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これがアメリカンメイジャーが推す「現代の弦楽四重奏曲」だっ! [現代音楽]

一昨年来のコロナ禍で最も大きく環境が変化したのが、「映像配信で世界中の最先端の動向が無節操に流れ込んでくる」という状況が恒常化してしまったことでありましょうぞ。

なんせ2010年代終わりまでは、海外メイジャー歌劇場や音楽祭の最新演出やら、あちこちのオーケストラや室内楽演奏会で披露される現役作曲家の最新作やらが、オンタイムでいきなり貴方のお宅のスピーカーやらテレビパソコン画面から眺める、なんてことがあればもう大騒ぎ。マニアファン関係者、事前に大盛り上がりで、様々な告知もなされ、みんなオンエア時間を待つ、って状況だった。ライブ中継ではなかったけど、年末のバイロイトへの人気指揮者の登場の放送なんて、そわそわワクワクしてその日を数えたものでしたねぇ。なんだか大昔のような懐かしさ。

2022年春の今、もうどんなものが放送されようが誰も驚かない、それどころか、「コロナ終わって今は戦争報道がインなのに、またそんなもんやってるのか」って空気すら漂う今日この頃であります。情報過多、良い物食い過ぎ、もう結構、ってことになろーとはねぇ。

そうはいっても、たまには当無責任電子壁新聞的には紹介しておきたいライヴもあります。こちら。
https://www.chambermusicsociety.org/watch-and-listen/live/new-milestones-visions-and-illuminations/?utm_source=wordfly&utm_medium=email&utm_campaign=Watch%26Listen4.27.22&utm_content=version_A

やっとシーズン復活なったリンカーンセンター室内楽協会が、先々代エンペラーお誕生日の朝を祝いニッポン時間でかつての天皇誕生日朝8時半という極めてアクセスしやすい時間に無料ライブで流してくれるのは、カリフォルニアのエリート校出身、何故かニッポンではまるで名前が知られないままでここまで来ちゃってる北米若手エリート団体のトップのひとつたるカリドールQが披露する今を代表する作曲家の作品。演目をコピペしちゃえば

Sofia Gubaidulina Quartet No. 4 for Strings with Tape (1993)
Anna Clyne Breathing Statues for String Quartet (2019) (CMS Co-Commission)
Joan Tower White Water for String Quartet (2011)
Jörg Widmann Jagdquartett for Strings (2003)

って、いかにもな「現代音楽」ばかり。もうすっかり古典となったグバイドゥーリナの作品群の中にあってあんまりやってくれない第4番、CMS委嘱の新作、北米の売れっ子ジョアン・タワー、そして恐らくは21世紀に書かれた弦楽四重奏文献の中で最も頻繁に演奏されるであろうヴィドマンの大ヒット作。なるほど、これが「2020年代マンハッタンのプッシュするメイジャーな弦楽四重奏作品かぁ」と思わせてくれるようなラインナップとなっておりまする。

首都圏の皆様とすれば、今世紀に入ってからはお祭りの時間だった大連休が一転、拍子抜けみたいな空白シーズンに戻ったこの春、まずは一発目にマンハッタンからの作品演奏ともにインな弦楽四重奏をお聴きあれ。皆々様におきましては、戦争もコロナも船の沈没も無縁な、良き黄金週間をお送りになりますよーに!

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熱狂の日々が遺したもの [音楽業界]

キューシュー島温泉県盆地から眺めると、ソウルよりも上海よりも遠い場所に思えるニッポンはホンシュー島の昔話。

コロナ禍が世界を覆うまで、ニッポン国で「ゴールデンウィーク」と呼ばれ勤め人が一斉に連休を取る時期、国家中枢エンペラー宮殿横にかつてシティホールが重厚なモダニズム様式の姿を晒していた場所に陣取った巨大イベント会場では、無駄に広く、巨大ホールから小規模集会室に至るまでやたらと数と種類があるシーズンオフのレンタル空間を利用し、「ラ・フォル・ジュルネ」というおフランスはナントでるねまるなる辣腕ピアノ系プロデューサーが開拓した「音楽の移動遊園地」としか言い様がないイベントを輸入、賑々しく開催しては何十万人の客を集めたと豪語しておりましたとさ。

思えば、当無責任私設電子壁新聞がいきなり設立されたのは、この音楽祭の最初の回が悲惨な結果で終わった数週間くらい後。第1回目のオープニング当日を、スタッフなんぞが期待して迎え、全然客が入らず、関係者の顔がだんだんと曇ってくるのをずっと眺めていた実況中継は、残念ながら記録としては残っておりませぬ。ホントに悲惨でしたからねぇ、初回は。

んで、これらが「ホントにこれ、来年も続けるんですかぁ…」状態だった初期の記事。あの頃はまだSNSもweblogくらいしかなく、皆さん、それなりに真面目に書き込みなどもなさってくださってたんですねぇ。業界では公共文化施設に導入される「指定管理」が大問題となっていた頃なんですなぁ。
https://yakupen.blog.ss-blog.jp/2005-12-16
https://yakupen.blog.ss-blog.jp/2005-09-08
https://yakupen.blog.ss-blog.jp/2005-08-20
https://yakupen.blog.ss-blog.jp/2005-08-16

