東某所でのQアマービレに向かいます。

本日の演奏会、今のフォーメーションになる前から、ベルチャQがメイジャー級のプロとしての活動を本格的に始めた頃、EMIだっけかにシューベルト後期チクルスを録音し始めた辺りから顕著になってきた「まるでレコードみたいだぁ」というライブ再現でありました。20世紀型メイジャー団体のやってたような「猛烈に作り込んで、しっかり解釈がなされ、演奏する全員が完璧に判っている」というパーフォーマンス。こういうことを真っ正面からやってる団体って、現役の弦楽四重奏団で他にあるだろうか、と思わされる音楽であります。

無論、CDに残っている演奏とはメンバーも代わってる(大阪にも来ていた初代セカンドさんは、今はロンドンシンフォニエッタだっけ、のコンミスやってる筈←未確認、ゴメン)けど、全員できっちり作り込んだ完成度の高さは「まるで録音みたい」ですわ。いやぁ、大層なものを聴かせてもらったでありまする。

さても、このベルチャQ、言うまでもなく第3回大阪国際室内楽コンクール第1部門の覇者で、客観的にみて大阪卒業団体の中でいちばん「売れてる」団体ですな。その大阪大会、いよいよ来年が第10回大会、ましてや大阪初期のベートーヴェンばかりという異常な課題曲が懐かしい、来年はベートーヴェン・イヤーでではないかぁ。

というわけで、大会を盛り上げるため、大会1年前からこんなコンサートシリーズが始まるのであります。
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西はフェニックスホールで東はサルビアホール。元号も新たになった5月にスタートで、アルカディア(第8回優勝)、エク(第2回準優勝日本人最高位)、ドーリック(第6回優勝)、ヘンシェル(第2回優勝、鶴見のみ)、ベネヴィッツ(第5回優勝)、アタッカ(第7回優勝)、という豪華ラインナップ。何を隠そう、本日のベルチャは、シリーズ開幕の時期が初夏からだったので加えられなかったけど、実質上の「大阪優勝団体総ざらえシリーズ」のプレ企画だったのでありました。

さあ、2020年に向けて、弦楽四重奏で盛り上がろー!

なお、まだ各方面の確認が取れていないのであくまでも「ということらしい」という未確認情報ですが、2020年には日本列島で現時点で確認されている限り3回のベートーヴェン弦楽四重奏全曲チクルスが予定されております。6月には毎年お馴染みになっている溜池の室内楽お庭、9月には鶴見でプラジャーク、そして、なんとなんと、先程当人らの口から隠す必要ないよと言われたので記しますが、11月には札幌(某Fホール?)でベルチャがやるそーなっ!

5月には大阪で若者達が競うわけだし、2020年、日本は弦楽四重奏列島になるっ!

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優勝団体に遭いにいく・その4パートⅡ:第3回大阪国際室内楽コンクール第1部門ベルチャQ [大阪国際室内楽コンクール]

久々のシリーズ、ベルチャQ編の第二部。本拠地ロンドン編であります。

なお、当シリーズ期待の最新版(って、期待しているのは関係者数人だけだけどさ)として予定されていたアルカディアQ編でありますが、哀しいかな、来る日曜日にウィグモアホールで予定されていたロンドン大会の過去の優勝団体顔見せコンサートは、「演奏者の怪我の為」キャンセルになりましたぁ!なんてこった、このために朝っぱらにニュルンベルクから帰って来なければならんので、残っているのはファーストクラスだけなのに涙なみだで大枚投下したのにぃ、えええええん…

もとい。んで、昨晩のウィグモアホールでのベルチャQであります。とはいえ、実はベルチャQは1997年のロンドン大会では3位で、優勝はしていません。地味真面目堅実なアウアーQがきっちり優勝したときで、だけど別にその後を予見するわけでもなんでもないけど、やくぺん先生は何故かベルチャQはやたらと印象が強く、当時のメモを見返しても「勝てないだろうけど、いいじゃんかぁ」みたいなことを綴ってる。その後、風の便りながらなかなか存続が難しい状況になってるという話を耳にし、ああ、あのベルチャちゃんってもの凄い東スラブ系美人さん、やっぱり弦楽四重奏なんて廃業してソリストの道を選ぶのかしら、まあ、しょーがないよねぇ、メディアが放っておかないもん…