やくぺん先生は、初回の最初の公演前から現場で眺めた経験から、「あああ、ここには関わらない方が良い」と思い、以降、我が同業者達が次々と広報宣伝に駆り出され、イベントが巨大化し、地域も拡散していくのを、まるっきり他人事で眺めていた。なにしろそれまではクラシック音楽業界シーズンオフだった時期で、銀座東地区までを含めた鉄砲洲稲荷例大祭にぶつけるように隣町で新しい祭りを始めるのにマカロンもって挨拶のひとつ来なかったという失礼極まりないフランス人連中。そんな奴の跋扈を許してたまるものか、って佃住民の納得のいかなさがあったことは敢えて否定しないでおこーかいな。

そんなわけで、記者会見にも行かず、知り合い友人がステージにいても招待券すらいただくつもりはなく必要なら自腹を切り、単なる聴衆のひとりとして眺めていたお祭りが、いよいよホントに幕を閉じることになった。公式に「もうやりません」とは言っていないが(言いっこない、ってに)、「地域の祭り」という意味では、こんなイベントに姿を変えるようでありまする。
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https://t.pia.jp/pia/events/marunouchi-musicfes/
https://www.t-i-forum.co.jp/mt_images/2022_marunouchimusicfes.pdf

なるほど、るねまる御大の世界制覇の野望、10数年の年月と世界パンデミックといくつかの戦争を経て、こういう形でローカライズされたのか。

この「拠点制圧短期集中全兵力投入型」イベント、当初の懐疑的な眼から「あれは行けるんじゃないか」という感じに業界内空気が変化した頃から、先頃お亡くなりになった最先端に鼻が利きちょっと斜に構えた見方が出来る某プロデューサーさんが仙台を舞台に「せんくら」なるイベントで初のローカル化を試み(本人も影響をはっきりと認めていたそうな)、それ以降も当初の目論見通りに「ラ・フォル・ジュルネ」そのものがびわ湖、金沢、鳥栖などへと展開。仙台の成功を見た自治体が類似イベントに次々と乗り出し、木曽福島や由布院などの地元愛好家主導に中央のマネージャーが金にならんけどお手伝いする、って市民規模とは質量共にまるで異なる行政や大企業グループが差配する巨大地域イベントの「音楽祭」となり、所謂クラシックをネタにした都市型音楽フェスへと変貌することになる。

17年の年を経て、プロデューサーご本人や、マネージメントを担当し会社あり方を演奏家マネージャー業からイベント業へと変化させてしまった老舗音楽事務所二代目社長が目指していた野望たる「未来の巨大マーケットたる上海やら澳門やらへの進出」こそ成らなかったものの、るねまる氏が撒いた種はニッポン列島各地にはしっかりと根付いてしまった。ホントにそれで良かったのか、功罪はこれから大学のアートマネージメント科などで論じられることになるのでしょう。

個人的には、「最初はベートーヴェンやモーツァルトがテーマだけど、るねまる氏の最終的野望はテーマを現代音楽とすること」なーんて初期に耳にしていた心躍る話は、嘘かホントか知らんけど、実現しないままに終わってしまった。《光》の「日曜日」なんかをやるには最高のセッティングだっただけに、それが最大の残念でありまするな。

コロナ禍以降「ライヴ」の意味や価値は大きく変化し、はたまた「クラシック音楽」という言葉の内容や意味も20世紀までとは違うものになっていく。「ニッポンの熱狂の日々」は、歴史としてどう後世に評価されるのか。少なくとも、「それまではドイツに比べ低い評価だったフランス系クラシック奏者や受容のあり方が、ニッポンでも広く認められるようになった」ということだけは確実でありましょう。

さらば、「ラ・フォル・ジュルネ」!ありがとう、とは、敢えて言いません。

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空港バス復活! [ゆふいんだより]

温泉県標高450メートルの盆地、オフィスにおります。連休明けまでこちらに滞在、新帝都に戻るのは皐月も10日のことになる予定。連休中はずっとキューシュー島です。この季節にこの島に居るのは初めてだなぁ。

葛飾巨大柿の木下から温泉県盆地へのオフィス移転プロジェクトは、そもそもコロナ禍による諸情勢変化が前提だったわけで、一昨年12月に最初の移転作業で現地入りしたときから、標高470メートルの盆地アクセスはコロナ非常時。半島先っちょ空港から駅前バスセンターまで観光客を運ぶことが目的(要は、荷物引っ張って浮かれてる奴らと地域住民の隔離)の直行空港バスは、不要不急の移動自粛とやらで完全運休になっておったのであーる。そもそもコロナ前から、前年の大雨で天ヶ瀬近辺鉄橋ばかりか市役所最寄り駅近くの路線まで崖崩れで寸断され、大分からの久大本線が盆地駅まで至っておらず、2020年12月に移転を前提にした最初の現地探索に赴いた際には、もう別府からの山越え路線バスは終わった時間で、大分から久大線で登り、これは絶対にコロナが移ると乗車を躊躇うような高校生をギュウ詰めにした代行バスに庄内駅から由布院駅前まで乗らにゃならんじゃった。
https://yakupen.blog.ss-blog.jp/2020-12-07
https://yakupen.blog.ss-blog.jp/2020-12-17
すっかり夜の帳が降り真っ暗な由布院駅構内には、博多の塒に戻れなくなった芋虫みたいな花形観光列車が交通博物館の保存車両状態で転がっておった。要は、ギリギリ陸の孤島を免れる状態なのであったとさ。

それからまるまる一年と半年弱、なんのかんのなんのかんのなんのかんのあって、葛飾巨大柿の木下から田圃の中のパーシモン・ゲートが迎える新オフィスへの移転もほほ完了。春のお彼岸とイースター迄に仏壇も無事に引っ越しが終わった。あとは最後の棚と客用布団が水曜日に到着、テレビはないが佃から義理の母を迎えることも可能な形にはなった(遠すぎとブンチョウ様移動問題があり、まだ企画段階じゃが)。そしてそー、とーとー去る4月15日に、大分空港と盆地を結ぶ直行バスが復活したのであーる!

てなわけで、本日は記念すべき「月島駅→京成成田空港→LCC→大分空港→空港バス由布院バスセンター」という貧乏人御用達最短ルートでの初出勤と相成った次第。まだいろいろ問題はあるようじゃが、ともかくDoor to空港が都営地下鉄京成1149円+亀の井バス1300円(往復券利用)で済むようになり、空港由布院間が乗り継ぎ時間込みで最短2時間15分から最短55分になるのは大きいわ。

とはいえ600マイルは、やはり遥か彼方。さて、まずは旧葛飾オフィス最寄り駅経由
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成田空港へ。葛飾オフィス時代は、成田国内線利用の際にはまず必ず巨大柿ノ木下に泊まっていたから、このホームまで来てやっと「さても、LCCに乗るべぇか」という気分になるのは変わらぬなぁ。今日は桃さんなんで、まるでニッポン脱出のよーに第一ターミナル南、かつてのANA国内線カウンターに向かうのであーる。

ちなみに現状、ANAさんは成田国内線は一切運休、全て桃さんに丸投げでんがな。とはいえANAさん国内線なら、エリート会員なのでチェックイン荷物預けの時間がミニマムになる努力がさまざまになされ、更には空港に90分前に来いなどという脅しもないため、京急線羽田空港駅に出発時間の40分前に到着すれば余裕たっぷりなんじゃが、LCCは成田空港駅に100分前に着くようにせねばならん。ま、諸経費込み6000円しない、レガシーの三分の一以下なんだから文句を言う筋合いなんぞありませぬっ!おっと、本日は第1南の最東端、第2ターミナルまであとちょっとのボーディングブリッジではありませぬかぁ。
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この風景、まるでワシントンD.C.、はたまたブリュッセルに行き午前11時過ぎ発便にでも乗りこむようじゃわい。

殆ど国際線感覚ゲートを定刻10時15分だかに離れた桃さん320くんだけど、そこからえっちらおっちら、遙かLCC専用ターミナルの直ぐ横のBラン南までウネウネと反対派地主2代目さんなどのお宅をかすめながら進み、春の長雨ってわけでもなかろうが、離陸するやあっという間に雲の中。幸か不幸か連休前とあってさほど混んでいるとは言えぬ桃さんは、どこにいるやら判らぬままに延々と雲の上を飛行(着陸後にフライトレーダー24で調べたら、葛飾上空ではなく千葉市上空から富士の真上を跨ぎ、かなり南の道で大阪市上空から神戸空港ビーコン拾い、山陽本線沿いに江田島、遙か岩国南を抜けいつもの急降下したようじゃ)、ぐるりと大旋回して国東半島先っぽ空港タッチダウン直前に海が見える勢い。陸に着いたのが12時7分では、12時5分発の大分交通運航の由布院バスセンター行きが待っていてくれる筈もない。西行き便は遅くなっても速くなることはないとはいえ、まさかのまさかで12時前に着陸すれば無慈悲な大分交通さんも待っていてやるか、と思ってくれるんじゃああるまいかと、大枚800円弱払って2列目の席を買っておいたのも、虚しいこととなってしまったのであった。

ま、JALANAなら待つだろうが貧乏人相手ではこんなもんじゃろと、小雨降る中ズルズル荷物引っ張ってターミナル北の地元農家なんぞがやってる手作り感溢れる空の駅でランチに大分椎茸ピザを喰らい、空の駅名物の値段があって無きが如き地元野菜を買い込んでは持参の大分生協のレジ袋に詰め込み
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空港コンビニでガリガリくん買って、齧りながら2時のバスを待つ。湿っぽい空の下、程なく我らが亀の井バスの由布院行きが、威風堂々3番バス停に滑り込んでくるのであったぁ!祝え、バス復活!由布院町1万人&無数の観光客の夢を乗せ、一路走れ、由布岳の向こうまで!
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連休直前の日曜午後で、乗客は10人ちょい。これなら大丈夫、廃線はあるまいと安心し、観光路線にあるまじき葱が飛び出す大分生協袋を脇に置き、あとはボーッと座ってジャポニスムの墨絵みたいな別府湾眺め、前後して走る大分交通大分駅行きバスと別れ
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流石にこの低い雲では沖縄海兵隊実弾射撃訓練もお休みだわなぁと日出生台の原を見晴らし、どこにあるやらまるで判らぬ由布岳の裾野を抜けると、おおおおお、我が田舎町、盆地が眼下に広がる。由布岳登山口かすめ別府から峠を跨いでくる一世紀以上の歴史を誇る伝統のバス路線に広がるパノラマ感ほどの感動はないものの、この風景をバスの客席の高さから眺めるのは、いったいいつ以来のことやら。もの凄く久しぶりの筈なんだけど、なんだか昨日も目にした気がする。
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おおおおおおお、我が陸軍官舎の彼方に、やくぺん先生新オフィスもしっかり見えるわい。それにしても、直行バス、圧倒的な速さ。