ったら、ベルチャさんとヴィオラ君は創設メンバーのまま、新たな二人を加えて大阪に乗り込んできてくれて、過去最大の日本団体参加数だった(と思う)乱戦とは別次元の自力で難なく勝ち進み優勝。その半年後、エヴィアンから追い出されてたコンクールをボルドーが拾って秋に行われた最初のボルドー大会で、大阪のタイトル引っ提げ余裕の闘いかと思ったら、意外にも伏兵の北米で学んだ中国の団体に追い上げられなんとか鼻の差で逃げ切った、という感じの闘いで優勝を飾り…その後は華々しいキャリアを積むことになったのは皆様ご存知の通り。チェロとセカンドは交代したけど、前者は今やギルドホール音楽院の室内楽部長であり、イギリスのヤング・コンサート・アーティストのディレクター(ロンドン大会ではテープ審査をしており、一昨日だかも会場で挨拶しました)。後者は確かECOのトップかなんかをやってる筈。現在のベルチャQは、恐らくは大阪が生んだ「ギャラが高い」という意味では最も成功したスター、英語圏弦楽四重奏の中で今やトップのスターになっているわけでありまする。

ううん、成功譚というのは気持ちいいもんですなぁ、他人事であれ。

さても、そんなベルチャQ、昨日は英国のトップ団体として堂々と若いもんにお手本を見せる、というステージでありました。
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ほぼ満員のウィグモアホールで、ハイドン作品20の4はまあ、昼間には若い達者な連中が今時のいろんなスタイルのいいとこ取りをしようとしては中途半端になったり無茶をやったりしているのを尻目に、「君たち、自分らなりに様々な演奏スタイル情報を選択して提示するなら、ここまでやんなきゃダメなんよ」って堂々たる演奏を披露。英国の弦楽四重奏趣味の根底にある「解釈ごっこ」というか、「解釈過剰」というか、この楽譜にどんな風に仕掛けるかを聴衆があれこれ突っ込んで楽しむ、という伝統(というか、風潮、というか)に真っ向からネタを提供、でもどの趣味嗜好から眺めても一応どれも納得させられる、というもんです。うううん、プロのお仕事、って感服するしかないぞ。

リゲティの1番も、徹底して娯楽に徹した大柄な表現で、極めて判りやすく、説得力がある。最後の《アメリカ》は、曲自身が「さあ、君たちはこのちょっと壊れ気味だけど素敵な楽譜をどーしますかぁ」というところがある作品なんで、あれやこれやの仕掛けが次々と繰り出され、もう娯楽の殿堂ベルチャQいぇいっ!

大阪の若きプロデューサー氏曰く、「ベルチャって、個々人が自分のことをあれだけ出しながら、他を邪魔しないんですよねぇ。当たり前のことなんだろうけど、なんであんなことが出来るんだろう」って、極めて現場的な感心をなさっておりました。誠に以て仰る通り。

無論、聴衆は大受け、大喝采。これぞ今の英国の室内楽趣味のひとつの頂点なのだ、というご披露でありました。考えてみれば、そっからもうひとつ次に行こうとしているドーリックQもしっかり優勝させている大阪って、実はスゴい鑑識眼持ってるじゃん、って自画自賛したくなるぞぉおお!

さても、本日はロイヤル・アカデミーお通いの最後の日。夕方にはセミファイナリストが出ます。日本では日付変わってると思いますが速報しますので、明日はネット環境整え、請うご期待。

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優勝団体に遭いにいく・番外編:第9回大阪国際室内楽コンクール&フェスタ第2部門優勝ザイーハ四重奏団 [大阪国際室内楽コンクール]

今回、大阪の若きプロデューサーもぐらくんが遙々シベリア越えてパリに派遣されている理由のひとつは、来る11月に開催予定の大阪国際コンクール第2部門優勝団体ツアーに参加するザイーハ・サクソフォン四重奏団の連中と打ち合わせをすることにありました。んで、本日、連日の低く冷たい雲がいきなり晴れた冬の空の下、ブローニュの森近くのプーランク音楽院まで、ザイーハQの演奏会を聴きに行って参ったでありまする。

演奏会とはいえ、時間は朝の10時半から。なんせ日の出が午前8時半頃というとんでもない時期で、気持ち的には朝っぱらもいいところ。通勤時間も心なしか遅い感じで、9時過ぎのパリ地下鉄はラッシュアワーであります。ともかく、連日のクァルテット・ビエンナーレ会場であり、ザイーハQの連中の母校たるパリ国立高越音楽院もあるラ・ヴィッテルという北千住だか金町だか、ってな場所から40分くらかけてえっちらおっちら向かうのであった。

学校の前に行くと、本日の聴衆たる就学前の児童達が、先生に引き連れられてもう集まり始めている。そう、要は、音楽院のオーディトリアムを会場とはするものの、所謂「お招きアウトリーチ」でんな。ちなみに、彼らの本篇の演奏会は同じ会場で2日後の18日夜に予定されております。
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パリ在住でお暇な方はどうぞ。