バス停から、雨だからもう仕方ないとタクシーを飛ばし、運ちゃんと先週来の天気やら観光地側のお客さんの出方やらを話すまでもなく、パーシモン・ゲート迎える石武厄遍庵に到着。10日見ぬ間にジャンジャン育ってるジャガイモ畑を前に
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植物最強、と再認識するのであった。

新帝都大川端縦長屋を午前6時半に出て、到着は午後3時5分。Googleマップさん曰く、距離にして953km、歩けば7日と12時間の通勤路なのでありました。

ちなみに、金に糸目をつけなければ、午前6時半に羽田に向かいANA、9時半前に大分空港に着き、10時のバスに乗って午前11時にはパーシモン・ゲートにゴールインも可能。なんと、door to doorで4時間半の通勤もやれなくはなくなったのであーる。

あらためて、祝、空港バス復活!!

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横浜版《浜辺のアインシュタイン》上演概要発表 [現代音楽]

神奈川県民ホールさんからリリースが来ました。10月になんと、《浜辺のアインシュタイン》をやるそうな。〈一部の繰り返しを省略したオリジナルバージョン/新制作/歌詞原語・台詞日本語上演〉だそうです。
https://www.kanagawa-kenminhall.com/d/50th-opera1

うううむ、この広報文章というか、公式ページの作文をした人が誰なのか判らんので、そもそもこの作品を他人様に説明しようとするとどれくらいめんどーな、ってか、ほぼ絶望的に無理な作業であると判った上で「まあ、こう書くしかないよなぁ」と腹をくくってこの作文をやってるのか、見当も付かないのだけど、キャストやスタッフの表記の仕方などからなんとなく判るのは…

★俳優さんやらがしっかり出てくるようなので、所謂「ロバート・ウィルソン初演版、第2次、第3次改定版などのオーセンティック版とされる舞台のコピー上演」ではない。だから、Blu-rayになってる舞台を観られると思ってはいけません。まるっきり違うものです。

★音楽はフィリップ・グラスの譜面を使うが、恐らくは舞踏が猛烈に長い辺りをカットするのであろう。演出家が舞踏の方なので、舞踏シーンが作られていく過程でカットの量が決まってくるんだろーなぁ。ホールの自主公演でどんだけ長くなっても問題ないし、昼過ぎから始めるなら最長でも冬の日暮れ過ぎには終わるだろうし。

★「歌詞」と「台本」が別にされているって、どういうことなのかしら?どれが歌詞でどれが台本かって、はっきりと判る部分を強引に探せば、最後のバス運転手のモノローグが「台本」かしらね。バスの旅の人が俳優としてキャスティングされてるのは、思わず爆笑してしまったぞ。この作品、永遠にも思える数時間をボーッと眺めて、文字通り時間と空間の感覚がぐちゃぐちゃにおかしくなってしまった最後の最後に、バス運転手が若い恋人達の物語を語る。と、なんでかわからんが、まるで「ヴォータンの告別」くらいに感動するわけですよ。作った側がそういう「感動」を求めていたかっていえば、恐らくそうじゃないんでしょーが、結果としてものすごおおおおく「感動」する。ああああ、E=MC2、時間と空間が入れこになって宇宙が消えていくぅ、ってね。そこを「あるよぉ」の方がやるって…ううううむ。

★幸いにして演出が舞台系の方ではないので、一昨年のジュネーヴ版みたいな中途半端に思わせぶりな「お話」でっち上げはないでしょう。
https://yakupen.blog.ss-blog.jp/2020-04-15
ただ、「台詞」を日本語にするのは、法廷のところで喋られるわけわからん、わざわざ意味が判らないように言葉が並んでるナレーションが日本語になって流れる、ということなんでしょうかねぇ。ドルトムントがやった「舞踏を一切落として、ドイツ語のナレーションを新たにガンガン突っ込む」なんて荒技は
https://yakupen.blog.ss-blog.jp/2017-06-04
この演出家さんにはやれってもやれないでしょうけど。

無駄なお節介とはいえ、「オペラ」という言葉をこの作品に用いるのは、「黒海艦隊旗艦」ってのと同じくらい罪作り、まるで誤った印象を与えると思うんですが…まあ、他になんとも言いようがないですから、こればっかりはしょーがないのかしら。