プーランク音楽院はラジオ・フランスの辺りで、向こうにエッフェル塔の頭が覗く、ってくらいの場所。パリの北千住に島流しになっている実とすれば、「わあぁああ、ぱりだぱりだぁ!」ってとこです。とはいえ、そんな観光気分で喜んでる暇はないz。さっそく出迎えてくれたザイーハQのメンバー、なんと今日はひとりがパリ高等音楽院でなにやらの授業だかがあってどうしても来られず、臨時で入ってるのは大阪同部門で2位だったライバルのニオベ・サクソフォン四重奏団のメンバーだそうな。いやはや、ま、結果として「大阪国際第2部門優勝及び第2位団体のプチ合同演奏会」になってしまったわけじゃわい。要は、さほどサクソフォン四重奏というのはパリ高等音楽院が強い、ということなのでしょーねぇ。

てなわけで、既に就学前にしてガッツリ自己主張に溢れたフランスはぱりぃのお子ちゃま相手に、一切の妥協無く(ってか、今日は大阪で披露した立ってパーフォーマンスをしながら、という曲は臨時メンバーなのでやれんわな)、楽器紹介とか音域の問題とか、勝手に飛び込む質疑応答に応えたりとかするザイーハくんたちなのであった。
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最後は、頼みもしないのに勝手に子供らが手拍子を入れる《ウエストサイド物語》組曲で大いに盛り上がり、朝からすっかりアドレナリン投入されたようなことになった次第。

無論、その後は近くの街場のレストランできっちり打ち合わせ。
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冬のパリで秋の美しい日本列島の紅葉と温泉に大いに期待を高めるザイーハQでありましたとさ。

ザイーハ・サクソフォンQの来日、11月8日の高岡を皮切りに、金沢、いずみホール、三重、葉山、トッパン、鳥取、庄原、国東などなど、全国各地でサクソフォンを鳴り響かせます。皆々様、よろしくおねがいいたしまするぅ。どんなもんかよーしらんわい、って方には、彼らの名刺代わりみたいな曲のプロモーション映像をどうぞ。ほい。

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優勝団体に遭いにいく・その4:第3回大阪国際室内楽コンクール第1部門ベルチャQ [大阪国際室内楽コンクール]

韓国の真ん中辺り、ソウルからKTXで1時間ほどのテジョン(大田)に来ています。半島が冬に入った猛烈に冷え込む土曜日の晩、1998年の万博で大発展した当地の立派なアーツセンターで
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ベルチャQとノブスQのオクテットを聴くため。
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ベルチャQと言えば、90年代に日本の若者達の間でなぜか巻き起こった弦楽四重奏ブームが最も盛りあがった頃、始まって3回目となる大阪国際室内楽コンクール第1部門にも過去最大の数の日本の弦楽四重奏団が参加したことで記憶される大会(やくぺん先生個人とすれば、ニッセル先生が審査員として参加なさった大会、という印象が強いのだけど)で優勝し、その直後には、エヴィアンから移った最初のボルドー大会へと転進、後にベネヴィッツQが成し遂げる史上初の国際メイジャー大会連覇という偉業を成し遂げ、現在の「イギリスでトップの弦楽四重奏団」に登り詰めるきっかけを作ったのでありました。ぶっちゃけ、下品な言い方をすれば、大阪大会出身で現時点でいちばん「売れてる」団体、でありまする。

調べてみると、初めて出会ったのは20年前のメニューイン御大がご存命だった最後のロンドン大会のようで、当時のメモには「K.465:音も綺麗だし、大穴かも。張りのある第1ヴァイオリン。丁寧で、好感が持てる。まだまだ押しが弱いけど。」なんてえらそーなことが書いてある。ロータスQがヨーロッパの大会に盛んに参戦していた頃で、アウアーQが優勝したこの大会ではベルチャは3位になっている。だけど、正直、20年経った今、参加20数団体の中でそのときから印象が明快なのは、ロータスQを除けばベルチャだけなんだわなぁ。やっぱり、最初からもの凄く光るものがあった、ということなのでありましょう。

その後、暫くメンバー交代などでバタバタしていたけど、その2年後の大阪の参加団体名に彼女らを眺めた時、あ、ちゃんとやれるようになったんだ、やっぱ、ベルチャで決まりしょ、と思ったもん。んで、大阪では堂々のぶっちぎり優勝を飾り、その数ヶ月のボルドーに乗り込み、横綱相撲をしようとおもったら意外な伏兵が出現し…ってストーリーが続くわけだが、ま、それはまた別の話。

その後、当時ヨーロッパで「歴史上最強の弦楽四重奏専門マネージャー」となりつつあったドイツの某事務所に所属し、あれよあれよと出世していったのは、弦楽四重奏好きの方ならご存知の通り。ファーストのコリーナも無事にイギリス人と結婚して英国に安定して定住できるようになり、EMIと契約し笑っちゃうほど作りに作り込んだシューベルトのディスクを世に出してイギリスの評論家筋が熱狂し大出世となり…