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もうひとつの「プロシア王セット」 [弦楽四重奏]

新帝都滞在中はともかくやることいっぱい、当電子壁新聞なんぞすっかり放置、コロナも黒海北も事態は全然終わりが見えてない今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか。

本来ならばとっくに記しておかねばならなかった宣伝を慌ててやりまする。本日午後7時、日暮里サニーホール コンサートサロン(JR・京成 日暮里駅前より徒歩約 2 分、ホテルラングウッド 4 階)でこんな演奏会があります。
https://quartettooceano.wixsite.com/main/concerts

演目をまんま貼り付けますと…

G.ドニゼッティ:弦楽四重奏曲 ホ短調 第 18 番 (1836)
P.ヴラニツキー:弦楽四重奏曲 ハ長調 op.23-1 「プロシャ王セット第 1 番」(1793)
F.メンデルスゾーン:弦楽四重奏曲 第 4 番 (1837)

そー、なんとなんと、知る人ぞ知る「もうひとつのプロシャ王セット」ってか、「モーツァルトの最後の3つ、ハイドン作品50に継ぐ、3つ目のプロシア王セット」でありますな。

ここで、こちらのwikiでもご覧下さい、とプロイセンの王様でデュポールにチェロ習ってたブランデンブルク候の音楽への功績が一覧にでもなっていれば有り難いのだが、そんな便利なものはないなぁ。ドイツ語ならここ、流石にベルリン国立図書館(フィルハーモニーの向かいにモダンな館がありますな)らしく、ベートーヴェンを筆頭に所蔵するオリジナル楽譜が並ぶしっかりしたサイトでありまする。英語版を貼り付けておきましょう。
https://blog.sbb.berlin/friedrich-wilhelm-ii-violoncello/

っても、いきなりこんなもの見させられても困るぞ。ま、この作品23の2の序文でも見て下さい、ってことにしておきましょ。
https://www.wranitzky.com/downloads/strqrt_op23_no2_parts.pdf
ホントは、これをダウンロードして勉強してください、と無責任な放り投げをしたいところ。
https://www.academia.edu/14331653/_Haydn_Boccherini_and_the_rise_of_the_string_quartet_in_late_eighteenth-century_Madrid_in_Ch._Heine_y_J._M._Gonz%C3%A1lez_Mart%C3%ADnez_eds._The_String_Quartet_in_Spain_Bern_2017_pp._53-120_

演奏するのは、「ガット弦の弦楽四重奏団」で売り出し中の注目団体。とはいえ、こんなキャッチフレーズで出てくる団体に一昔前は漂っていたカルトっぽさやマニア臭さ、はたまた「俺たちだけが判ってるぞ」感とはちょっと違う新世代。お気楽に楽しみに来て下さいな。ホントに古典派が好きな方、「ハイドンの弦楽四重奏はやはり作品50にトドメを刺す」などと仰りたい方(そんな奴いるのか?)は是非どうぞ。

[追記]

拝聴し、戻って参りました。
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ぶっちゃけ、《プロシア王セット》は、ホントにプロシア王のためのセットでありました。もうチェロ無茶ぶりに近く、中声はちゃっちゃっちゃっと合いの手入れてるだけで上と下がガンガンやっとるでぇ、って音楽が始まり、突然セカンドさんがデカい声出したり。なるほどぉ、ボンから出てきたベートーヴェン君、こんなのいっぱい聴かされ「弦楽四重奏書いてかいて」と周囲から言われたら、そりゃ意固地になって「俺は絶対書かんぞぉ」って言ったろうなぁ。いやぁ、勉強になりました。ドニゼッティも、シューベルトの初期みたいな弦楽四重奏のあり方がどんどん先に行ったらこんなになるんかね、って不思議な音楽でした。

まだまだ世界は広い。ありがとう御座いましたです。次回は12月23日だそうな。またまたトンデモなクリスマスプレゼントがいただけそう。それにしても、こういう音楽を面白がって聴ける聴衆が100人弱とはいえ存在するなんて、トーキョーはすごおぃところじゃのぉ、ホント。

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Z時代古楽到来…か? [演奏家]

昨晩、こんな演奏会に行ってきたです。
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やっぱりなんのかんのあったコロナ禍もまる2年目となった上野の春、官立イベントでは不可能な年度跨いで開催される東京春音楽祭の最後の公演であります。最後ってのは別に意図したわけではなく、びわ湖監督率いるオケをバックにスターが燃え上がる炎背負って「さらばさらば」と叫び終わりになる筈だったのが、なぁんということでしょう、ヴォータンがコロナに罹ってしまいキャンセル。んで、これが最終公演となってしまった。

いやはや、コロナは全然終わってません。なんせこの演奏会の主役だって、先月にコロナに罹ってしまい果たして国に戻れるのか、ましてや息が命の楽器の演奏家、ご本人twitterで大変だぁ、と仰ってたわけですし。