大阪メンバーのチェロのテイトくんが抜けて若くしてギルドホールの室内楽科の主任になったり、創設メンバーだった(と思う)セカンドちゃんも抜けてロンドンの某室内オケのトップになったりと、20年なりの波瀾万丈を経つつも、今に至ってるわけでありまする。

集客面で余り上手くいかなかった来日公演があったことで日本のマネージメントが切れてしまい、その間に彼女らがどんどん格上団体になっていき、日本とヨーロッパでのマーケットバランスが圧倒的に不均衡となってしまったという不幸もあり、日本では「幻の団体」になりつつあのが、ちょっと、というか、凄く残念。サントリーのベートーヴェン全曲でも、当然ながら候補にはなるのだけど…


ま、それはそれ。先程終わった演奏会、思えば3年前にロンドンでタネージの新作を聴いたとき以来なんだが
http://yakupen.blog.so-net.ne.jp/2014-12-07
相変わらずの最良の意味での「作り込み、考え過ぎのベルチャQ」面目躍如でありました。

最初のハイドン作品20の4は、もう加わって10年くらいにはなるか、フランス人チェロくんのバロック弓で古楽弾きがやたらと目にも耳にも飛び込んでくる「今時のヨーロッパ中堅若手に大流行の時代演奏をモダン楽器に反映した古典」であります。アタッカQが続けているモダンの響きに古楽のいろんな在り方を必要なら加えていく、ってのとは正反対の、モダン楽器は古楽の響きだって作れるオールマイティなんだよ、って感じの音楽。ある意味、猛烈な力業ですわ。おかげで、続く《アメリカ》では第1楽章ではやたらとヴィブラートが耳についてしまうほどでありました。ま、終わってみれば、《アメリカ》もベルチャ流の作りに作った、イギリスの評論家が大喜びする類いの説得力あるものでありましたけど。
弟子のノブスQを加えてのメンデルスゾーン八重奏も、コリーナ姫を支える7人のやろーども、と言えばそれまでなんだが、なんせ御姫が頭が良くて周囲へのご配慮が出来る立派な方なものだから、ファーストのコンチェルトにはなりません。なるほどねぇ。

てなわけで、久しぶりのベルチャQを堪能し、終演後は毎度ながら、ヴィオラ君なんぞに「お前、どーしてこんなところにいるの」と呆れられたわけでありまする。

そうそう、ベルチャQ、全員がタブレットで演奏してます。もう1年くらい、そうしてるそうな。この写真で判るかなぁ。ちなみにハイテク立国韓国の若者達は、伝統の紙楽譜でありまする。
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コリーナはペダルばかりではなくかなり頻繁に演奏中の画面タッチもして、なるほど、そういう風にもやれるのね、って。ここまで普及してくると、電子楽譜の扱いが随分と演奏者により違うのが判って面白いですな。

日本ではいろんな事情で幻の団体になっているベルチャQ、2018-19シーズンの終わり頃に来日予定もあるとか。いよいよ極東の列島でも20年ぶりにブレイクするか、請うご期待。

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優勝団体に遭いにいく・その3:第7回大阪国際室内楽コンクール第1部門アタッカQ [大阪国際室内楽コンクール]

月曜の出勤時間にデカイに持つ引っ張ってかつてトスカニーニやホロヴィッツの住んだアパート前から地下鉄に乗り、ペン駅でガラガラなトレントン行き下りに乗りかえ、朝霧になにも見えぬアメリカゴジラが盛んに暴れては逃げていく湖沼地帯を抜け、「ニューヨークのひろおおい埼玉」たるニュージャージー州の入口ニューアークに到着。終点の、フィラデルフィアまでの「中途の街」(エラリー・クィーンが後期の人情ミステリーに転進するきっかけとなった名作の舞台でありまする)トレントンまでいけば、橫田へ向かうニホン国法務省あずかり知らぬ太平洋横断裏定期便でお馴染みのマクガイアー輸送部隊基地(先頃帝都上空を跋扈したマリーンワンも、ここから運ばれたはず)が広がっているのだが、まともな身のやくぺん先生が向かうのはニューアーク空港でありまする。これからアメリカ大陸を6時間以上かけて横断する大フライト、一気にサンフランシスコに向かいますです。

昨日は、NYC彼方此方でなんでこんなにいっぱい室内楽の演奏会があるんだ、という呆れるような日曜。なんのかんのあったけど、地下鉄の週末工事やバスの路線変更などにあれこれ巻き込まれ、結局、午後4時からブルックリン公共図書館で開催されたアタッカQの演奏会にしかいけませんでした。ま、それでお腹いっぱいになったから、結果としてはよかったんだけどさ。