ま、いろいろなすったもんだはあったものの、無事に演奏会は開催され、会場はいかにも「古楽」って感じの様々な種類の鍵盤楽器がまるでミュージアム・コンサートでもあるかのような舞台上。上手下手のチェンバロやらフォルテピアノやらはともかく、真ん中には奇妙なレトロ電子楽器らしきものまで並んでら。舞台前に人々がワラワラ寄って眺めてる、ってのも伝統の古楽演奏会であるぞ。
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主人公の柴田氏も、トラヴェルソ2本どころかモダンの楽器まで持ってきて、ますます会場は「古楽」っぽい風貌でありまする。

中身は、上の演目リストをご覧になれば判るように、バッハのフルート・ソナタがメインに据えられているものの、実質は「柴田くんとアンソニーがあれこれの楽器を次々繰り出して延々と楽しい音楽の時間を提供する」というもの。ぶっちゃけ、今、何の曲をやってるのかはどーでもいい。C.P.Eバッハだろうが、グラスだろうが、はたまたクルタークだろうが、まあ、どーでもいー。なんせアンソニーったら、「まるでバッハっぽい即興」とかいくらでもやっちゃい、学校の隅っこにあるぶっ壊れたハルモニウムの音を増幅してくれるようなレトロ電子ピアノの椅子に座ってカッコ良く笛の調性をする柴田君をニコニコ見守って、はいよ、って次の曲に入っていく、途中の拍手はしたけりゃしてね、って。要は、昨今のドイツグラモフォンのアーティスト主導コンセプトアルバムみたいな造りでありまする。

あああ、なるほどぉ、これが「Z世代古楽」なのかぁ。一昔、二昔前の「古楽器」界に漂っていた「私だけが本当の音楽のあり方を知っている」「このやり方が正しくてカザルスもフルトヴェングラーも間違った音楽をやっているのだ」ってカルトっぽさは皆無。スッキリ爽やか、気持ちよい空気が流れる2時間とちょっと。

20世紀に入り、世界をマーケットとした録音や放送媒体が音楽消費のメイン媒体になってきたときに一生懸命求められた「誰にでも判る楽譜通りの正確さ」「誰もが文句が言えない上手さ」なんてものが、もう価値として追求されなくなってきている。そういう中で生まれてきた、良くも悪くも好きにやってる(風に見せる)音楽のあり方を、どうやってマーケットの上にのっけ続ければ良いのか…それにしてもこういうやり方をやるなら、ずっと座って聴いている必要は全然ないわなぁ。

…なーんてどーでも良いことを後半はずーっと考えてた、まだまだ寒い春の宵だったとさ。こんな風にすぅっと終わるお祭りも、あって良いのかな。

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新川学びの森天神山交流館に行ってきた [こしのくに音楽祭]

今、北陸新幹線に当日券で飛び乗り、黒部宇奈月温泉駅から新帝都は中央駅に向かってます。この話の続き。
https://yakupen.blog.ss-blog.jp/2022-03-24

朝の6時前に起き、東京駅6時半前だかのシンカンセンで温泉駅へ。駅では魚津のおとうさんが車で待っていてくださり
https://yakupen.blog.ss-blog.jp/2010-04-21
桜も終わりだけどまだまだ八重桜は綺麗に咲き誇る天神山に向け走りながら、昨晩行われた「一般社団法人にいかわ学びの森みらい会議設立記念披露会」の様子をあれやこれやと語って下さる。うううむ、なるほどそーゆーことなのか、えええ、そういうことなんですかぁ…

てなわけで、とにもかくにも10時過ぎに懐かしの交流館に到着。なにやら模擬店の立込が始まってるぞ。なーるほど、こういうイベントになってるのね。
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ま、何が起きようが、建物が残る限り、この廊下は昔と同じ。
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総計20数台のピアノが納まる練習室ではミニワークショップやら楽器体験やら、いろんなことが起きてるし、廊下では新団体会長さんたる書道家さんが即席稽古をつけているし。相変わらずと言えば相変わらず。奥の桜ホールの前には、こんなステートメントが出されてます。
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ま、中身はこちらやら
https://manabinomorimirai.jimdofree.com/
はたまたこちらやら
https://www.facebook.com/%E4%B8%80%E8%88%AC%E7%A4%BE%E5%9B%A3%E6%B3%95%E4%BA%BA-%E3%81%AB%E3%81%84%E3%81%8B%E3%82%8F%E5%AD%A6%E3%81%B3%E3%81%AE%E6%A3%AE%E3%81%BF%E3%82%89%E3%81%84%E4%BC%9A%E8%AD%B0%E6%8C%81%E7%B6%9A%E5%8F%AF%E8%83%BD%E3%81%AA%E6%96%87%E5%8C%96%E6%B4%BB%E5%8B%95%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6%E8%80%83%E3%81%88%E3%82%8B-104781821346009/
をご覧あれ。