普通なら、マンハッタンから赤の2,3番か、黄色のブルックリン方面行きに乗れば30分くらいで到着する場所なんだけど、なんのかんのでマンハッタン厄偏庵から1時間半もかかってやっと到着。頭の上をラグァーディア空港に向けて到着機がガンガン降りてくる辺り。
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どうやらこの図書館もレクチャーなんかと並んで演奏会シリーズもあるようで、エンソQなんぞが出てたりするようだけど、今日のアタッカQは主催はなんとなんとカーネギーホールです。カーネギーホールの教育部門が担当する「ご近所コンサート」というシリーズのひひとつ。
https://www.carnegiehall.org/Events/Neighborhood-Concerts
ニューヨーク・シティの各地を会場に、きちんとしたコンサートを無料で主催する。無料とはいえ「当日来て並びなさい」ではなく、聴きたい人が申し込んでチケットを貰うようになっているので、「図書館にいったらなんかやってたので覗いてみよう」というわけにはいきません。アタッカQのギャラはカーネギーが払っていて、コンサートの当日制作スタッフなどもカーネギーから派遣されてる。無論、会場となる場所も主催者ですから、いろいろ自分なりに人が動いていたりもしますけど。
https://www.carnegiehall.org/Calendar/2017/12/03/NEIGHBORHOOD-CONCERT-ATTACCA-QUARTET-0400PM
このシリーズ、いろんなものをやっていて、弦楽四重奏もいくつか入っているものの、ジャックQとかフリクションQとか、今時のもんが殆どで、ベートーヴェンの作品132なんてガチガチの古典を真っ正面からやるのはアタッカQくらい。つまり、敢えて言えば、「クラシック音楽の室内楽」をブルックリンの聴衆にきっちり聴かせる仕事を担当することになる、ということですわ。
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会場は、図書館地下のレクチャーなどをやったりする客席200くらいのオーディトリアム。アウトリーチとはいえ、ちゃんとした会場でのちゃんとした演奏会です。こんな。聴衆は、主に囮寄りの近隣の方がだけど、想像以上に客層は広かったです。
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ここで、彼らの友達の作曲家の短い弦楽四重奏作品をやり(音の聞こえるところと聞こえないところのギリギリを探るような、なかなか面白い作品でした。最近、録音もしたそうです)、そのまま作品132に突入する。国内をずっとこの曲をもってツアーしてきて、地元NYCに戻りこれを弾いてツアーはオシマイになるというアタッカQ、すっかり手に入った演奏を繰り広げる。特に第3楽章では和声を綺麗に響かせたゆっくりした祈りの歌の部分と、快癒への喜びを手放しで叫ぶような部分との対比を思いっきり大きくとり、「アタッカQに中庸なし」の言葉通り(←誰がいうんじゃ、そんな言葉…)の過激な、だけどものすごくまともな音楽を繰り広げてくれました。

終演後はロビーに出て、殆ど弦楽四重奏を聴いたことがないような人達から「すげぇええ」なんて感想を述べられ、是非来週の演奏会にも来て下さい、としっかりPRに勤しむアタッカの皆様でありました。
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アンドリュー君曰く、「この演奏会、どういう聴衆なのか僕たちにも良く判らないよ。でお、普段の僕らの演奏会に来てくれる人達とは違うことは確かで、そういう人達に弾けるのは有り難いことだと思ってます」。

大阪からはや6年、いろんなこがあり、この街での生活もそれぞれに安定し、それでもしっかり攻めてるアタッカQの姿は、とっても嬉しいものでありました。

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優勝団体に遭いにいく・その2:第9回大阪国際室内楽コンクール第1部門アイズリQ [大阪国際室内楽コンクール]

今回の超短期北米滞在の大きな目的のひとつが、かつて大阪国際室内楽コンクール第1部門を制したふたつの団体が、共に現在は本拠地とするニューヨーク・シティで日を空けずに演奏会をするのを聴きに行くことにありました。まずは、半年と少し前に優勝したばかりのアイズリQが、この秋からのシーズンでレジデンシィを勤めるメトロポリタン美術館が主催するシリーズ第2回目のコンサートであります。
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メトロポリタン美術館の室内楽シリーズといえば、長くグァルネリQが実質上のレジデンシィを勤め、シーズン中に4回くらいの演奏会をずーっと行っていた。20世紀の終わりくらいからは、アリス・タリー・ホールでのリンカーンセンター室内楽協会のエマーソンQやジュリアード音楽院の演奏会としてのジュリアードQ、92丁目Yのレジデントの東京Q、はたまたマンハッタン音楽院レジデントのアメリカンQ、フリック・コレクションでのヨーロッパ系外来団体などと並び、マンハッタン地区で弦楽四重奏が定期的に演奏される重要な場所のひとつとなっていたのは、皆様よーくご存知の通り。

グァルネリQが引退し、後を継いだパシフィカQが数シーズンでブルーミントンを本格拠点とすることになって(それが理由かは知らぬけど)、さて次はどうなるんだろうと思ってたら、なんとなんと、「その2」でご報告するアタッカQがレジデンシィになるという。へええ、すごい若手に持ってきたなぁ、とビックリしたら、どうやらシステムそのものが変更になったようで、大物中堅団体を長くレジデンシィにして実質的にはその団体にとって最も重要なNYCでの定期演奏会主催をサポートするというやり方を止め、いきのいい若手を「レジデント」にして、シーズン内に4回くらいの演奏会を主催してあげる、という「若手支援」の枠になってしまった。無論、それが悪いというわけではなく、お陰でアタッカ、そしてアイズリ、と、まるで「大阪に優勝したらレジデントにしてあげましょう」みたいなことになってしまっている。大阪大会の評価の客観性が別の所で証明されているような形で、それはそれで大いに有り難いことであります。


てなわけで、感謝祭休暇が終わりすっかりアドヴェント、いかなネット商戦がメインになった北米とは言えここはマンハッタン、買い物客で溢れかえる五番街をセントラルパークに沿って上がっていったメトロポリタン美術館ロビーは、夜の9時までオープンの金曜日ということもあってか、すっかり日も暮れた6時半過ぎくらいになっても世界中からやってきた観光客の皆さんで大混雑。アイズリQから、「チケットはボックスオフィスにあるから」と言われているものの、ボックスオフィスそのものがどれだけあるのやら、訳が判らぬ。

なにしろ今晩の会場、これまでグァルネリQが提起をやって来た、地下だか1階だかのミイラがずらずら並んだ先にある奥まったところのオーディトリアムではありません。アイズリQの初回はそこだったそうだが、今度はなにやらイタリアから持ってきた邸宅の中庭みたいな場所だそうな。散々彷徨って、3箇所くらいのボックスオフィスで「今日の演奏会は…」って尋ねた挙げ句、やっと辿り着いたのは、なんのことはない、5番街に面したいちばんメイジャーな階段上がった正面入口の直ぐ裏でありました。

へえ、こんなところあったっけぇ、と思いつつ、ルネサンス彫刻が無造作に並べられた中庭に演奏台を架設し、お馴染みの電子楽譜なんぞを据えるための譜面台を並べた前に、総計60席くらいが並べられている。文字通り、これ以上判りやすいのはないくらい判りやすい「Music in Museum」でありまする。これまでのメトロポリタン美術館の室内楽シリーズ、「美術館での演奏会」を期待すると完全に肩透かしの、真っ当すぎる室内楽演奏会場だったので(楽屋が無い、とかいう問題はあったものの)、ま、随分と感じは違うもんになったことよ。
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てなわけで、この街では珍しく金曜の晩なのに午後7時に演奏が始まります。先週末に日本から戻ったばかりのアイズリQ、元気いっぱいで登場するや、日本の一部でも聴かせてくれた超モノフォニーのヒルデガルト・フォン・ビンゲンだとか、やっぱり奇妙な音が並ぶジェズアルドを、擬似ルネサンス空間に響かせる。正直、弦楽四重奏には響きすぎる場所だけど、これらの曲には丁度良いかな。
続いて、今回、はるばるやくぺん先生が太平洋を渡った理由でもあるナンカロウ第3番。これ、日本ツアーの間も盛んに練習していて、最初から聴いている日本室内楽振興財団のもぐらくんやらYさんには、4人それぞれがまるで違う拍子を刻んでいく突拍子も無い音楽のできかけを散々聴かせて、目をまん丸にさせていたそうで、「今日の演奏をYさんに聴いていただきたかったわ」って。まるで勝手なメトロノームが4つ、まるで勝手に鳴っているのをぼーぜんと眺める曲かと想像していたら、意外にも、なんか、音楽になってたんで逆にビックリでありました。ナンカロウを聴いちゃえば、最後の《大フーガ》だってもう驚かないぞっ!

そんなこんな、休憩無しで1時間ちょっとくらい。場所が場所だけに終演後に楽屋で…ってのもムリで、アイズリQの皆さんが会場に出て来て、談笑のお時間となりましたとさ。
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曲によってスタッフが背景の照明を変化させたり、うううん、ちょっとやらずもがな、と苦笑してしまいそうな演出もあったものの、天下のメトロポリタン・ミュージアムの「Music in Museum」を任されたアイズリQ、しっかりその責務を全うしたのでありました。次回は日本の作品なども取り上げるからか、東洋美術の展示室が会場。最終回は、マンハッタンの北にあるそれこそ中世の建物をまんま持ってきちゃった別館クロイスターでの演奏会だそーな。