10時半から須川さんご夫妻デュオの手慣れた、でもよく出来た1時間半ほどのコンサートで、この場所で音楽が鳴ることの喜びを伝え、お昼は遙々魚津の街から出張ったお店が並ぶ屋台でお弁当買って食べて、2時からは富山県知事、この場所でボランティアしてた我らが魚津市長、はたまたこの場所で毎年喋ってるという作曲家の池辺先生などが登壇し、この場所が存続したことを喜ぶ会となりました。
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ま、パネリストによるディスカッションとはいえ、登壇者に「みらい会議メンバーがいるわけでもなく、はたまたこの施設の体育館や宿泊施設を使うことになっている富山みらい高校
http://toyama-mirai.alpha-es.co.jp/
やら、会議代表さんがホームページで「施設の運営管理をする」と仰っている IMF株式会社というところの方が出てくるでもなく、具体的な運営に関する予算書前にしたキリキリした議論、ってもんではなく、あくまでも「音楽練習室とホール、楽器などは残ってよかったよかった」というお話。県や氏が具体的になにをどうする、というものではありませんでした。

というわけで、4時前に恙なく終わり、また魚津のおとうさんに駅まで送って貰って、駅でマスの寿司の小さいのを買って、流石に日曜の夕方、それなりに席は埋まったシンカンセンは一路新帝都に向かう、ってのが今の状況。

久しぶりに懐かしい方に会えて、みんなコロナ禍を生き残れて良かったねぇ、と旧交を温める。交流館がこれからどうなるか、ホントは誰にもまだよく判らない。ただ、県も市も無い袖は振れない、ということは判った。で、唯一ハッキリと前向きな動きとしてあったのは、こちら。
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管理棟に向かって正面から入った右手、もう21世紀に入った頭から使われていなかった小練習室棟の隣に、こんな建物が出来ました。これ、交流館近くで栽培が始まった葡萄を用いてワインを造るワイナリーだそうな。館の存続が話題になった頃から出ていた「ワイナリーにする」という話が、ちゃんと進んでいて、いよいよこの秋に最初の「天神山ワイン」が世に出るそうです。

ワイン片手に葵トリオの演奏が聴ける、なんて場所になれば良いんだけど。ともかく、みんな元気でした、という魚津の1日でありましたとさ。

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コロナ禍の上野をベートーヴェンで眺める [パンデミックな日々]

今年の年明けから、雪の中を落ちた柿の実をつぐみん軍団が喰らいに押し寄せる氷点下6度の温泉県盆地は石武オフィスに遙々新帝都は上野の杜から重量数キロの書籍を持ち込み、数日必死に行った作業
https://yakupen.blog.ss-blog.jp/2022-01-12
その結果が、このような形で世に出ました。やくぺん先生が関わったのは見開き2ページのみですけど。
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http://neil.chips.jp/chihosho/hanmoto/fax20220317h-01.pdf

漫画冊子ではありませんっ。さてもどういうものか、公式リリースをまんまコピペすると…

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東京藝大ならではの執筆陣が多彩な視点からベートーヴェンを語る

東京藝術大学にゆかりのある執筆陣が、ベートーヴェンにまつわるコラムやリレーエッセイを展開。ビギナー向けのオンライン講座のダイジェストや、コロナ禍における演奏会についての取組み等、盛りだくさんの一冊。
ベートーヴェン生誕 250 年を迎えた 2020 年、コロナ禍により、多くの関連企画が中止や延期となるなどの影響を受けた。そんな中、東京藝大での演奏会を企画・制作する演奏藝術センターは、多彩な視点からこの大作曲家にアプローチするウェブサイト「つながるベートーヴェン」を開設。現役教員・出身者を中心とした執筆陣によるリレーエッセイと、ビギナー向けのオンライン講座「14 歳のためのベートーヴェン」等を公開し、好評を博した。本書ではこの 2 つの企画のアーカイブに書き下ろしとなる公演レポートやコラムを加えた。
執筆者:河野文昭(チェロ奏者)/新井鷗子(構成作家)/迫昭嘉(ピアノ奏者)/大石泰(プロデューサー)/越懸澤麻衣(西洋音楽研究者)/川口成彦(ピアノ、フォルテピアノ、チェンバロ奏者)/沼口隆(西洋音楽研究者)/針貝真理子(ドイツ文学研究者)/渡辺祐介(声楽家・指揮者)/小川類(作曲家)/海老洋(画家)/橋本久美子(近現代音楽史研究者)/坂田哲也(画家)/古川聖(メディア・アーティスト)/植村太郎(ヴァイオリン奏者)/島根朋史(チェロ奏者)etc.

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なんだか良く判らん、とお感じでしょうねぇ。実は、やくぺん先生も、長い付き合いの編集者さんから「こういう記事、やってくれる、ちょっと難しいものなんだけど…」と言われて年末でもう誰も居ない上野の杜に呼び出され、何故かチキン弁当出され打ち合わせをしたときには、全く趣旨がわかりませんでした。正直、担当する原稿はやります、と必要な資料を渡されたときも、全体にどういうイメージのものなのか想像も付かなかった。

結果から言えば…そーですねぇ、いちばん近いのは、「ブルータス」とか「東京人」とかみたいな「特集が中心になる定期雑誌でときに猛烈に意識高いとかぶっ飛んでカッコいい系の題材を取り上げるムック志向のある冊子のもの凄く捻った号」、って感じかなぁ。中身的には「ユリイカ」とか「現代思想」みたいなものの、うんと薄い奴というか。ま、単発の出版物としてはちょっと似たものは想像つかない、不思議なもんです。より中身として正確に言えば、「普通の人にもアクセス出来るようにした上野藝大音楽部のコロナ禍2年分のアニュアル・レポートを、ベートーヴェンという視点から纏めた歴史記録資料」かな。