うううん、企画している学芸員さんが凄く攻めてるなぁ、と感心することも出来るかもしれぬが、正直、やくぺん先生のような爺とすれば「栄光のメトロポリタンの弦楽四重奏シリーズ」が、なんだか妙にモダンでクールなもんになってしまったなぁ…と淋しく感じてしまうのもまた事実なのであります。はい。

なお、まだ公式には発表されていないけど、関係者さんに拠れば、次回2月23日のアイズリQ演奏会、ライブストリーム中継があるそうな。ご関心の向きはこちらのサイトからどうぞ。そのうち、ちゃんとした情報がアップされると思います。請うご期待。
https://www.metmuseum.org/events/programs/met-live-arts/aizuri-quartet-18-3

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優勝団体に遭いにいく・その1:第2回大阪国際室内楽コンクール第1部門ヘンシェルQ  [大阪国際室内楽コンクール]

[後期]いきなりですが、以下の作文、11月10日には「インディーズとしての「来日公演」」というタイトルでアップしましたが、12月12日の時点でタイトルを変更いたします。内容は変えてませんです。

※※※※

去る月曜日から、ミュンヘンのヘンシェルQが日本ツアーをしています。ことによると、「えっ、知らない」と仰る方もいらっしゃるんじゃないかしら。以下が日程。

Tue. 7 Nov: Airef Hall, Fukuoka
Wed. 8 Nov: Figaro Hall Tsu
Thu. 9 : Munetsugu Hall, Nagoya
Fri. 10 Salvia Hall, Yokohama
Sat. 11 Materclasses at Geidai, Tokyo
Sun. 12 private reception
Mon. 13 master class Quartet Q
Tue. 14 Toppann Hall, Tokyo, Kiko piece

本日はいよいよ、帝都首都圏での最メイジャー公演たるサルビアホールでありまする。いつもながらの午後7時開演ですので、お暇な方も、お暇じゃない方も、こぞっていらっしゃいませな。

この公演、ご存じないかも知れない方が多いかも、と敢えて記すのは、理由があります。ヘンシェルQは1992年10月のまだ学生だった頃、精進湖で開催された最初のアマデウス・コースの特別ゲストとしてやって来たときから今に至る四半世紀、このクラスの実績と実力のある団体(なんせ、天下のドイツグラモフォンにも録音がある団体ですからねぇ)すれば、極めて特殊な来日を繰り返している。今は他のジャンルに先駆けてすっかり「インディーズ」化した弦楽四重奏という業種の、ひとつの最先端のやり方とも言えなくもない「来日公演」を繰り返してる。今回も然り。

ええ、敢えてうろ覚えのままで彼らの招聘元をだああっと記せば…

90年代前半:クァルテット・フォーラム(澤先生主催)、神原音楽事務所(元アマデウスQのアンサンブルのメンバーとして)
90年代半ば:日本室内楽振興財団(大阪国際室内楽コンクール&フェスタ第2回優勝団体として)
0年代:アスペン(旧神原音楽事務所関係者の起ち上げた会社として。その後にアスペンの担当者が移った武蔵野紙文化財団が招聘したこともあったかも)、クァルテット・フォーラム、東京藝大
10年代:サントリーホール(チェンバー・ミュージック・ガーデンでのベートーヴェン全曲演奏会)、藝大

という感じ。日本公演を法的にきちんと行おうとすれば商業VISAが必要ですから、招聘団体がないとちゃんとした公演は無理(脱法ギリギリのゲリラ公演の方法はそれなりにあり、そういうやり方も結構、行われてはいますけど)。その招聘業務を担当をしているのが誰か、というのが上記の一覧でありまする。要は、「スメタナQならジャパンアーツ、アルバン・ベルクQなら梶本」みたいなやり方じゃない、ということ。

ご覧になって判るように、ある時期は神原からアスペンという日本のメイジャー系音楽事務所も関わっていた頃があるものの、基本的にヘンシェルQの来日公演は「彼らをホントに聴きたいと思うお友達や関係者が、実質的に個人的に呼んで、その人達が自分らで演奏会を作る」というやり方をしています。20世紀後半型の「著名メイジャーレーベルがレコードを出し世界中に名前を知らしめ、世界各国の主要音楽事務所がマネージャーになり、各国の国内ツアーを作る」というメイジャー系アーティストの売り方をしていない。ぶっちゃけ、澤先生なりが今度呼ぶらしいので、各地のヘンシェルQを聴きたい人がうちもやりましょうか、と集まって、演奏会を作ってるわけですわ。

一昨日の滋賀県は大津から京阪で数駅のところ、琵琶湖畔の住宅地にある老舗コンサートスペース「フィガロ・ホール」公演を終え、ホールオーナーにして主催者の歯医者さんご夫妻と記念撮影に収まるヘンシェルの面々。
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この絵に描いたような典型的なコンサート・スペース、20年前だかのオープニングの頃にもヘンシェルQは来ているそうな。先頃の共著本では、極めて特徴的な小規模サロンが大津にあってそっちを取り上げため、余りに近く、ここは残念ながら取り上げられませんでした。スイマセン。