コロナが始まった2020年初春からどうやら終わりが見えてきそうだという感じが一瞬漂っていた2021年冬の盛り頃までの上野の様子を、古い方の門を入っていちばん奥2階の殺風景な演奏芸術センター事務所から眺めていたひとりの元編集者現准教授の歴史への防備録、というのが最も正しい評価かしら。

楽しいから、面白いから、読むとワクワクするから皆さん是非手に取りましょう、とは敢えて言いません。ですが、このようなちょっと不思議なレポートが世界中の図書館に納まる形で紙媒体という後から手を加えられない形に纏められたのは、生データ改竄が常識となったSNS時代の時代であるからこそ、意味があるのでしょう。

ま、手に取る機会があったら(そこが最大の問題でしょうけど…)、どうぞ。なんせ「日本列島ではほぼ購入不可能、ネット販売でもいつ買えるか判らない物理的に重たいドイツ語のみで書かれた書籍の紹介文」ですから…冗談じゃなく、前衛文学にしっかり一ジャンルを構える「存在しない本の書評」、みたいなもんだわなぁ。

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世界一ヘンテコな弦楽四重奏曲本日日本初演…多分 [弦楽四重奏]

今、大雨の福岡は板付空港、いちばん北の端っこの貧乏人専用ゲートの前にいます。これから慌てて千葉空港に戻り、これに急ぎます。
https://www.ensemble-kochi.jp/pdf/2022_2_10.pdf

そー、知る人ぞ知る弦楽四重奏界の最大のネタ作品、オーストラリアの音の旅人スカルソープが遺した大量の弦楽四重奏の中でも最も妙手蹴れんな作品、第16番が演奏されます。これはもう、1000キロの空を越えて上野の杜にいかにゃまずいでしょ。

この作品、弦楽四重奏とはいえ、実態は「弦楽四重奏とディジュリドゥのための五重奏曲」でありまする。もうなんのかんの言わず、こちらをご覧あれ。


当電子壁新聞でも何度かネタにしたことがある曲だと思うんだけど、とうとうライヴで聴けます!コロナで演奏会が流れたときには、あああこれは生涯生では聴けない幻の曲なのかなぁ、と思ったけど、案外あっさりとリベンジですな。

思えば、スカルソープ御大、メルボルン・コンクールで新作が課題曲になって、レクチャーに来る筈だったのがどういう理由か中止になった。今だったら「スカルソープ先生は来られないので、オンラインで参加になります」とかなるんじゃろが、20世紀末の世界はそんなこと出来なかったんじゃよ、若い衆。結局、スカルソープ氏はライヴでのお姿は眺めたことはなかったなぁ。

さあ、どう考えても一生に一度のチャンス、さあ、暇な奴も暇じゃない奴も、今晩は慌てて上野へ急げ!旧奏楽堂の方ですから、お間違えなく。

作曲家M.N氏やK.S氏だったら、頼めば「弦楽四重奏とホラ貝のための五重奏曲」なんて書いてくれるかな。

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コロナは全然終わってません [パンデミックな日々]

なんだか世界中の「国」が、戦争という「国」の専権事項に血眼になっていて、国を創り上げている国民の健康はもう勝手にして下さい、今は忙しくなっちゃったんで、というおかしな空気漂う今日この頃、皆様はいかがお過ごしでありましょうか。なんせ我が御上、この調子ですから。
https://news.yahoo.co.jp/articles/56eb63d235f714e2bc74f818a79fb80a7f1494de

さても、北極海飛び越えたり、ぐるりとオスマン帝国から中央アジア抜ければやってこられる状況になっているらしい我が極東の島国ですが、まだまだコロナは収まったわけではありません。札幌はふきのとうホールから、先程、こんなリリースが出ました。必要な部分をコピペ。

「4月に来日を予定しておりましたクァルテット ベルリン-トウキョウのメンバーに、複数の新型コロナウイルス陽性反応者が確認されました。それを受けて彼らの来日を中止させていただくことになりました。公演開催間際での決定でお客様及び関係者の皆様には大変ご心配とご迷惑をおかけして申し訳ございません。何卒ご理解を賜りますようお願い申し上げます。」
https://www.rokkatei.co.jp/hall/fukinoto/

まるまる2年間故郷に戻れぬチェロさんの団体、やっと懐かしの北の大地に至れると思ったら、ダメです。来られません。春の終わりから初夏にかけ、欧州北米のシーズンオフの初めの数週間、溜まりに溜まった来日予定を一気に処理してしまう勢いで様々な外国ベースの団体の来日公演が予定されていますけど、それらがちゃんとやれるのか、まだまだ気は許せない状況でありまする。メンバーにロシア国籍がいる団体はどうする、なんてこともありますからね。なんせ我がニッポン政府、少なくとも情報戦に関しては、お得意の宣戦布告無しでの既成事実としての戦時下ですから。

どんなに巷に観光客が溢れようが、気を抜いてはならんぞっ。

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