ま、なんであれ、このような形態の招聘なんで、当然、事前に全国ツアーのチラシが作られて演奏会場で撒かれることもないし、全国紙・全国誌で前パブ記事が出ることもない。あるとすれば、ローカル新聞の告知くらい。それに、主催する人がいない地域には、全く登場することがない。日本では、博多とか関西地区にはヘンシェルQの知り合い・お友達の小規模主催者さんがいるので公演があるけど、東京や北陸圏、北海道などは全く訪れたことがない、なんてことも起きている。

まあ、率直に言えば、室内楽の演奏会を定期的にやっている地方楽友協会が各地にしっかり存在し、音楽事務所がそこに売り込めば良い状況ではない日本では、このやり方の方が本来は最も堅実であることは確かでありましょう(数少ない地方鑑賞団体やローカル主催者にきっちり弦楽四重奏を売り込む、という仕事が上手く出来ている事務所は、日本では大阪のKさんくらいしか存在しません)。一昨日、滋賀公演の後に飯食いながら、チェロのマティアス曰く、「年間に…そうねぇ、最近も50回以上は弦楽四重奏の演奏会はあるよ。でも、弦楽四重奏は喰えないからなぁ」と、苦笑でもなく、これはこういうものなんだ、という顔で仰ってました。

メイジャーレーベルからCDが出て、大手音楽事務所が招聘し各地の市民会館やらに売り、「ぶらあぼ」や「音楽の友」に前パブ記事が掲載されて来日を待つ…そんなビジネスモデルは、少なくとも弦楽四重奏の世界ではすっかり崩壊してる。じゃあ、どうするのか?そんな問いに結果としてひとつの解答を示してきてしまったヘンシェルQ、音楽そのものもかつての打っても叩いても崩れないガチガチの硬派から、随分と自在になってきた(とはいえ、やっぱりヘンシェルはヘンシェルだけどさ)。

こういう在り方もある。是非とも、今晩のサルビア、お聴きあれ。ドイツ唯一のメイジャーオケのコンマスとの掛け持ちを6シーズンも続けていたダニエルが流石に無理で、ルーマニアのプチ熊ちゃんみたいな若者に交代した昨年来、マルクス時代のヘンシェルだったら考えられないような柔軟さ(寛容さ、自由さ…)も見せるようになりましたから。サントリーの鉄壁なサイクルから次に進んだベートーヴェン作品131を請うご期待。

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第9回大阪国際室内楽コンクール結果発表! [大阪国際室内楽コンクール]

今、20日土曜日、午後8時過ぎ。8時には発表というアナウンスがあったのだけど、まだ音沙汰もなく、いずみホールで結果発表を待っております。

…今、8時35分過ぎ。結果が出ました。以下です。

第1部門
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優勝:アイズリQ
2位:ユリシーズQ
3位:ヴィアノQ

第2部門
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優勝:ザイーハ・サクソフォンQ
2位:ニオベ・サクソフォンQ
3位:クンスト木管五重奏団&パリ・ローカル金管五重奏団

正直なことを言えば、一昨年くらいから、弦楽四重奏コンクールの結果を前にしては「なんじゃこりゃ」と覆ってばかりいたので、こんなにまともな結果が出ると逆に拍子抜け、って感じ。

ともかく、東京の皆様は、火曜日にトッパンホールでアイズリQとザイーハQを聴けますので、お暇ならどうぞ。弾くかどうかまだ判らないけど、アイズリのベルク作品3は必聴です。なお、ユリシーズQは来月横浜にまた来ますので、そちらもどうぞ。
http://www.welcome.city.yokohama.jp/ja/tourism/eventinfo/ev_detail.php?bid=yw2729

まあ、どーでも良い愚痴みたいな戯言を記しますとぉ…こういう「たられば」を言ってもしょうがないのだけど、今回はテープ審査を通ったけど棄権した日本の某団体が出ていれば、第2回のヘンシェルVSエク以来の本気の優勝争いが出来た可能性があったのになぁ…と心の中で嘆いてみてしまうのでありまする。無論、アイズリさんやエクの仕事を貶めるのではありませんが、今回はホントに千載一遇のチャンスだった。この調子では、わしが生きている間に日本の団体が勝つ姿を目にすることが出来るのか…ううううん。

考えてみれば、最終回からひとつまえの民音室内楽コンクールでイグレッグQがレニングラードQ(現ペテルスブルクQ)と競って優勝して以来、日本の国際室内楽コンクールで日本在住団体が優勝したことはないんですよねぇ。そして、イグレッグQのヴィオラのいねちゃんさんは、本日の審査委員。コンクールに歴史有り。

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